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162 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:12:17 ID:oSxeRU1c0
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ζ(゚、゚*ζ「──私に謝ってどうするんですか」
(;^Д^)「いや、でも」
ζ(-、-*ζ「その件に関してはこちらの不手際もありました。
気にしてないです。……いや、ちょこっとだけ泣きましたけど、
許してあげますから──そんなことより」
ζ(゚、゚*ζ「安織くんは、何がしたいんですか」
朝日を背に自室のベッドに腰掛ける安織から昨夕の一部始終を聞いた長網は、
椅子の背を抱くようにしてもたれかかり、問いかける。
だがその表情とは裏腹に、言葉はずいぶんと鋭く聞こえ、
実際細められた瞳の奥には冷ややかな呆れが見て取れた。
( ^Д^)「……俺は」
言いかけて、言葉が続かないことに愕然とする。
──俺は、どうしたいのだろうか。
ただ一つはっきりしていることは、
もう須藤が無理する姿を見たくはない、ということであった。
思い起こされるのは昨日のこと。
須藤が現れ──長網が強制送還を食らった、直後のこと。
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163 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:12:55 ID:oSxeRU1c0
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雨上がり七日の空模様です
6:[土曜日]
.
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164 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:13:24 ID:oSxeRU1c0
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* * * * *
さらり。
窓から吹き込んだ風が、扉近くに立つ須藤の黒髪を揺らした。
手には小さな花束を持っていた──オレンジ色のコスモスだ。
ゆっくりとこちらに歩み寄ると、ほっそりとした花瓶を取り出して窓辺に生ける。
しゃきん、と茎を斜めに切る音。
視界の端でカーテンが揺れる。
(;^Д^)「……須藤さん」
おそるおそる、といった体で口を開いた。
須藤は安織の方を振り向かないまま、なあに、と返す。
( ^ν^)「どこから聞いてた?」
向こうの空へ視線を向けたまま、彼女は軽く首をひねる。
風が止んだ。
-
165 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:14:03 ID:oSxeRU1c0
-
o川*゚ー゚)o「助かったガキども、のあたりからかな」
ぱたん、と閉じた窓を背にして言う。
言ってからくすりと笑って、ニュッくんは口が悪いね、と付け足した。
( ^Д^)(……ということは)
長網の存在には、気が付いていない。
安織はひとまず胸を撫で下ろす。
ところが、須藤の視線はニュッを滑って横で止まると、くるりと丸くなった。
o川*゚、゚)o「……それは?」
(;^ν^)
(;^Д^)
ニュッの横。要は、ベッドサイドの丸椅子──の、はずである。
というのも、つい先ほどまで長網が腰掛けていたそれは、
何故だかベッドを囲うカーテンでぐるぐると巻かれ、
三股の脚先がちらりと見えるのみとなっていたのだ。
先ほどカーテンが不自然に揺れたのは、これか。
安織は一人得心する。──長網の仕業なのはまず間違いない。
これで隠れたつもりになっているのなら、笑い話にもならないが。
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167 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:14:36 ID:oSxeRU1c0
-
o川*゚ー゚)o「よーいしょ」
(;^Д^)「あっ」
(;^ν^)
須藤がカーテンに手をかけた。
というか引っ張った。
安織とニュッの表情が固まる。
──正直、長網の存在は、よくない。
話ベタな男二人である。
即興で長網の設定を作り上げるのはほぼ不可能であると思われるし、
本当のことを須藤に話すのはあまりにも酷すぎる。
安織でさえ事故を無かった事にする方法はあるのに、行使できない──
その事実はずいぶんと堪えたのだ。
須藤の胸中など察するにあまりある。
o川*゚ー゚)o「おろ?」
様々に逡巡するが、しゅるしゅると退けられたカーテンの中は
空っぽの丸椅子のみであった。
長網の姿なぞ、どこにもない。
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168 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:15:12 ID:oSxeRU1c0
-
(;^Д^)(……強制送還)
つと、その言葉が頭を過った。
