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192 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/08(火) 12:37:39 ID:O5LgeLKg0
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(´・ω・`)「赤組は負けたよ」
決戦前日。
飛び交うグラスも、血と区分の無くなったワインも、吐しゃ物の臭気もない、
この寂れた定食屋で、頬のこけたふと眉の青年は言った。
('A`)「どうして」
狂乱の渦から抜け出し、自チームの敗北を告げられた俺は、
遅い昼食をとりながら、向かいの席に座る、未来人を名乗る彼に問いかけた。
(´・ω・`)「理由なんて聞くまでもないだろう? 戦力差だよ」
('A`)「戦力さねぇ」
(´・ω・`)「まず先陣を切ったぶっぶーに十人轢かれた」
('A`)「物騒だな白組は」
(´・ω・`)「次にバローのくせに逃げもせずに十人沈めた」
('A`)「船を沈めるより容易かっただろうな」
(´・ω・`)「最後にあな本がニコニコとしながら、赤の陣地の散らばったアルコールに点火した」
('A`)「火気に過敏だろうからさぞかし気持ちよかったんだろうよ」
俺は食事を終え、水を口に含んだ。
('A`)「天国は」
(´・ω・`)「丁度今から十分後に死んだ」
('A`)「もう一人死んでそうだな」
(´・ω・`)「ああ、そんなやつもいたかもしれない」
('A`)「しかしそんなことを俺に言ってどうするんだ? 未来の白組の作品でも持ってきたのか?」
(´・ω・`)「どうして?」
('A`)「開始早々に盗作をばら撒けばいい」
(´・ω・`)「なるほど。それも良かったかもしれない。だが違う」
そう言うと彼は、一冊のノートを取り出した。
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193 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/08(火) 12:38:29 ID:O5LgeLKg0
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('A`)「なにこれ?」
(´・ω・`)「白組の性癖一覧だよ」
('A`)「ハニートラップでも仕掛けろってか、むさ苦しい男どもに」
(´・ω・`)「なに、エロ漫画を描いてる人間も大概そんなものだろう」
('A`)「俺の好きな先生は違うんだけど」
(´・ω・`)「そうだったな」
('A`)「は?」
(´・ω・`)「いや、俺は未来人だからな。今からお前はこれを使って作品を書くんだ」
('A`)「時間無いんだけどどうしろと」
(´・ω・`)「大丈夫だ、白組なんて生首の会話だけで逝ける早漏揃いさ」
('A`)「マジか」
(´・ω・`)「さあ書いてこい、大丈夫、お前なら半日もあればあいつらを殺す準備が出来る。俺は未来人だからな。知っている」
('A`)「……自信はないけど、まあこのまま負けるのも癪だしやってみるか」
(´・ω・`)「ああ、頑張ってくれ。俺が一番贔屓にしていた作者もあいつらに殺されたんだ」
青年は目頭を押さえ、俯いた。
('A`)「お前も辛かったんだな。よし、俺が未来を変えてやるよ」
(´ ω `)「頼むぞ……」
身体を震わせる青年を尻目に、俺は会計を済まし店を出た。
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194 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/08(火) 12:39:01 ID:O5LgeLKg0
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(´・ω・`)「……あー、面白かった」
赤組の性癖リストを、間抜けに渡した俺は笑いをこらえるのに必死だった。
(´・ω・`)「どう考えたって生首の会話だけで逝ける早漏揃いは赤組なのにな」
未来人なのは本当だが、実際は番狂わせが起きた。
赤組の勝利に終わり、血に染まったブーン系を漂白しに来たのが俺だ。
(´・ω・`)「……さ、返ろ」
転送装置を起動し、俺は目を瞑った。
きっと次に視界に映るものは明るい未来のはずだ。
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195 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/08(火) 12:39:48 ID:O5LgeLKg0
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みたいなスパイがいるかもしれないから気をつけろ