-
42 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:36:28 ID:BwRLmA9U0
-
< ぃいいしやぁぁ〜〜〜〜きぃいもぉぉ〜〜〜〜おいもぉぉ〜〜〜〜〜〜〜
< ぃぃぃいいいしやぁぁぁぁ〜〜〜〜きぃいもぉぉぉぉぉ〜〜〜〜ぉおおいもぉぉ〜〜〜〜〜〜〜
<_プー゚)フ 「なあ、なんなのこの挑発的なサイレン? 夕方の高校前でんなもん鳴らしていいと思ってんの?」
( ,,^Д^) 「たまにそのへん回ってるのは知ってましたけど……このへんにも来るんですね、あれ」
<_プー゚)フ 「腹をすかせた高校男児を大量に押し込めたこの監獄の前で! あんな音鳴らしていいと思ってんの!?」
(゚、゚トソン 「ついでだから私も聞きましょう。勉強こそが仕事であるはずの高校男児が、あんな点で許されると思っているのですか?」
<_;プー゚)フ 「――あんなサイレン聞かせながら!! 補習なんて名目で長時間監禁することが許されると思ってんの!?」
(゚、゚トソン 「では、タカラくん。この《数U・B/共に一桁》くんはしばらく拘束させていただきますが、君は帰るなら気を付けて。そろそろ日も暮れてきます」
<_;プー゚)フ 「いやだああああ! タカラー! タカラー! 助けて!」
(゚、゚トソン 「さあ、行きますよ《数A/去年:2学期:中間/零》くん。君との一年越しの因縁にもいい加減決着をつけねばならない」
<_;プー;)フ 「たからぁー!! せめて俺のぶんの焼き芋確保するくらいはしといてぇー…….......」
( ,,^Д^)ノシ
-
43 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:37:09 ID:BwRLmA9U0
-
( ,,^Д^) 「……とは言ったものの、めっちゃ人気ですね」
平和だなあとは思いますが、同時にここって田舎なんだなあとも実感する、このサイレン
焼き芋屋の軽トラは校舎の裏門のあたりに停まっていましたが
2階の窓から見渡しただけでも、この、すごい人だかり
( ,,^Д^) 「すいませーん。焼き芋、えーっと……2つもらえますか」
爪'ー`)y‐ 「兄ちゃん運いいね。ちょうどラスト2つだよ」
( ,,^Д^) 「お、ほんとですか?」
爪'ー`)y‐ 「ほんともほんと。せっかくだからラスト記念だ、2本目は50%引きで売ってやろう」
もともと、そんな大量に売ってるわけじゃないんでしょうけど
僕がたどり着くころには、ほとんど壊滅状態でした 高校生というのは飢えてるんです
( ,,^Д^) (……エクストには元の値段で請求してもいいかもしれませんね……なんせ数学一桁ですし……)
( ,,^Д^) (……あ)
-
44 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:37:51 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚) テクテク
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚) テクテク
( ,,^Д^) (……まだ帰ってなかったんだ……)
<ん? ああ、すまんね嬢ちゃん。もう売り切れなんだ
<元気があっていいねー、ここの生徒は……いや、本当にすまんね。だからこのオッサンにそんな顔見せないでくれ
( ,,^Д^)
(゚;;-゚#) テク...テク....
( ,,^Д^)
-
45 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:38:21 ID:BwRLmA9U0
-
(;,,-Д-) 「……」
……同じ日の放課後、だったんですよ
例の、打球直撃の日の
( ,,^Д^) 「……あの」
(゚;;-゚#) テク...
(#゚;;-゚) ?
( ,,^Д^) 「あ、えーっと……」
( ,,^Д^) 「……」
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^)っ 「……その、焼き芋、食べます? 僕で、最後だったみたいなんで……」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「……なんで?」
(;,,^Д^) 「……なんッ……で!?」
-
46 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:38:51 ID:BwRLmA9U0
-
それ言われると辛いっていうか、そこ気にするんだっていうか
初めての会話がこれかよ、っていうか
( ,,^Д^) 「いや、どうも僕で最後だったみたいなんで。2つ買ったんですけど、なんか、悪いことしたかな、って」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「……ありがとう」
( ,,^Д^) 「あ、はい……」
まあ、でぃさんは思いのほかあっさりと、焼き芋を受け取ってくれました
その後すぐ、彼女は自分の財布を取り出すと――
(#゚;;-゚)っ 「はい」
( ,,^Д^) 「え?」
(#゚;;-゚)っ 「手。出して」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「……ああ、いや、別にいいですよ? どうせ、そっちは割り引いてもらったやつですし」
(#゚;;-゚)っ
-
47 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:39:17 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚)っ ???