時間の超過はもちろん幾つかのイレギュラー──
あの壊れた(というより安織が壊した)時計や、ニュッとの接触など
考えられる要素は多分にある。
なにより、あの好奇心の塊のような長網が
このような場面で自ら姿を消すなどとは思えなかったのである。
(;^ν^)
狐につままれたような顔をしていたのは須藤というよりも
むしろ、ニュッの方であった。
もう病室のどこにも──というより、
こちらの世界のどこを探したところで長網の姿は見つけられないだろう。
このような状況になってやっと、
先ほどの話を現実だと認識したのかもしれない。
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169 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:15:54 ID:oSxeRU1c0
-
o川*゚、゚)o「これ、何だったの」
(;^Д^)「あーと……」
丸椅子を指さす須藤に答えようとして言葉に詰まる。
なんて不器用な口だろう。
けれど須藤はそれすら拾って、続けてくれる。
o川*゚ー゚)o「アート!」
( ^ν^)「前衛的だろ」
o川*^ー^)o「うへへ。あほくさいから、プギャー作?」
(;^Д^)そ「あほくさいと俺はイコールなんすか!?」
o川*゚ー゚)o「うん……」
(;^Д^)「ちょっと同情込めるのやめてもらっていいっすかねー!」
くすくすと笑う須藤を挟んでニュッと視線を交わし合う。
共犯者じみた交錯はおおよそ『余計なことは言わない』と、取れた。
長網について。言わない。
パラレルワールド。言わない。
安織がここにいる理由。言わない。
ニュッが本当はつらいこと。言わない。
でもそれは、とうに受け入れたつらさなのだということ。言わない。
須藤には何にも言わないでおこう。何にも。
(;^Д^)
──それって、何かおかしくないか?
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170 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:16:26 ID:oSxeRU1c0
-
o川*゚ー゚)o「それにしても、二人で何を話してたのかなー」
( ^ν^)「適当」
o川*゚、゚)o「む、何それ」
o川*゚ー゚)o「二人ともいつの間に仲良くなったのさ。ね、プギャーったら」
(;^Д^)「え?いやあ……はは」
( ^ν^)「気色悪い」
(;^Д^)そ「流石にそれはひどくないっすか!」
o川*゚、゚)o「ほらー言ったそばからいちゃいちゃする」
( ^ν^)「安織死ね」
(;^Д^)「理不尽!!!!!!!!」
o川*^ー^)o「ふふふっ」
須藤が両手を口に当てて笑う。それはもう楽しそうに。
このままでいいじゃないか。何がおかしいんだ。
先ほど浮かんだ考えを打ち消すように、ふつふつとそう思えてくる。
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171 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:17:01 ID:oSxeRU1c0
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(;^Д^)「……」
思えて、くるが。
o川*゚ー゚)o「どしたの、プギャー」
( ^ν^)「……」
ニュッが目を逸らすのがわかる。
こちらの意図はきっと、察されている。
けれども、彼の態度に非難の色はない。
( ^Д^)「須藤さん……掘り返すようで悪いんすけど」
ああ。
少なくとも、これくらいは確認しなくては。
安織はもうほとんど痛みの消えた左腕を
さすりつつ言う。
( ^Д^)「俺が火傷したときのことっす」
o川*゚ー゚)o「……うん」
須藤の瞳がすこし、およいだ。
安織は確信する。
やはり彼女は気付いていたのだ──オーブンの不具合、そしてその原因に。
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172 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:17:48 ID:oSxeRU1c0
-
( ^Д^)「あのとき、何があったかもう少し詳しく教えてほしいっす」
o川*゚ -゚)o「何がってそんな……言われても、」
須藤から笑顔が消えた。反射的に、胸が痛む。
けれど、彼女が何かを誤魔化そうとしているのはもはや明らかだった。
俯いて、もごもごと小さく口を動かす。
o川;*゚ -゚)o「私が、手を滑らせて」
( ^ν^)「違うだろ」
o川;*゚ -゚)o「っ」
ニュッの否定は早かった。
須藤が息を呑むのがわかる。
( ^ν^)「もう、安織は知ってる。俺も……思い出した」
o川;*゚ -゚)o「………………そ、か」
( ^ν^)「ごめんな。…………本当に、悪かった」
o川;* - )o「ううん……」
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173 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:18:31 ID:oSxeRU1c0
