-
176 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:46:56 ID:XfK0Q/LI0
-
( ФωФ) ナーゴ
(#゚;;-゚) ニャー
( ФωФ) ?
(#゚;;-゚) ウニャー
( ФωФ)
(#゚;;-゚) ニャー......
(ФωФ ) .......
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) (ФωФ ) ニャーゴ
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 「……こう、霊的な存在って、動物ともコミュニケーション可能みたいな……そんなイメージ、ないです?」
(#゚;;-゚) 「ごめんなさい」
( ,,^Д^) 「……いえ、こっちも無茶振りでした」
-
177 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:47:24 ID:XfK0Q/LI0
-
……調べてみるとは言ったものの、手掛かりもクソもないんですよね この猫本人しか
学校サボってまで来た神社が、再びの二手目どんづまり
お気楽そうに喉を鳴らす猫を見つつ、頭を抱えます
( ,,^Д^) (段ボールの現物を探す……いや探して何がどうなる……)
( ,,^Д^) (目撃証言を当たる……? 誰に?)
(ФωФ ) バシャバシャ
そもそもでぃさんが見えているのかどうかすら不明な、この猫
僕が頭を抱えている横で、猫は 神社の隅の方にある、小さな池――
そこで泳いでいる鯉と、なにやら戯れていました
と、そのとき
「……ああ! またおまえか!」
( ФωФ) ?
(#゚;;-゚) ?
-
178 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:47:44 ID:XfK0Q/LI0
-
( ;・∀・) 「ダーメだダメだダメだ! 鯉空も鯉は雨上がりのようにも食われたんだ! これ以上は許さないからな!」
( ;・∀・) 「鯉われたいだけは守り通して……」
( ,,^Д^)
( ;・∀・)
( ・∀・) 「タカラ君?」
本殿の奥から、慌てて飛び出してきた人影
和装に、なぜか花束を抱えた 妙に若々しい、その姿――
(#゚;;-゚) 「……住職、さん?」
( ,,^Д^) (……神主です。ここ神社なんで) ヒソヒソ
この神社の、神主でした
-
179 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:48:05 ID:XfK0Q/LI0
-
( ・∀・) 「や、なんか妙にひさしぶりな気がするね。いつ以来? 3……2か月くらいか?」
( ,,^Д^) 「いつ、というか……神主さんも、久しぶりですよね。最近、見なかったですけど」
( ・∀・) 「ふむ……まあ、最近は神社サミットがあるからね、どうしても神社を空けがちになる。それと被ってたんだろう」
( ,,^Д^) 「神社サミット」
( ・∀・) 「うむ」
神主という役職が、どういうものか どのくらい偉いものなのか 具体的には知らないのですが
それにしたって、どう贔屓目に見ても30代のこの神主
昔から、まあ、いろいろと 謎の多い人でした
(#゚;;-゚) フワフワ
……謎の多い人だし、なにより神職なので ちょっと期待してたんですが
どうも、この人にも、でぃさんは見えないようです
いや、見えたとしても、この人でぃさんのこと知らない気がするんですけどね
-
180 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:48:36 ID:XfK0Q/LI0
-
( ・∀・) 「で、君はどうしたんだい? 学校は? 君もサボり?」
( ,,^Д^) 「……まあ、はい」
( ・∀・)
( ,,^Д^)
( ・∀・) 「いつかのハイン君みたいだね。ひどい顔をしているよ」
( ,,^Д^) 「……そうですか?」
( ・∀・) 「うむ。ここは自鏡神社、疑わしいなら鏡でも見てきたらどうだろう? 本殿には私用の姿見もある」
( ,,^Д^) 「……」
( ・∀・) 「この世で一番のイケメンを聞いたらあなたですあなた様ですだからもう割らないでとちゃんと答えた優れもの……ん?」
( ;ФωФ) ナーゴ.......
