( ^ω^)の冬休みのようです

152 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:04:57 ID:hzNFG4rg0


『あ、もしもし。母さんかお?』


皿洗いを終えてお茶を飲んでいると、ブーンから電話がかかってきた。


ミセ*゚ー゚)リ「もしもしー。そっちは雪なのかな?」

『昼間は降ってたけど、今はもう止んでるおー』

『あ、母さんにちょっと話があるんだけど・・・』

ミセ*゚ー゚)リ「ん、なぁに?」

『・・・』

受話器からの声がなくなる。
どうやら言い淀んでいるようだ。

ミセ*゚ー゚)リ「ブーン?」

『えっと、実は母さんには言ってなかったんだけど・・・』



『僕、学校でいじめられてるんだお・・・』

153 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:05:58 ID:hzNFG4rg0


ミセ;゚ー゚)リ「・・・」

か細い声で、息子から打ち明けられる真実。

いじめられている、ということは気付いていたが、実際に伝えられるとその衝撃はすごいものだった。


『・・・今まで、嘘ついててごめんなさいお。ただ、ただ母さんに迷惑かけたくなくて・・・』

ミセ;゚ー゚)リ「・・・ブーン」

『本当に、ごめんなさいお・・・』

ブーンの震えた声が胸に突き刺さる。


ミセ;゚ー゚)リ(「ブーンが謝ることないよ」って言わないといけないのに・・・)

何て声をかけて良いかわからなかった。

ミセ;゚ー゚)リ(子どもに、謝らせるなんて・・・)

154 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:07:02 ID:hzNFG4rg0


先日のショボンとの電話の後からずっと、ブーンと話をしようと思っていた。

だがどうしても決心が付かず、冬休みが終わってからにしようなんて考えていた。


『今まで、ずっと嘘ついてたお・・・。本当に、ごめんなさいだお・・・』

ミセ;゚ー゚)リ「・・・ブーン。悪いのは、悪いのはお母さんよ!」

ミセ;゚ー゚)リ「ブーンがもしかしていじめられてるんじゃないかって、思ってたの・・・」

ミセ;゚ー゚)リ「でも、でもブーンに気を遣わせてると思ったら、私から言い出せなくて・・・」


電話の声からして、もしかしたら泣いているのだろうか。

自分の不甲斐なさを噛み締め、遠くソーサクにいる息子の顔を思う。

きっと、何か打ち明けるきっかけがあったのだろう。

恐らく、ショボンたちが作ってくれたきっかけが。

155 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:08:13 ID:hzNFG4rg0


ブーンが勇気を出して打ち明けてくれた以上、自分も正面から向き合わないといけない。

ミセ*;−;)リ「辛かったでしょう?本当にごめんね、ブーン!」

それが、親の為すべきことだ。

ミセ*;−;)リ「本来なら、母親の私から話をするべきよね。でも、逃げてた・・・」

『母さん・・・』

ミセ*;−;)リ「ブーンは何も悪くないよ。本当に・・・」

ミセ*;−;)リ「打ち明けてくれてありがとね、ブーン」

『うぅぅ、母さん・・・!』


受話器から聞こえるブーンの泣き声。
あぁ、何て愛おしいのだろうか。

ミセ*;−;)リ「大丈夫だよ。ちゃんと、ちゃんと私が守るからね?」

涙を拭い、なるべく明るい声を出そうとして、深く息を吸う。

ミセ*゚ー゚)リ「だから、もう溜め込まなくていいからね?」


帰ってきたら、ブーンの好きなものをたくさん作ってあげよう。

オムライスに、ハンバーグに、それから・・・。

156 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:09:58 ID:hzNFG4rg0


( うω;)「・・・うん、そうだお。そういえば、明後日は友だちの家でクリスマスパーティをするんだお」

『あら、そうなの?めいっぱい楽しんでおいでね!』

( ^ω^)「おっおっ!ありがとうだお!」


( ^ω^)「それじゃあ、そろそろ切るおー」

『あったかくして寝なさいよ?ちゃんと髪乾かした?』

( ^ω^)「ちゃんと乾かしたお!」

『じゃあオーケーね。そしたら、おやすみなさい』

( ^ω^)「はーい!おやすみなさいだお!」


受話器を置き、ほっとため息をつく。

( ^ω^)(・・・ちゃんと言えたお)