-
(;^Д^)「……」
空気が重い。
この二人はやはり、どこか歪なような気がする。
──だが、どこを正せばいいのかわからない。
安織が何にも言えずにいると、須藤がぽつり、ぽつりとこぼすように話し出した。
o川;* - )o「ネジがね、緩んでたの」
ちょうど、このあたりのが。
そう言って左肩の上あたりを示す。
その位置関係は、ちょうど長網が立っていたあたりに重なっていた。
驚いて見開かれる須藤の瞳が想像できる。
あれだけ至近距離にいた長網からすれば、
ばっちりと視認されたように感じられたことだろう。
彼はきっと、安織に『危険』を知らせるつもりで何気なく行った行為が、
過干渉になってしまったのだと勘違いしたのだろう。
けれども勘違いしたというその確信もまた持ちきれず、
あのとき『言えない』などという曖昧な表現を使ったのだ。
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174 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:19:18 ID:oSxeRU1c0
-
(; Д )(罪悪感半端ねえ……)
明日。明日だ。
明日必ず謝ろう。なんなら土下座も辞さない。
そんなことを考えていると、おい、と低い声が響いた。
ニュッの声だ。
( ^ν^)「……どうして、お前が泣く」
(;^Д^)「えっ」
o川;* - )o
見れば、ぽろぽろと涙を流す須藤がいた。
どうして。須藤のせいではないとはっきり証明されたというのに、なぜ。
o川;* - )o「ニュッくんだよね。……ネジ、締め忘れてたの、は」
( ^ν^)「そりゃそうだ。俺以外に弄る奴いないだろ、あの店」
須藤は何の反応も示さない。
黙りこくって、ただただ涙を流している。
( ^ν^)「……だから、全面的に俺が悪い。
お前が泣く必要なんか微塵もねえだろうが」
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175 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:19:54 ID:oSxeRU1c0
-
(;^Д^)「須藤さん……」
拭っても拭っても出てくる涙に、不思議そうに──けれども、同時に
あまりの痛切さに悶えるように、須藤は言う。
o川;* - )o「なんか、わかんない。わかんないや。
……私、どうして泣いてるんだろ」
( ^ν^)「おい」
o川;* - )o「いやだよね、鬱陶しいもんね……私に泣く権利なんか、ないのに」
(;^Д^)「須藤さん?」
──泣く権利なんかない?
そんなはずはないだろう。
悲しいから、辛いから、涙は出るのだ。
そこに権利もへったくれも無い。
だが、安織がそう否定するよりも須藤の行動の方が早かった。
o川;* - )o「かえる、ね。また、また来るから…………とりあえず、今は」
じりじりと後ずさり、ぱっと身を翻すと須藤はそのまま走り去る。
(;^Д^)「須藤さん!」
呼び止めたところで無駄であった。
──あっという間に見えなくなってしまったのだ。
呆然とする安織の後ろで、ニュッが舌打ちする。
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176 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:20:23 ID:oSxeRU1c0
-
( ν )「クソが……」
心底悔しそうに自身の足を握り締める彼の姿に、
安織はかける言葉を見つけられなかった。
-
177 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:21:53 ID:oSxeRU1c0
-
* * * * *
ζ(゚、゚*ζ「情けない、情けないなー。
あんまりにも情け無さすぎて、私、演歌でも歌えそうです」
( ^Д^)「演歌をなんだと思ってんすか……」
目が覚めて隣に座っている長網、という寝起きドッキリをかまされつつも
すぐに起き上がり頭を下げた安織に対する彼の返事は、先に述べた通りである。
案の定強制送還をくらっていた長網は、
始めこそ喜々として昨日の話を聞いていたが、
終わる頃にはすっかり醒めた顔をしていた。
ζ(゚、゚*ζ「鈍感すぎるのも罪なモノです。
どうして、キュートさんのこと追いかけなかったんですか」
(;^Д^)「どうしてって……」
ζ(゚、゚*ζ「何を言ったらいいかわからないから?馬鹿じゃないですか」
長網がすうっと息を吸い込んだ。
-
178 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:22:29 ID:oSxeRU1c0
-
ζ(゚、゚*#ζ「──言葉が浮かばないからこそ、
行動で示すべきなんじゃないんですか!」
雨が上がって数日。
すっかり乾いた地面は土埃を舞わせる。
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179 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:23:58 ID:oSxeRU1c0
-
二人は公園にいた。
