(  ∀)夕日、花――『羽音』。病室、窓辺にて(、 川

1 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:33:46 ID:.vLKdzMk0

――瞼の裏に届く、夕日の赤。
 _
( -∀-)

暖かな風が吹いてきて、眠りの中にいる彼の頬を撫でる。
 _
( -∀-)

カーテンが、風に揺れる音がする。
 _
( -∀-)

ばさばさ、という音。
かすかに春の匂い。
そこに、なにか別の、小さな『音』が混じった。
 _
( -∀-)

ぶん、という、小さな音。
それは――
 _
(;゚∀゚)「っ!!」

――『羽音』。

2 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:35:09 ID:.vLKdzMk0
勢いよく、起きあがる。
自分にかかっていた布団が、身体から落ちるのが見えた。
 _
(;゚∀゚)「はあ……はあ……!!」

目に飛び込んでくるのは、夕日に照らされた部屋。
聞こえるのは、自らの荒い呼吸。
 _
(;゚∀゚)(どこだ、ここ? あのあと、どうなったんだ?)
 _
(;゚∀゚)(『あのあと』……?)

それは、一体なんの事だったか、と彼――最近高校2年になったジョルジュ長岡は考える。
 _
(;゚∀゚)(なんか、でっかい音がして、赤い、『花』が……)

微かに、思い出せる風景。
振動する廊下、割れる窓、赤い花――『羽音』。
 _
(; ∀ )「いつっ!!」

そこまで思い出した彼の頭に、激痛が走った。

3 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:36:24 ID:.vLKdzMk0



プロローグ:エンディングパートA


   .

4 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:37:58 ID:.vLKdzMk0
 _
(; ∀∩)(痛ってえ……なんだってんだよ)

頭を押さえながら、周りを見渡す。

夕日。

照らされているのは、どうやら病室。

「長岡くん?」
 _
(;゚∀∩)「あ?」

('、`*川「目が覚めたんだ、よかった」
 _
(;゚∀∩)「伊藤……?」

振り返れば、部屋の入り口に最近話すようになったクラスメート――ペニサス伊藤の姿があった。
 _
(;゚∀∩)「なあ、俺どうしたんだ? 一体なにが……」
 _
(; ∀∩)「……っ!! 痛っ!」

('、`*川「……思い出せないの?」

頭を押さえて痛がるジョルジュ。
その姿を横目に、伊藤は窓辺に歩いていく。

5 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:39:15 ID:.vLKdzMk0

('、`*川「……」

ばさばさ、と風に揺れるカーテンの隙間から少しだけ外を見て、
それから彼女はジョルジュの方へ振り返った。

('、`*川「無理もないよ、半日くらい気絶してたんだもん、長岡くん」
 _
(; ∀∩)「半日……?」

そのとき、ジョルジュは何か違和感を覚えた。
半日、というワードにではない。
その他の、何か。

('、`*川「正直さ、心配しちゃった。全然おきないんだもん」
 _
(;゚∀゚)「ん、ああ……悪ぃ」

違和感の正体には、すぐに気づけた。
音が変わっているのだ、カーテンが風に揺れる、ばさばさという、音。
それが、布状のもので風を受け止めるときの、くぐもった音へと変わっている。

('、`*川「どこまで覚えてる? 逆か。どこからなら思い出せる?」

何故かということに関しても、すぐに分かった。
こちらを見ている、伊藤の手。
後ろに組まれた二つの手が、揺れるカーテンの端を掴んでいるのだ。

――まるで、窓の外の景色をジョルジュから遮るように。

6 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:40:09 ID:.vLKdzMk0
 _
( ゚∀゚)「思い出せる、事……」

ジョルジュは考える、思い出せる記憶の中でも、特に鮮明なもの。
一週間前、一人の少女を浜辺で見つけた、あの日の出来事。

('、`*川「なんでもいいよ、話してみて。そのうち自然と、思い出せると思うから」
 _
( ゚∀゚)「……わかった」

とりあえずは、そうするしかない。
そう判断したジョルジュが口を開く。

まず、思い出せるのは――

7 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:41:05 ID:.vLKdzMk0



メインパート:A


   .

