-
1 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:03:29 ID:SluN1e120
-
玄関。
廊下。
左手に居間。
右手に階段。
奥には風呂。
隣にトイレ。
微妙な位置の洗面所。
私の家には、今は私しか居ない。
ここが私の城である。
誰かと関わる事は得意じゃないし。
友人だって数える程しか居ない。
それでも私は満たされていた。
何も、特別な事は求めていなかった。
この何も無い平穏が、気に入っていた。
-
2 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:05:29 ID:SluN1e120
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別に冒険とかした事無くて。
別にロマンスもした事無くて。
両親は揃って家に居なくて。
気の許せる友人がほんの数名で。
私はそれでも、幸せだった、と思う。
そんな私に襲い掛かったのは、紛れもない非日常。
私の愛した平穏なる日常は、そなドアを開けた瞬間、崩れ去ったのだ。
川 ゚ -゚)「うートイレトイレ、漏れる漏れるうんこが漏れる」
|゚ -゚)゙ ガチャ
( ^ω^)
|゚ -゚)
(^ω^ )!?
-
3 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:07:34 ID:SluN1e120
-
私の家のトイレが、異世界に繋がった。
【『トイレの』ドアを開けたら異世界だったようです】
こうして、私の平凡な日常が姿を消した。
|゚ -゚)「誰だお前」
(^ω^;)「僕のセリフですけど!?」
|゚ -゚)
(^ω^;)
|゚ -゚)「直野クール、探偵だ」
(^ω^ )「探偵は突然何もない空間にドアを出現させないと思いますが」
|゚ -゚)「嘘だ」
(^ω^ )「でしょうね!!」
-
4 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:09:23 ID:SluN1e120
-
トイレのドアを開けたら見覚えの無い石造りの部屋に繋がった。
どう見てもトイレでは無いし、どう考えても私の家じゃない。
だいたい私と言葉を交わす小太りのモブも知り合いじゃない。
こんなローブとか着たコスプレ小太りモブが近所に居れば絶対覚えてる。
しかも部屋の真ん中に大きな釜とかおいてある。
変な薬とかに見える物が棚に並んでる。
床に魔方陣とか描いてある。
ローブとか着ちゃってる。
なんか杖とか持ってる。
ローブ二回言ったな。
この状況からわかる事は一つ。
川 ゚ -゚)「ヤバいタイプの厨だなぁこれ……」
( ^ω^)「あ?」
川 ゚ -゚)「ああすみませんコスプレ小太りモブさんの事じゃないです違います」
( ^ω^)「あ゙ぁ?」
-
5 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:11:25 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「ここはどちらですかね、私の家から繋がったんですが」
( ^ω^)「森の中の小屋ですが」
川 ゚ -゚)「アイタタタ」
( ^ω^)「あ゙ぁん?」
川 ゚ -゚)「まぁそんな事はどうでも良くて、少しお願いがありましてね」
( ^ω^)「人んちがそんな事でどうでも良いと」
川 ゚ -゚)「うんこ漏れそうだからトイレ貸して下さい」
( ^ω^)「直球過ぎる」
川 ゚ -゚)゙「ドア閉まらないようにドアの下にスリッパ噛ませときますから」ガッガッ
( ^ω^)「やめてやめてこわいこわい足の爪がはじけ飛ぶやつだからやめてドア押さえとくから」
川 ゚ -゚)「いやぁ有り難いトイレどっちですかね」
( ^ω^)「…………あっちです」
,,,川 ゚ -゚)「お借りしまーす」
( ^ω^)
-
6 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:13:28 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)(何なのあの人、どんな神経で見ず知らずの人の家に上がり込んで暴言吐いてトイレ借りるの)
( ^ω^)(常人の神経じゃ無理だろ)
( ^ω^)(サイコパスかよ)
( ^ω^)
( ^ω^)(つかどうなってんのこのドア……何なの……何でドアの後ろ側を見れないの……)
( ^ω^)(テクスチャでも作り損ねてんの……不可侵域なの……そんなもん自宅に作られてどうしよう……)
(^ω^ )チラッ
( ^ω^)
( ^ω^)(そういやあのサイコパス美人ではあったな……何かがおかしそうだけど……)
( ^ω^)(主に頭辺りが……)
( ^ω^)
( ^ω^)(トイレなげーよマジでうんこかよ)