……猫にまで、心配されるような顔、ってことでしょうか
池で遊んでいたはずの猫まで、僕の足元に寄ってきて
物悲しげな声で鳴きながら、僕の足に、身体を擦りつけてきます
-
181 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:48:58 ID:XfK0Q/LI0
-
そんな様子を見た神主さんは、どっこいしょ、とオッサン臭い声を上げ
花束を小脇に抱えて、その場にしゃがみ込むと 猫に向かって手を出しました
( ・∀・)っ 「……こいつもね、しばらく見ないからどこへ行ったのかと思ったら、少し前ガリガリに痩せて戻ってきたんだよ。
チッチッチッチ... どこまで遠出してたんだ、って聞いても答えてくれないんだがね」
( ФωФ) ツーン
( ・∀・)っ 「そのくせ愛想のなさは変わってないし……。誰の鯉のおかげで復活できたと思ってるんだ」
( ,,^Д^) 「……」
( ,,^Д^) 「……あの」
( ・∀・) 「なんだい?」
( ,,^Д^) 「その、いつかのハインみたいな顔、って……」
( ・∀・) 「? そりゃ……」
( ・∀・) 「……ああ、そうか。いなかったね、君は」
どっこいしょ、とまた言って
神主が、立ち上がりました
-
182 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:49:29 ID:XfK0Q/LI0
-
( ・∀・) 「君が拾った猫じゃなかったかな。ハイン君が猫を飼ってたのは、知ってるよね?」
( ,,^Д^) 「ええ。……でも、僕たちが、高校に上がる前くらいには」
( ・∀・) 「そう。その猫だがね、僕が埋葬したんだ。僕と、ハイン君が」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「埋葬?」
( ・∀・) 「高校に上がる前くらい……うん、まだソーサク中の制服着てた気がするね。
……車にでも轢かれたのかな。血だらけの、ボロボロになった猫を連れて、ここまで来たんだ」
( ,,^Д^)
( ・∀・) 「ひどい顔だったよ。からっぽで。悔いだけがそこにある。そんなものは中身と言えない、空の顔だった」
( ,,^Д^) 「……そう、だったんですか」
( ・∀・) 「今でも、時々お参りに来るよ。っていうか、今朝来た」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「今朝?」
( ・∀・) 「うん。わりと朝早くに」
-
183 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:50:01 ID:XfK0Q/LI0
-
色とりどりの花束を、突き出して
神主が、ゆっくりと言いました
( ・∀・) 「……といっても、なんだ。君らが中学のころだから……3年くらい前になるのかな?
さすがに、そのくらい前の話だから。最近は、そんなに見かけることもなかったんだけど……」
( ・∀・) 「……急にどうしたんだろうね。改めて思うと」
( ,,^Д^) 「……」
( ・∀・) 「……いや、急ってほど急でもないか。ちょっと前にも一回……いつだっけな……雨降ってたのは覚えてるけど……」
( ・∀・) 「……ま、いいや。とにかくそういうわけで。僕はこれからこの花を処理して、そのあと大学に行く予定でね。
またしばらく神社を空けるから、遊び場にする分には好きにしていいけど、その猫が鯉を食べないように……」
( ,,^Д^) 「大学? って、何するんですか」
( ・∀・) 「よくぞ聞いてくれた」
それを待っていた、と言わんばかりに
バサリと音を立てて、神主は花束を振りかざしました
( ・∀<)=☆ 「これからはネオ神主の時代。知り合いが大学の教員をやってるんだ、民族学の。
その伝手で招いてもらえてね、この自鏡神社の話をすることになった。手始めに、自鏡の名の由来!」
-
184 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:50:24 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^)
( ・∀・)
( ・∀<)=☆ バチコーン
( ,,^Д^)
( ・∀<)=☆ バチコーン
(;,,-Д-) 「……えっと、水神……水の神と、ひっかけてるんでしたっけ」
( ・∀・) 「よーしよしよしよぉ〜し。この場でプレ講義といこうか」
-
185 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:50:44 ID:XfK0Q/LI0
-
( ・∀・) 「そう、元は水の神。というところでまず考えてみてほしいのだが」
( ・∀・) 「水と、鏡というのはね。もともと、そう遠いイメージじゃない」
( ,,^Д^) 「……?」
( ・∀・) 「ほら、そこ」
( ФωФ)っ バシャバシャ
(#゚;;-゚)
( ・∀・) 「そう、あのように……」
( ;・∀・) 「……いや待った! 鯉に手を出すなァ―――!!」
( ,,^Д^) (えぇ……)
池に手を突っ込んで、鯉にちょっかいを出そうとしている猫
(と、どうもこの話に興味がないらしく、それをぼんやり眺めているでぃさん)(ぶっちゃけ僕も興味はない)
……を、指さして それから怒鳴りつけた後で 神主が続けます
-
186 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:51:16 ID:XfK0Q/LI0
-
( ;・∀・) 「……水面をのぞき込めば、そこには自分の顔が映るだろう?
