( ^ω^)の冬休みのようです

115 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:17:24 ID:hzNFG4rg0


次の日、約束通りみんなハインの家へ集合し、各自宿題にとりかかっていた。

ブーンは算数が大の苦手のハインに、速さを求める問題の解き方を教えていた。

( ^ω^)「だからここはこうなるんだお」

从 ゚∀从「おおぉ、わかりやすいな!ブーンすごいじゃん!」

( ;^ω^)「そ、そんなことはないお」

(*^ω^)(でも、頼りにされるのはやっぱり嬉しいお)


川 ゚ -゚)「そういや、明後日のクリスマスパーティもツンの家でやるのか?」

ξ゚听)ξ「そっか、忘れてたわ。多分親も良いって言うと思うわ」

从 ゚∀从「ブーンも来ないか?」

( ^ω^)「クリスマスパーティかお・・・?」

('A`)「ああ。ツンの家、お菓子屋さんだろ?だから毎年ツンの家で集まってるんだよ」

(;^ω^)「僕も行って良いのかおそれ?」

ξ゚听)ξ「一人くらい増えたところで構わないわよ。それに、お父さんもブーンが来るって言ったら喜びそうだしね」

116 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:18:41 ID:hzNFG4rg0


( ^ω^)「そ、それじゃお言葉に甘えてお邪魔するお!」

(*^ω^)(クリスマスパーティなんて呼ばれたことないから、楽しみだお)
  _
(;゚∀゚)「それまでにある程度宿題やっとかねぇとか・・・。ブーン、俺にもちょっと教えてくれよ!」

( ^ω^)「おっおっ、見せて欲しいお」


ジョルジュが教えて欲しいといったのは、理科の問題。

水溶液の特性などをまとめたプリントだった。

( ^ω^)(これは確か昨日の宿題に似た問題があったおね)

そう思い、カバンから自分の理科の宿題を取り出し、ジョルジュの問題と見比べる。

( ^ω^)「これはリトマス紙が赤色になってるから・・・」

  _
( ゚∀゚)「ん?ブーン、このプリント・・・」

117 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:19:16 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「何で同じのが3枚もあるんだ?」























(;°ω°)「・・・あっ!」

118 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:21:54 ID:hzNFG4rg0


ジョルジュの手には同じ理科の問題が3枚。

すっかり浮かれてしまっていて、ニダーたちの宿題を抜いてくるのを忘れてしまった。

(;^ω^)「いや、それは念のためにコピーしておいたやつで・・・」

何とか誤魔化さないとと思うも、焦ってしまって自分でも何を言っているのかわからなくなる。

从 ゚∀从「・・・ブーン、それは一体誰のだよ?」

ハインも手を止め、ブーンの宿題を指差して、睨みつけるように言う。

( ;^ω^)「だ、だから!それは全部僕の・・・」

  _
(;゚∀゚)「嘘つくなよ!自分の宿題をわざわざ増やすやつなんていないだろうが!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、落ち着きなさいよ」

('A`)「そうだぞ、デカイ声出すことないだろ?」
  _
(;゚∀゚)「いや、でもさ!」

川 ゚ -゚)「ブーン、実際それは何なんだ?・・・そして何故嘘をつく?」

119 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:22:58 ID:hzNFG4rg0


(; ω )「〜〜〜っ、何でもないお!」

みんなから向けられる疑いの目。

それに耐えることが出来ず、カバンを持ってハインの部屋から飛び出す。

从; ゚∀从「あっ!待てって、ブーン!!」

ξ;゚听)ξ「ちょっと!!」

みんなの呼び止める声に構わずに外へ出て、ひたすら走る。


(; ω )「はぁ、はぁ・・・」

この3日間、完全に浮かれ過ぎていた。

楽しさのあまり、油断していた。

自分がいじめられていることを忘れていた。

せっかく、念願の友だちが出来たのに。

そして、その人たちに嘘までついて、逃げてきてしまった。

(; ω )(みんなにはこの宿題が他の誰かのだって、絶対バレちゃったお)