きっと、このまま母に話をせず、誰にも相談しなかったら。

いつか、ストレスで潰れていただろうと思う。


( ^ω^)(叔父さんとおばさんのおかげだおね・・・)

ショボンたちの後押しがあったからこそ、素直に打ち明けることが、"心に穴を開ける"ことができた。

157 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:11:50 ID:hzNFG4rg0


ブーンの周りには、お店でいつも使われているコーヒーミルや、先の細いドリップ用のポットなんかが置かれている。

一人きりで母に電話をかけるために、ショボンに頼んで一階【喫茶ひととき】の電話を貸してもらっていたのだ。


今ブーンが座っているのはカウンターの中、普段はショボンたちが仕事をしている場所。

立ち上がってぐるりと店内を見渡し、自分がショボンたちのようにここでお客さんにコーヒーを淹れているのを想像してみる。


(*^ω^)(・・・なんかかっこいいお)

自分も練習したら、あんな美味しいコーヒーを淹れるようになるのだろうか。


(*^ω^)(後でちょっと聞いてみるかお)

158 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:12:56 ID:hzNFG4rg0


ふと時計を見ると、もう21時を回っていた。

(;^ω^)(お、もうこんな時間・・・。それに、泣いたからなのかちょっと寒いお)

きちんとストーブのスイッチを切り、電気を消す。


( ^ω^)(・・・・・・)

もう一度、店内を見渡す。

自分も、もしかしたら人の為になれるのかもしれない・・・。


二階からほんのりとコーヒーの香りが漂ってくる。

早速、ショボンにコーヒーについて聞いてみようと思い、階段を上る。

159 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:14:18 ID:hzNFG4rg0


(*゚∀゚)「はい、もしもし・・・。あ、ミセリ義姉さん!」

(*゚∀゚)「・・・そんな、いいんですよ!私も楽しませてもらってますしね」

(*゚∀゚)「・・・はい、ショボンですね。ちょっと待ってください」


(*゚∀゚)「ショボーン、ミセリ義姉さんから電話ー」

( ´・ω・`)「え、こんな時間に?一体どうしたんだろう」


( ´・ω・`)「もしもし、どうしたんだい?」

『あ、ごめんね?こんな時間に』

受話器から聞こえるミセリの声は、心なしか以前よりも明るい声だった。

160 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:15:19 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「僕は全然構わないさ。それより、ミセリからこんな時間に連絡が来るなんて珍しいと思ってね」

『ま、たまにはね。・・・ブーンはもう寝た?』

( ´・ω・`)「そうだね。今日はいつもより早く寝たみたいだ」


( ´・ω・`)「・・・ブーンから、話があったのかい?」

『うん、全部教えてくれた』

『本当、びっくりしたよ。私があんなに悩んでたのにーっ、てね』

『ショボンとつーちゃんのおかげだよ。ダメな私の代わりに、本当にありがとう』

161 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:16:43 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「・・・子どもたちのこういうことって、難しい問題だと思うんだ。当然子ども一人だけでは、解決しようがない」

( ´・ω・`)「だからといって、ミセリ一人が悪いってことはないって」


( ´・ω・`)「それに、今回は僕らもあんまり関わってないよ。ブーン君の友だちが、背中を押してくれたんだと思う」

『いつも電話で話してくれる子たちね・・・。さっきも、クリスマスパーティーやるんだって、嬉しそうだったもん』

( ´・ω・`)「確かに、とても良い笑顔で話してた」


『子どもじゃないね、もう・・・。中学生になるんだもんね』

『むしろ、子どもだったのは私だったのかもね』

162 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:17:33 ID:hzNFG4rg0


(´-ω-`)「・・・大人になるにつれ、世間体を気にするようになってしまうからね」

( ´・ω・`)「ああしないといけない、こうしないといけないっていう制約を自分でかけてしまう」

( ´・ω・`)「助けを求める声も、助けてあげるための手も出せないまま、終わってしまうことが多いね」


『事なかれ主義になっちゃうわよね・・・。それが一番良くないことなのに』

( ´・ω・`)「本当は素直な気持ちで、その問題と向き合わないといけないのにね」


『そうね・・・。いつか、その子たちにもお礼をしないとだね』

163 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:18:35 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「ふふ、そうしてあげてくれ。とりあえず、問題は解決ってことだね」