8 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:42:04 ID:.vLKdzMk0
波の音。
水面に乱反射する朝日が、肌に当たる潮風と相まってどこかひりひりと痛い。
 _
( -Д-)「ふぁあ〜……」

その朝、ジョルジュ長岡は大あくびをしながら、
いつも通り海辺の通学路を歩いていた。
 _
( ゚∀-)「あ……?」

いつもは気にならない、浜辺。
そこに彼は、いつもなら存在しない人影を見つけた。

('、`*川
 _
( ゚∀゚)(あいつ……たしか、同じクラスの……)

波打ち際に近い場所、そこで同じ学校の制服を着た少女が、かがみ込んで何かをしている。
 _
( ゚∀゚)(えーっと、伊藤だったか、佐藤だったか)

どうにも、そういうありふれた名前だった気がする、と思いながら、
ジョルジュはそのまま砂浜に歩いていく。
 _
( ゚∀゚)「なあ」

('、`*川 ?

振り向く彼女は少しだけ驚いたような表情をして、
すぐにまた、もとの無表情になる。

('、`*川「何?」

9 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:43:13 ID:.vLKdzMk0
 _
( ゚∀゚)「なにしてんだ、こんなとこで」

('、`*川「……」

問いかけに対して、少女は無言。
 _
( ゚∀゚)(あー、そういや、あんま喋んないんだっけ)

教室でも、いつも本ばかり読んでいて、特定のだれかと話しているのを見たことがない気がする。
と、そんなことを考えている内に、ジョルジュは彼女の足下に落ちている、
白くて丸いものの存在に気がついた。
 _
( ゚∀゚)「それ、ピンポン玉か? それを見てたのか」

地面に転がる、穴の空いた白い小さな球体。
ジョルジュにはそれが、浜辺に流れ着いたピンポン玉に見えた。

('、`*川「……ピンポン玉じゃないよ」
 _
( ゚∀゚)「お?」

言って、彼女は少し逡巡するような様子をみせたが、
すぐに、はっきりとした口調で断定した。

('、`*川「これは、『卵』。あるいは、『種』」
 _
( ゚∀゚)「卵? なんのだ?」

変に言い切るような彼女に、ジョルジュは訪ねるが、
彼女は答えず、そのまま歩いていってしまう。

10 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:44:19 ID:.vLKdzMk0
 _
(;゚∀゚)「あ、おい……」

しばらく歩いたところで、彼女は立ち止まると、顔だけをこちらに向けて、言った。

('、`*川「時間。……遅刻するよ、不良くん」
 _
(;゚∀゚)「は?」

言われてあわててジョルジュは携帯を取り出したが、まだ時間には余裕がある。
と、そこで彼は気付いた。
 _
( ゚∀゚)(あ……?)

視界に入ってくるのは、携帯の画面。
そしてその周辺の、砂浜。
そこに、先ほど彼女が見ていた『卵』が、無数に転がっているのだ。
 _
(;゚∀゚)(な……なんだ、これ)

皆一様に、中から何かが出てきたことを表す、穴があいている『卵』。
その近くの地面には、これまた10円玉サイズの穴があいている。
なぜか、ジョルジュはその光景に薄気味悪さを覚えた。

「私は放課後、図書室にいるから、ナンパならそのときによろしく」

どこか悪戯っぽい声に、彼が顔を上げると、周りにはすでに彼女の姿はなかった。
 _
(;゚∀゚)「なんだってんだよ、あーもう……つか」
 _
(;゚∀゚)「俺、不良じゃねえし!! これ地毛だし!!」

金髪の少年の叫びが、虚しく浜辺に響いた。

11 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:45:20 ID:.vLKdzMk0
******

