ブーン系ゴールドラッシュ2013〜突発! タイトル祭り〜
( ゚∀゚ )サムズアップが合図のようです



2 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:10:01 ID:nBzeqeJI0
【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】




.    从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
.   <                                           >
.   <            緊急事態発生!緊急事態発生!           >
.   <                                           >
.    ヽ人从人从人人从人从人人从人从人人从人从人人从人从人人从人从




【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 

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3 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:11:31 ID:nBzeqeJI0

【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】
 




.    从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
.   <                                           >
.   <     【PSI能力者】5名逃走!繰り返す、【PSI能力者】5名逃走!  >
.   <                                           >
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【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】

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4 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:13:34 ID:nBzeqeJI0



【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】




.    从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
.   <                 チルトレン゙ファイブ                  >
.   <    総員、非能力者は避難!C5に【解禁】の出動要請!        >
.   <                                            >
.    ヽ人从人从人人从人从人人从人从人人从人从人人从人从人人从人从




【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】 【EMERGENCY】

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5 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:14:25 ID:nBzeqeJI0

.    从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
.   <                  チルドレンファイブ                  .>
.   <            出動せよ、Children5!                 .>
.   <                                           .>
.    ヽ人从人从人人从人从人人从人从人人从人从人人从人从人人从人从




( ゚∀゚ )サムズアップが合図のようです



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7 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:16:39 ID:nBzeqeJI0
世界有数の超能力者研究施設【VIP】。
堅牢な白い巨大施設内には、おおよそ50人を超える超能力者が収容されている。
研究員200余名、戦闘員150名弱、能力戦闘員15名。

施設は50階まである3つのビルで構成され、それぞれ連絡通路で繋がっている。
多くの人間が慌ただしげに行き交い、時に怒号を発している。

「PSI保有者が5人も脱走だって!?ESP管理担当は何をやってたんだ?!」

「犯行声明文だと?奴らめ、テロリストにでもなったつもりか」

「もし脱走が成功してみろ、ここの預かりは国防省の預かりだぞ。面目丸潰れだ!」

( ゚∀゚ )「……どこも皆パニック状態だな」

<(' _'<人ノ「仕方ないですよ、何せこのような事態は過去に例をみませんから」

ひと組の男女が人ごみをかき分け、3つのビルのうち、テンプルスリービルを目指していた。
男の手の方には、シンプルな文章が綴られている。

「.突然ですが、僕らは【VIP】を脱退したいと思います。
 ぼくらは超能力者ですが、それ以前にひとりの人間です。
 けれど、世間はぼくら超能力者に対して冷たく当たります。
 ひどいです。こんなことは絶対、間違っています。
 超能力があるだけで、隔離され、実験台にされるなんて、おかしいことです。

 だから、僕らは僕らなりに戦い、間違いを正したいと思っています」

文章は子供らしいものだ。
しかし言葉の端々に伝わる書き手の感情に、底知れない何かを感じ取れる。

8 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:17:36 ID:nBzeqeJI0

( ゚∀゚ )「僕らが正してみせる……か。世間の風当たりとVIPへの不満からくる反抗ってところだな」

<(' _'<人ノ「彼らは外に出て何をする気なんでしょう。それ以前に、本当に脱走するつもりでしょうか?」

( ゚∀゚ )「さあな、知ったことじゃねえ。俺たちの役目は、脱走者を止めること。そうだろ?」

犯行声明文のコピーをファイルにしまい、男は言い放った。
女はテンプルスリービルをチラリと見上げ、そうですね、と短く返した。

                        ( ゚∀゚ )「それで、今回脱走したメンバーの詳細は?」

.                               
.                         アヒャ:PSI戦闘チーム【C5】主任
.                              age:25 Sex:male


                        <(' _'<人ノ「こちらになります、どうぞ」
.                                
.                           高崎美和:主任補佐
.                            age:-- Sex:female

通路を足早に進みながら、白衣の男アヒャは高崎に尋ねる。
高崎があらかじめ用意していた書類を受け取るや、ばらばらとそれらをめくり、アヒャは顔をしかめた。

( ゚∀゚ )「おいおい……全員ESPレベル最大の戦闘型能力者じゃないか」

<(' _'<人ノ「現在【C5】が交戦中のようです。丁度5対5ですね」

( ゚∀゚ )「……? そうか、アイツ等がか。急がないとな」

.