『・・・何度も言うけど、本当にありがとうね。つーちゃんにも伝えておいてよ』

『色々落ち着いたら、改めてそっちに遊びに行くよ』

( ´・ω・`)「ああ、つーも待ってるからさ。それじゃ、おやすみ」

『うん、おやすみ』


(*゚∀゚)「・・・これで一件落着だね」

コーヒーを啜りながら、つーがショボンの隣へ座る。

(*゚∀゚)「まっ、本当にツンちゃんたちのお陰だね。あの子たちは、本当に良い心を持ってるよ」

(´-ω-`)「その通りだよね。ブーン君は、本当に良い友だちに恵まれた・・・」


ブーンの寝ている部屋の方から、ぐーぐーといびきが聞こえて来る。

164 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:19:27 ID:hzNFG4rg0


(*゚∀゚)「ふふっ。普段はいびきなんてかかないのに」

( ´・ω・`)「今日は色々と疲れていたんだろうね。ゆっくり寝られるっていうのは、良いことさ」

ショボンはゆっくりと立ち上がり、冷蔵庫からウイスキーを取り出す。


(*゚∀゚)「・・・ショボン、明日仕事なんだからね」

(*´・ω・`)「わかってるってば。少しだけだからさ」

(*´・ω・`)(最悪、朝はつーに任せようっと)


つーの小言を右から左、トクトクとロックグラスへウイスキーを注いでいく。

165 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:21:03 ID:hzNFG4rg0


1月―――
冬休みも、残すところあと2日。

今日でソーサクで過ごす冬休みが終わる。

午後から、ショボンに送ってもらいビップへと帰る予定になっている。

( ;^ω^)(もう少しで終わっちゃうのかお)

クリスマスもお正月も、みんなの仲間に入れてもらい、楽しく過ごすことができた。

そんな思い出が増えれば増えるほど、ソーサクで過ごした時間が長くなればなるほど、
何だか一日の時間の流れが速くなっているような気がする。


( ;^ω^)(・・・嫌だおー)

カバンに荷物を詰める手が、度々止まる。

立ち上がって部屋の窓から外を見る。


青空と、太陽の光を反射して輝く雪。

この雪景色とも、今日でお別れだ。


ビップに戻ったら、また以前のようにいじめられる生活が始まってしまう。

だが、それが一番嫌なのではなく、単純にみんなと会えなくなることが嫌だった。

166 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:22:39 ID:hzNFG4rg0


今まで友だちのいなかったブーンにとって、ここで出会ったみんなと別れるのは本当につらいことだった。


コロコロと表情が変わり、一緒にいて楽しいハイン。

無愛想だけど、実は仲間想いのドクオ。

少し変わってるけど、話すと面白いクー。

ブーンがいじめられてると知って、ブーンのために怒ってくれたジョルジュ。


そして何より・・・。


( ^ω^)(ツンに会えなくなるのかお・・・)


ソーサクに来て、初めて知り合ったツン。

みんなの仲間に入れてくれて、そっけない態度だけど、いつもこちらを気にかけてくれるツン。

人を好きになると、どういう気持ちになるかなんてわからない。

ただ漠然と、ツンのことが好きなんだろう、と思う。

( ;^ω^)(ただ、告白とかなんて出来るわけないお・・・)

( ;^ω^)(冬休みの間だけしか遊んでないし。それに僕今日でビップに帰るし・・・)