部屋でうじうじとする安織を見かねた、長網の提案である。
土曜の昼だからか、平日よりかは人がいる。
(; Д )「なんというか……返す言葉もないっす…………」
ζ(゚、゚*ζ「そうやってまた逃げる」
(; Д )「………………はい?」
ζ(゚、゚*ζ「安織くんは困ると、黙ります。焦っても黙ります。
……いつもそれで終わりにしますね」
(; Д )「それは……」
確かに、その通りだ。
だが逃げとまで言われるのは、
ζ(゚、゚*ζ「逃げです」
心外である。
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180 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:24:25 ID:oSxeRU1c0
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( Д )「お言葉すけど、」
ζ(゚、゚*ζ「……」
( Д )「俺、逃げてるつもりは、ないっす」
ζ(゚、゚*ζ「…………はい」
ここ数日、自分は何をしてきただろう。
安織は考える。
須藤さん。
ぱっと顔が浮かぶ。
もともと、目で追っていただけの人だった。
笑顔があたたかくて、ふわふわと優しくて、
いつしかそのぽかぽかとした感覚がくすぐったく思えるようになり──
そんなときにひょいと現れた、デレさん。
彼はあやふやだ。
行動も、言動も、性別さえ。
優しいんだか、強引なんだか、勝手なんだか、流されやすいんだか。
けれど、彼のおかげで須藤さんに少しばかり、近付いた。
須藤さんの泣き顔を、知った。
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181 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:25:13 ID:oSxeRU1c0
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ニュッさんの笑顔が──その真意が、怖いと震える彼女を知った。
けれどもニュッさんに彼女を怖がらせるような真意なんて
これっぽちもないこともまた、知った。
聞けるだけ聞き、寄り添えるだけ寄り添ってきた──
ここ数日間の出来事といえど、確かなことだ。
( ^Д^)「……あ、れ」
はたと気付く。気付いてしまう。
自分は確かに聞き、逃げずに寄り添ったかもしれない──だが。
それだけなのでは、ないか?
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182 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:25:41 ID:oSxeRU1c0
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(;^Д^)「っ」
鳥肌がぶわりと立つ。
ようやく、ようやく自分の情けなさを自覚した。
ああ、確かに。
自分は何もしていない。
ζ(゚ー゚*ζ「安織くん」
長網の冷ややかであった表情にいつの間にか温度が戻っていた。
あえて、焚きつけるようにそうしていたのかもしれない。
悪戯っぽく微笑み、こほんっとわざとらしく咳払いして見せる。
ζ(゚ー゚*ζ「もう一度聞きます。
──安織くんは何がしたいんですか?」
( ^Д^)「……俺は」
いらっしゃいませ、とにっこりとするあのあたたかい表情。
面白いと吹き出して、くしゃっとおかしそうに笑う顔。
けれど、その裏に泣き顔が潜んでいたのだとしたら。
( ^Д^)「──須藤さんの、心からの笑顔が見たいっす」
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183 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:26:15 ID:oSxeRU1c0
-
安織は、知っている。
たとえば、妹にさえ本音を吐き出さずに飲み込んでしまう、
過保護で不器用な兄を。
あるいは、愛らしい笑顔の裏で、
自分でも何がつらいのかわからなくなるまで悩んでしまった、
優しくも怖がりな妹を。
ζ(゚ー゚*ζ「気遣い、気遣い、気遣いのオンパレードで
全員不幸になってちゃ世話ないですよ」
長網がベンチに座ったままの安織へ手を伸ばした。
掴むと、ぐいと引き上げられる。
ζ(^ー^*ζ「ぶちまけていきましょう」
( ^Д^)「うす」
──まずは、パン屋に寄って行こう。
-
184 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:27:06 ID:oSxeRU1c0
-
* * * * *
( ^Д^)「………………………………………えっ」
さて、安織らは立ち尽くしていた。
ふわりといい匂いのする、パン屋の前である。
ζ(゚ー゚*ζ「正直とても面白いんですけど、笑っていいですか?」
( ^Д^)「いや全然笑えないんで駄目っす」
ζ(゚ー゚*ζ「(笑)」
( ^Д^)「煽ればいいってもんじゃないっすからね」
二人の目の前には、看板。
それはもうばっちりと【CLOSE】と書いてある。
(;^Д^)「え、ええー……。
俺の知る限りここ、定休日はなかったはずっすよ…………嘘ぉ」