水は、鏡にもなり得る……というか、水面こそが最古の鏡なんだ」
( ,,^Д^) 「……まあ、そうですね」
( ・∀・) 「そして、鏡の前に立つなら、そこに映るのはいつだって自分。
己の姿を、己自身の目で見る――それを最初に可能としたのは、水の神の権能なのさ」
( ,,^Д^) 「……はあ」
( ・∀・) 「鏡というのは、己の姿を映すためのもの。”みず”からを見る、か”がみ”。
ほら、水神が自鏡になるのも、そんなにおかしくないだろう?」
( ,,^Д^) 「いや、そんな言葉遊びみたいな……」
( ・∀・) 「そんなものだよ、昔の人って」
( ・∀・) 「で、ここからなんだけど……『茶碗の中』ってお話、知ってるかい? ラフカディオ・ハーンの」
( ,,^Д^) 「……えーっと、外国の人の小説は、そんなに」
( ・∀・)
( ・∀・) 「あ、うん、そう……。最近は習わないのかな……うん……」
( ・∀・) 「……民俗学なら歴史学部か文学部か……なら知ってるよな小泉八雲……? うーん……?」 ブツブツ
(;,,^Д^) 「えっと、で、それはどういう……」
-
187 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:51:46 ID:XfK0Q/LI0
-
( ・∀・) 「ああ、うん。えっと、ざっくり言うとあれだ。お茶碗に汲んだ水の中、その水面に幽霊が映るってお話なんだけど」
( ・∀・) 「”幽霊”と”鏡”って、2つのパターンがあるだろう?」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「幽霊と、鏡……」
( ・∀・) 「幽霊は、たしかに目の前にいるのに。でも、鏡を見ると、そこには映っていない」
( ・∀・) 「その逆。鏡には、たしかに映っているのに。実際に振り返ってみても、そこに幽霊はいない」
( ・∀・) 「鏡に映らない幽霊と、鏡にだけ映る幽霊。……ホラーだと、どっちも見るじゃない」
( ,,^Д^)
……思いのほか、タイムリーな話なのですが
『僕の場合は前者ですね』なんて、言い出すわけにもいかず
-
188 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:52:17 ID:XfK0Q/LI0
-
( ・∀・) 「そしてこの土地、この神社には、ひとつの伝承が残っている……幽霊による、殺人者への復讐」
( ・∀・) 「自鏡なんて名乗ってるんだ、気にならないかい? ……この幽霊は、どちらなのか」
(;,,^Д^) ゴクリ
……いや、答えは知っているんですが 知っているんですが、それでも
いつの間にか、話に聞き入っている自分がいました
( ・∀・) 「……その前に、この神社の話を少ししておこう。ここは水神を信仰する神社、だから修行にも鏡を使う」
( ,,^Д^) 「……」
( ・∀・) 「ちゃんとした鏡が手に入りづらくて、そのまま水を使った時代もあった。なんであれとにかく己を見つめる、それがこの神社の教えでね」
( ・∀・) 「鏡の前で、ひたすら考える。そうすることによって、洗い出す。
そうすることによって見出すのさ。己自身の――」
<prrrrrrr
( ・∀・) 「……失礼」
-
189 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:52:51 ID:XfK0Q/LI0
-
【(・∀・ ) 「んだよ、今……え? 今から? いや、おまえ来週でいいって……
え? 待て、今からって新幹線……え? マジで? 何? え、ちょ」 ブツッ
(・∀・ )
( ,,^Д^)
( ・∀・) 「……というような話に興味があるなら、次の神主の座は君のために空けておくけど、どうだろうか!」
( ,,^Д^) 「……はい?」
( ・∀・) 「って台詞で講義を〆ようと計画してるんだけどー、だけどー、あー……」
(・∀・; ) 三 「時間! 時間が! ありませんので!! あのバカが! じゃあねタカラくん! 鯉の保護よろしく!!」 ピュー
(:,,^Д^) 「あっ、ちょ……」
(:,,^Д^) 「……」
わかるような、わからないような
そんな微妙な話だけぶちまけて、神主は消えてしまいました
-
190 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:53:23 ID:XfK0Q/LI0
-
(#゚;;-゚) 「話、終わった?」 ヌッ
( ,,^Д^) 「……終わったというか……ブチ切られたというか……」
釈然としない気持ちでスマホを取り出して、時間を確認……
……すると、いくつか通知が来てました
(-_-)『まさかタカラもサボり?』
(-_-)『マジ系?』
(-_-)『今日エクストもいないんだけど サボるつもりなら図書館見てきて』
(-_-)『マジで漫画読んでるかも』
( ,,^Д^) 「……」
-
191 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:53:45 ID:XfK0Q/LI0
