(  ∀)夕日、花――『羽音』。病室、窓辺にて(、 川

23 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:46:06 ID:c3vDDv120



インターミッション:エンディングパートB


   .

24 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:47:02 ID:c3vDDv120
夕日に照らされた、病室。
記憶している出来事を語り終えたジョルジュは、一旦そこで口をつぐんだ。
 _
( ゚∀゚)「……あのあと、あんた、しばらく学校にこなかったよな」

('ー`*川「ま、ね。長岡くんの生き方を参考にさせてもらおっかなって」

窓辺の少女は笑っている。
穏やかに、笑っている。
 _
( -∀-)「なるほどな、終わりがくるまでの時間、
        楽しくやってたわけか……言ってくれりゃ、俺も付き合ったのに」

('ー`*川「ごめんごめん、なんやかんや、その、余裕がなくてさ」
 _
( ゚∀゚)「ったく、俺もこんなことになるって分かってりゃ……」

ぶーん、という音。
カーテンで見えない窓の外を、『何か』が横切った。
――少なくとも、鳥ではない。
 _
(;゚∀゚)「……『こんなこと』?」

再び、頭に鈍痛。
 _
(; ∀∩)「くっ……」

('、`*川「……」

頭を押さえるジョルジュを、少女が見ている。
どこか悲しそうに――哀しそうに。

25 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:48:14 ID:c3vDDv120

('、`*川「私ね、長岡くんみたいに生きてみようって思ったんだ」

('、`*川「元気いっぱいさ、学校サボってやりたい放題やってみた」

( 、 *川「でもね、結局、それは『フリ』だったよ、私じゃ長岡くんみたいに考えられなかった」

( 、 *川「やっぱりずっと考えちゃうの、なんで私には――私たちには、こんなに"未来がない"んだろうって、さ」
 _
(; ∀∩)「い……とう……?」

( 、 *川「だから、会いに行ったの。長岡くんに、教えて欲しくて――」
 _
(; ∀∩)「な……に……を」

( 、 *川「ねえ、長岡くん」
 _
(; ∀∩)

ふらつく視界、痛みに揺らぐ脳内。
 _
(;゚∀∩)

目を開いて、見た彼女の顔は

('ー`*川「どうやったら私、長岡くんみたいになれるかな」

とても、悲しく、寂しそうに、笑っていた。

26 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:49:16 ID:c3vDDv120
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TIPS2:ある国語教師の個人研究メモより引用

U種:
前述したT種が餌場の中で変態したもの。
餌場内ではドロドロに溶けた赤黒い半液状で、
突出部は植物のユリの花の蕾、あるいは花に似た外見的特徴を持つ。

U種は餌である■■■■■ートに浸食し、壁面に花の蕾のような器官を突出させる。
器官を突出させるのは、後述するV種が内部で育ちきった後であり、
その後、花の花びらに当たる部分が開き、中のV種が姿を現す。

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27 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:49:46 ID:c3vDDv120











       .

28 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:50:08 ID:c3vDDv120




メインパート:C


   .

29 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:50:49 ID:c3vDDv120
その日の三限目は、国語だった。
 _
(;゚∀゚)(やっぱ繋がんねー、なんでだ?)

授業中、携帯をいじろうとしていたジョルジュは、
画面右上に表示される圏外マークに小さく舌打ちをする。
 _
(; ∀ )「いてっ」

ふいに頭を叩かれた。

( -д゚ )「授業中に携帯か? いい度胸だな、長岡」

顔をあげると、担任兼国語教師の見慣れた顔があった。
 _
(;゚∀゚)「いてーじゃんよミルナくん、頭悪くなったらどーしてくれんだ」

( -д- )「大丈夫だ、お前はこれ以上頭悪くなれないレベルのおバカだからな」
 _
(;゚∀゚)「うわ、ひっど」

( ゚д゚ )「とりあえず、それ、没収な」
 _
(;゚∀゚)「ちょ、待ってって! セーフだろ、最近ずっと圏外だし、携帯」

( -д- )「そもそも、授業中に携帯を見ようとするその姿勢がアウトだな」

ほれ、と手を差し出す国語教諭。
それに対し、ジョルジュは往生際悪くも食い下がる。
 _
(;゚∀゚)「ほ、ほら、最近変な音もするしさ、何かあったときに携帯ないと困るし……」

( -д゚ )「……どっちにしろ圏外なんだろ」
 _
(;>∀<)「頼むって高知先生、ミルナ様っ、この通りっ」

( -д- )「却下だ」

30 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:51:41 ID:c3vDDv120
伊藤が学校に来なくなってから、一週間が経過した。