120 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:24:02 ID:hzNFG4rg0


つまり、いじめられているということが、みんなにバレてしまった。

あれだけ注意していたのに。
自分は何て馬鹿なんだろう。

いじめられっ子のくせに、何で調子に乗ってたんだろう。

(  ω )(いじめられてるのがバレたら、きっともう遊んでくれないお)

いじめられている奴となんて、もう遊んでくれないだろう。

嘘をついて逃げた奴となんて、もう話してくれないだろう。

こんなダメな奴となんて・・・。


( ;ω;)


ニダーたちに馬鹿にされても、殴られても、滅多に流れることのない自分の涙。

今はどうしようもないほど溢れ出て、頬を伝っていく。

今はただ、その涙を拭うこともなく走った。

121 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:25:12 ID:hzNFG4rg0


家の前に着いてから、ようやく涙を拭う。

息を整えて、気持ちを一度落ち着かせてから家の中に入る。

今日は喫茶ひとときが定休日のため、ショボンもつーもいるはずだ。

何かあったことは悟られないようにしないといけない。

ズキズキと胸の奥が痛む。
その痛みに耐えながら、階段を静かに登っていく。


(  ω )「・・・ただいまですお」

(*゚∀゚)「あれ?おかえりブーン。随分と早かったね」

(  ω )「ちょ、ちょっと具合が悪くなっちゃって、途中で帰ってきたんだお・・・」

つーの顔を見ることができず、下を向いたまま嘘をつく。

122 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:26:08 ID:hzNFG4rg0


(´-ω-`)「・・・本当にそうなのかい?」

ショボンが低い声で言う。

( ´・ω・`)「本当に、ただ具合が悪いだけかい?」

(  ω )「・・・」

何も言えない。
ただ、唇をギッと噛み締めて時が過ぎるのを待つ。


すると、つーがブーンの横に立って、肩に手を置く。

(*゚∀゚)「言いづらいことかもしれない。ただ、本当のことを言って欲しいんだよ」

(*゚∀゚)「・・・今日は店休みだし、下でコーヒーでも飲もうか」

つーの提案に黙って頷き、二人の後に続いて階段を下りる。

123 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:27:18 ID:hzNFG4rg0


一階は暖房が切られていたため、吐いた息が白くなるほどに冷えていた。

( ´・ω・`)「今暖房を入れるから、ちょっと寒いけど少しの間我慢してくれ」

ショボンが暖房のスイッチを入れる。

少し埃っぽい臭いがする風が、部屋の中をゆっくりと温めていく。

ブーンは静かにカウンター席へと座った。


( ´・ω・`)「豆はこちらで決めても良いかな?」

(  ω )「・・・構いませんお」


ショボンがコーヒー粉をネルにセットし、お湯を注いでいく。

BGMは何もかかっていない。

店内には、コーヒー液がサーバへと落ちる音だけが響く。

124 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:29:03 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「はい、お待たせ」

ショボンから渡されたコーヒーを無言でコーヒーを受け取る。

( ´・ω・`)「今日淹れたのはマンデリンという種類の豆だよ」

(*゚∀゚)「ブーンにはちょっと苦いかもしれないけどね」


以前つーに教えてもらったように、飲む前にカップを鼻に近づけて香りを嗅ぐ。

マンデリンの香りは、前に飲んだグァテマラとは全然印象が違った。

同じ見た目、黒に近い茶褐色の液体なのにここまで違うのか、と不思議に思う。

一口、カップから啜る。

やはり味も別物で、グァテマラにあったような酸味はない。
正に『コーヒー』というようなどっしりとした苦味があった。


(  ω )「・・・苦いですけど、飲めそうですお」

(*゚∀゚)「ブーンには苦味が強すぎるかもしれないね」

(*゚∀゚)「砂糖やミルクを入れても美味しいから、お好みで入れなよ」

125 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:30:19 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「さて、ブーン君。友達の家で宿題をしていたんだろう?」