,,,川 ゚ -゚)「いやーすげーうんこ出たわ」
( ^ω^)(マジでうんこかよ報告すんなよ)
-
7 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:16:02 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)(ふむ……トイレではあったが……うん……)
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)(解放感あるよな……)
石造りの個室。
容赦の無いボットン便所。
と言うか壺。
あとケツ洗う水。
ポケットにティッシュ入ってて良かった。
何でこんな所までリアリティを求めてしまったんだ、水洗じゃ駄目だったのか。
でもなぜか全く臭いがしなかった。
ビジュアルはまぁうんこだったのだが、臭いが無い、まさしく無臭だった。
芳香剤教えてもらいたい。
凄く優秀な芳香剤に違いない。
しかも無香タイプだ、素晴らしい。
それにしても、本当にリアリティのある場所だ。
窓の外がガチの森だった。
映像でも流してるのだろうか。
-
8 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:17:31 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「コスプレ小太りモブさん」
( ^ω^)「ブーンです」
川 ゚ -゚)「文さん」
( ^ω^)「ブーンです」
川 ゚ -゚)「私は直野クール、探偵ではなくただの美女です」
( ^ω^)「ああそっすか」
川 ゚ -゚)「文さんご職業は?」
( ^ω^)「ブーンですけど魔法使いを少々」
川 ゚ -゚)「あーはいはい、三十路過ぎて童貞なんですね」
( ^ω^)「ア゙ァン?」
川 ゚ -゚)「アレでしょ? 童貞のまま三十路を越えた男達が夜な夜なローブを纏いサバトを開くって言う」
( ^ω^)「何その悲しみしか感じない悲壮感漂うサバト」
川 ゚ -゚)「してないんですか」
( ^ω^)「するわけねぇだろ」
-
9 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:18:52 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)(ここまでガチでロールプレイされるとやっぱ危ないタイプの人かもわかんねーな)
川 ゚ -゚)(あんまり関わらずにそろそろ戻ろうかな、サイコパスかもわからん)
川 ゚ -゚)(でもトイレがなぁ)
( ^ω^)(この人マジ何なの、発言が意味不明すぎる)
( ^ω^)(転移魔法の一種かなこのドア……確かに異空間には繋がってるし……)
( ^ω^)(何にせよ出ていけ)
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「あの」
( ^ω^)「はい」
川 ゚ -゚)「トイレの芳香剤はなに使ってます?」
( ^ω^)「使ってないです」
-
10 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:20:31 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「えっ……あんなに臭いしないのに……?」
( ^ω^)「悪臭を打ち消す様に設置型の魔法使ってるんでそれで臭いしないんですよ」
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「メーカーは?」
( ^ω^)「だから使ってねぇよ」
川 ゚ -゚)「いやもう失礼ですけどそう言うの良いですから、森とか魔法とか」
( ^ω^)(何言ってんだこいつ)
川 ゚ -゚)「個人の趣味や信条は否定しませんけど巻き込むのやめてくださいよ本当に」
( ^ω^)(対魔法使いの組織かなんかかな……魔法否定派の……もしくは訪問販売とか……)
川 ゚ -゚)「本当に住宅街に森とかマジで」ガチャ
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「森だァ───────────ッ!!!?」
( ^ω^)(キチガイかこいつ)
-
11 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:22:28 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「えっやだ何ここ、何ここ怖い、森だよこれ、マジの森だよ木漏れ日あるよ何だよこれ」
( ^ω^)「最初に言ったのに」
川 ゚ -゚)「待ってだってマジで住宅街の真ん中のトイレのドアの先だよ」
( ^ω^)「これトイレのドアかよ」
川 ゚ -゚)「えっ……えぇ……マジで言ってんのこれ……えぇぇぇ……」
