艦娘がいない鎮守府のようです

114 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:24:12 ID:62pQqJ3.0
―――――
―――



鎮守府まで泳ぎきった俺達は、疲労を訴える身体など構わず、真っ直ぐ指令室へと戻った
ぶっ倒れそうだが、休んでる場合じゃない。確かめなければいけない


(;'A`)「ハァッ、ブーン!!!!」


びしょ濡れのまま部屋に飛び込む。ブーンは、レーダーの前でジッと座っていた


(;'A`)「ブーン、今度は一体……!!」


レーダーには、横一列に並んだ『三つの点』が光っていた


(; ω )「……」


ブーンの顔は青ざめ、冷や汗を流している
『一難さってまた一難』、なんてもんじゃねえ。その三倍の戦力が、押し寄せているのだ
しかも、駆逐イ級を倒すのに船を二隻、大量の燃料弾薬を費やした。残っているのは……


(;´・ω・`)「クソッ!!さっきのはただの斥候だったってのかよ!!」


忌々しげに机を叩く。その乱暴を咎める者は居なかった
俺だって、神に向って『何故このような仕打ちを!!』と嘆きたい気分だった
だけど、その行為に意味は無い。縋りついたって、神は人間を助けてなどくれない

結局は、自分自身で解決しなければならないのだから

115 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:25:06 ID:62pQqJ3.0
('A`)「……」


ブーンの肩に手を置くと、ビクリと跳ねた
次に吐く俺の言葉を、聞きたくないのだろう。でも、言わなければいけない


('A`)「ブーン」

(; ω )「ダ……ダメだお……さっきも言ったとおり、テストも済んでいない、代物だお」


『ブーン』。俺は宥めるようにもう一度、名前を呼ぶ


(; ω )「ダメなんだお!!!!僕の、僕のエゴで造った『おもちゃ』で、お前を殺すわけにはいかないんだお!!」


艦娘の艤装を、人間が使うことによる『リスク』。艦の記憶に焼かれて死ぬ『艤装の試練』
『アンカーシステム』は、艤装とのリンク方法を変えているとは言え、リスクが減ったワケではない
なんせ、人体テストを行っていない。どう転ぶか分からない


('A`)「死なねえよ」


だが、今はこの方法しか残っていない
船を失い、燃料も弾薬も心許ない、今の状況下で
使えるかどうか定かではない『鎧』だけが、頼りだった


('A`)「お前が……人間の誇りの為に造った鎧だろ?深海棲艦の脅威を、人間の力で退ける為の装備だろ?」

('A`)「だったら……艤装も、俺達に、お前に応えてくれる筈だ。理不尽に抗う力を、与えてくれるはずだ」

116 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:26:05 ID:62pQqJ3.0
ブーンの両肩を掴み、顔を向かい合わせる。ブーンは咄嗟に視線を落とした
今にも泣き出しそうな顔をしていた。だけど、ここで言葉を止めるわけにはいかない


('A`)「お前、こう言ったよな。『艦娘は人の命を救う存在、犠牲を無くす奇跡』だと」

('A`)「だったら……俺達と艦娘の利害は一致している。そこに拒否を突きつける理由は無い。だろう!!」

(;'A`)「頼むよ、ブーン……!!アンカーシステムは、俺達の家に残された、最後の希望だ!!」

(;'A`)「艦娘を率いることも出来ず、戦争の現実も知らなかった俺に……」


(;'A`)「『戦わせてくれ』……っ!!」


(; ω )「……」

(´-ω-`)「……」


(´・ω・`)「男が、覚悟決めたんだ。叶えてやれよ、ブーン」


(; ω )「……」


ブーンが、顔を上げた
目が据わり、瞳の中に覚悟が見えた


( ^ω^)「わかったお。ただし、一つ約束しろお」

('A`)「あっ、ああ!!なんだ!!」

117 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:26:43 ID:62pQqJ3.0
( ^ω^)「これが終わったら、豪勢な夕飯を奢れお」

(;'A`)「っ……」


俺は一瞬面くらい、そして


(*'∀`)「アハハハハ!!ハハッ!!ああ、イギーにもな!!」


腹を抱えて笑った


(´・ω・`)「犬ポジかよ俺」


三人の決意は固まった。時間は刻一刻と迫っている
急ぎ、工廠へ向った。目当ては、男性用艤装『アンカーシステム』
俺の人生最大の、大博打を打つ為に―――――

118 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:27:44 ID:62pQqJ3.0
―――――
―――



まぁー、なんだ。緊迫した場面ではあるんだが


(*'A`)「めっちゃカッコ良いなこれ……」


電の艤装を改造して造られた『アンカーシステム』を装着した俺は、異様な高揚感に満たされていた
いやだってお前!!こんなん男の子のロマンの塊だよ!?テンション上がんない方が可笑しいって!!