( ´・ω・`)「それなのに、どうしてこんなに早く帰ってきたんだい?」

(  ω )「途中で具合が悪くなっちゃったんですお・・・」

(  ω )「だから・・・、それだけですお」

おそらく、ショボンたちにはもう嘘だとバレているだろう。

それでも、震える声で嘘をつく。

ソーサクに来てからのこの数日間は、いじめとは無縁の生活で、とても楽しかった。

友だちと遊び、笑い合うことができた。


今ここで、ハインの家での出来事を正直に話してしまったら。

学校ではいじめられているんだと、出来たばかりの友だちに嘘をついて逃げ出してきたんだと告げたら。

ショボンたちにもよく思われないかもしれない。

126 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:31:56 ID:hzNFG4rg0


(  ω )「・・・」

頭の中で、ニダーたちの笑い声が響く。

もう誰にも、自分がいじめられていることを知られたくない。

これ以上、惨めな気持ちになりたくない。


( ´・ω・`)「・・・ブーン君。僕とつーはコーヒー屋だ」

( ´・ω・`)「コーヒー屋っていうのは、ただコーヒーを商品として売るのが目的じゃないんだよ」

ショボンが諭すような声で言う。

( ´・ω・`)「この【喫茶ひととき】だって、コーヒーでお金を稼ぐためだけに始めたわけじゃない」

(´-ω-`)「僕らは、お客さんのちょっとした話や悩みを聞いてあげて、この店で過ごす時間、ここでコーヒーを飲む"ひととき"を少しだけ贅沢にしてあげたいんだ」

127 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:33:19 ID:hzNFG4rg0


(*゚∀゚)「本当のことを言うのは嫌かもしれない。ひどく苦しいかもしれない」

(*゚∀゚)「でも、私たちは偽りない気持ちで、このひとときを過ごして欲しいんだよ」

つーが隣の席へ座り、ブーンの頭を優しく撫でる。


( ;ω;)「うぅ・・・」

涙が堰を切ったように流れ出す。

頬を伝う涙が、膝の上で固く握りしめられている拳の上に落ちる。

128 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:35:14 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「・・・ここに砂時計があるだろう?」

ショボンがカウンターの上に、一つの砂時計を置く。

( ´・ω・`)「コーヒーを淹れるとき、時間は非常に大切なもので、味に大きく影響してくる」

( ´・ω・`)「そして、僕たち人間にとっても時間という概念は特別なものだ」


( ´・ω・`)「砂時計は、上から下に砂が落ちることによって時を刻む。決して戻る事はない」

( ´・ω・`)「上の部分、"未来"にある砂が下の部分、"過去"へと流れていくんだ」

ショボンが砂時計をひっくり返すと、砂がサラサラと空っぽの"過去"へ流れていく。


( ´・ω・`)「そうすると、この真ん中の砂が通り抜ける部分は"現在"、なんだよ」

( うω;)「・・・」

涙を拭い、ショボンが指差した"現在"をじっくりとみる。

129 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:38:06 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「"未来"から"現在"を通り、"過去"になる。そうして時は流れていく」