TIPS1:ある国語教師の個人研究メモより引用

T種:
環状生物多毛類の、いわゆるゴカイに近い外見的性質を持つが、
おそらく全く別の種なのだろう。
口の形状は二枚貝のフナクイムシの貝殻に近い形状をしている。
これは彼らの硬い餌――というべきか、むしろ『餌場』というべきか?
――をかみ砕き食べるのに役に立っていると思われる。
また、彼らは身体が非常に硬い。

T種は地面に身を潜め、餌場を常に探しているようだ。
餌場を見つけたT種は餌場に大量に浸食し、寄生する。
その後、身体をドロドロに溶かして後述するU種へと変態する。

(1体捕獲して検証してみたが、基本的にT種はU種へと変態していると見て間違いない。)

T種に関しては、U種から生まれる事もあるし、V種から生まれることもある。
また、T種同士でも交配し、T種の卵を生むこともあるようだ。
これがこの生物の奇妙な点である。

******

12 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 23:46:50 ID:.vLKdzMk0
――――――
―――


夕焼けが差し込む図書室前の廊下。
 _
( ゚∀゚)「あ」

扉をあけ、中を覗くと。

('、`*川ノ「や」

――そこには今朝方の、無礼な捨て台詞を残した少女の姿があった。

13 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:08:20 ID:c3vDDv120




メインパート:B


   .

14 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:10:16 ID:c3vDDv120
今朝方の仏頂面はどこへやら、軽く笑いながらひらひらと手を振る少女。
ジョルジュはつかつかと歩み寄ると、彼女の目の前の席を引いて、どっかと腰を下ろした。

('、`*川「ほんとにきたんだね、不良くん。私ってばそんなに魅力的?」

頬杖をついたまま、どこか皮肉っぽい笑顔でそんなことをいう彼女に、
ジョルジュはきっぱりと言った。
 _
( ゚∀゚)「俺は不良じゃねえ、これは地毛だ、地毛。ナンパしにきたわけでもねーし」

図書室には二人しかいない。
司書教諭も、どこかにいってしまっているようだ。

('、`*川「あらら、残念。えーっと、ハインリッヒ高岡くん、だったっけ?」
 _
(;゚∀゚)「それ隣のクラスの女子の名前じゃねえか、長岡だよ。ジョルジュ長岡。
        クラスメートの名前くらい覚えとけよ」

もっとも、彼自身も先ほど担任に確認するまでは彼女――ペニサス伊藤の名前など覚えてなかったわけだが。
そのあたりは棚に上げて置くことにした。

('、`*川「あーそうそう、長岡くんね。長岡くん。思い出したわ」
 _
(;-∀-)「たく、なんなんだよ。あんたはよぉ」

ため息をつくジョルジュ、伊藤はくすくすと笑う。
どうやら彼女は人をからかって楽しむタイプの人間だったようだ。
今朝方の態度や教室での印象と比べ、ジョルジュは今の彼女の様子に少しギャップを感じる。

15 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:15:52 ID:c3vDDv120

('、`*川「今朝はびっくりしたわー、
        だってあそこに長岡くんがいるなんて全然"予定外"だったし」

そこは『予定外』ではなく『予想外』ではないのか、と少しひっかかりながらも、
ジョルジュは咎めるように言った。
 _
( ゚∀゚)「びっくりしたのは俺のほうだ。
        あのあとの授業ひとつも出てなかったじゃねえか、あんた」

朝、登校してみると先に学校へ向かったはずの彼女がいなかった。
担任に聞いてみても欠席の連絡などもとくに来ていないという。
放課後図書室にいると言っていたのにどういうことか、と、
怪訝に思いながら来てみれば、そこに何食わぬ顔をして本を読んでいる伊藤がいた、
というわけなのだ。