ぽりぽりと頭をかき、荷作りを再開する。

167 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:23:36 ID:hzNFG4rg0


荷作りを終えると、時刻は12時半になっていた。

つーが作ってくれたおにぎりを食べていると、一階からつーの声が聞こえた。


(*゚∀゚)「おーい、ブーン!ツンちゃん達が来てるよ!」

( ^ω^)「おっ?今行きますおー!」

どうしたんだろうと思いながら一階に下りると、カウンター席にみんなが座っていた。


川 ゚ -゚)「やぁブーン。荷作り中だったかな?」

( ^ω^)「おっおっ、ちょうど終わらせたところだお」

从 ゚∀从「それならいいや!今日で帰っちまうんだろ?うちで少し遊ぼうぜ!」

( ^ω^)「僕は構わないけれど・・・。叔父さん、行ってきていいかお?」

( ´・ω・`)「ああ、もちろんいいよ。ただ、15時くらいまでには戻ってきて欲しいかな」

( ^ω^)「わかりましたお!じゃあ、コート取ってくるお!」

168 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:24:30 ID:hzNFG4rg0


一度部屋に戻り、コートを羽織ってからみんなの元へ行く。


('A`)「よし、準備できたみたいだな」

ξ゚听)ξ「じゃ、いきましょっか。すみません、お邪魔しました」

(*゚∀゚)「いいんだよ!ブーン、楽しんでおいでよ」

(*^ω^)「はーい!いってきますお!」


外に出ると冷たい風が吹いていて、舞い上がった雪がキラキラと輝いている。

  _
( ゚∀゚)「それにしても、今日でブーンが帰っちまうのか・・・。マジで寂しいなー」

ポッケに手を突っ込んで、ブーンの前を歩いているジョルジュが、ポソリと言う。

169 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:25:43 ID:hzNFG4rg0


( ^ω^)「冬休み、あっという間だったお」

川 ゚ -゚)「楽しい時間っていうのは、すぐに過ぎてしまうからな」

从; ゚∀从「もったいなく感じるよなー。怒られてる時とかは、全然時間経たないってのに」

ξ゚听)ξ「ま、仕方のないことよね。ハインはしょっちゅう怒られてるからあれだけど」


('A`)「そういやさ、あいつらの宿題はもう手つけてないんだろ?」

( ^ω^)「そうだお。何だか僕がやるのもバカらしくなって」


あの一件以降、ニダーたちに押し付けられていた宿題をやらなくなった。

罵倒されても、殴られても良い。

そんなものに時間を割く暇があったら、みんなと遊んでいたいと思ったのだ。

  _
(#゚∀゚)「んなもん、それが正解だぜ!」

从 ゚∀从「だなー。よし、ただいまーっと。親仕事でいないけどさ」

( ^ω^)「お、お邪魔しますおー」

170 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:26:59 ID:hzNFG4rg0


ハインの家に着き、みんなでゲームをすることになった。

だがブーンは参加せず、いつもの4人、ジョルジュ、ハイン、ドクオ、クーのプレイを見ているだけだ。

  _
(;゚∀゚)「なんでお前らそんな強いんだよ!」

从 ゚∀从「修行がなりねぇな!」

('A`)「センスが無いんだよ、センスが」

川 ゚ -゚)「むしろ何でそこまで弱いんだジョルジュは」

  _
(#゚∀゚)「くっそ!もっかいだもっかい!」


いつも通り、ゲームセンスがズバ抜けて無いジョルジュが一人で自滅していく。

そのくせ、一番ゲームをやりたがるのがジョルジュだった。

171 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:28:05 ID:hzNFG4rg0


( ^ω^)(こうやって、遊ぶのも最後かお・・・)