( ´・ω・`)「じゃあブーン君。この穴が、"現在"が塞がってしまったらどうなる?」

(  ω )「・・・砂は落ちないですお」

(´-ω-`)「その通り。つまり"現在"を塞いでしまうと、時間は流れなくなってしまうんだ」


(*゚∀゚)「塞がってしまう理由は人それぞれさ。不安や悲しみ、怒りだとかね」

(*゚∀゚)「でも、それは全部負の感情なんだよ。辛い時間が長く感じるのは、その所為さ」


( ´・ω・`)「必要なのは、しっかりと"現在"に、自分の心に穴を開けておくことだ」

(´-ω-`)「滞ることなく、時間が流れるようにね」

130 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:39:34 ID:hzNFG4rg0


砂時計の砂が全て落ちきった。


(  ω )「叔父さん、おばさん・・・。僕、が、学校でいじめられてて、一人も友だちいなくて」

( ;ω;)「さ、さっきもみんなにいじめられてるのがバレて・・・。それで嘘までついて逃げてきちゃって!」

( ;ω;)「せっかく、せっかく出来たばかりの友だちなのに!嫌われるようなことしちゃって!」


(#;ω;)「みんなにだけは、いじめられてるの知られたくなかった!

(#;ω;)「誰も、いじめられてる奴なんかと遊んでくれないから!一人ぼっちはもう嫌だから!!」


カウンターに突っ伏して、泣き叫ぶ。

今まで我慢していた言葉たちが一気に溢れ出してきて、まとめようにも上手くまとめられない。

131 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:41:10 ID:hzNFG4rg0


つーが優しく、ブーンの肩を抱きしめる。

(*゚∀゚)「話してくれてありがと、ブーン。いいかい?一人で抱え込んじゃダメなんだよ」

ブーンの頭を撫でながら、宥めるように言う。


( ´・ω・`)「・・・ブーン君、これからやらないといけないことはわかるかい?」

( ;ω;)「う、うぅ・・・」

( ;ω;)「み、みんなに謝らないと・・・」

( ´・ω・`)「そうだね。キチンとみんなに話さないといけない」

( ´・ω・`)「そうしたらブーン君の時間も、流れるはずさ」

(*゚∀゚)「さ、いっておいで」


鼻水をかみ、つーの肩を借りてブーンはフラフラと立ち上がる。

涙を拭い、いってきますと呟き外へ出る。

132 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:41:51 ID:hzNFG4rg0


(*゚∀゚)「大丈夫かな、ブーン・・・」


(´-ω-`)「大丈夫さ。子どもっていうのは、僕らが思ってるよりずっと大人なものだよ・・・」


カチャカチャと、つーがコーヒーカップを洗う音が部屋の中へ響いた。

133 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:43:20 ID:hzNFG4rg0


(  ω )(みんなに、謝らないとだお・・・)

項垂れながら、ハインの家まで向かう。

外には雪がちらついていた。

足は重たかったが、それでも自然と前に歩き出せた。

みんなに伝えるのは、もちろん怖い。

それでも。

(  ω )(それでも、しっかり伝えないと・・・)


ふと、自分を呼ぶ声が聞こえたため顔を上げると、みんなの姿が見えた。

(; ゚ω゚)「あっ・・・」

(;'A`)「はぁ、はぁ。ブーン・・・」

川; ゚ -゚)「今、みんなでショボンさんのところへ行こうと思っていたんだ」

どうやら走ってきたらしく、みんな息を切らしてブーンの前に来る。

134 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:44:26 ID:hzNFG4rg0


(; ゚ω゚)「み、みんな、その・・・」

从; ゚∀从「心配したんだぞ。急に飛び出してったから」

( ;^ω^)「ほ、本当にごめんなさいだお!」

何度も、みんなに向かって頭を下げる。

ξ゚听)ξ「何で飛び出していったかは、説明してくれるのよね・・・?」


(; ω )「じ、実は僕・・・」

雪が少し強くなってきて、風も冷たく吹いている。

だけれど、体は変に熱く汗をかいてくる。

顔が自然と下を向いてしまうが、それでも何とか言葉にしようとする。

135 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:45:29 ID:hzNFG4rg0


(; ω )「僕、学校でいじめられてて・・・。それをみんなに知られたくなくて・・・」

寒さで震えている訳ではない拳を握りしめて、みんなに打ち明ける。


从; ゚∀从「何でそんなにいじめられてんのをあたしたちに知られたくないんだよ?
てか、何でブーンがいじめられないといけないんだよ」

(  ω )「僕の父親は他所に他の女の人がいて、家を出てっちゃったんだお。だから、片親だからっていじめられてるんだお」

(; ω )「みんなにいじめられてるって知られたら、仲間に入れてもらえないかと思って・・・」

(; ω )それで・・・」


自分のことがどんどんと惨めに思えてきて、そこで言葉が詰まってしまう。

136 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:46:28 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「なんだよ、それだけの理由かよ」