時刻は午後2時前。
店を閉めるにしても早すぎる時刻である。
ζ(゚ー゚*ζ「あら」
長網がとんとん、と安織の肩を叩く。
嘘じゃないみたいです、と囁いて。
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185 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:27:36 ID:oSxeRU1c0
-
( ^Д^)「……へ?」
聞き返そうとして、前にも同じようなことがあったなあと思う。
そう、いつかの花屋の店先。
こうして振り返った先には、
o川;*゚ー゚)o「ほあ」
──驚いて、とぼけた顔をした須藤がいたのだ。
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186 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:28:18 ID:oSxeRU1c0
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ζ(゚ー゚*ζ「ほら、誘って。きちんとやるんです、決めたんでしょう?」
こちらの脇腹を肘でつつきつつ、
まるで友人をデートに送り出すような気軽さで言ってくる。
( ^Д^)(他人事だと思って……)
そう小声で返しつつも、腹をくくったのは確かである。
須藤さん、と呼びかけたところに、何故だか「ぷ、プギャー」と、
自分の名前がかぶった。
o川;*゚ー゚)o「あっ」
須藤の声である。
あたふたとする彼女の姿はなんとなく新鮮で、安織は少しばかり強気になる。
どうにでもなれ、どうにでもなる。
前向きに、そういう思いが少なからずあったのだ。
( ^Д^)「うす。……とりあえず、歩きながらでどうすかね」
o川;*゚ー゚)o「う」
( ^Д^)「……きっと、目的地は同じっすから」
o川;*゚ー゚)o「……」
o川;*-ー-)o
うん、と小さく返ってきた声になんだかんだ安心を覚えた。
安織はやはり気が小さいのだ。堂々とはしきれない。
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187 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:29:15 ID:oSxeRU1c0
-
ζ(゚ー゚*ζ「あらあら」
どうやら須藤に姿が見えていないと踏んだ長網は、平然と安織の隣を歩く。
(;*^Д^)「っ」
o川;*-ー-)o
安織の上着の裾をきゅ、と握った須藤と、
歩き方が少しばかり不格好になった安織とをにんまりと眺めながら。
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188 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:30:07 ID:oSxeRU1c0
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( ^ν^)「よお」
病室に着くなり、ニュッの方からにやりと笑って声をかけた。
すっかり真っ赤になっている安織と、
その後ろに隠れるようにして立つ須藤とを意地悪くも見まわして。
ζ(゚、゚*ζ「ありゃ、さみしいですね」
どうやら今日は、長網の姿は見えていないらしい。
壊れた時計は壊れたなりに好調なようだ。
口を尖らせる彼に安織は耳打ちする。
( ^Д^)(……まあ、俺なりに頑張ってみるんで)
ζ(゚、゚*ζ「!」
ζ(゚ー゚*ζ「期待してますよ」
とん、と長網が背中を押す。
安織はつばを呑み込んで、踏み出した。
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189 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:30:56 ID:oSxeRU1c0
-
( ^Д^)「二人とも」
( ^Д^)「──今日は、ぶっちゃける日にしましょうか」
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190 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:31:31 ID:oSxeRU1c0
-
( ^ν^)「は?」
(;^Д^)「……ニュッさん、威圧はナシの方向で」
o川*゚ー゚)o「ぶっちゃける、日……?」
(;*^Д^)「…………須藤さんもそろそろ手、離してくれてもいいんすよ……?」
o川;*゚ー゚)o「ほあっ」
そうは言ったものの、
ふわりと戻ってきた上着の裾があたたかいのにどきりとする。
須藤の体温だと思うとなんだか触れるのが憚られて、
左腕が行き場を失いフラフラとさまよった。
ζ(゚、゚*ζ「みっともないですねーしゃんとしてくださいよ、シャンっと!」
その手を長網が取り、安織の胴に軽く叩きつける。
(;*^Д^)「……ええと」
(;^Д^)「そう、ですね……誰かがこんなことを言ってたんす。
気遣い、気遣い、気遣いで不幸を呼ぶのは馬鹿らしいって」
ζ(゚、゚*ζ「それ私の台詞じゃないですか!