9 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:18:58 ID:nBzeqeJI0

途端、建物の一つから爆音。通路に悲鳴が響き渡る。
アヒャはどうにか体勢を維持したまま、連絡通路から外を伺いみる。

( ゚∀゚ )「45階の技術開発室か……!あんなところで暴れられたら大事だぞ!」

<(' _'<人ノ「アヒャ主任、こちらの緊急エレベータを……」

「その必要はあらへんで」

どこからともなく声がする。
二人が反応する間もなく、青白い光が空間に現れる。

                       (゚A゚* )「おいっす、主任。騒ぎ聞きつけて駆けつけてきたで」

.                                 テレポーター
.                           のー:瞬間移動能力者
                              age:18 Sex:----

光の中から現れたのは、中性的な青年。
超能力者たちが着用を義務付けられた制服に身を包んでいる。

( ゚∀゚ )「のーか!状況はどうなっている?」

(゚A゚* )「上ではもう、皆戦っとるわ。主任もはよ一緒に行くで!」

のーがアヒャと高崎の手を腕をとった瞬間、青白い光が三人を包んだ。

.

10 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:20:03 ID:nBzeqeJI0

45階、技術開発局室。
ここではエスパーの研究や戦闘に必要なもの全てが揃っている。
だがそこは既に、戦場と化していた。

「どおりゃァーーーーーーーーー!!」

重いガレキやテーブルやらが無造作に宙に浮き、竜巻のようにぐるぐると回っている。
それらがぶつかり合って絶えず破壊音がそこら中に響き渡り、大惨事以外の何物でもない。
竜巻の中心では、一人の少女と一人の女性が向かい合っていた。

              ハソ#゚−゚リ「くっ……こンのナマガキ!いい加減にしろって言ってんのよ!」

.                              グラビティ・チェンジズ
.                           ナチ:重力操作能力者
.                              age:19 Sex:female

金髪の女性、ナチは右手を突き出し、青白い光を放出させる。
光に当たった浮遊物が落下したり浮上したりを繰り返す。

「やーなこった!オバサンに指図されるいわれはないわよォ!」

ハソ#゚−゚リ「オバッ……!」

ハソ;゚д゚リ「きゃあああっ!?」

またひとつ、黒塗りの机が吹き飛ばされる。
ナチは悲鳴をあげ咄嗟に避けた。机は壁に叩きつけられ木っ端微塵となる。
もし避けなければ、ナチが粉微塵になっていただろう。

11 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:20:43 ID:nBzeqeJI0

ハソ;゚д゚リ「てめっ殺す気かァーーッ!!」

「あーら、研究所を脱走しようとした悪い子ちゃんには、お仕置きするのが筋ってもんでしょ」

煙が晴れていき、少女の姿が次第にあらわとなる。
無数の尖った木片が円環を描き、少女を取り囲んでいる。
壁の穴から光が差しこみ、逆光で少女の顔は見えない。

ハソ#゚−゚リ「こんなところ抜け出して、何が悪いというの!?」

「悪い?超能力者は法律により【施設】で保護されなければならない。そうでしょ?」

ハソ;゚−゚リ「ッ……!そんな法律間違ってるわ!」

ナチは金切り声を上げた。
彼女から発せられる感情に共感するように、部屋中が音を立てて震える。

ハソ#゚д゚リ「だから、私たちはここを抜け出して、そんなクソッタレな法律を変えてやるの」

ハソ#>д<リ「それの、何がいけないのよーーーー!?」

爆ぜる音がし、ナチを中心とした全ての物が少女へと発射される。
物というモノがぶつかり合う音が絶え間なく響き、――沈黙。

ハソ;゚−゚リ「……フンッ!ざまあみなさい!」

,

12 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:22:57 ID:nBzeqeJI0

もうもうと埃が立ち昇り、少女がいた方を睨みつけた。
決着がついたと判断し、ナチは背を向けた。

ハソ;゚−゚リ「!」

刹那。空を裂き、何かがナチの髪を切り裂いた。
振り返る間もなく、不可視の力がナチを吹き飛ばし、壁へと叩きつける。

ハソ; д リそ「ぎゃあっ!?」

木片の切っ先の全てが、ナチへと向けられた。
煙の幕からにゅっと白い手が突き出され、つい、と動く。
その瞬間、木片の全てがナチを取り囲むように壁に突き刺さった。

「言いたいことはそれだけ?」

身動きのとれないナチに、つかつかと影は歩み寄る。

ハソ; − リ「あ、あんたなら……わかってくれると思ったのに……!」

「お黙り」

腹に強烈な一撃。ナチは声にならない悲鳴をあげ、ぐったりとうなだれた。

                      爪゚ー゚)「お騒がせが過ぎると、標本にしちゃうわよ?」

.                                サイコキネシス
.                             じぃ:念動力者
                            age:15 Sex:female

,

13 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:24:30 ID:nBzeqeJI0

「「「ひぎゃん!?」」」

爪゚ー゚)「あら?」

何やら物音がして振り返ると、そこには三つ分の人の気配。

(;゚∀゚ )「いてて……のー、もうちょっと優しく運べ!」

(゚A゚*;)「すんませんなあ、どうにもコントロールきかんで……」

爪゚ー゚)「あら主任、随分早かったわね」

ノビてしまったナチを縛り上げている最中、ようやくアヒャらが到着する。
空中から人間が現れたことに、さして驚く様子もない。
じぃは慣れた手つきで、てきぱきとナチを縛り上げる。