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) (あ、この人こんな顔するんだ……?)
なんでしょう、支払いを断ったときの彼女の顔は、どうも
「どうしようこいつ何言ってんのか心底理解できない」とでも思ってるのかな、って感じの
結構、おもしろいものでした
(#゚;;-゚)っ
(#゚;;-゚)っ ふるふる
(#゚;;-゚)っ 「ダメ」
( ,,^Д^) 「ダメ、って」
(#゚;;-゚)っ 「いいから。手、出して」
(;,,^Д^)っ 「おわ」
-
48 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:39:48 ID:BwRLmA9U0
-
が、そんなおもしろい顔とは裏腹に、でぃさんはわりと力強く
僕の手を強引に取ると、小銭を2枚、無理やり握らせ 満足そうにうなずきました
(#゚;;-゚) 「うん」
( ,,^Д^) (……や、まあ、変に断るのも、それはそれでアレですけど……)
( ,,^Д^)っ (わりと、律儀な人なんですかね) チャリンチャリン
手の中の100円玉2枚を眺めつつ、そんなことを……
ん?
( ,,^Д^) 「いや、どっちにしろ200円もしてないですよ? 一本100円でしたから……」
(#゚;;-゚) 「……おじいちゃん」
( ,,^Д^) 「はい?」
(#゚;;-゚) 「おじいちゃんが、言ってた」
( ,,^Д^)
(#゚;;ー゚) 「なんの……なんの、見返りも、なしに。食べ物を、分けてくれる人は、大事にしなきゃならないって」
( ,,^Д^)
-
49 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:40:21 ID:BwRLmA9U0
-
( ,,^Д^) 「……それは……立派な、おじいさ」
(#゚;;-゚) 「死んじゃったけど」
( ,,^Д^)
(;,,^Д^) 「……え?」
(#゚;;-゚) 「おじいちゃん。もう、ずっと前に」
( ,,^Д^) 「……そう、ですか……」
(#゚;;-゚) 「……じゃ。ありがとう」
( ,,^Д^) 「……あ、はい、じゃあ……」
(#゚;;-゚) テクテク....
( ,,^Д^) ポカーン.....
……というのが、僕とでぃさんの、ファーストコンタクトというやつに、なるわけでして……
なんというか、まあ
去りゆく彼女の背中を、呆然と見送るしかありませんでした
-
50 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:40:52 ID:BwRLmA9U0
-
( ,,^Д^) (大事に……大事に。大事に? 大事に??)
( ,,^Д^) (……買収?) チャリンチャリン
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) (わからん……)
―――
( ,,-Д-)
△
(#゚;;-゚) ?