誰かなんかじゃないですよ、もー!」
(;^Д^)(だからデレさんがその“誰か”なんすよ)
という意味を込めて視線を送るが、長網に気付く様子はない。
半ば呆れるが仕方もない。
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191 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:32:06 ID:oSxeRU1c0
-
安織は一度深く息を吸い、吐き出して、話を続ける。
( ^Д^)「二人はきっと、自分でも気付かないぐらい……
それこそ、気付かってるのを忘れるくらいに気遣い続けてるんすよ」
( ^ν^)「だから今日はぶっちゃけろ、と?」
( ^Д^)「そうなるっす」
ニュッがじっと安織を見つめる。
その表情は読み取れない──当然かもしれない。
彼は、妹さえ不安にさせるほどに感情をひた隠すのが上手いのだから。
( ^ν^)「……はっ」
( ^ν^)「面白い。乗った」
o川;*゚ -゚)o「!!」
( ^Д^)「…………うす」
隣で須藤が目を見開くのがわかる。
彼女はまだきっと、決心がつかないのだ。
本心を言うのも、聞くのも。
-
192 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:32:49 ID:oSxeRU1c0
-
( ^ν^)「おい、キュート」
o川;*゚ -゚)o「なに」
( ^ν^)「……お前は、すぐ逃げるからな」
ニュッはぽんぽん、とベッドの上を叩く。
( ^ν^)「ちょっとこっちに座ってろ」
o川;*゚ -゚)o「う」
( ^ν^)「……今ぐらいは」
( -ν-)「俺の、手の届く範囲に居てくれよ」
o川;*゚ -゚)o「……ニュッくん」
ニュッの言葉に須藤は当惑した表情を浮かべる。
その声はほとんど縋るような響きを持っていたのだ──
普段の飄々とした彼からは想像できないほど、弱々しい響きを。
-
193 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:33:20 ID:oSxeRU1c0
-
( ^Д^)「ほら」
o川;*゚ -゚)o「……あう」
安織がそっと須藤の背中を押すと躊躇いながらもベッドへ向かい、腰掛けた。
安織も須藤の隣に丸椅子を引っ張り、腰掛ける。
ζ(゚、゚*ζ「私の椅子がなーい」
( ^Д^)(適当に座ってくださいよ)
ぱたぱたと歩き回った長網は結局、ベッドの上──
須藤と反対側、ニュッの枕元に落ち着いたようだ。
相変わらず安織以外には感知されていないようだが、
長網が腰掛けるタイミングを見計らったかのようにニュッが口を開く。
( ^ν^)「キュート。俺は少し、お前が怖い」
o川;*゚ー゚)o「わたしが?」
( ^Д^)「……怖い」
( ^ν^)「お前は、優しすぎる。だから……失望されたくなかった」
( ^Д^)「……」
( ^ν^)「わからねえって顔してるな、安織。……想像してみろ。
ふらふらとしてろくに家業も手伝わず、
挙句の果てに事故を起こして要介護人……絶望するだろ」
( ^ν^)「てめえの情けなさに、吐き気を覚えるだろ」
-
194 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:34:19 ID:oSxeRU1c0
-
(;^Д^)
否定も肯定もできない。
ただ黙して、続きを待つ。
( ^ν^)「目が覚めたとき、全身の感覚が鈍かった。
自分の体が霧の向こうにあるような感覚、とでも言えばいいのか?」
( ^Д^)「霧……」
安織は想像する。
霧の向こう。もやがかった人の姿。
どうやらそいつは自分と同じ顔をしている。
( ^ν^)「感覚を取り戻そうと手を伸ばして、突き抜けるような衝撃が走る」
近付き、目を凝らす。
ばちりと目が合って、気が付くのだ。
( ^ν^)「────足がない」
彼は、上半身だけで彷徨っている。
-
195 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:34:51 ID:oSxeRU1c0
-
o川;* - )o「っ」
須藤の肩が小さく跳ねた。
安織も息を呑む。
それは、どんなに恐ろしいことだろう。
( ^ν^)「訳がわからないだろ。目の前にあるのに、ない。
……その時の感情をどう言い表したらいいか、今もわからない」
( ^ν^)「ただ」
( ^ν^)「納得は、した。ふらふらと生きてきた罰なんだろう、と」
o川;* - )o「──だからあのとき」
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196 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:35:31 ID:oSxeRU1c0
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( ^ν^)『なるほどな』
.