(; ω )「・・・え?」


今まで一言も発しなかったジョルジュが、口を開く。

その、ジョルジュの返答に耳を疑う。

そんなこと?僕のこの悩みをそんなことで片付けるのか?

('A`)「おい、ジョルジュそんな言い方は・・・」

  _
( ゚∀゚)「なぁ、たったそれだけの理由だったのかよ」

(  ω )「・・・それだけって、なんだお」

挑発的な口調のジュルジュに対して、戸惑いから苛立ちへと気持ちが徐々に変わっていく。

137 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:47:27 ID:hzNFG4rg0


だが、なおもジョルジュは強い口調で続ける。
  _
( ゚∀゚)「いじめられてる自分を俺らに隠そうとして、逃げたんだろ?」
  _
( ゚∀゚)「本当のことは言わねぇで。んで、さらには嘘まで吐きやがって」
  _
( ゚∀゚)「つまりは俺らのこと、信じてなかったってことだろ」

ジョルジュはブーンのことを睨みつけ、強い口調で言う。


(; ω )「べ、別にそうとは思ってないお。ただ・・・」
  _
( ゚∀゚)「ただ?ただなんだよ?」

(; ω )「そ、それは・・・」


川 ゚ -゚)「ジョルジュ、その辺にしておけよ」
  _
( ゚∀゚)「ほら、何にも言えないじゃねぇかよ」

138 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:48:51 ID:hzNFG4rg0


(; ω )「・・・何で、ジョルジュにそんな言い方されないといけないんだお」
  _
(#゚∀゚)「なんでだぁ!?元はと言えば、お前が逃げたからだろうが!」


(# ω )「ジョルジュには!ジョルジュにはいじめられてる奴の気持ちがわかるのかお!!」

イライラが頂点に達し、とうとう怒鳴り返してしまった。

こんなのは八つ当たりだ、と頭のどこかでは思っていても、止めることはできなかった。


(# ゚ω゚)「何もしてないのにみんなから無視されて!誰も僕のことなんて友達と思ってくれなくて!」

(# ゚ω゚)「誰にも相談できないで一人でいる寂しさが、ジョルジュにはわかるのかお!!」

どうしようもない怒りが外に溢れ出る。

139 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:50:17 ID:hzNFG4rg0


  _
(#゚∀゚)「じゃあお前は!今まで変わろうとしたことがあんのかよ!!」

(# ゚ω゚)「そんなの、無理に決まってるお!

(# ゚ω゚)「嫌がったり、言い返したりしたら、それ以上のいじめを受けるんだお!!」


(#;ω;)「もう我慢してるしか、どうしようもないんだお!!」

泣きながら、大声で叫ぶ。

もう頭の中はぐしゃぐしゃだった。

クーやツンも、戸惑いの表情を見せている。

140 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:51:29 ID:hzNFG4rg0


  _
(#゚∀゚)「馬鹿かてめぇはぁ!!」



(#;ω;)「ぶへっ!!」



ジョルジュが勢いよくブーンに殴りかかる。

よろけたブーンにさらに飛びかかろうとするジョルジュをドクオとハインが止める。

(#'A`)「ジョルジュ!お前いい加減にしろ!」

从# ゚∀从「一旦頭冷やせよ!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとブーン平気?」
  _
(#゚∀゚)「結局お前は逃げてるだけなんだよ!いじめてる奴らからも、自分からもな!!」