ハインのお母さんが作ってくれたココアも飲みながら、ジョルジュたちのやり取りを見守る。

ふざけあって、笑い合って。

そんな光景を見ているとますます、ビップへと帰りたくなってくる。


共にゲームに参加していなかったツンが、お菓子を取りに隣へと来る。

ξ゚听)ξ「元気、無いわね」

( ^ω^)「・・・そんなことないおー」

ξ゚ー゚)ξ「ふん、嘘ばっかり。バレバレよ」


ツンがニヤリとして、顔を覗き込んでくる。

可愛くてドキリとするが、精一杯平常心を装う。


ξ゚听)ξ「・・・やっぱ帰るのやなんだ」

( ^ω^)「まぁ、そんなとこだおねー。冬休みの間っていう短い時間だったけど、楽しかったし」

172 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:28:57 ID:hzNFG4rg0


( ^ω^)「最近、朝起きた時に思うんだお。あぁ、もう少しで冬休み終わっちゃうのかって」

ξ゚听)ξ「ほんと、あっという間の冬休みだったわね。あんたが来てからほぼ毎日遊んでたし」

( ^ω^)「おっおっ、一緒に遊んでもらえて嬉しい限りだお」


( ^ω^)「・・・ツンのおかげだお」

自分でもキザだと思う台詞。

顔が燃え上がりそうになりながら、ツンにだけ聞こえるような小さな声で呟く。



ξ゚听)ξ



ξ///)ξ「な、何言ってんの!?かっこつけないでよ!」



ツンは体育座りをしていた膝へ、顔を埋めて悶える。

173 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:29:41 ID:hzNFG4rg0


  _
(;゚∀゚)「あー!これもうやるだけ無駄だわ!」

川 ゚ -゚)「今更気が付いたのか」

ξ*゚听)ξ「ちょ、ちょうど良かった!あんたらゲーム終わったんなら、ブーンに挨拶とかしなさいよ!」


ジョルジュがコントローラーを放り投げるのを見て、ツンが言う。


川 ゚ -゚)「む、確かにブーンを放っておいてゲームっていうのもおかしいしな」

( ;^ω^)「僕は僕で楽しいからいいんだけどね?」

从 ゚∀从b「よし!じゃあドクオから!バシッと決めてくれ!」


('A`)イキナリー

174 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:30:58 ID:hzNFG4rg0


('A`)「でもまぁ、伝えたいことはあるからな」

手に付いたお菓子の粉をティッシュで拭き、ブーンと向かい合わせに座る。


('A`)「とりあえずさ、短い間だったけど、お前とは何か昔っから知り合いみたいで、本当に楽しく遊べたよ」

照れくさいからか、頭をかきながら小さな声で言う。

('A`)「・・・ブーン。お前は弱くないんだ。何も怖がることなんかねぇよ」

('A`)「俺らと遊んでるときの、あの明るいお前が、本当のお前だろ?」


( A )「だから、さ。向こうに、ビップに帰っても、お前らしくいればいいと思うよ、俺は・・・」

震える声を抑えて、ドクオがぎこちない笑顔を見せる。


('∀`)「今日で帰っちまうけど、俺たちはずっと、友だちだからさ。また遊びに来いよ」

( ^ω^)「・・・ありがとだお、ドクオ」


はい次、とドクオが俯いて呟く。

175 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:32:12 ID:hzNFG4rg0


川 ゚ -゚)「それじゃあ、次は私が」

クーも崩していた足を直し、ブーンと向かって座る。


川 ゚ -゚)「ブーン、君と別れるのは本当につらいよ。本当に・・・」

いつもとは違い、真剣な顔をしたクー。

その瞳は、ブーンの目をしっかりと見つめている。

川 ゚ -゚)「私は、人と人との繋がりなんて、雪みたいなものだって思ってるんだ」

川 ゚ -゚)「脆くて、簡単に溶けて、砕けて、無くなってしまう・・・」

( ^ω^)「お・・・」


いつだったか、クーが同じようなことを言っていたのを思い出す。