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197 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:36:01 ID:oSxeRU1c0
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( ^ν^)「──ああ。そんなことを言ったな、確かに」
( ^ν^)「自嘲するしかないだろ。……あんまりにも情けない」
o川;* д )o「じゃあ!!」
o川;* - )o「……ニュッくんは、私のことを責めて、
ああやって笑ったんじゃ、ないの…………?」
(;^ν^)「はあ?」
(;^ν^)「俺がお前のことを責める理由が、どこにある」
o川;* - )o「!!」
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198 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:36:51 ID:oSxeRU1c0
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o川;* - )o「だ、だってだって!」
須藤は叫ぶ。
堰を切ったように、心のダムが崩壊するように。
o川;* - )o「私が宅配なんかしようって言ったから!」
( ^ν^)「ああ。いい考えだと思ったな」
o川;* - )o「ニュッくんに配達を頼んだから」
( ^ν^)「俺しかバイクに乗れないんだから、当然だろ」
o川;* - )o「昨日だって、私、ニュッくんのせいにした、」
( ^ν^)「昨日?……オーブンの話か。せいにした、じゃなくて俺のせい、だろ。
…………やっぱり、許してはくれないのか」
o川;* - )o「ち、ちがう!ちがう……!」
須藤はぶんぶんと頭を振る。
私が悪いのに、と繰り返しては
混乱する思考をどうにか収めようとしているようで。
安織は、なんだか、放っておけなくなる。
( ^Д^)「誰も、須藤さんが悪いなんて思ってないんすよ」
o川;*゚ -゚)o「あう」
さらさらの黒髪はなめらかで、手に気持ちいい。
──頭を撫でるなんて失礼かもしれない。
あとで怒られても文句は言えないが、今は、今だけはそうしたかったのだ。
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199 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:37:28 ID:oSxeRU1c0
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( ^Д^)「ニュッさんも、俺も。
──むしろこの火傷は、須藤さんを庇えたという勲章なんで」
( ^ν^)「くっせえ」
ζ(゚ー゚*ζ「勲章なんで(キリッ)」
(;^Д^)「ああもう! そこ静かに!!」
ζ(゚ー゚*;ζ「ちょっ痛っ!?さりげなく足踏むのやめてください!!!!」
( ^ν^)「少女漫画の読みすぎかよ」
(;^Д^)「読んだことないっす!!!!」
ζ(゚ー゚*ζ「それはそれで……」
( ^ν^)「(笑)」
(;^Д^)「なんなんすか!もう!!」
先ほどまでの空気はどこへやら。
ぎゃあぎゃあと騒がしい病室は医者に叱られても仕方のない勢いだ。
すっかり呆気に取られていた須藤はおずおずと言い出す。
o川;*゚ -゚)o「で、でも、わたし、ぜんぜん、謝らなかった、し」
( ^ν^)「それで気が済むんなら、今言ってくれればいい」
o川;* - )o「う、ぐ」
ほんの少し、つっかえて。
けれど長くは保たれず。
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200 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:38:36 ID:oSxeRU1c0
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o川*; -;)o「ご、」
o川*;д;)o「ごめんなさいぃぃ……」
( ^ν^)「──ああ。……辛かったな。気付いてやれなくて、ごめんな」
o川*; -;)o「ううぅぅぅ……」
須藤は泣く。ひたすら泣く。
安織はその背をさすってやる。
ζ(-ー-*ζ「まったく、手のかかる兄妹ですね」
長網が苦笑いでそう言う。
安織も内心同意するが、優しすぎるが故のすれ違いだ。
誰も、二人を責められはしないだろう。
( ^Д^)「……あっ」
はたと気付く。
o川*; -;)o「うん?」
( ^ν^)「どうした」
( ^Д^)「いや、俺だけぶっちゃけてないなーと思って」
ζ(゚ー゚*ζ「安織くんだけ……?」
長網の胸中を一抹の不安が駆け抜ける。
もしかして、いやまさか。
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201 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:40:00 ID:oSxeRU1c0
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( ^Д^)「──俺、須藤さんのことが好きです」
・;'.,ζ( Д *ζ「ぶはっ!!!!!!」
──幸か不幸か、ビンゴである。
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202 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:40:59 ID:oSxeRU1c0
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;:( ν );:「っくっくっく」
笑いを堪えるニュッの姿がわざとらしい。
長網も長網で、壁に頭を当て心底可笑しそうに叩いている。