あれから、様々な『異変』があった。

まず、校内で携帯が繋がらなくなった。
原因は不明。
最初は一部教室のみに起こっていた現象だったが、今は校内全域で携帯が圏外になってしまう。

そして、あの『音』。

伊藤が『アポカリプティックサウンド』と呼んでいた、あの不気味な音も不定期に鳴り響いている。

これについても、原因は未だ不明。

建物が原因の可能性が高いので、保護者や教職員より、
一時的に学校を閉鎖しようという意見があがっているようだが、
それもなにか大人の事情があるようで、今のところ実行に移されていない。

31 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:53:19 ID:c3vDDv120

きーんこーんかーんこーん

( ゚д゚ )「――と、今日はここまで」

授業終了のチャイムが鳴り、高知教諭が教室から出ていく。
 _
( ゚3゚)「ったく、たまに融通きかねーよな、ミルナくん」

ジョルジュは文句を言いながら、次の移動教室のための準備をし、教室を出ていく。
そして、そこで――
 _
( ゚∀゚)「お」

('、`*川ノ「……やっほ」

――彼女と再開した。
 _
(;゚∀゚)「おう、伊藤、ひさしぶ……いや、なんだそのクマ!? 大丈夫かよ!?」

('、`*川「たはは……ここ三日ほど眠れなくてさ」

一週間ぶりに見る、彼女の姿。
頬はこけ、目の下には大きなクマができている。
明らかに、憔悴しきっていた。
 _
(;゚∀゚)「三日!? なにやってんだよあんた。保健室いくぞ、ほら」

以前より細くなったように見える彼女の手を取り、そのまま保健室に連れて行こうとするジョルジュ。
それに対し伊藤は、自分の手を掴む彼の手を両手で握り込んだ。

( 、 *川「待って」
 _
(;゚∀゚)「あん?」

32 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:55:06 ID:c3vDDv120
ジョルジュは、彼女に掴まれている手を見る。
自分の手を掴む、彼女の両手。
それに籠っている力は、その細く弱々しい印象を与える外見とは裏腹に、ひどく強い。

( 、 *川「違うんだって、私のことなんかどうだっていいんだって」
 _
(;゚∀゚)「いやいや、何言ってんだ、どーでもいいわけ――」

( 、 *川「聞 い て ! !」
 _
(;゚∀゚)「っ!?」

裏返った彼女の声が、廊下に響く。
周りの生徒が、何事かとこっちを見ている。

( 、 *川「私言ったよね、『未来が見える』って。あれ、マジなんだ」
 _
(;゚∀゚)「……」

( 、 *川「浜辺に落ちてた『卵』、図書室で聞いた『音』、ここまで全部"予定通り"。
         このまま"予定通り"に進めば、今日、ここに赤い『花』が咲いて、全部終っちゃう」
 _
(;゚∀゚)「……だから、そこが分かんねえ。なんなんだ、『花が咲いて世界が終る』って」

( 、 *川「わかんない。でも、私が見てた"予定"はいつもそこで終る。
         赤い花が咲いて、それ以降は全部真っ暗になってなにも見えない」
 _
(;゚∀゚)「……」

( 、 *川「だから、助けに来た。キミは少なくとも私の"予定"には居なかった。
         だから、キミなら止められるかもしれないから、だから……」
 _
(;゚∀゚)「お、おい、どうした、伊藤?」

急に震え始める、伊藤の体。
目が、見開かれている。今までジョルジュが見たこともないような、絶望に満ちた、目。
その目は、彼の後ろに向けられていた。
 _
(;゚∀゚)
   _
(゚∀゚;)

恐る恐る、彼は振りかえり――

33 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:55:44 ID:c3vDDv120








   _
(゚∀゚;)「なんだ、あれ……?」

――そして、見てしまった。






       .

34 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:56:40 ID:c3vDDv120
いつのまにか、むわっとする、赤錆のような匂いが辺りに立ち込めていた。

始め、それのことをジョルジュは血しぶきかと思った。
壁に赤黒い液体がついていたのだ。
しかし、それを観察しているうちに、ジョルジュはそれが血しぶきではないと確信する。
 _
(;゚∀゚)「おいおい……どういうことだよ」

血しぶきとは、当然だが誰かの血が壁に付着することで成立する。
それは、なにか液体が壁に付いたのではなかった。
 _
(;゚∀゚)「壁から"血がでてる"……?」

その赤黒い液体は、どうやら壁に空いた"穴"からとめどなく溢れ出しているようだった。
茫然とするジョルジュ、握っている伊藤の手が震えているのが伝わってくる。
周りもこの状況に混乱しているようで、血のような液体が出ている壁を見ながら皆一様に唖然としていた。

( 、 *川「終った……やっぱり、長岡くんがいても止まらないんだ……」

ぼそりと呟く彼女の声が、どこか他人事のように耳に届いた。

やがて、壁の穴から、ごぽ、と音を建てて何かが出てくる。
 _
(; ∀ )

それは、よく見たことのある形をしていた。
先端は細く、そして根元に流線型を描く、赤黒い物体。
そう、例えるなら、それは花の『蕾』によく似た形をしていた。
 _
(; ∀ )(これが……『花』……?)