(;´・ω・`)「さっきまでの必死なお前どこいったんだよ……」

('A`)「え?何の話?ブーンは快諾してくれたじゃない」

( ^ω^)「やっぱやめるお」

(;'A`)「ウソウソゴメン外さないで恥ずかったんですごめんなさい」


アンカーシステムは、ピッチピチのアンダーウェアを着て、その体型に合わせ鎧のサイズが変化する
黒インナーは武器だ。俺のガッチガチの筋肉がセクシーに浮き出てるし、股間もモッコリちゃんだ


( ^ω^)「窮屈じゃないかお?」

('A`)「いいや、万全だ。ちょいと重いがな」


試しに正拳突きをし、そこから流れるように上段蹴りを放ってみる
関節も問題なく動く。良い腕してるぜブーン


(;^ω^)「ええ〜……今の状態でそんなアクティブに動けるような重さじゃないんだけど……」

(;´・ω・`)「何お前……キモ……」

('A`)「えっ嘘?ここで引く普通?」


こんないつものやり取りが、心の重圧を軽くさせた
これが最後になるかもだなんて、思いたくは無い

119 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:30:24 ID:62pQqJ3.0
( ^ω^)「艦娘にも言えることだけど、艤装とのリンクが始まったら、装備は『身体の一部』として機能するお」

( ^ω^)「その重さも、自分の体重のように感じられるはずだお」


つまりは、『何かを持ち上げる重さ』ではなく、『自分自身に掛かる重力』となるワケか
自分でも何言ってるのかわかんねーから、その辺は察してくれ頼む


( ^ω^)「じゃあ……最後にこれを」


ブーンの手から、ヘッドギアが装着された


|::━◎┥「暗い」

( ^ω^)「ちょっと待ておせっかちだなお前ホモかよ」

|::━◎┥「そこまで言われる謂れはねえんだけど」


実際真っ暗だから何しているかわかんねーが、ブーンの私物であるノートパソコンのキーボードを叩く音は聞こえた
最後に、エンターキーを押したであろう音が聞こえると、ギア内のスクリーンに目の前の光景が映し出される
左上には緑色のバーと、その横に『耐久値』と記されている。言わば艤装の『HP』か
右下には現在の装備、『12.7センチ連装砲』と、残弾数。そして、燃料ケージ
後、南京錠のマークが付いている。何これ


『アンカーシステム 起動』


そして、中央に電子文字が浮かび、うっすらと消えていった


|::━◎┥「おお〜……」

120 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:31:35 ID:62pQqJ3.0
感心していると、耳元で機械音声のアナウンスが流れる


『使用者情報を登録します』


|::━◎┥「アッハイ、どうぞ」

(´・ω・`)「お前今何聞こえてんの?」


いや関係ないんだから茶々入れんなオッサン


『網膜、皮膚組織、細胞、血液、DNA……』


俺の個人情報が赤裸々に明かされ登録されていく
細胞レベルで俺が解き明かされてる……やだ、恥ずかしい……


『音声認識を行います。発声してください』


|::━◎┥「えっ、何?」


『完了しました』


コントかよ


『艤装とのリンクを開始します。キーを挿入してください』


|::━◎┥「キー……『鍵』か」

( ^ω^)「ドクオ、これ……」


ブーンから、『錨』のエンブレムが手渡される
これをベルト部分にある『凹み』に入れたら、いよいよ


|::━◎┥「『艤装の試練』が、始まるのか」

121 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:32:37 ID:62pQqJ3.0
( ^ω^)「アンカーシステムは、他者の使用を制限する為に二つの『ロック』が掛かってるお」