(;^Д^)「え、えぇー……なんすかその反、応」
右手が異様に熱い。
須藤の背をさすっている方の手である。
視線をやって驚いた。
o川;* - )o「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
──耳まで真っ赤にした須藤が、勢いよく立ち上がったのである。
(;^Д^)「え、ちょ、須藤さん!?」
返事がない。
ただの屍にしては血色が良すぎるようだが。
o川;* - )o「わ、わたし!」
o川;* - )o「明日の準備があるからっ」
そんな突然な。
困惑しながらも安織は頷く。
o川;* - )o「プギャーは9時30分にお店、来てね!」
(;^Д^)「う、うす!」
──それじゃ。
そう言い残し、須藤は駆ける。
そういえば、病室から逃げ帰る須藤ばかり見ているな、
と理解の追いつかない頭で考えた。
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203 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:43:26 ID:oSxeRU1c0
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( ^ν^)「逃げられてやんの」
(;^Д^)「……やっぱりそうっすよね、今、俺逃げられたんすよね…………」
ζ(;ー;*ζ「いやーこのタイミングで告白したことには敬意を、表すっぷふっ」
(;^Д^)「泣くほどすか!泣くほどおかしいっすか!!」
ζ(;ー;*ζ「あーほら、ちょっと」
長網がニュッを指さし、あーあと笑った。
見れば、思い切り眉間にしわを寄せている。
( ^ν^)「なんだ?また誰か居るのか」
(;^Д^)「あ、あー……デレさんすよ」
( ^ν^)「ああ……あの変な奴か。今日は見えないんだな」
ζ(゚、゚*ζ「変な奴とは失礼な!こんなに可愛いのに!!」
( ^Д^)「はい、変な奴っす。まあ……この間が例外なんすよ」
ζ(゚、゚*;ζ「えっちょ、安織くん、私の言葉を伝言してくれないんですかっ」
( ^ν^)「へえ」
( ^Д^)「……何か喚いてるんすけど、通訳します?」
( ^ν^)「かったるいからいい」
ζ(゚、゚*;ζ「むがーーーーーー!!」
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204 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:44:18 ID:oSxeRU1c0
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( ^ν^)「……つか、もう明日か」
( ^Д^)「何がっすか?」
( ^ν^)「パン祭りだよ。そこの公園でやるんだろ?」
だっせえ響き。
そう言ってニュッは笑う。
( ^ν^)「…………気合い、見せるか」
ζ(゚、゚*ζ「気合い?」
( ^Д^)「はあ」
気合い。
些か、ニュッとはうまく結びつかない言葉である。
安織が首を傾げていると、彼はしっしっと追い払うように手を動かした。
( ^ν^)「帰った帰った。……俺も用事を思い出したんでね」
( ^Д^)「用事すか?」
( ^ν^)「おう。それとも何か、こんな足をしたやつに
こなせる用事なんてないとでも?」
(;^Д^)「いや、そんなつもりは」
( ^ν^)「バーカ。冗談だっての」
ニュッはくつくつと笑う。
随分とギリギリの冗談である。
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205 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:46:35 ID:oSxeRU1c0
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( ^Д^)「それじゃあ、まあ、お暇するんで」
( ^ν^)「おう。……明日は気張れよ?」
(;^Д^)「うす」
ζ(゚ー゚*ζ「キュートさんのことだってわかってます?」
(;^Д^)(わ、わかってるすよ!)
ニュッに不審がられない程度に返事を返し、立ち上がる。
(;^Д^)「……じゃあ、また」
( ^ν^)「おう」
安織は頭を下げて、病室を後にする。
長網もそれに続いた。
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207 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:49:36 ID:oSxeRU1c0
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( ^ν^)「……さて」
病室に一人。
ニュッはナースコールを手にし、ボタンを押す。
がらり。
数分と経たず、扉が開かれた。
すらりと高い身長。
整った顔立ち。
( ・∀・)「やあ。珍しいね」
──畑田である。
( ^ν^)「……おう」
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208 名前: ◆3TZSFRho.I[] 投稿日:2016/04/25(月) 03:51:22 ID:oSxeRU1c0
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ニュッが簡潔に用を告げると、畑田は目を丸くした。
いわく、どういう風の吹き回しだ、と。
( ^ν^)「思うところがあってな」
( ・∀・)「そうか、そうか。ふむ……なるほどね」
( -∀・)「……本来ならもう少し様子を見ておきたいところだが」
( ^ν^)「時間がない」
( ・∀・)「そのようだ。……少々きつくても根を上げないかい?」
( ^ν^)「はっ」
──望むところだ。
ニュッは自身の足を睨みつけると、思い切り口角を上げたのだった。
[土曜日] 了