ハソ ×д×リ キュー

<(' _';<人ノ「私、援護を頼んできます!」

( ゚∀゚ )「じぃ、戦況報告を頼む」

爪゚ー゚)「あら、その必要はないんじゃない?」

言うやいなや、じぃは片手をスイングした。
ほぼ同時に、またも別の壁が吹き飛び、じぃらを襲う。
じぃの放出した念動力が相殺したお陰で、幾らかの衝撃波を受けただけで済んだ。

<(' _';<人ノ「こ、これは………!何が、」

起きたんですか、と続けるより早く、2つの巨体が転がり込む。

|::━◎┥ (十 )

アヒャはその正体を見るや、驚いた。
どちらも、研究所が保管していた大型自律歩行戦闘ロボットだ。

14 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:25:46 ID:nBzeqeJI0

爪゚ー゚)「気をつけなさいよね、デルタ。私たちを巻き込む気?」

【ごめんごめん。ちょっと立て込んでてね、注意するのが精一杯だったよ】

全員の脳に直接響き渡る男の声。
戦闘ロボットのコクピットから、声の主と思われる男が手を振る。

                       ( "ゞ)「でも怪我がないから、結果オーライだろ?」

.                                  サイコメトラー
.                             デルタ:精神感応者
                              age:17 Sex:male

( ゚∀゚ )「おいデルタ!頼むからそいつは壊すなよ!」

(十)【善処するよ】

戦闘ロボットはとても高価だ。それこそ億単位の金が注ぎ込まれている。
アヒャがたしなめるのも無理はないが、デルタの声はのんびりとしたものだ。
デルタを載せた、やや小柄な方の戦闘ロボット「原子王」が、もう片方の戦闘ロボットへ向き直る。

(十)【ちょーっと暴れるから、避難したほうがいいかもよ】

関節部が唸りを上げ、行動開始の前触れを告げる。

爪゚ー゚)「サポートしよっか?その戦闘ロボ、たしか最新作で操作方法も公開されてないでしょ」

(十)【不要だね。僕はテレパスだよ、戦闘機一つ操るくらい簡単さ】

.

15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:26:29 ID:nBzeqeJI0

精神感応者は、物に触れれば最良の使い方を「視る」ことが出来る。
デルタがたとえ一度も飛行機の概念を理解していなくても、実物に触ったならば
最新型の戦闘飛行機すらもプロのように乗りこなせる。

|::━◎┥ガション

(十)【どうにもこの子ら、この戦闘機でド派手に暴れて脱出するつもりだったみたい】

爪゚ー゚)「短絡的ね。こーんなオモチャで施設から出ようだなんてさ」

(#゚∀゚ )「お、オモチャぁ!?仮にも俺たちが作った最新型ロボットだぞ、それを馬鹿にして……」

またもアヒャが最後まで言い切るより早く、歯車王が一歩早く動いた。
原子王は咄嗟にアヒャたちの前に踊り出るや、激しくぶつかり合う。
アームが火花を散らし、原子王が僅かに押される。

( ゚∀゚ )「デルタ、原子王は力技には向いていない!接近戦は出来るだけ控えろ!」

(十)【分かってる、よ!】

アームの動作が「来いよ」と歯車王を挑発し、アヒャたちと距離を取らせる。
空いた壁から外へ飛び出し、原子王に組み込まれた重力操作システムを展開させた。
歯車王の乗り手はデルタしか目に入っていないのか、脇目もふらず後を追う。

.

16 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:27:14 ID:nBzeqeJI0


施設の白い壁に、垂直に立ち対峙する二体の戦闘ロボット。
機体の重力操作機動がなせる技だ。

(十)【でも驚いたよ。まさか君までもが、この計画に参加していたとはね】

                                ( ・−・ )「…………」

.                                    サイコメトラー
.                             シーン:接触感応能力者
                               age:15 Sex:female

(十)【あっあー、ダンマリ決め込んじゃう?仲良くしようよー、サイコメトラー同士さ】

|::━◎┥キュインッ!

(十)【へっ】

歯車王のモノアイが原子王に注視した。
刹那、両肩部分が展開し、数多の銃口が顔を出す。
一瞬はやく、原子王がジャンプして飛び退く。

(十)【あっぶないなー!見かけによらず激情家かい!?】

今まで原子王が踏ん張っていた場所が蜂の巣にされ、壁が崩れた。
その惨状は一瞥すると、相手がいかに本気かを悟る。

.