-
既読を、つけるだけはつけておいて でも、返信はせず
(#゚;;-゚) 「……これから、どうする?」
( ,,-Д-) 「……」
( ,,-Д-) 「……考えてることは、あるっちゃ、あるんですけど……」
……ひさしぶりに、”メール”を、打つことにしました
――――――――――
-
192 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:54:05 ID:XfK0Q/LI0
-
从 ゚∀从
( ,,^Д^)
呼び出したハインが、神社に来るまで
日が、とっぷり暮れてしまって 月が出るくらいの
そのくらいの時間が必要でした
从 ゚∀从 「……いや、ああは言ったけどさ」
从 ゚∀从 「まさか、ほんとに今日も会うことになるとは、思わねーじゃん、まあ」
( ,,^Д^) 「ですね。僕も、あんまり思ってませんでした」
月明かりの下で見るハインの顔は、目は 昨日よりも、いっそうひどくて
気のせいか、頬もこけているように見えました
从 ゚∀从 「で? なんのつもりだよ」
从 ゚∀从 「あー、なに。あれ? 意趣返し? 的な、そういう?」
( ,,^Д^) 「……聞きたいことがあるって、言ったでしょう」
-
193 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:54:25 ID:XfK0Q/LI0
-
从 ゚∀从 「ああ。それが何かって話」
( ,,^Д^)
从 ゚∀从 「まさかとは思うけどよ、昨日の今日で、なんであんなことするんですかぁ〜、いじめなんかやめましょうよぉ〜、……っつー話では、ねーよな?」
( ,,^Д^)
( ,,-Д-) 「……」
( ,,-Д-) 「いろいろとあるんですけど。めいっぱい絞るなら、聞きたいことはひとつですね」
从 ゚∀从 「へえ。で? それは?」
-
194 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:54:52 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,-Д-) 「君には、何が見えているんですか?」
-
195 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:55:16 ID:XfK0Q/LI0
-
从 ゚∀从
从 ゚∀从 「……は?」
( ,,^Д^) 「伝わらないなら、もう少しいろいろと聞かなくちゃならないんですが」
从 ゚∀从
( ,,^Д^) 「離婚が決まったの、いつですか?」
从 ゚∀从
从 ゚∀从 「……何?」
( ,,^Д^) 「……これも伝わらないなら、付け加えて聞きます。一番、わかりやすいやつ」
从 ゚∀从
-
196 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:55:48 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「僕が、……僕らが、僕が、拾ったあの猫」
( ,,^Д^) 「あの猫の、死因は?」
从 ゚∀从
( ,,^Д^) 「車にでも轢かれたみたいにボロボロだった……って聞きましたから。病死では、なかったんでしょうけど」
-
197 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:56:13 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「やったのは、車ですか? 君ですか?」
从 ゚∀从
( ,,^Д^)
从 ゚∀从
从 ゚∀从 「……んで」
-
198 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:56:35 ID:XfK0Q/LI0
-
从 ゚∀从 「なんで、そういうこと、聞く?」
( ,,^Д^)
从 ゚∀从
( ,,-Д-) 「……」
( ,,-Д-) 「まあ、ほとんど勘というか、憶測みたいなもんなので。失礼なこと、言う自覚はあります」
( ,,^Д^) 「でも、これをもうちょっとかっこいい言い方すると、幼馴染の絆――というか。
昔馴染だからこその分析……みたいな、そういうことになるので。聞くだけは、聞いてほしいんですけど」
从 ゚∀从
( ,,^Д^) 「弱いものを殴ってないと、耐えられない人って。いると思うんですよ」
-
199 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:57:00 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「……人というか、環境というか」
从 ゚∀从
( ,,^Д^) 「……あの猫拾ったのと、君のお母さんが、再婚したの。どっちが前で、どっちが後でしたっ」
从 ゚∀从 「今かよ?」
( ,,^Д^)
从 ゚∀从
从 ゚∀从 「……んにも、しなかったよ、おまえは」