( ^ω^)(もしかしてこのドアの向こう異世界だったりすんのかな……)
川 ゚ -゚)「もっとファンタジックで主人公らしい感じで来たかった…」
( ^ω^)(だとしたらこの人がキチガイなんじゃなくてマジで素の可能性あるな……)
川 ゚ -゚)「せめて小太りではないイケメンにナビゲートされたかった……」
( ^ω^)(ああいやド失礼な頭のおかしい異邦人だなこれ)
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「魔法使い?」
( ^ω^)「魔法使い」
-
12 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:24:26 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「こっち魔法とか無い世界なんでちょっと信じきれなくて」
( ^ω^)「はあなるほど」
川 ゚ -゚)「じゃあ火とか出してよ火とか」
_,,
( ^ω^)「出たよ魔法使いに対する唐突な無茶振り……」
川 ゚ -゚)「そんな関西人に対する面白い事言ってみたいな」
_,,
( ^ω^)「どいつもこいつも魔法使いと言えば火が出せると思いやがって……」
川 ゚ -゚)(鬱憤溜まってんなこの人)
_,,
( ^ω^)「魔法使いには色々種類があるのに何でそれが分かんねぇんだよ脳みそねぇのかよ……」
川 ゚ -゚)(そんな関西人にもコミュ障は居るみたいな……)
( ^ω^)「あ、そちらのご職業は」
川 ゚ -゚)「探偵さ」
( ^ω^)゙ イラッ
川 ゚ -゚)(あ、イラついたな)
( ^ω^)「じゃあ探偵のナオノさんは異世界から来たわけですね」
川 ゚ -゚)「にわかには信じがたいがそうなるらしい」
-
13 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:25:53 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「これ異世界への扉?」
川 ゚ -゚)「うんトイレのドア」
( ^ω^)「トイレのドアって言う現実思い出させんな」
川 ゚ -゚)「えぇ……現実であり事実なのに……」
( ^ω^)「異世界……存在すると言う文献はあったけど……マジであるとは……」
川 ゚ -゚)「ラノベみたいな事マジであんのな……」
( ^ω^)「どんな世界?」
川 ゚ -゚)「機械文明」
( ^ω^)「機械兵に支配されてるんです?」
川 ゚ -゚)「なにそれこわい」
( ^ω^)「いや昔そう言う国もあって」
川 ゚ -゚)「機械兵には支配されてないけどある意味機械に支配されてるかもな」
( ^ω^)「それディストピアじゃねーか」
川/ ゚ -゚)ゝ「ディストピアの異世界からやってきた謎多き美女」バァァァン
( ^ω^)、 ペッ
川 ゚ -゚)(うっわ傷つく)
-
14 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:27:00 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「まぁ異世界人なのは分かりましたから」
川 ゚ -゚)「そうか敬え」
( ^ω^)「帰ってくれません?」
川 ゚ -゚)「お茶の一杯も出さないのか」
( ^ω^)「トイレ貸しましたけど」
川 ゚ -゚)「ありがとうございました」
( ^ω^)「じゃあ帰って下さい」
川 ゚ -゚)「ねぇねぇおじちゃん」
( ^ω^)「はったおすぞ」
川 ゚ -゚)「あれ何?」
( ^ω^)「釜」
川 ゚ -゚)「何に使うのこれ」
( ^ω^)「薬作ったり」
川 ゚ -゚)「へー」
-
15 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:28:13 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「アレか? 惚れ薬とか作るのか?」
( ^ω^)「あるかそんなもん」
川 ゚ -゚)「無いのかよ……夢がないなファンタジーワールド……」
( ^ω^)「いや存在はしてるけど一般人が近付ける物じゃないですし」
川 ゚ -゚)「誰が使うの」
( ^ω^)「金持ってる奴」
川 ゚ -゚)「使うとどうなんの」
( ^ω^)「一発で薬物中毒者みたいなアレ」
川 ゚ -゚)(夢も希望も素敵なサムシングもねぇなここ)
( ^ω^)「人間の意識や思考に影響する薬なんかろくなもんじゃねっすよ」
川 ゚ -゚)「極めて現実的ィ」
( ^ω^)「現実見ないとメシ食えねぇよ……」
-
16 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:29:50 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「じゃあさ小太りさん」