( ^ω^)「一つは『音声ロック』。もう一つは、エンブレムをはめ込む物理的なロックだお」

( ^ω^)「その錨に、『抜錨』と話しかけて装着すれば、リンクが始まるお」


なんだなんだ、かっこいいなオイ。仮面ライダーみてーじゃねーか
いやまぁ、俺はもうアーマー着ちゃってるから、言わば『変身済み』なんだけど


|::━◎┥「よし、そんじゃあ……」

( ^ω^)「待つお」


『抜錨』と言い掛けた俺を、ブーンが呼び止める


( ^ω^)「これは……本当に機能するかどうかわからないお。もしかしたら、ドクオの『棺』にもなりかねないお」

(;´・ω・`)「おいブーン……」


嗜めようとしたオッサンを、俺は手で制した


( ^ω^)「だから……これが引き返す最後のチャンスだお。もし、考えが変わったなら……」

|::━◎┥「変わらねえよ」


ブーンの提案を、キッパリと断った
元より、引き返すつもりなんてねえ。当然、死ぬ気なんて持っての他だ

122 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:33:34 ID:62pQqJ3.0
|::━◎┥「ここで引いちまったら、俺は死ぬまで一生後悔する。最初に言っただろ?」

|::━◎┥「俺は、立ち直りの早さと前向きさだけが取り柄だってよ」


後悔のまま生き長らえるくらいなら、精一杯抵抗した末に早死にする方がマシだ


|::━◎┥「俺が死んでしまっても、気にする必要はねえ。馬鹿な男が一人いなくなるだけだ」

|::━◎┥「その失敗を糧にして、もっと性能を上げた『アンカーシステム』を……」


俺の言葉は、胸元に走る衝撃によって遮られた


(# ω )「気にする必要は、無い……?」


ブーンが、俺の胸板をぶん殴ったのだ


(#^ω^)「ふざけんなお!!お前は、僕にとってお前は……初めての理解者だったんだお!!」

(#^ω^)「それを失うことが、どれだけ大きな損失かわかってんのかお!!」


|::━◎┥「……」


そうだ……俺が逆の立場だとしても、きっと怒っただろう
『気にしない』なんて、出来るはずねえだろ

123 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:35:03 ID:62pQqJ3.0
|::━◎┥「悪、かった……そんなつもりじゃ、無かった……」


(#^ω^)「……」


ブーンは拳を引くと、今度は俺の目の前に差し出した


(#^ω^)「わかったら、絶対に生きろお。死んだら、あの世までぶん殴りにいってやる」


それは勘弁願いてえな


|::━◎┥「ああ……」


俺は顔をショボンのオッサンへと向ける
言いたいことがあるなら、今の内に話して欲しかったが


(´・ω・`)「どうした?早くやれよ」


オッサンは肩を竦めて、こう言っただけだった
投げやりというよりは、『成功して当然』といった態度に見える。オッサンらしいや


|::━◎┥「よっし!!」


エンブレムを口元に近づける


|::━◎┥「『抜錨』」


錨が中央から薄く割れ、割れ目からは赤い光が漏れる
深海棲艦の冷たい目の色とは違う、熱い色だ

124 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:36:10 ID:62pQqJ3.0
|::━◎┥「……」


|::━◎┥「フンッ!!」


気合と共に、錨をベルトへと叩き込む
瞬間、俺の視界は暗転した


|::━◎┥「ぐおっ……!!」


意識はある。だが脳内へと強引に『情報』がねじ込まれていく

モノクロの映像に浮かぶ、一隻の艦
これが、『別世界の電』か


|::━◎┥「ああああああああああああああ!!!!!」


自分が、書き換えられていく感覚
『電』の記憶が、次から次へと俺の中へと送り込まれていく

第六駆逐隊の姉妹艦達、演習で沈めてしまった『深雪』への後悔と自責
スラバヤ沖海戦で救った、多くの命。沈んだ仲間が乗せていた乗員の救助
第三次ソロモン海戦で沈んだ、一番艦『暁』。『比叡』『夕立』
サイパン島に向う道すがら、沈没した『雷』

そして、記憶は『電』の最後へと移っていく


|::━◎┥「おあああああああああああああああああ!!!!!!


身体に響く魚雷の衝撃。上半身と下半身が真っ二つにヘシ曲がるような激痛
そして全身へ広がる、燃えるような『熱さ』

俺は今、『轟沈』を体感している

125 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:36:43 ID:62pQqJ3.0
「ドクオ!!」

「やべえぞブーン!!止めろ!!」


|::━◎┥「止めるんじゃねええええええええええええええ!!!!!!」


待ってくれ、もう少し、もう少しなんだ
俺が電の記憶を引き継ぎ、受け入れなければ、戦いのスタートラインにすら立てない


|::━◎┥「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


艦上で死んで行く乗組員一人一人の『痛み』が、『恐怖』が
俺の中へと刻み込まれていく


|::━◎┥「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


わかっている。俺は、死んでいった『彼ら』の想いも背負わなければいけない
それは別世界の人間だけの問題じゃない。今、俺達の世界で苦しんでいる人々の想いも


|::━◎┥「                        !!!!!!!!」



もう、自分の叫び声さえ聞こえない。喉の奥、腹の底から火を吹いちまいそうなほど『熱い』
電、頼む。お前の痛みは背負ってやる。だから、俺に力を貸せ


誇り高き駆逐艦であった、お前の力を!!