2人に羽交い締めにされながらも、ジョルジュはブーンに向かって叫ぶ。

141 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:52:30 ID:hzNFG4rg0


  _
(#゚∀゚)「我慢するしか方法がないだぁ?お前はそれでいいのかよ!!」

(#;ω;)「・・・っ!!」

勢いよく立ち上がり、ジョルジュ目掛けてタックルする。

ドクオとハインが、慌ててジョルジュから離れる。



(#;ω;)「ああああぁ!!」



  _
(#゚∀゚)「っ!!」




倒れたジョルジュに馬乗りになり、ジョルジュの頬を殴る。

手の骨がジンジンと痛んだ。

142 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:53:38 ID:hzNFG4rg0


川# ゚ -゚)「お前ら!いい加減にしろ!!」

(#'A`)「おい!ブーン!」

普段は飄々としているクーも、大声を出して止めにかかる。

ドクオに羽交締めにされ、ジョルジュから引き離される。


(#;ω;)「ぼ、僕だっていじめられたくないお!!」

(#;ω;)「バカにもされたくないし、殴られたりなんて、したくないお!!」

(#;ω;)「ただ、母さんに迷惑かけたくないんだお!みんなにだって、純粋に嫌われたくなかったんだお!」


( ;ω;)「我慢なんて・・・。我慢なんて、したくないお・・・」

一気に足の力が抜けて、ドクオの腕から滑り落ち、地面へ座り込む。

143 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:55:11 ID:hzNFG4rg0


  _
( ゚∀゚)「・・・ブーン。この世の中に、いじめられても仕方ない奴なんて、絶対にいないと思うんだ」

ジョルジュが先程までとはうってかわり、優しい口調で続ける。
  _
( ゚∀゚)「もう、我慢すんな。自分にまで嘘ついて、塞ぎこんじゃいけねぇよ」

ブーンの肩に手を置き、いつも通りの笑顔を向けてくれる。

俺がついてるから、と思わせてくれるような笑顔だ。


( ;ω;)「うぅ・・・」

( ;ω;)「ジョルジュ、みんな。本当にごめんなさいだお!」

  _
(;゚∀゚)「てか、こっちがすまん。熱くなりすぎちゃって、つい殴っちまって・・・」

( ;ω;)「そんなの、全然いいんだお。僕の方こそ、ごめんだお」

144 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:56:19 ID:hzNFG4rg0


从;∀从「うおおぉ!!ブーン!!」

ハインが号泣しながらブーンのことを抱きしめる。

地味に首が締まっているため、少しハインを遠ざける。

ハインは気にすることなく、顔を赤くしながら泣きついてくる。


从;∀从「お前つらかっただろ!嫌だっただろ!!」

从#;∀从「よし、お前のこといじめてる奴ら、全員ブッコロしてやる!!」

( うω;)「別にそこまでしなくてもいいおー・・・」


(;'A`)「というかジョルジュ。お前本当にやり過ぎだろうが」

ドクオがジョルジュの頭を一発はたく。
  _
(;゚∀゚)「本当に悪いと思ってんだ。ただ俺はブーンのことを思って・・・」

145 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:57:03 ID:hzNFG4rg0


川 ゚ー゚)「昔っから、変に友達想いなんだよ、こいつは。ブーン、許してやってくれないか?」

( ;^ω^)「お、本当にいいんだお。僕も殴っちゃったし・・・」

( ^ω^)「むしろ、そこまで思ってくれて嬉しいお」

ξ--)ξ「当たりまえじゃn从;∀从「当たり前だブーン!あたしたちはもう親友同士だろ!!」



ξ#゚听)ξ

146 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:57:57 ID:hzNFG4rg0


親友。


いじめられていると知っても、嘘をつかれても、喧嘩をしても。

みんなは自分を親友だと言ってくれる。