从 ゚∀从 「なんにも聞いてくれなかったよ、おまえは。あんときは」
从 ∀从 「……今聞くのか。今?」
ハインの身体は、震えていました
落ち着きなく、震えていました
-
200 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:57:37 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「……エスカレートしてったんじゃないかな、って思ってるんです。僕は」
( ,,^Д^) 「うまく行かない家庭の中で。3年間で、少しずつ」
( ,,^Д^) 「最初は、飼ってた猫に当たって。殺すところまで、行ってしまった」
( ,,^Д^) 「次は、おとなしいクラスメイト。猫から人間にクラスアップです」
( ,,^Д^) 「……で、それでも耐えきれないくらいの負荷が、ストレスがかかって。また、猫を殺そうとした。……運よく死ななかったみたいですが」
……代わりに、でぃさんが死ぬことになった――とは
今、言うことでは、ないのでしょう が
( ,,^Д^) 「……それでも治まらない」
( ,,^Д^) 「それでも、まだ、耐えられない」
从 ゚∀从
-
201 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:58:22 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「どこにも行き場がなくなって、エスカレートするしかなくて」
从 ゚∀从 「……に、言ってんだ」
( ,,^Д^) 「まあ、仮説ですらない、稚拙なストーリーですよ。だから、もうちょい待とうかとも、一瞬考えました。鬱田くん、でしたっけ?」
从 ゚∀从
( ,,^Д^) 「待とうかな、とも思いましたよ」
( ,,^Д^) 「彼が、死ぬまで。待とうかな、と」
-
202 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:58:45 ID:XfK0Q/LI0
-
从 ゚∀从っ=lニフ
( ,,^Д^)
突き出されたハインの手に、握られていた、ひと振りのナイフが
月の光に照らされて、きらめいていました
从 ゚∀从っ=lニフ 「黙れよ」
その手は、刃先は、カタカタと 小刻みに、震えていて
けれど、目だけは、据わっている
真っ黒なクマ、落ちくぼんだ瞳 その中心で
眼だけが ナイフを映した、眼 だけが
ギラつく光を、放つ――――
-
203 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:59:09 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^)
( ,,-Д-)
( ,,-Д-) 「……じゃあ、最後にひとつだけ」
震える手、定まらない焦点
隠し持っていた、ナイフ
从 ゚∀从っ=lニフ
たぶん
たぶん、僕にそう言われることが
一番、嫌なことだろうと、思って――
( ,,-Д-) 「ハイン」
-
204 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 08:59:33 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,-Д-) 「―――病院か、警察、行きませんか?」
从 ゚∀从っ=lニフ
从 ゚∀从っ=lニフ 「……おまえ」
从# ∀从っ=lニフ 「………おまえ…………ッ!!!!」
これに関しては、推測どころかほとんど妄想でした、から
変態のオジサンから手に入れたのか、それとも悪いオトモダチに、そういう伝手があったのか
ルートは、知りませんけど、でも 当たったのは、当たったみたいでして―――
( ,,^Д^) 「……やっと」
( ,,^Д^) 「やっと見つかったと、同類かと思った相手が、この状態なんですもん……」
-
205 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:00:05 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「……そんなものにまで、すがるほど……」
.... 从# ∀从っ=lニフ ....
( ,,^Д^)
(^Д^,, ) 「……」 チラ
(#゚;;-゚)
これじゃ、僕までそういう人みたいに思えてくるじゃないですか、と
そう言おうかと、思ったんですが
たぶん、それはどうでもいいのでしょう
見えているのが、本物の幽霊であろうと
頭がおかしくなって見た、単なる幻覚であろうと
クスリで脳がぶっ壊れて見えた、お花畑であろうと
たぶん、大事なのはそこじゃない
-
206 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:00:37 ID:XfK0Q/LI0
-
(-Д-,, )
(-Д-,, ) 「……でぃさん」
(#゚;;-゚) ?