( ^ω^)「どつきまわすぞ」
川 ゚ -゚)「あれは?」
( ^ω^)「杖」
川 ゚ -゚)「何すんのこれ、持って良い?」
( ^ω^)「良いですけど、魔法使うときのアースみたいな役割」
川 ゚ -゚)「どんな原理で魔法撃ってんの……」
( ^ω^)「魔力とか体内に溜まりすぎると破裂して死ぬから」
川 ゚ -゚)「こっえ!? えっ こっえ!!?」
( ^ω^)(常識通用しないと逆におもしれぇな)
川 ゚ -゚)「小太りさん死ぬの!?」
( ^ω^)「どつきまわすぞ」
-
17 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:31:29 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「まあ命あるものはいずれ死にますけど」
川 ゚ -゚)「哲学的だ……」
( ^ω^)(適当言ってるだけなのに)
川 ゚ -゚)「杖でこう、魔方陣とか描くの?」ガリガリ
( ^ω^)「いや魔方陣は大仰な魔法の時だけでおい待てこら人んちの床に何してんだこら」
川 ゚ -゚)「え、あ、ごめん傷になったかな」
( ^ω^)「石の床にゴリゴリ落書きするか普通……うっわ……うっわ……引くわ……」
川 ゚ -゚)「ご、ごめんなさい……」
( ^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「…………」シュン
( ^ω^)「良いやもう、どうせ床だし傷付くし」
川 ゚ -゚)「ええのんか」
( ^ω^)「その言い方なんかムカつくわ」
-
18 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:32:30 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「じゃあ続き描いて良い?」
( ^ω^)「もう良いけどよくそれ聞けたな、よく続き描こうと思ったな」
川 ゚ -゚)「許されたなら良いのかと思って」
( ^ω^)「多少は常人の発想を持てよ」
川 ゚ -゚)「よいしょよいしょ」ガリガリ
( ^ω^)「あーあーあーもー」
川 ゚ -゚)「出来たー」
( ^ω^)「あー良かったっすねー」
川 ゚ -゚)「ベームベーム召喚ッ!!」カァン
( ^ω^)「何言って」
ズモモモモモ メキメキメキ バリバリ
川 ゚ -゚)
:( ゙゚'ω゚'):
-
19 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:33:20 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「うっわ……召喚出来ちゃった……ミグミグ族だっけ私……」
( ^ω^)「ローンが……」
川 ゚ -゚)「え?」
( ^ω^)「ローンが……まだ……終わってないのに……」
川 ゚ -゚)「あっ……屋根……」
( ^ω^)「僕んちの屋根が……あぁ……あぁぁ……」
川 ゚ -゚)「ご……ごめんなさい……」
( ^ω^)「あぁぁ……」
川 ゚ -゚)「ほんとごめんなさい……」
( ^ω^)「まぁ……いや……一応悪気は……無い……? だろうし……」
川 ゚ -゚)「私が才能あったばっかりに……」
( ^ω^)「ぶちのめすぞ」
-
20 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:34:23 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「冗談はさておき、本当すみません」
( ^ω^)「よく冗談言えるなこの状況で」
川 ゚ -゚)「美しくてすみません」
( ^ω^)「人を殺しても許される瞬間ってあるよな」
川 ゚ -゚)「いやほんと素直にごめんなさい」
( ^ω^)「取り敢えずもう出て行ってほしい」
川 ゚ -゚)「弁償します……」
( ^ω^)「マジで?」
川 ゚ -゚)「手持ちそんなに多くないけど、取り敢えず財布持ってきます……」
( ^ω^)「お、おう」
( ^ω^)
( ^ω^)(見た目だけは美人だから何となく許そうとするのは何なんだろう)
-
21 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:35:30 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)
( ^ω^)
(^ω^ )
( ^ω^)(遅くね)
,,,川 ゚ -゚)「遅くなりました」
( ^ω^)「あ、お帰りなさい」
川 ゚ -゚)「貯金下ろしてこないと手持ちこれだけしか無くて」
( ^ω^)「あー」
川 ゚ -゚)「え?」
( ^ω^)「貨幣が違うの考えてなかったー」