川 ゚ -゚)「ただ、だからこそ美しくて、かけがえのないものなんだって思うんだ」

川 ゚ -゚)「ブーン。私たちとの繋がりだって、そのうち崩れてしまうかもしれない」

川 ゚ -゚)「私はそれが嫌だ。みんなだって、そう思ってる」

クーの手が、膝の上でぎゅっと握られる。

176 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:33:15 ID:hzNFG4rg0


川 ゚ -゚)「だから、私たちと過ごしたこの冬を忘れないでくれ」

川 ゚ー゚)「寒くなってきたら、雪が降る季節になったら、私たちと笑い合ったことを思い出してくれ」

( ^ω^)「クー・・・」


クーの瞳が、心なしか潤んでいる。

ブーンも涙を堪えるのに必死だった。

( ^ω^)「絶対に、絶対に忘れないお。僕だって、忘れたくないんだお」

川 ゚ー゚)「ありがとう、ブーン。君は、親友だよ」

指で目を擦り、優しい笑顔を見せる。

その笑顔につられて、ブーンの口元も緩む。


川 ゚ -゚)「さて、随分と大人チックな話をしてしまったな。ほら、ハイン。泣いてないで」

177 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:34:28 ID:hzNFG4rg0


从;∀从「だ、だってお前が、凄い良いこと言ってるから・・・」

既に号泣しているハインの頭をクーがワシャワシャと撫でる。

ティッシュで鼻をかみ、ふーっと一息ついて、ハインがブーンの目を見る。


从;∀从「ブーン。お前は、お前は本当に良いやつだよ。いっつも笑顔だし、ぽっちゃりなのに動けるしさ」

( ^ω^)「おっおっ、褒め言葉として受け取るお」

从;∀从「だからこそ、お前がいじめられてるっ知ってさ、あたし本当に腹立って・・・」


从#;∀从「何でこんな良いやつがいじめらないといけないんだって思って・・・!」

ハインがまた、大粒の涙を流す。

从;∀从「ブーン!お前がどんなにつらくたって、あたし達がずっと仲間だから!!絶対にだ!」

178 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:35:20 ID:hzNFG4rg0


( うω;)「ありがとだお、ハイン・・・」

ハインの感情が移り、今まで堪えていた涙が溢れ出す。


从;∀从「泣くなよブーーーン!もう泣くなー!!」

( ;ω;)「ハインのせいだおー!!」

二人で肩を叩き合って号泣する。


从;∀从「うぅ、これ以上は無理だ。泣き過ぎてつらい。あとジョルジュ頼んだ・・・」

  _
(;゚∀゚)「泣きすぎだろお前ら・・・」

ブーンとハインを見て、ジョルジュが少し呆れた様子で言う。

179 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:37:20 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「でもまぁ、ブーンが帰るのは俺もすっげぇ寂しいよ」

( ;ω;)「お、本当かお?」

  _
( ゚∀゚)「当たり前だろ?」

  _
( ゚∀゚)「冬休みの間だけって言ってもさ、こういうのって付き合ってた時間の長さじゃないと思うんだ」

  _
( ゚∀゚)「ブーン。ドクオが言ったように、お前は決して弱くない。いじめられて仕方ないなんて、俺は絶対に思わないよ」

  _
( ゚∀゚)「たとえ離れてても、俺たちは親友だろ?今度は夏とかに遊びに来いよ。川釣りも教えてやっからさ!」


いつもと変わらない笑顔を見せて、ジョルジュがブーンに拳を突き出す。

( ;ω;)「ありがとだお、ジョルジュ」

その拳に、ブーンも拳を合わせる。

180 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:38:15 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「さ、ツン!締めてもらおうか!」