( ,,^Д^) 「答え合わせは、要りません」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「なに、を――」
从# ∀从っ=lニフ ハァー....ハァー.......
( ,,^Д^) 「……」
( ,,^Д^) 「……ハイン」
从# ∀从っ=lニフ
-
207 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:01:05 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「パトカーのサイレンにすくみ上がるのは、警察が怖いからですか?」
从 ∀从っ=lニフ
( ,,^Д^) 「神社の鳥居に傷をつけて、罰が当たると怯えるのは、神様が怖いからですか?」
从 ∀从っ=lニフ 「……あ?」
( ,,^Д^) 「どうして、それが怖いんですか?」
从 ∀从っ=lニフ
( ,,^Д^) 「やましいことが何もないなら、怖がることもないんですよ。そんな聖人がいるかどうかは知りませんけど、ね」
-
208 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:01:30 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「……何が怖いって、罪ですよ」
从 ∀从っ=lニフ
( ,,^Д^) 「見ているのは、警察じゃない」
( ,,^Д^) 「見ているのは、神様じゃない」
(#,,^Д^) 「見えているのは―――――幽霊じゃない!!」
从 ∀从っ=lニフ 「……やめろ」
-
209 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:01:59 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,^Д^) 「いわば、それ自体が鏡。――怯える理由がそこにあるから!」
( ,,^Д^) 「それだけの罪が自分にあると、それだけのことを自分はしたと、」
(#,,^Д^) 「――報いを、受けるだけのことを、したと! そう、自覚しているから!」
( ,,^Д^) 「そこに見るのは、自分のしたこと、自分の負う罪……」
(#,,^Д^) 「己自身の、背負う、業!」
从; ∀从 「うるっせえよ!!」
境内の砂利を、勢いよく蹴り上げ
落ちていた石を、拾い上げて、投げる
僕に向かって、ではなく
-
210 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:02:32 ID:XfK0Q/LI0
-
何も無い、虚空
(;#゚;;-゚)
でぃさんすらいない、何も無い場所に向かって
ハインは、無我夢中で石を投げていました
从; ∀从 「おまえの……おまえの、顔見るたびに、なんで、……なんで! おまえの、猫だろうがよ!! おまえが拾ってきたんだろ!?」
从; ∀从 「うるっせえんだよ!! ニャアニャアニャアニャア、って……見てやったのはあたしだろうがよ!」
从; ∀从 「世話してやった! 守ってやった!! あたしが守らなきゃ死んでた!」
从; ∀从 「……わからせてやった、だけだろうがよ……守って、やってたんだ、って……!!」
从; ∀从 「……墓だって、作ってやっただろうがよ!! んでだよ!! んで、今になって……」
( ,,^Д^)
-
211 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:03:09 ID:XfK0Q/LI0
-
( ,,-Д-)
(;,,-Д-)
(;,,-Д-) 「……なんで」
(;,,-Д-) 「なんで、猫が、見えて……」
(;,,-Д-) 「猫に、悪いことをしたと、思えて……」
(;,,^Д^) 「――どうして!」
(;,,^Д^) 「どうして、見えないんですか!!」
-
212 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:03:35 ID:XfK0Q/LI0
-
(;#゚;;-゚)
从 ∀从っ=lニフ 「―――――うるっせえええええええええええええ!!!!!」
あくまで、事故だから、関係ないと
関係ないことで死んだ、その時点で それまでに自分がしたことは、すべて清算されたのだと
そう思っているからでしょうか?
あくまで他人事だと、そう思っているからでしょうか?
サンドバッグの彼を、もしも殴り殺してしまったら でなければ、自殺させてしまったとしたら
あるいは、刺しどころが悪くて、援助交際のおっさんを、もし、殺してしまっていたとしたら
そんなことになったとしたら、それなら、ハインにも見えるんでしょうか?
霊体になって戻ってきた彼らを、ハインは見ることができるんでしょうか?
-
213 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:04:15 ID:XfK0Q/LI0
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そこまで行かなきゃ、ダメなんでしょうか?
そこまで行っても見れなかったら、もう、どうすればいいんですか?
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214 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/05(火) 09:04:42 ID:XfK0Q/LI0
-
――― ― ―― ―――― ― ― ――――――― ― ――― ――