自分一人では抱えきれないような悩みでも、みんなが一緒に背負ってくれる。

何でみんなそんなに優しいのか。

その優しさに、また涙が溢れる。


( ;ω;)「お・・・。本当に、ありがとうだお」

('A`)「おい、もう泣くなって」

ドクオがポンポンと肩を叩く。

147 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 10:59:11 ID:hzNFG4rg0


( うω;)「穴、開いたお・・・」

小さく口から言葉が漏れる。


ショボンの言っていたことが、理解できた。

ようやく自分の心にも穴が開いて、止まっていた時間が流れた。

下を向き、立ち止まっていた自分の時間。

今、ようやく歩き出すことができる。

時が、進み始める。


心の中に溜まっていたモヤモヤも、薄れていk 从;∀从「穴ぁ!?コートにか?ズボンにか!?」


( ;ω;)

148 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:00:39 ID:hzNFG4rg0


ξ;゚听)ξ「あ、ブーン口元・・・!」

( うω;)「・・・お?あ、血が・・・」


ツンに言われ口元を拭うと、手にうっすらと血が付いた。

どうやらジョルジュに殴られた時に、唇が切れてしまったらしい。

  _
(;゚∀゚)「大丈夫かブーン!?」

( ;^ω^)「まぁこれくらいは特に何ともないお」


慌てた様子で、ジョルジュが心配してくれる。

しかし、ニダー達に殴られたときは酷く嫌な気持ちになったが、今は何だか清々しい気分で、あまり気にならなかった。

149 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:01:55 ID:hzNFG4rg0


手に付いた血を積もった雪で拭う。

真白い雪が赤く染まるが、それをまた降りゆく雪が白へと変えていく。


ξ゚ー゚)ξつ「はい、これ当てておきなさいよ」

( ^ω^)つ「お、雪かお??」

ツンに手渡されたのは、小さな雪玉。

言われた通りにそっと傷口に当てると、痛みで熱を帯びていた唇が一気に冷やされていく。

ヒンヤリとした雪の温度が、気持ちよかった。


( ^ω^)「おっおっ、ありがとうだお、ツン」

ξ゚听)ξ「ま、そんなに心配はしてないけどね」

( ;^ω^)「そこはしてくれお・・・」

150 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:02:51 ID:hzNFG4rg0


川 ゚ -゚)「ま、とりあえずは仲直りってことでいいのかな?」

( ^ω^)「うん、問題ないお!」

ξ゚听)ξ「それじゃ、ハインの家に戻って宿題の続きしましょうか」
  _
( ゚∀゚)「ブーンも来いよ!俺まだ解き方教えてもらってないしな!」

笑顔で、そう言って誘ってくれる。

本当に、友達想いなのだろうと思う。

( ^ω^)「じゃあ、荷物取ってから行くお」

('A`)「んじゃ、先に行ってるぞ」

( ^ω^)「把握だお!」


みんなと別れ、走って荷物を取りに戻る。

( ^ω^)(ショボン叔父さんたちに、お礼を言わないとだお)


( ^ω^)(・・・今日の夜、母さんにもちゃんと言うお)

151 名前: ◆IDKgEZ2b96 投稿日:2016/04/02(土) 11:03:46 ID:hzNFG4rg0


( ´・ω・`)「どうやらその様子だと、仲直りできたみたいだね」

(*゚∀゚)「良かった良かった」


家に入ると、ショボンとつーがコーヒーを飲んでいた。

( ;^ω^)「叔父さんたちのおかげですお。本当にありがとうございましたお」

( ´・ω・`)「何も問題ないよ。これからまた友だちのところに行くのかい?」

( ^ω^)「お、そうですお」

(*゚∀゚)「それじゃ、気をつけて行くんだよ?」

つーがブーンの頭を撫でる。

(*^ω^)「じゃ、行ってきますお!!」

カバンを持って!外に出る。

先ほどまで降っていた雪は止んでいて、雲の隙間からは太陽が覗いていた。

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