126 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:37:18 ID:62pQqJ3.0
































.

127 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:38:21 ID:62pQqJ3.0










「ようこそ、『艦隊これくしょん〜艦これ〜』の世界へ」









.

128 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:39:07 ID:62pQqJ3.0
|::━◎┥「ッハァ!!」


(;^ω^)「ドクオ!!」

(;´・ω・`)「ドクオォ!!」


い、今のは、何だ?
『艦隊これくしょん』?『艦これ』?
それに、さっきの声は……


|::━◎┥「エ……エラーさん?」


あの、正体不明の女の子の声だった


(;^ω^)「ドクオ……ドクオ!!」


|::━◎┥「ハッ!!」


ブーンの声で我に返り、俺は自分の身体を確かめた
アンカーシステムは熱を帯びているものの、火傷の痛みは無い
意識はハッキリとしている。それに、身に乗っかっていた『艤装』の重さがスッと引いていた

と言うより、自分の『手足』のように感じる。この感覚

129 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:40:06 ID:62pQqJ3.0
『Weigh Anchor!!』


機械音声が、抜錨を告げる


『Go!! Destroyer Inaduma!!』


間違いない。これは……


(:^ω゚ )「せ……成功、したお……」

(;´・ω・`)「す、すげえ……」


|::━◎┥「……東郷ドクオ。改め、駆逐艦『電』」

|::━◎┥「同期……完了だ」


俺が意識を向けるだけで、動力エンジンが唸りを上げた
12.7センチ連装砲は、自在に砲塔の仰角を上下出来る
そして何より、人間を遥かに上回る『馬力』が、身体中に漲っていた


|::━◎┥「ブーン、オッサン……俺」


その時、工廠が大きく揺れた


(;^ω゚ )そ「うおお!?」

(;´・ω・`)「くっそ、そうこうしている内に近づかれちまったか!!」


深海棲艦の砲撃を受けているらしい
テーブルの上に置いてあった工具は床へ落ち、天井からは埃と、割れた蛍光灯が降り注ぐ

130 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:41:09 ID:62pQqJ3.0
|::━◎┥「二人は鎮守府内に避難しろ!!作戦指令室ならまだ割と頑丈だ!!そこに立てこもれ!!」

(;´・ω・`)「お前は!?」

|::━◎┥「決まってんだろ……!!」


戦力は、ここに成し得た
なら後は、戦うのみだ


|::━◎┥「サクッと……ぶっ殺してくらぁ!!!!!!」


短槍を手に取り、海に向って駆け出す
体が軽い……こんな気持ちで戦うの初めて!!もう何も恐くない!!


( ^ω^)「ドクオ!!」

(´・ω・`)「ドクオ!!」


二人同時に名前を呼ばれ、足が止まった
今は一秒でも惜しいってのに、こいつらは


|::━◎┥「何だよ早く避難しろ!!」


( ^ω^)「ぜってー帰って来いお!!」

(´・ω・`)「三人で打ち上げだ!!」


( ^ω^)(´・ω・`)「「提督!!」」

131 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:41:54 ID:62pQqJ3.0
『提督』。そう呼ばれて、そして今の状況を鑑みて、思わず笑った
提督は指揮官だ、前線で戦う立場じゃない。それが今じゃどうだ?変身ヒーローめいて、深海棲艦との戦いに赴く


|::━◎┥「ブーン!!お前、俺に尋ねたよな!!『どんな提督になるのか』ってよ!!」


( ^ω^)「えっ……あっ、うん!!」


あっこれ忘れてたパターンだわ。まぁいいや続けよ


|::━◎┥「これが俺の提督像だ!!悪かねえだろ!!」


最前線で戦う指揮官が、一人くらいいたって良い
艦娘のいない鎮守府なら尚更だ。上官が自ら身体を張り、海を守る
大衆から見れば、荒唐無稽だと笑われるだろう。でも


( ^ω^)「おっお!!かっこいいお!!」

(´・ω・`)「馬鹿丸出しだが、嫌いじゃあねーぜ!!」


一握りでも、それを認めてくれる人がいるなら、自分の道は間違っていないと思える


|::━◎┥「行ってくる!!」


鋼鉄の足音を響かせながら、戦いの海へと出撃する
背中に、二人分の『鋭、鋭、応!!』という、士気を鼓舞する雄叫びを受けながら

132 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:43:45 ID:62pQqJ3.0
工廠の外へ飛び出し、脇目も振らず海へと走る
そういや出撃用レールとかあったけど、もう知らんこのまま突っ込む

