食るようです(仮題)

※関連作品
食るようです - ブーン系創作板
132 名前:食る[] 投稿日:2016/03/08(火) 00:07:11 ID:Jwgd96Mg
午後一時ちょっと前。
三号館こと「ミカン」の屋上に、僕はいた。

川 ゚ -゚)ノ「やあ疋田くん」

(-_-)「こんにちは、クー……」

と、その時僕はギョッとした。
クーの手のひらは、真っ赤に染まっていたのだ。

(;-_-)「どうしたんですかそれ!?」

思わず駆け寄り、彼女の手を取った。
僕の手にもべったりと液体が付く。
鉄錆び染みた匂いに、危機感を覚える。
これは、血だ。

(;-_-)「怪我、は、」

怪我は、しているんですか?
そう言いたいのに、喉の奥がからからに乾いてしまって言葉が出てこない。

川 ゚ -゚)「……すまないな、疋田くん」

ばつの悪そうな顔で、クーはこう言った。

川 ゚ -゚)「実は今日の昼食に、生肉を持ってきたんだ」

(-_-)「……は?」

川 ゚ -゚)「いや本当にすまない、その肉から滴る血が付いてしまったんだよ」

空いている手で差し出されたそこには、青いビニールシートが広がっている。
その上に、白いビニール袋が一つ。
中には結構な大きさの肉塊が入っているらしい。
その黒い影と、底に溜まった赤い液体で僕は色々と状況を察した。

(-_-)「あれ、どうするんです?」

川 ゚ -゚)「かき氷にするんだよ」

133 名前:食る[] 投稿日:2016/03/08(火) 00:08:17 ID:Jwgd96Mg
(;-_-)「はあ?」

よく見ると、かき氷機も置いてある。
ビニール袋の影に隠れて見えなかったのだ。

川 ゚ -゚)「新鮮なお肉を凍らせて、あれで削り出すんだよ」

(;-_-)(美味しいと思ってるんですかそんなの)

そう口に出していたはずなのに、実際には違う言葉が飛び出していた。

(-_-)「どこから調達してきたんですか」

その言葉に、クーは一瞬躊躇って。

川 ゚ -゚)「それは――――」

134 名前:食る[] 投稿日:2016/03/08(火) 00:09:33 ID:Jwgd96Mg
(;-_-)「…………はっ!?」

午前三時過ぎ。
僕は机に突っ伏していた。
目の前にはパソコンが一台。
書きかけのレポートを、早く仕上げてしまえと言わんばかりに画面はこうこうと光っていた。

(;-_-)「ゆ、め、か……」

どこかほっとした気分になり、僕は思い出す。

川 ゚ -゚)『昔乱歩の小説で死体ごと氷で封じる話を読んで妙に印象に残ってしまったんだ。それでかき氷を作ったら人間かき氷だなーとか』

(-_-)(絶対あれのせいだ)

あの猟奇的な一言で、こんな夢を見てしまったのだ。

(-_-)(そうに違いないんだ)

決して僕のせいではない。
僕が、そこから、クーの死体を想像してしまったからだなんて。

136 名前:食る[] 投稿日:2016/03/08(火) 00:10:40 ID:Jwgd96Mg
(-_-)(絶対に違う)

揺蕩らせたまま時の止まった黒髪。
色の薄い唇。
永遠に色を失った白い肌。
僕と彼女とを隔てる氷。

(-_-)(……やめたやめた!)

頭をぶんぶんと振り、そのイメージを無くそうとした。
しかしなぜか、頭からそれは離れていかなかった。
粘りけに満ちた赤と、影のように佇む白。

(;-_-)「もうっ……!」

仕方がないので、レポートに向き合う。
このまま唸っても、どうにもならないと思ったからだった。
僕の判断は正しかったらしく、やがてその二色は、混ざるようにあるいは争い合うように、脳の片隅へと追いやられていった。

137 名前:食る[] 投稿日:2016/03/08(火) 00:12:02 ID:Jwgd96Mg
決して赤組をミンチにしてやろうとかかき氷機で削り出して練乳かけてやろうとか思ってないです本当に

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