( ∪∪
)ノ
(#゚;;-゚) 「どうしたの?」
( ,,^Д^) 「……いえ」
-
51 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:41:15 ID:BwRLmA9U0
-
変わった人だな、と 受け取った小銭を見て、思ったことを 今でも、まだ、覚えていました
ほとんど一年経った今でも
死んでしまった、今になっても
( ,,^Д^) 「……調べてみましょうか」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「調べる?」
( ,,^Д^) 「道連れを探せって言われたんでしょう? でも、自分がどういうふうに死んだのか、それはまだ思い出せない」
(#゚;;-゚) コクリ
( ,,^Д^) 「……思い出すのは辛いことだって、神様も言ってたそうですけど。
何があったのかわかんないと、誰を連れていくかも、決まりませんよね」
(#゚;;-゚) 「うん。私も、ちゃんと思い出したい」
( ,,^Д^) 「じゃあ、僕が付き合います」
( ,,^Д^) 「ものに触れる生きた人間がいたほうが、都合がいいかもしれません。他に見える人もいないですし」
-
52 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 22:41:42 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚)
(#゚;;ー゚) 「うん」
相変わらず、笑っているのか、そうでないのか、判断に困る表情を浮かべて
でぃさんは、頷いてくれました
-
54 名前: ◆CfAS2UW3uU[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:28:31 ID:BwRLmA9U0
-
……と、いうわけで
見えないのをいいことに、授業中、教室の中を自由に飛び回るでぃさんに心を乱されつつも
どうにか放課後を迎えた僕が、帰り道にまず向かったのは―――
( ̄ ̄'''''''''''''''''''''"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""''''''') :::: :::: :::: :::: :::: ::
( ;; ; ; ; : ; ; ; ; : ; : ; : ; : : ; : ; : : : ::; ; ; ; : ; ; ; ; : ; : ; : ; : : ; : ; : : : ::; ; ; ; : ; ; ; ; : ; : ; :) :::: :::: :::: :::: :::: ::
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(#゚;;-゚)
( ,,^Д^)
-
55 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:29:08 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚) 「……あ、わかった」
(#゚;;-゚) 「お祓い?」
(;,,^Д^) 「違いますよ!?」
……訂正します
帰り道に、まず向かおうとした場所は、当のファイナル橋なのですが
その途中に通りがかった神社の前で、僕たちは一旦立ち止まっていました
せっかくだからというか、なんというか でぃさんが興味を示したようで……
( ,,^Д^) 「……だいたいですね、あなた神様に言われて戻ってきてるんでしょう? そんな人神社で祓えるんですか。神の社と書いて神社ですよ」
(#゚;;-゚) ウーン...
(#゚;;-゚) 「試してみないと、わかんないと思う」
(;,,^Д^) 「試してほんとに祓われちゃったらどうする気なんですか……」
-
56 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:29:40 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「お祓い、してもらえれば……」
( ,,^Д^) 「?」
(#゚;;-゚) 「道連れとか、いなくても、成仏できるのかなって。思ったんだけど」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「……というか、でぃさん的にはそもそもどうなんです?」
(#゚;;-゚) ?
( ,,^Д^) 「……道連れにしたいほど、憎い人間、……誰か、いるんですか?」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「死んだときのこと、まだ、はっきり思い出せないのに。憎いとか、そういうのは、別に」
( ,,^Д^) 「……なんにせよ、そこをはっきりさせるところから……ですか」
もし仮に、誰かの陰謀が裏にあって それにハメられて死んだのだとしても
そいつが誰なのかわかってなければ
死んだときの記憶がなければ、呪い殺すも何もないですよね
-
57 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:30:22 ID:BwRLmA9U0
-
( ,,^Д^) (いや呪い殺すって改めて思うと物騒な話してんな……)
( ,,^Д^) (……)
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「それ以前に……に、ついては……」
(#゚;;-゚) 「?」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「いえ、なんでもありません」
.........
-
58 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:30:50 ID:BwRLmA9U0
-
ファイナル橋の上、……は、工事中のため、入れないので
( ,,^Д^) 「さて……」
橋を、遠目に眺めつつ 話を切り出すことにします
( ,,^Д^) 「……それなりに流されたみたいですから、発見された場所は、もう少し先だったらしいですが」