川 ゚ -゚)「あー、あぁー」
-
22 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:36:45 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「何この紙……」
川 ゚ -゚)「こっちは紙のお金無いのね……」
( ^ω^)「こっちはこんなんです……」
川 ゚ -゚)「やだ……RPGみたいな金貨……」
( ^ω^)「これ銅貨な……」
川 ゚ -゚)「銅貨してるぜ……」
( ^ω^)「ぶちのめすぞ……」
川 ゚ -゚)「えーと……貴金属あったかな……興味ないから全然持ってない……」
( ^ω^)「ストップ」
川 ゚ -゚)「はい?」
( ^ω^)「こっちとそっちで採れる鉱石が違う可能性」
川 ゚ -゚)「あぁー、そっかこっちで高価でもそっちじゃただの石の可能性」
-
23 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:37:48 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「こっちだとこう言う紫に光る石とかが使われてて」
川 ゚ -゚)「単体で光る石なんてこっちじゃそうそう無いわ」
( ^ω^)「こう言う動く金属とかも使われてて」
川 ゚ -゚)「えっ……何これ怖い……なんで単体で動いてんのこれ……」
( ^ω^)「駄目そうですね」
川 ゚ -゚)「駄目そうだなこれ」
( ^ω^)「もう良いですよ……」
川 ゚ -゚)「良くねぇよ天井突き破ったんだぞ……」
( ^ω^)「このベームベームとやら早く仕舞ってくださいよ……」
川 ゚ -゚)「ごめん仕舞い方わからん……」
( ^ω^)「何で召喚したんだよ」
川 ゚ -゚)「遊びでやったら出来た」
( ^ω^)「死ね」
川 ゚ -゚)「ついに直球」
-
24 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:38:48 ID:SluN1e120
-
_,,
( ^ω^)「たまに居るんだよなこうして知識とかゼロで才能だけでやらかす奴」
川 ゚ -゚)「おっとまた来たぞ」
_,,
( ^ω^)「こっちがどれだけ努力してやってるかも知らずに才能ばっかりある奴はこれだから」
川 ゚ -゚)(凡才なんだなこの人)
_,,
( ^ω^)「しかもそう言う奴に限って簡単だの適当だの人の神経逆撫でる事ばっかり言いやがる」
川 ゚ -゚)「まぁまぁどうどう」
( ^ω^)「あ、失礼しました」
川 ゚ -゚)「ほら、私は元々魔法とかの無い世界の人間だったから今まで使えなかっただけかもだし」
( ^ω^)「あー、こっち来たから開花した的な」
川 ゚ -゚)「そうそう、ところで他に価値のあるものって何ですかね凡才さん」
( ^ω^)「お前だけは必ず殺す」
-
25 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:40:06 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「お前マジで悪いと思ってんのかよこの状況」
川 ゚ -゚)「いやそれはマジで思ってますけどね」
( ^ω^)「態度に現れてねぇよもう少し表面化させる努力しろよ」
川 ゚ -゚)「すみません何か私って昔からこう言うアレで」
( ^ω^)「どう言うアレだよ……」
川 ゚ -゚)「すぐ茶化すと言うか……真面目な空気に耐えられないと言うか……表情変わらないと言うか……」
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「真面目にやる気あっても真面目に見えないから……すげーキレられるって言うか……」
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「なんか……すみません……」
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「…………」
( ^ω^)(何だよこの僕が悪い感じの空気)
-
26 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:41:37 ID:SluN1e120
-
川 ゚ -゚)「…………」
( ^ω^)(あぁーもーなんか触れちゃいけない闇だったーこれーもーやだもー)
( ^ω^)(被害者僕なのにー僕なのにー今は加害者僕みたいな空気ーやだもーなにこれー)
( ^ω^)(鉄面皮の癖に妙にナイーブでめんどくせーこいつめんどくせーもー)
( ^ω^)
( ^ω^)「お茶飲みます?」
川 ゚ -゚)「あ……はい……どうも……」
( ^ω^)(気を使ったーもー僕が気を使っちゃったー何でー人だからー常識ある人だからー)