('A`)「考える時間もあったしな」

冷めてしまったココアを一口飲んで、ツンがうーんと唸る。


ξ゚听)ξ「大体言おうと思ってたことも、みんなに言われちゃったしなぁ・・・」

ξ゚听)ξ「でも、みんなあんたのことを友だちだって思ってるのは嘘偽りのないことよ」

ξ゚听)ξ「あんまり思いつめないでさ、たまには逃げたっていいと私は思うの」

ξ゚ー゚)ξ「その時は、またソーサクに来なさいよ。ケーキくらいならご馳走してあげるからさ」


言い終えて、ひらひらと手を振る。

他のみんなと比べると短い挨拶だが、それがツンらしいなと思った。

181 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:39:01 ID:hzNFG4rg0


( うω;)「みんな、本当にありがとうだお・・・」

涙を拭い、目を閉じて深呼吸をする。

みんなに伝えたいことが頭の中をぐるぐる回る。

それを出来るだけ短くまとめて伝えようとする。


( ;ω;)「ソーサクに来る前は正直不安だったお。いじめられていることを隠し通せるのかって」

( うω;)「でも、考え過ぎだったお」


( ;ω;)「みんな、僕のことを友だちとして受け入れてくれて・・・。僕のためを思って、声をかけてくれて」

( ;ω;)「あぁ、僕はこのままで良いんだって、初めて気がついたお」

182 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:40:08 ID:hzNFG4rg0


( ;ω;)「クーと一緒にいると、何だか僕まで自信が湧いてきて。それが大事なことだと思ったお」

川 ゚ー゚)「胸を張って生きているだけさ」


( ;ω;)「ドクオと一緒にいると、気兼ねなく、本当にありのままの自分を出すことが出来たお」

('∀`)「そういってくれんのは、スゲェ嬉しいよ」


( ;ω;)「ハインと一緒にいたら、いつも笑っていられたお。ビップにいるときは、そんなこと全然無かったのに」

从;∀从「ああああぁ、折角ちょっと泣き止んだのにぃ・・・」


( ;ω;)「ツンといると、毎日がただただ楽しくて仕方なかったお」

ξ゚ー゚)ξ「それは大げさよ」


( ;ω;)「ジョルジュには、ジョルジュには僕が間違えてるって、真っ直ぐに指摘してくれたお」

( ;ω;)「ジョルジュのお陰で、僕は吹っ切ることができたお」

  _
( ゚∀゚)「友だちのためだ。殴ったのは、本気で悪いと思ってるけどな」

183 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:40:52 ID:hzNFG4rg0


みんな、ブーンの話に笑顔で答えてくれる。

ハインだけは、号泣度がマックスに達して、鼻水もとんでもないことになっているが。


( ;ω;)「そして、いじめに負けないように、少しずつ頑張っていく勇気をみんなには貰ったお」

( ;ω;)「ソーサクで過ごした、みんなと過ごした時間は、僕にとっての大切な宝物だお!」

( ;ω;)「僕と友だちになってくれて、本当にありがとうだお!!」


みんなに向かって、頭を下げる。

もう、涙で前は見えなくなっていた。

184 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:42:02 ID:hzNFG4rg0


从;∀从「うぉぉぉ!ブーン!」

ハインがものすごい勢いで飛びかかってきて、頭をバシバシと叩く。

( ;ω;)「痛っ!痛いおっ!」


(うA`)「ほら、痛がってんだろハイン」

从;∀从「だって!だってブーンが・・・!」

( ;ω;)「大丈夫だお、絶対また会いに来るからお・・・」

( ;ω;)「おーん!おーん!」


川 ゚ー゚)「はいはい、二人とも顔ぐしゃぐしゃじゃないか。ほら、鼻かみなよ」

( ;ω;)「お・・・、ありがとだお」


( ;ω;) チーン


('A`)(・・・漫画みたいな音だな)


从;∀从 ブァー!ブォーン!!


( ;ω;)(エンジンみたいな音出すおね)


从;∀从 ピーピー


从;∀从(鼻から笛みたいな音鳴る・・・)

185 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:43:02 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「・・・それじゃ、そろそろ行くかー」

( うω;)「もうそんな時間になってたのかお」

川 ゚ -゚)「折角だし、最後まで見送らせてもらうよ」

( ^ω^)「お、ありがとだお!」

ξ゚听)ξ「よし、忘れ物は無いわね。じゃあ出ましょうか」


コートを羽織り外に出ると、雪が静かに降っていた。

ジョルジュとハインがふざけ合いながら、ドクオとクーがそれを眺めながら、ブーンの前を歩いていく。


( ^ω^)(この雪も、みんなの後ろ姿を見るのも最後かお・・・)