( ,,^Д^) 「あなたは、この橋から落ちた。警察の捜査では、そういうことになったそうです」
少し前、でぃさんは近くのスーパーまで買い出しに出ていたらしく
その買い物袋が、橋の上に残されていたとか、たしかそんな話でした
……そのため、事故なのか、突発的・衝動的な自殺なのか、そこで結構揉めたようですが……
その日は、風も強く 橋の柵は低く、そして雨が降っていたから滑りやすい
加えて、当時の彼女に自殺するような動機は――ない、と そういうことに、なった……
( ,,^Д^) 「……という感じで、僕たちには伝わっています。もちろん僕は警察じゃないので、
実際は、もっと他の証拠とか、そういうものがあったのかもしれませんが……」
-
59 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:31:40 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚) 「……うん」
(#゚;;-゚) 「そう、橋……。この橋だった……気がする」
( ,,^Д^) 「……何か、思い出せませんか?」
(#゚;;-゚) 「……」
と、聞いてみても
でぃさんには、いまいちピンと来ていないようでした
( ,,^Д^) 「……ふーむ」
( ,,^Д^) 「もう少し近づければ……と、言おうにも。今、工事中なんですよね」
( ,,^Д^) 「……デカい川の、デカい橋のわりに、柵が低いってのは、前々から言われてましたけど。
でぃさんの一件で、本格的に取り沙汰されるようになったとかで」
(#゚;;-゚)
-
60 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:32:11 ID:BwRLmA9U0
-
( ,,^Д^) 「……といっても、いや、あれですね。でぃさんなら工事とか関係ないですか、そういえば。飛べるんですし」
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 「別に、僕にとり憑いてるとか、僕から離れられないとか、そういうルールがあるわけでもないんですし……」
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚)
(;,,^Д^) 「……え、いや、ないんですよね? そういうのじゃないんですよね??」
(#゚;;ー゚) 「……どうなんだろうね?」
( ,,^Д^)
【メモ】
でぃさんはこう見えて冗談が言える。
死んでから判明したお茶目な一面、そういうことにしておきます そういうことにさせてください
-
61 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:32:55 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚) 「でも、どっちにしても、あんまり意味はないと思う」
( ,,^Д^) 「え?」
(#゚;;-゚) 「この橋は、朝も見てたけど。べつに、何も、思い出しそうなことはなかったから」
( ,,^Д^) (ああ、そういえば……)
( ,,^Д^) 「……っていうか、そうだ。朝は普通に離れてたんだから、とり憑いてるわけがないじゃないですか。びっくりさせないでくださいよ」
(#゚;;-゚) 「……実際の怨りょ……幽霊というものは、おまえが抱いているイメージよりずっと自由に呪……動けるものだ、って、神様言ってたよ」
( ,,^Д^) 「これは本当に真剣なお願いなんですけど、わかりづらい冗談は控えてくれると嬉しいです」
(#゚;;ー゚)
..........
-
62 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:36:40 ID:BwRLmA9U0
-
( ,,^Д^) 「しかし……ううん」
( ,,^Д^) 「橋から、手掛かりが得られないとなると……次、どこ行きます? スーパーとかですか?」
(#゚;;-゚) 「……たぶん、行ってもしょうがないと思うけど……」
( ,,^Д^) 「……うーん」
( ,,^Д^) (橋から落ちて死んだ。買い物の帰りに。橋から……)
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 「……なんか、他によさそうなとこ、あります?」
(#゚;;-゚) 「特には」
( ,,^Д^) 「ですかー……」
はい、二手目にしてどんづまりです
ちょっと神様、いるんだったらなんかヒントとかくれないんですか、と、神社のほうに怨嗟の念を……
-
63 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:37:56 ID:BwRLmA9U0
-
……あ、神社といえば
( ,,^Д^) 「……えっと、じゃあ、ちょっと野暮用というか……僕の、個人的な用なんですけど」
( ,,^Д^) 「少し、時間取ってもらっても、いいですか?」
(#゚;;-゚) 「きみの好きなようにしてくれれば」
( ,,^Д^) 「ありがとーございまーす。えっと……」
......
-
64 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:40:11 ID:BwRLmA9U0
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(#゚;;-゚) 「やっぱり、お祓い?」
(;,,^Д^) 「違いますって。そういえば、近くまで来てたなって思い出したんで……」
本日2回目、自鏡神社
地元の人じゃないと読めないこの名、どうも「みずがみ」って読むそうです
「水神」が転じたとか聞いたような聞かなかったよな……というのは、どうでもよくて
-
65 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:41:01 ID:BwRLmA9U0
-
民俗学的にどんな価値があるのかは知りませんが、普段はロクに人もいやしない、さびれた神社
境内まで上がった僕は、とりあえず、いつものように 軒下を、覗き込んでみます
( ,,^Д^) 「……やっぱり、いませんね」
(#゚;;-゚) ?