('、`*川「いやー、人生にね。ちょっと迷ってまして」
 _
( ゚∀゚)「それで授業全サボりってか? 見た目によらず結構ぶっ飛んでんな、あんた」

('、`*川「何気に失礼だね、長岡くん」
 _
( ゚∀゚)「ろくに会話したこともないクラスメートのことを、不良よばわりするやつには負けるな」

はんっ、と鼻で笑う彼に、「そりゃそーか」と彼女はくすくすと笑う。

('、`*川「今朝はさ、まあちょっと気が立っててね、ごめんごめん」
 _
( ゚∀゚)「……それで金髪相手に不良呼ばわりとか、やっぱぶっ飛んでるわ、あんた」

もし、本物の不良だったらどうするつもりだったのか、
逆上して攻撃されたり、とか考えてるのだろうかこの女は、と、ジョルジュは心底呆れた。

16 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:28:26 ID:c3vDDv120
 _
( ゚∀゚)「んで、なんかあったのかよ。人生に迷うとか気が立つとか穏やかじゃねーな」

('、`*川「あれ、聞いてくれるんだ。ひょっとして長岡くんって見かけによらずいい人?」
 _
(#-∀-)「……いいから、とっとと話せ」

ため息混じりに、ジョルジュは続きを促す。
どこまで失礼なやつなんだ、と思いながら話の続きを促す辺り、
自分は本当にお人好しなのかもしれない。
そんなことを考えながら。

('、`*川「あー、なんつーのかさ、長岡くんはないかな。こう先が見えちゃう感じっていうのか、さ」
 _
( ゚∀゚)「先が見える感じ? ああ、自分なんてこの程度みたいなやつか?
       自分みたいなのはどーせ普通の人生しか送れねーんだろーな、的な?」

「案外普通っぽいことで悩んでんだな」という彼に、彼女は「あーそういうのとはちょっと違くて」と返す。

('、`*川「ほら、あるじゃん? 最近さ、正社員になれない人が増えてるとか、
        なれてもブラック企業しかない、みたいな?」
 _
( ゚∀゚)「あー、なんかあるらしいな、そういうの」

('、`*川「例えばだけどさ、この先、生きててもそういう『絶望的な未来』しか用意されてないとして、
        このまま生きててなんか意味あるのかなー、って」

上目遣いで、おそるおそる、という風に聞いてくる彼女。
それに対し、あっけらかんと彼は答える。
 _
( ゚∀゚)「あるんじゃね?」

17 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:31:25 ID:c3vDDv120

('、`*川「ずいぶん簡単にいうね、長岡くん」
 _
( ゚∀゚)「まーな、難しいことはよくわかんねーから」

('、`*川「あー、見た目通りバカではあるんだ」
 _
( ゚∀゚)「いい加減、一発ひっぱたいていいか?」

('、`*川「きゃー、やっぱり不良。この人不良よー」

ふざけた感じの雰囲気を、ジョルジュは咳払いで一旦リセットすると、
真面目な表情を作って、言った。
 _
( ゚∀゚)「難しいことはよくわかんねーけどさ、どんな絶望的な未来でも、
        それなりに楽しみ方ってのはあるんじゃねーの?」

('、`*川「『楽しみ方』、ねえ……」
 _
( ゚∀゚)「ヒセーキコヨー? だとかハケンだとか、ブラック企業の正社員とかでもさ、
        金が無くても、趣味の一つでもありゃ生きててそれなりに楽しいでしょーよ」

('、`*川「うーん、まあ、そっか」

どこか納得してない様子の彼女に、彼は続ける。
 _
( ゚∀゚)「……ま、とか言ってる俺は25歳で死ぬつもりなんだけどな」

('、`*川「……は?」

18 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:33:17 ID:c3vDDv120
ぽかんと、あっけに取られた顔の彼女。
ジョルジュは続ける。
 _
( ゚∀゚)「人生ってさ、だらだら生きててもつまんねーだろ。
        だから俺は25歳で死ぬ。それまで全力で人生楽しむってきめてんの」

