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424 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:04:15 ID:cJOAL/Xs0
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俺の彼女は雨女だ。
いつも何かをするとなると、天気が悪くなる。
例えば小学生の頃、小雨程度とはいえ遠足は6年間とも雨だったし、運動会もほとんどそうだった。
家が隣だったこともあり、小さい頃からずっと一緒にいたが、遊ぶ時も大体屋内で遊んでいた。
しかし、そんな彼女は悪天候など気にもとめない、明るくて元気な人だ。
そこに惚れ込み、高校生になってから付き合うようになった。
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425 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:05:02 ID:cJOAL/Xs0
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だが、流石は雨女といったところで、デートは毎回悪天候。
それもどうやら彼女の期待値が高ければ高いほど荒れるようで、記念日だとかの日は一層だった。
夏祭りも季節外れの台風が直撃、冬祭りには大寒波が襲い、祭りところではなかった。
そのため、デートするとなると、大方映画やウィンドウショッピングへ行っていた。
それかどちらかの家でゴロゴロするのが当たり前になった。
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426 名前: ◆IDKgEZ2b96[sage] 投稿日:2016/04/02(土) 10:05:32 ID:cJOAL/Xs0
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高校を卒業してからは、俺が車を購入したこともあり、ドライブデートが定番となった。
相変わらず天気は崩れるが、車での移動であれば、そんなに影響を受けないからだ。
もっとも、旅先に着いても雨なので、結局はあまり変わらないのだが。
でも、そんな彼女でも、俺にとっては大切な人だった。
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427 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:06:24 ID:cJOAL/Xs0
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しかし、一点だけ。
一点だけ、気に食わないところがある。
彼女は頑なに、自分が"雨女である"ということを認めようとしないのだ。
俺がいくらそれを指摘しても、
「天気予報が外れただけだ」
「雨の方が、農家さんは助かる」
だの、何らかの言い訳をする。
挙げ句の果てには、
「というか、あんたが雨男なんじゃね?」
などと難癖をつけてくる始末だ。
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428 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:07:14 ID:cJOAL/Xs0
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そして、いつも話の最後には
「私が本気出せば日本晴れになるかさ、安心しなよ」
と、俺が考え過ぎなんだという風に話をまとめてしまう。
その度に俺は、毎回本気を出して欲しいもんだ、と心の中で愚痴る。
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429 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:08:17 ID:cJOAL/Xs0
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でも、さっきも言ったが、彼女は俺にとって大切な人だ。
彼女と過ごした時間も、思い返せばいつも笑顔で過ごす事が出来ていた。
春には、静かに雨の降る中二人きりで、濡れる桜を楽しんだ。
夏には、台風が直撃してどしゃ降りの中、年甲斐もなく鬼ごっこをしたりした。
秋には、紅葉を観に、雨も気にせずドライブデートに行った。
冬には、猛吹雪の夜に二人で布団に包まり、朝まで語り合った。
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430 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:08:47 ID:cJOAL/Xs0
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彼女と過ごした日々に、悪天候なんて無かったように思える。
どんなに空が厚い雲に覆われても、稲妻光る雷雨でも、空気も凍てつく吹雪でも。
彼女がいれば、それで安心だった。
彼女が、俺にとっての"太陽"だから。
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431 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:09:45 ID:cJOAL/Xs0
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6月。
空には雲一つなく、青空が澄み渡っている。
平和の象徴である鳥が、鐘の音に驚いて一斉に羽ばたく。
今日、彼女は純白のドレスを身に纏っている。
太陽の光を反射して、より一層輝いて見える。
美しい。
その一言に尽きる。
それを告げると、彼女は顔を赤くして微笑む。
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432 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:10:21 ID:cJOAL/Xs0
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( ゚∀゚)「・・・本当に日本晴れだな」
从* ゚∀从「な?言った通りだろ?」
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433 名前: ◆IDKgEZ2b96[] 投稿日:2016/04/02(土) 10:11:07 ID:cJOAL/Xs0
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以上、【俺の彼女は雨女、のようです】でした