( ,,^Д^) 「ああ、えっとですね。ここ、捨て猫だか野良猫だかわかんないですけど、とにかく猫が居着いてるんですよ」
( ,,^Д^) 「……いや、居着いてるみたいだったっていうか……ううん」
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 「……ちっちゃいのが一匹いましてね。まだ子供みたいで、ちょいちょい面倒見てたんですけど、最近見ないもんで」
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 「……飼えないのに、あんまりよくないってのはわかってるんですけどね。どうしてもというか……」
( ,,^Д^) 「……まあ、最近見かけないんで、ちょくちょく見に来てるんですよ。近くまで来たんで、ついでにと思って」
-
66 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:41:57 ID:BwRLmA9U0
-
でぃさんは、何も言ってなかったんですけど
視線が、どうも非難のように見えて
どうも、言葉尻が言い訳じみたものになってしまいます……
(#゚;;-゚) 「……なんで?」
( ,,^Д^) 「え?」
(#゚;;-゚) 「前から、気になってたんだけど。なんで、そういうことするのかな、って」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「なんで、と、言われましても……(前から?)」
(#゚;;-゚) 「べつに、猫にエサあげても、恩返しとかしてくれるわけじゃないでしょ。猫、好きなの?」
( ,,^Д^) 「……ジブリでは猫の恩返しが好きです」
(#゚;;-゚) 「猫、好きなの?」
( ,,^Д^) (スルー)
-
67 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:42:24 ID:BwRLmA9U0
-
(#゚;;-゚)
( ,,^Д^) 「……まあ、好きといえば、好きですけど」
(#゚;;-゚) 「なんで?」
( ,,^Д^) 「なんで」
(#゚;;-゚) 「なんで、好きなの?」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「……」
( ,,^Д^) 「……かわいい、から……です、かね……」
我ながら、クソみたいな回答だなって思いました
いや、でも、なんで猫が好きかって……そんなこと聞かれてもですね……
(;,,^Д^) (気高さを感じるとか……? 気ままな生き方に憧れる……? いや、そういうのもなんかしゃらくさいような……)
(#゚;;-゚) 「そう」
まあ、この話はそこで終わったのですが……。
-
68 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:46:23 ID:BwRLmA9U0
-
ほんとに、ちょっとした用事だったので
終わると、なんともいえない、気まずい感じの空気が、ただよいまして……
( ,,^Д^) 「……すいません、付き合わせちゃって。他に、どこか行きたいところとか、あります?」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「どこかっていっても。他に、関係ありそうなところって、ある?」
( ,,^Д^) 「……戻ってきましたね……」
二手目どんづまりからゲーム再開です
どうしたものかと頭を書きつつ、とりあえず神社からは出ようと鳥居をくぐると
从 ゚∀从
( ,,^Д^) (……ん?)
-
69 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:47:10 ID:BwRLmA9U0
-
从゚∀从
( ,,^Д^)
从゚∀从
从;゚∀从 「……!」
階段の下に、人影――を、見たのですが
目が合った瞬間、なにか 驚いたような顔をして 走り去ってしまいました
( ,,^Д^) (……今のって……)
(#゚;;-゚) 「どうしたの?」
( ,,^Д^) 「あ、いえ、ちょっと……」
..............
-
70 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:49:04 ID:BwRLmA9U0
-
結局、なにも思いつかなかったので 今日はもう帰ることになりました
( ,,^Д^) 「ただいま帰りましたー……」
(#゚;;-゚) オズオズ
……なぜか、というか しょうがなく、というか
とりあえず、でぃさんも一緒に
( ゚д゚ ) 「おう、おかえり」
( ,,^Д^) 「あれ? いたんですか、父さん」
( ゚д゚ ) 「おう。たまには家族そろった夕食にしようと上司ぶん殴って定時退勤キメたら母さんが寄り合いだった痛恨の父だよ」
( ,,^Д^) 「お察しします」
( ゚д゚ ) 「痛み入る」
-
71 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:49:54 ID:BwRLmA9U0
-
( ゚д゚ ) 「晩飯はそこにロールキャベツあるから」
( ,,^Д^) 「え、ロールキャベツ。父さんそんなの作れましたっけ」
( ゚д゚ ) 「ふ。我が家のシェフは母以外にもいたということよ」
( ,,^Д^) 「本当は?」
( ゚д゚ ) 「母さんが寄り合い行く前に作っといてくれたらしい」
( ,,^Д^) 「なるほど」
( ゚д゚ ) 「……すまんな」 モグモグ
( ,,^Д^) 「?」 ムシャムシャ
( ゚д゚ ) 「いや、母さんが遅くなるなら、おまえも家に女の子のひとりやふたり、連れ込むチャンスだったろうになって」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「何言ってんですか」