川 ゚ -゚)「ありがとうございます……」
( ^ω^)「大人しくしてりゃただの美人なのに」
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「は、はは……ども……」
( ^ω^)「一番胸が痛い反応」
-
27 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:42:53 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「はいお茶」
川 ゚ -゚)「ども……」
( ^ω^)
川 ゚ -゚)
( ^ω^)「あの」
川 ゚ -゚)「あ、ちゃ、お茶菓子なんか、持ってきますんで」
( ^ω^)「あ、はい」
( ^ω^)
( ^ω^)「引かれたよなさっきの」
( ^ω^)
( ^ω^)「悪いことしてないのに死にてぇなおい」
-
28 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:44:09 ID:SluN1e120
-
,,,川 ゚ -゚)「ポテチとバームロールあった」
( ^ω^)「なんですこれ」
川 ゚ -゚)「おやつ」バリバリ
( ^ω^)「個包装されてる……手間な……」
川 ゚ -゚)「お好きな方どうぞ」
( ^ω^)「あ、はい」
川 ゚ -゚)
(( ^ω^))モグモグ
川 ゚ -゚)
( ^ω^)「バームロールうっま……」
川 ゚ -゚)(なんか勝った気分)
-
29 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:45:46 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「こっちがポテチ?」
川 ゚ -゚)「うんポテチ」
(( ^ω^))バリボリ
川 ゚ -゚)
( ^ω^)「くっそうっま……」
川 ゚ -゚)(気持ち良いなこれ)
( ^ω^)「贅沢な味がする……」
川 ゚ -゚)「油分と塩分と糖分のトリプルアタックかな……」
( ^ω^)「つかしょっぱくないですかこれ」
川 ゚ -゚)「ポテチだからなぁ」
-
30 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:47:58 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「こっちに比べるとそっちは塩味強めって事か……豪華だなそっちの食べ物……」バリボリ
川 ゚ -゚)「ん? 待てよ……」
( ^ω^)「バームロールのもったり感やべぇうまさ……」モチャモチャ
川 ゚ -゚)「前ラノベで読んだ事あるけど……塩とか砂糖って金の代わりにならない?」
( ^ω^)「え? なりますけど」
川 ゚ -゚)「なったわ」
( ^ω^)「今すげぇ金食ってる気分」
川 ゚ -゚)「なるほど贅沢な味……塩が金の代わりに……」
( ^ω^)「塩で家建ちますよ」
川 ゚ -゚)「マジかよ土地買おうかな」
-
31 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:48:36 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「え、塩あんの?」
川 ゚ -゚)「今食ってるじゃん?」
( ^ω^)「いやそうだけど、あんの? 塩?」
川 ゚ -゚)「うん」
( ^ω^)「マジで?」
川 ゚ -゚)「うん」
( ^ω^)「どれくらい?」
川 ゚ -゚)「先にこの屋根どれくらいで直せる?」
( ^ω^)「あー……」
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「どんくらい?」
( ^ω^)「多分金貨五枚くらいかなぁ……」
川 ゚ -゚)(全くわかんねぇ……10万くらいかな……)
-
32 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:49:11 ID:SluN1e120
-
( ^ω^)「えーとこれくらいの塩が銀貨2枚くらい」
川 ゚ -゚)「銀貨って何枚あれば金貨になんの?」
( ^ω^)「十枚」
川 ゚ -゚)「これくらいの塩が25あれば払える?」
( ^ω^)「大変じゃないですかそれ」
川 ゚ -゚)「持った感じ1キロくらいだなこれ……25キロの塩か……」
( ^ω^)「いけます?」
川 ゚ -゚)「ちょっと待ってて」
( ^ω^)「はあ」
( ^ω^)
( ^ω^)(待たされてばっかだな僕)
-
33 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:49:48 ID:SluN1e120
-
,,川 ゚ -゚)「重い」