さっき散々泣いたのに、また涙がこぼれそうになる。

186 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:43:57 ID:hzNFG4rg0


ξ゚听)ξ「・・・雪、綺麗よね」

隣を歩いていたツンが、ポソリと言う。

( ^ω^)「本当にそう思うお・・・」

道の先では、3対1でドクオに雪玉が集中している。


( ^ω^)「みんなのこんな光景を見てると、何でか泣きそうになるんだお」

ξ゚听)ξ「そいえばさ。さっき、あんた言ってたじゃない?最近朝起きたらーって」

( ^ω^)「ああ、言ったおね」

ξ゚听)ξ「私も、さ。最近寝る前とかに考えるのよね」

ξ --)ξ「あぁもう少しでブーンが帰っちゃうんだなぁって」

(*^ω^)「おっ、寂しがってくれるのかお?」

ξ;゚听)ξ「ば、バカじゃないの?あんたは大袈裟に受け取りすぎなのよ!!」


顔を赤くして、バシバシと肩を叩かれる。

187 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:44:56 ID:hzNFG4rg0


ξ*゚听)ξ「でも、そりゃ少しはね・・・。何かあんたって放っておけないし!」

(*^ω^)「それでも、そう言ってくれるのは嬉しいお」

ξ*゚听)ξ「だ、だから!また絶対こっちに来なさいよ!少しは成長してね!」

(*^ω^)「おっおっ、頑張るお」


ξ゚ー゚)ξ「・・・うん。あんたはそうやって、笑顔でいた方が絶対に良いわよ」

(*^ω^)(おっ・・・)

寒さと恥ずかしさのせいで、顔が少し赤らんでいるツンの笑顔。


それは、この先ずっと忘れられないものだった。

188 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:46:06 ID:hzNFG4rg0


( ^ω^)「つーおばさん。本当にお世話になりましたお」

【喫茶ひととき】の前に停めてあるショボンの車に荷物を載せた後、改めてつーに対してお礼を言う。


(*゚∀゚)「いいんだよ!私も楽しかったし、ブーンの助けになったんなら嬉しいよ」

にっこりと笑顔を見せ、ブーンの頭をわしゃわしゃと撫でる。

つーに撫でられるのは、母に撫でられる時とはまた違う安心感がある。

(*゚∀゚)「またいつだって遊びに来ていいからね?今度はお母さんも連れてさ!」

(*^ω^)「ありがとうございますお!」


( ´・ω・`)「さて、そろそろ行こうか。みんなも、わざわざ見送りに来てくれてありがとね」

189 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:47:10 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「やっぱ少しでも一緒にいたいんで!」

从;∀从「うぅ、また涙が・・・」

(*゚∀゚)「ブーンは本当良い友だちに恵まれたね!」

(*゚∀゚)「みんなは良かったらココアでも飲んでいきなよ」

川 ゚ -゚)「すみません、ありがとうございます」


川 ゚ー゚)「それじゃあ、ブーン。私たちはここで待ってるからな」

クーがひらひらと手を振る。

その表情はいつもと変わらない、何だか自信に満ちた表情。

会える日が必ず来ると、信じて待っていてくれるんだろう。

190 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:48:14 ID:hzNFG4rg0


( ^ω^)「みんなには、ありがとうじゃ足りないおね」

  _
( ゚∀゚)ノシ「そんなん良いんだよ!また笑ってさ、バカやって遊ぼうぜ?それだけでいいんだよ!」

ジョルジュもまた、普段と変わらない笑顔でブーンに手を振る。


('A`)「それじゃあな、ブーン。楽しかったよ!」

从;∀从「ああぁぁぁ・・・。今は涙止まんないけど、次会う時までには泣きやんどくぞー!」

( ^ω^)ノシ「おっおっ、そしたらまたねだおー!」

191 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:49:24 ID:hzNFG4rg0


別れの時間は長くなればなるほど、つらくなるものだ。

みんなに手を振って車に乗り込もうとした時、突然、ツンの呼び止める声が聞こえた。


ξ;凵G)ξ「ねぇ!その・・・」


( ;^ω^)「ツン・・・?」


ξ;ー;)ξ「ブーン!わ、私も、待ってるからね!!」

今まで涙を見せなかったツンが、泣いていた。

ただ彼女らしく、ただ泣くんじゃなくて、必死に笑顔を見せようとしていた。

192 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:50:14 ID:hzNFG4rg0


(*^ω^)「・・・絶対戻ってくるお!!」




ξうー;)ξ「うん!!」




だからこそ、笑顔で返さないと。


彼女が、笑顔の僕が良いと言ってくれたから。

193 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:51:07 ID:hzNFG4rg0


以上、第3章【初めての親友と冬休みの終わり】でした

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