「太く短く生きてーんだ俺は」という彼を、伊藤はぽかんとした顔で見ていた。
その表情は、呆れているようで、しかし、どこか関心しているようで

('、`*川「ものほんのバカだね、キミは」
 _
( ゚∀゚)「なんとでも言え、ちなみに、さっき伊藤が言ったみてーな未来になるくらいなら、
        俺だったら自分で会社を立ち上げるね。そっちのほうがぜってー楽しいからな」

('、`*川「でも25歳になったら死ぬんでしょ? そのあと会社どーすんのさ」
 _
( ゚∀゚)「知らね、残ったやつがなんとかするさ」

ぶふっ、と伊藤が吹き出した。

( 、 *川「無責任な社長だなー、私、絶対そんな会社やだわ」
 _
( ゚∀゚)「その代わり俺は絶対ブラック企業になんかしねえ。
        社員全員が納得して働けるような、そんな会社にするね」

( 、 *川「一応聞くけどさ、それって何を根拠に言ってんの?」
 _
( -∀-)「根拠なんて、生まれてこの方持った事はねーな」

最後の一言が決め手になったらしい、伊藤はぶふぉ、再び吹き出し、
そのまま大声で笑い出した。

19 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:42:25 ID:c3vDDv120
 _
( ゚∀゚)「んだよ、そんなにおかしいか」

( 、 *川「いや、だってさー、意味わかんなすぎる……ぷっ」
 _
(* ∀ )「む……んだよ、なんか恥ずかしくなってくるじゃねえか」

けらけら笑う彼女に、ジョルジュは、急に恥ずかしくなり、顔をうつむける。

( 、 *川「いや、うんでも、ありがと元気出たわ、なんかよくわかんねーけど」
 _
(* ∀ )「そうか? まあ、それなら、うん、よかった、のか」

一通り笑った後、彼女は少し真面目な顔になり、静かに言った。

('、`*川「……どうせ死ぬから『限られた期間を楽しむ』か。なるほどね」
 _
( ゚∀゚)「ん?」

('、`*川「いや、笑っちゃったけどさ、長岡くんの生き方聞いてたら、
        なんか自分、つまんないことで悩んでたなー、って」
 _
( ゚∀゚)「お前みてーな頭よさそうな奴には参考にならねーと思うけど」

('、`*川「いや、うん。たいへん勉強になりました、ありがとう」

図書室に和やかな空気が流れ、そして、それは聞こえてきた――

20 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:43:15 ID:c3vDDv120
 _
(;゚∀゚)「? なんだこの、『音』……」

それは不気味な『音』だった。
例えて言うなら錆び付いたブランコがゆっくり揺れる音を大きくしたような、
金属同士がこすれるような、不気味で、嫌な、『音』。

( ー *川「あちゃー……こっちは"予定通り"か」
 _
(;゚∀゚)「伊藤……?」

見れば、伊藤が笑っている。
それは、先ほどまでの自然な、和やかな笑みとは異なる笑顔。
どこか諦め切ったような、自嘲するような、そんな笑顔だった。

( ー *川「長岡くん、『アポカリプティックサウンド』って知ってる?」
 _
(;゚∀゚)「は?」

突然聞き覚えのない単語を聞かされて、呆気にとられるジョルジュに、少女は構わず、続ける。

( ー *川「終末の音って言われててね、世界の終末をつげる音なんだって。それが、これ」
 _
(;゚∀゚)「伊藤? ……何言って」

( ー *川「信じてくれっかなー、これ言っても」

彼女は笑って――嗤って、続けた。

( ー *川「一週間後にね、赤い『花』が咲いて世界が終わるの――」

21 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:43:50 ID:c3vDDv120




「――私、未来が見えるんだ」




     .

22 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/04(月) 00:44:44 ID:c3vDDv120











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