日は落ちかけ、夜の時間が始まろうとしている
真っ暗闇になったら、勝ち目は無くなるだろう。短期決戦で終わらせないと


|::━◎┥「あれか!!」


海上から砲撃をする深海棲艦。スクリーンに三つの赤丸がマークされる
艦影から種類を読み取り、名前が映し出された

左から、先ほど沈めた駆逐艦イ級二隻。それを率いる『旗艦』は


|::━◎┥「『軽巡ホ級』……!!」

133 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:44:19 ID:62pQqJ3.0
          r-、        /''、ヽ
          ヽー"ヽ       ∨77l
             \'" \   _∨/,| _ ;‐-;、
        _    \ニ\´  |≧/、l  il,|  i `ヽ
    ,.. _  (;ノ> _  l l、ニl /ミ、 二 ─l、l ' i : : ヘ
  _  〈/ニ> _`<ニ>l、 ≦三l、ヽ'ノヽニr=、ミl  ,i  : ヘ
/´ィミ> _`<ニ> `_<ニ>l  \ ニ .ヽl ヽl / ` ヽ, l
∨シ二二> _` <ニl-ヘ>゙l    i\,,ソ   l i   ` l
  ` <二二二> ー二ニ-" _ -―ニ_   | i    " l
      ` <二二 >∠二 /  ̄`ー=ミ` / `、  ' l
          ヽ,<二二>N   __  `l   l l    li
           〈/二>―‐ヽ、 ̄___ミl   l l    li
            l/    、   \=≠il    l   li
           / ,´   `ヽ    /_ l      l   li
             / /     ィ  //∠三ミil   '  i  li
        /ヽ       ,へヘ\7ァハil     ,:  il
       /   ) ,ィ⌒ v⌒l  |/l  ヽ/ ヘil    ,, '、  l    ,, -、、
     , イ    ´ヽ_ヽ_|_///l    ∨ 'il     /  〉_、 /l//,ヽヽ
    / ヽヽ>―、 l/ト、    |//,l     ∨li    /// ,, // ヽニ'/ノ
  /    ヽヽ\ ハl lハ  l///|ィ     l l   ///  l//    /
 〈  、  / ヽヽ\,l l/l   l //l ':,    l il   /l l  l   ,,ィ
  ヽ ` `ヽ、 xヽヾl l,l     l'//l, ヘ    l il il  l l  l 、-=  ̄,l _
   \    iヘ ヽヽ ∧ハ  ,メヘ/   ヽ   Y ,ハ  l l  l//>イ'//ヽヽ
  〈j>_\  il l ̄`l´ `ー〈    l   l   ,∨ミ、、,,l l  l/   :.ヽ/// ,'
    <二> lヽヽ.  l    l    l  /l    ハ//ミ/l l  l/≧ー―--'"
,r、- ,._  l ‐-ト、Xl  l     l   ハ/ l     ハ/ /ハl  ヽ>‐  ̄/
ヽ<二二ニ‐-ヽl\ヽソ\ _∧_ィ// ィ l     li / /≧、 _ <,ィ
     ̄‐==lヽ  `ー‐テ'__ ィ/// l     l,, ィ∧、≦>、_/
       ヽーlミ、 ̄`ヽ//////ヽ   /    ////∧l ヽ| `´
         lニ ヽ_ヽ/ `ー7   `'    /三<//ニ ‐/
          \≧三三三 メ   __ /一 ̄=ニ 7
            `ヽニ ̄  ` ´ニ´     _,,:; _/
               ̄`ー=ニニニニ====‐'''"

135 名前: ◆HS4z8y6JHc[sage] 投稿日:2016/04/03(日) 18:45:14 ID:62pQqJ3.0
鋼鉄のモアイ像のような形をした艤装に、真っ白な上半身を乗せた深海棲艦
耐久、火力共に、駆逐イ級を上回る。なるほど、『本隊』がやってきたってワケか

三倍、いやそれよりも大きな戦力差。しかもこっちは、テストも済んでいない処女艦

いや、『童貞艦』と来た。ハハッ、自分で言ってて泣きそう


|::━◎┥「初体験ってか」


4Pたぁ贅沢だ。クソ漏らしちまいそうなほどにな


|::━◎┥「行くぞオラアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


港湾を蹴って、海へと飛び出す。機関部を唸らせ、踵のスクリューを回した

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