まるで肉で出来たような、赤黒く、グロテスクな『花』。
それは根元から一気に膨らむと、その花弁をゆっくりと開き、そして中から『それ』が姿を現した。

35 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:57:31 ID:c3vDDv120
壁に咲いた花から、ぼとり、と落ちる、
野球のボールを一回り大きくしたようなサイズの『それ』。

なんだか『それ』のことを、ジョルジュはよく知っている気がした。

ただ、『それ』が何に似ているのかに関しては、なぜか思い出すことができなかった。

それは、ざっくばらんに言うなら、虫のような姿をしていた。
左右に伸びる、長い触角。
複数ある足。
尾びれ。

最初、長い身体を丸まらせていた『それ』は、びちびち、と激しく身をよじらせると、
10本ある足で身体を立ち上がらせ、伸びをするように身体を曲がっていた身体をまっすぐ伸ばす。
硬い甲殻で覆われた体節がこすれ、かりかり、という金属を引っ掻くような、嫌な音がした。

やがて、背中の体節の間から、萎れた皮のようなものが出てきた。
それは、またたく間に尾びれ側へと伸び、やがてハチやハエのような『羽』を形成した。

36 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:58:45 ID:c3vDDv120
ぶーん、という『羽音』。
赤黒い甲殻に包まれた化け物がこちらに飛んでくる。
 _
(; ∀ )「うわあああああああ!!!」

生理的嫌悪感により、それを避けるジョルジュ。
虫のような姿の化け物は、春先でまだ閉まっている窓に、何度も、何度も体当たりを繰り返す。

窓を殴るようなごん、ごん、という音が、連続して辺りに響いた。

この頃になると周りも、ようやくこの異常な事態を受け止められたらしく、
辺りは悲鳴と化け物が窓に体当たりする音で騒然としていた。
 _
(; ∀ )「ぁ……ぁぁ……」

ジョルジュは、動けないままでいた。
気味の悪い生き物が、自分の顔面めがけて飛んできた、という恐怖が未だ抜けきらないのだ。

やがて、化け物の体当たりでヒビが入っていた窓が、ぱりんと音を建てて割れる。
化け物は、そのまま外へと飛んで行った。

( 、 *川「長岡くん、逃げよう」
 _
(; ∀ )「あ、ああ」

( 、 *川「早く!!」

伊藤が、ジョルジュの手を引いて、走り出す。

周囲には、いつの間にか、あの『アポカリプティックサウンド』が響いている。
ぎいい、というような、重い金属を無理矢理擦りあわせるときのような、嫌な音。

周囲の、床や、壁や、そして天井からも赤い『花』が伸びてくるのが見えた。
直後、振動。

身体が、ふわりと浮く感覚があった。

37 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:59:29 ID:c3vDDv120
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TIPS3:ある国語教師の個人研究メモより引用

V種:
十脚目■■のような、外見的特徴を持つ。
主にU種の体内により生成されるが、V種同士の交配で誕生するような例外も見られる。

背中に羽があり、飛行能力を持つ。
鉄筋コンクリート・アスファルト等を好んで摂食するT種・U種とは異なり、
V種は通電中の電線に対し、非常に好戦的な態度を取る。

鋭い牙を持ち、それで電線を食いちぎっているようだが、摂食しているのかどうかは不明。
なぜなら、電線に喰いついたまま感電死している個体をよく見かけるからだ。

身体から、なにか電磁波のようなものを発生させているのか、
V種が生育、または生成されている付近では携帯電話の電波が以上に通じにくくなる。
我が校で発生していた通信障害も、恐らく本種が原因であると思われる。

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38 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:00:04 ID:c3vDDv120











       .

39 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:00:29 ID:c3vDDv120



エピローグ:エンディングパートC


   .

40 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:01:48 ID:c3vDDv120
夕日のさす、病室。
 _
( ゚∀゚)「……そうか、あのとき床が崩落して」

('、`*川「そうだよ、それで長岡くんは気絶した。
        奇跡的に無傷だった私は、そのまま長岡くん担いで外に出たってわけ」
 _
( ゚∀∩)「あー、なっさけねえなー、俺……。悪ぃ、伊藤」

('、`*川「いいってことよ」

ふざけたようにくすくす笑う彼女の顔を見て、ジョルジュは少しだけ心が安らぐのを感じた。
 _
( ゚∀゚)「それで、結局あのあとどうなったんだ、あの化け物は?」

('、`*川「……」
 _
( ゚∀゚)「……伊藤?」

('、`*川「あのさ、長岡くん、約束して欲しいんだけど」
 _
( ゚∀゚)「ん?」

('、`*川「あのあと、どうなったかに関しては、この窓の外を見てもらえば一発でわかる。
        でもね、何を見ても絶対に絶望しないで」
 _
( ゚∀゚)「伊藤……?」