(#゚;;-゚) ? フヨフヨ
一応解説しておくと、今の間はべつに「こいつ何言ってんだ」という感情をマジで父に抱いたわけではなく
「や、もう連れ込んでます」と答えるべきなのか、一瞬の迷いが生じただけです
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72 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:50:34 ID:BwRLmA9U0
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( ゚д゚ ) 「ま、そりゃそうか……。ちょっと遅くなるくらいじゃあな。母さんも父さんも両方一晩まるごと家空けるくらいじゃないと無理か」
( ,,^Д^) 「この話続くんですか?」
( ゚д゚ ) 「次の結婚記念日まで待ってくれ」
( ,,^Д^) 「旅行は別に好きにしてくれていいですけど……」
( ゚д゚ ) ムシャムシャ
( ,,^Д^) モグモグ
( ゚д゚ ) 「で、実際のところどうなんだ。誰かそういう人はいるのか?」
( ,,^Д^) 「まだこの話続くんですか?」
( ゚д゚ ) 「いやあ、父さんの把握しているおまえの恋愛事情は小学校の頃から更新されてなくてな……。高岡さんとこの娘さんとはどうなんだ? 高校でも仲いいのか?」
( ,,^Д^) 「……微妙です」
( ゚д゚ ) 「そうかあ、まあそんなもんか……。あそこも、大変らしいしな」
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73 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:52:20 ID:BwRLmA9U0
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( ,,^Д^) 「……? 大変?」
( ゚д゚ ) 「離婚するらしい」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「……ハインの、今のお父さんって、たしか……」
( ゚д゚ ) 「ああ、再婚だ。……覚えてたのか、おまえが……中学のときだったか?」
( ,,^Д^) 「……たしか、そのくらいです」
( ゚д゚ ) 「……まあ、うまく行ってないとは聞いてたがな。俺も詳しいところは知らん」
( ,,^Д^) 「……」
……他人の家庭の事情、というやつを
他人の家族の、口から聞くのは どんな気分なんだろうと
(#゚;;-゚) フヨフヨ
少し、気になる食卓でした
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74 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:53:21 ID:BwRLmA9U0
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........
(#゚;;-゚) 「やさしいんだね、きみのお母さん」
( ,,^Д^) 「……へ? お母さん?」
(#゚;;-゚) 「ごはん、作っててくれた」
( ,,^Д^) 「ああ、そういう……」
いや、てっきり「タカラくんのお父さん、結構アレな人なんだね……」とか言われるかと思ってたので
母さん、ですか
(#゚;;-゚) 「……お父さんもいい人だと思うよ?」
( ,,^Д^) 「……へっ? あ、ああ、ええ」
(#゚;;-゚) 「わたしのお母さんは、よく言ってたから」
( ,,^Д^) 「……?」
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75 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:54:09 ID:BwRLmA9U0
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(#゚;;-゚) 「産まなきゃよかった、って」
( ,,^Д^)
( ,,^Д^) 「……そう、ですか」
<タカラー? 風呂沸いてるけどどうするー?
(^Д^,, ) 「……父さん先でいいですよー!」
<マジか! つまり父はまだイケるということだな!
<『父さんの後はなんか脂とかホコリとか浮いてそうで……』なんて言われないフレッシュな四十路ということだな!
( ,,^Д^)
(^Д^,, ) 「……やっぱり僕が先入っていいですかー!?」
<わかったー! 父はしばらく泣くから多少の長風呂は許すぞー!
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76 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 23:55:19 ID:BwRLmA9U0
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( ,,^Д^) 「……というわけですので、ちょっとここで待っててもらえると」
(#゚;;-゚) 「うん。わかった」
<ひぐッ……落ち着け……息子で……息子でよかったと……もし娘がいたら耐えられなかった……あれが娘の台詞だったら耐えられなかった……そう考えるべき……
( ,,^Д^)
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚) 「いいお父さんだと、思うよ」
( ,,^Д^) 「……ありがとうございます」
―――――