( ^ω^)「なにこの箱、紙箱?」
川 ゚ -゚)「ダンボール、重い」
( ^ω^)「中身は…………塩……!?」
川 ゚ -゚)「深夜に酒入った状態で尼覗いたら安くてテンション上がって買ってもて余した岩塩プレート20キロ」
( ^ω^)「よくわかんねぇけどアホだな?」
川 ゚ -゚)「うん」
( ^ω^)「まぁアホでも良いや」
川 ゚ -゚)「許された」
( ^ω^)「これだけあれば……ふむ……」
川 ゚ -゚)「足りない?」
( ^ω^)「まぁ多分いけるかと」
川 ゚ -゚)「よっしゃ」
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34 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:50:33 ID:SluN1e120
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川 ゚ -゚)「取り敢えずこれで足りなければまたなんか あ」
( ^ω^)「あ」
川 ゚ -゚)「ベームベーム……時限制だったか……」
( ^ω^)「よかった……変な物体消えた……」
川 ゚ -゚)「本来ならあれ眼から雷撃って周辺の敵を滅ぼしてたんですけどね」
( ^ω^)「動いてなくて良かった、マジで動いてなくて良かった」
川 ゚ -゚)「いやほんと、すみませんでした重ね重ね」
( ^ω^)「いやもう良いですよ、あんたが凹むとこっちはクソやりにくい」
川 ゚ -゚)「うんこならあっちです」
( ^ω^)「トイレだよ、うんこあるけどあっちにはトイレがあんだよ」
川 ゚ -゚)(ソコかよツッコむの)
( ^ω^)(畜生思わず別の場所にツッコんだ)
川 ゚ -゚)「つまり私は自然体で良いと……」
( ^ω^)「そうですね二度とくるな」
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35 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:51:46 ID:SluN1e120
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川 ゚ -゚)「じゃあ散々ご迷惑おかけしましたし」
( ^ω^)「そっすね」
川 ゚ -゚)っ「小肥りさんお疲れさまでした」ガッ
( ^ω^)「その腹の肉を掴む手を今すぐどけろ」
川 ゚ -゚)っ「なかなかご立派で」タプタプ
( ^ω^)「お前だけは必ず殺す、必ずだ」
川 ゚ -゚)「そんな土煙でやったかとか言いそうな」
( ^ω^)「もう出てけ」
,,川 ゚ -゚)「はい」スゴスゴ
( ^ω^)「じゃあ二度と来ないで下さいね」
川 ゚ -゚)「好きで来たわけじゃないけど天井壊したから何も言えねぇ」
( ^ω^)「そっすね」
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36 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:52:46 ID:SluN1e120
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川 ゚ -゚)「そんじゃお疲れさまでした」
( ^ω^)「ああはい、あ、おやつ」
川 ゚ -゚)「あげます」
( ^ω^)(よっしゃ)
川 ゚ -゚)「じゃ、さいなら」
( ^ω^)「さいなら」
ぱたん。
トイレのドアを閉める。
もう一度開けてみると、そこには以前と変わらぬ姿のトイレがあった。
何度開けて閉めてを繰り返しても、もうあの謎の空間には繋がらなかった。
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37 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:53:50 ID:SluN1e120
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川 ゚ -゚)(悪い夢でも、見てたかな)
首をかしげて後ろ頭をがしがし掻くが、足元にはダンボールを引き摺った際によれたマット。
たぶん夢じゃないんだよな。
ポテチもバームロールも無くなってるだろうし、夢じゃない。
足でよれたマットを戻しながら、トイレに背を向けた。
マジでロマンスも無ければ冒険も無い、妙にだらだらした不思議体験。
もう会う事は無いだろうし、二度と行けない場所。
って言うとフラグになって行けるようになったりするよね。
まぁ行けても行けなくても、どうでも良いか。
私はいつもと変わらない生活を続けるんだから。
川 ゚ -゚)「あー、バームロール買ってこようかな」
川 ゚ -゚)「ポテチとコーラ……いやビールか……」