41 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:03:05 ID:c3vDDv120
カーテンが、ばさばさと揺れている。
伊藤が、カーテンの端から手を離している。
風で揺れるカーテンの端から、窓の外の赤い風景が少しだけ、見えた。

( 、 *川「お願い。ごめん、自分でもすっごい勝手なこと言ってんなーって思う。
          でも、長岡くんには言って欲しいんだ、言ってて欲しいんだよ」

( 、 *川「『俺は絶望しない』って……『どんなクソみたいな状況でも希望はある』ってさ……」
 _
( ゚∀゚)

ジョルジュは、ゆっくりとベッドから立ち上がった。
身体に多少の痛みはあったが、気にする程のものでもなかった。

( 、 *川

傍らで、震える少女の隣に立つ。
 _
( -∀-)
 _
( ゚∀゚)

カーテンを、開けた。

42 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:03:28 ID:c3vDDv120






 _
(  ∀ )「ああ……」







       .

43 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:03:57 ID:c3vDDv120
遠くに、廃墟が見える。
海辺にある、廃墟。

あれは自分の学校だと、彼は悟った。
崩れ落ちた瓦礫の山にその面影はない。

ただ、白線のひかれたグラウンドだけが、唯一、それが元は学校であったことを示している。

瓦礫の山の中心には、大きな花の蕾があった。

肉のように赤黒く、禍々しい色をした花の蕾。
周囲には、あの化け物らしき影が、無数に飛び交っている。
 _
(  ∀ )「あ……あ……」

ゆっくりと、蕾が開いていく。
中で丸まっている、真っ白な固まりが見える。

ジョルジュは、そこで初めてあの化け物が何に似ているのかに気付いた。
丸まった、真っ白な巨体。
長い触角と、何本もの足。
丸まった身体。
海の中で見る分には問題ないが、陸上で見るにはあまりにグロテスクな生命体。

――あれはエビだ。

44 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:08:15 ID:c3vDDv120

巨大なエビは、ゆっくりとその身を伸ばすと、こちらに向かって歩いてくる。
わしゃわしゃ、と何本もの足が動くたび、大きな足音と、
金属を擦り合わせるような嫌な音が辺りに木霊する。

エビは、腹に何かを抱えていた。
歩くのに使わない足で、腹に抱えるもの。
それが卵であろうことは、想像に難くなかった。

( 、 *川「お願い……お願いだよ……長岡くん」

少年の傍らで、少女は震えている。
少年は答えない。
 _
(  ∀ )

夕日に照らされた病室。
少年は、ただ静かに、窓の外の風景を眺めていた。

45 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:10:34 ID:c3vDDv120
******

TIPS4:ある国語教師の個人研究メモより引用

W種:
巨大なエビのような外見的性質を持つ。
本種は卵を遠方に運搬するための個体と見られ
(ここから字が乱雑になり、メモが途絶えている)
また、本種はV種と違い、飛行能力を持たない。

専門外の私の稚拙な研究ではあるが、このメモが、今後人類が彼らと戦うのに貢献することを願う

2016/05/02 高知ミルナ

******

46 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 01:11:02 ID:c3vDDv120





  (  ∀)夕日、花――『羽音』。病室、窓辺にて(、 川

             完




         .

47 名前: ◆AMHcWVgUtk 投稿日:2016/04/04(月) 01:13:07 ID:c3vDDv120

BGM:https://www.youtube.com/watch?v=ckXMvrFlmKY
やあ、兄弟。調子はどうだい。
とりあえずこのお茶はサービスだ、一杯飲んでゆっくりしていくといい。

さて、突然だが、あんたは「なんだって自分には、こんなに未来がないのか」なんて思ったことはあるかい?
いやね、実は、ちょくちょくそんな事を考えちまうのさ。
どうにもこの世の中に対して、自分ってのはちぐはぐで、うまく嵌まらないって感じがする。
世の中の方に合わせなくちゃなー、なんて思ったりもするんだが、
今の世の中の方も薄氷の上に成り立ってる、危ういもんなような感じがしちまってて、
それに合わせるのもその場しのぎっぽくないかなー、なんて思っちまうのさ。

要するにこれは、そんな話だったんだ。
先が見えてるような気がしてどこにもいけない女の子と、
先を見ずに今を生きてる男の子の話。
男の子はラストシーンのあと、一体女の子になんと言ったのか。
その辺りに俺の悩みの答えがあるような気がするんだが、どうだろうね?

つまんない話をしちまったね、この商売も楽じゃねーのさ。
――ああ、みずあめ? いいぜ、よかったら持って行くといい。
どうせ、子どもたちに配りきれなかった、あまりものさ。

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