川∩゚ -゚)')「自堕落ざんばーい」
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38 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:54:22 ID:SluN1e120
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ぱたん。
目の前でドアが閉まった。
その瞬間、すう、と空気と同化するようにドアは消えた。
もう何も無いし、あの変な女は居ない。
ほっと一息つきながら、椅子に腰かけた。
背もたれに体重を預けて穴の空いた天井を見上げる。
( ^ω^)「夢だけど……夢じゃなかった……」
( ^ω^)
( ^ω^)「足りるかなぁこれ……塩……」
ちらりと足元の箱に目をやり、頬杖を突く。
足りるか足りないか、正直なところ見積もりも取ってないので分かるわけもない。
はぁ。
まあ良いや、塩と砂糖まみれの食べ物が目の前にあるのだ。
貪って腹に肉でもつけよう。
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39 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:55:23 ID:SluN1e120
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(( ^ω^))モチュモチュ
( ^ω^)「ほんとバームロール美味いなこれ……もったりする……」
( ^ω^)「はー……にしても、頭のおかしい変な女だった……」
( ^ω^)「見た目だけは良いのにな……見た目以外がゴミ過ぎたな……」
しかし余りにも強いインパクトで、脳裏に焼き付く記憶。
川 ゚ -゚)『バームロールとベームベームって……似てるよな……』
いや言ってない。
そんなこと言ってない。
しかも似てない。
人の記憶まで改竄すんのかあいつ。
こっえぇ。
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40 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:56:08 ID:SluN1e120
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( ^ω^)゙
( ^ω^)
( ^ω^)「トイレ行こ……」
そういやあのドアってトイレのドアだったな。
うちのトイレのドアもどっか変な場所に繋がってたらどうしような、ははは。
がちゃ。
│^ω^)
川 ゚ -゚)
(^ω^ )
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
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41 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/03/29(火) 21:56:55 ID:SluN1e120
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川 ゚ -゚)「……あの……それ…………冷蔵庫です……」
( ^ω^)「部屋のドアですら……!?」
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「お久し振りです」
( ^ω^)「あ、はい3分振りです」
この後、文さんはしばらくうちに居座った。
そして後日、遊びに来た女友達と文さんが邂逅を果たして
意気投合して二つの世界を揺るがす大恋愛を成し遂げるのはまた別の話。
なお私に彼氏は出来なかった。
川 ゚ -゚)
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「バームロールとベームベームって……似てるよな……」
( ^ω^)!?
おわり。
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ドアを開けたら異世界だったようです
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ドアを開けたら異世界だったようです
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ドアを開けたら異世界だったようです
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ドアを開けたら異世界だったようです
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ドアを開けたら異世界だったようです