17 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:29:39 ID:nBzeqeJI0

(十)【やる気満々、ってか……!】

原子王を始め、戦闘ロボットは操作技術の高さを求められる。
しかし精神感応者同士の戦いにとって、マシンの操作技術は二の次だ。
一番に求められるのは即ち、

(十)【こっちも本気でいかせてもらうよ!】

マシンを極限まで使いこなすだけの、精神力。

( ・−・ )「ッ!」

|::━◎┥ゴウッ!

空気が低く唸りをあげ、歯車王の腕が振り下ろされる。
リーチが長い歯車王の腕は、容易に原子王を捉え、潰さんとする。

( 十)ガシャッ、タンッ!

一瞬下半身を沈め、原子王は跳躍してよける。
それを皮切りに、右腕、左腕と、歯車王の両腕が交互に原子王を襲う。

|::━◎┥ズゥン!ズゥン!

( 十)ダダンッ!ダンダンッ!

アームが振り下ろされるたび、原子王は兎のように軽快によける。
これだけの精密な動作は、従来のロボットには不可能だろう。
アヒャがこの機体を心配する理由がよくわかった。
.

18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:31:59 ID:nBzeqeJI0

|::━◎┥ガションッ!

(十)【おおっ!?】

突如、歯車王の腹部が展開する。
そこからにょっきり顔を出すのは、無数の機関銃。

( "ゞ)「……ワーオ」

一斉射撃。原子王に無数の鉛玉が発射される。
銃撃が絶えず鳴り、原子王は弾かれたように壁を走り出す。

歯車王に向かって。

|::━◎┥バチチュンバチュンバチュンバチュン!!

( 十)ヒュババババッ!

ジグザグに走り、弾丸の雨が原子王をかすめる。
まるで自身の体のように思い通りに動く原子王に、デルタは感心を覚える他ない。

(十)【せいっ!】

銃弾がいくばか着弾したが、構わず跳躍。
原子王は宙に身を躍らせる。

( ・−・ )「……………バカが」

空中では防御をとることはできない、それはデルタも理解している。
歯車王はこれ幸いと、アームを上段に振りかぶり、原子王の足を捉えようとした。

19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:32:54 ID:nBzeqeJI0

しかし。原子王は両腕をまっすぐのばし、歯車王に向けた。
直後、両腕から円筒が顔を出し、ジェット噴射で白い煙が歯車王の視界を覆う。

|::━◎┥【………………!】

デルタは背後に着地。
原子王を見逃し、乗り手の動揺が歯車王を通して伝わってくる。
その一瞬の動揺が、勝機を分ける。

( "ゞ)(ごめん主任、約束守れない!)

原子王は装備していたビームサーベルを抜いた。
勝負は一瞬。

(;・−・ )「!」

( "ゞ)「いっけえええええ!!」

サーベルを構え、歯車王につっこむ!
歯車王が背後の原子王に気づき防御を取ったが、あとの祭り。

(;・−・ )「あっ……!」

(十)【歯車王の特大ダルマ、一丁上がり!】

スパンッと、サーベルは歯車王のアームを切り落とした。
バランスを崩した歯車王がよろけた瞬間、脚部も切り落とされた。

20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:34:12 ID:nBzeqeJI0

(;>−< )そ「わぁっ!?」

ゴロゴロと歯車王の胴体が転がり、コクピットが自動で開いた。
注釈しておくが、彼らのバトルフィールドは垂直の壁だ。
シーンの小さな体が投げ出され、真っ逆さまに落ちていく――!

( 十)(;>−< )パシッ!

( "ゞ)「ふうっ。危なかった」

原子王のアームがシーンを捉えた。
歯車王は壁にあちこちぶつかりながら、落下していく。
やがて地面にぶつかり、完全に沈黙した。

(ili・−・)「…………」

( "ゞ)「危機一髪だったね」

コクピットを開き、デルタが手を差し出そうとした。

( ・−・#)キッ!

(;"ゞ)「いてっ!?」

乱暴に、シーンはその手を払った。
思わず手を引っ込めるデルタに、シーンは口を開いた。

21 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:35:42 ID:nBzeqeJI0

( ・−・#)「お前らさえいなきゃ……僕たちは外に出られたかもしれないのに!」

(;"ゞ)「な……!助けてやったのにその言い草はないだろ!?」

( ・д・#)「うるさい!助けてくれなんて言ってない!」

( "ゞ)「……シーン、君は……」

( ・д・#)「えいっ!!」

言葉を発するより早く、シーンが拳を振るう。
デルタは咄嗟にその拳を受け止めた。

(ぼくは……外に出たかっただけなのに……!)

( "ゞ)「……!」

拳から流れてくる熱いもの。デルタはそれを知っている。
激情したシーンの想いが、接触したことにより伝わってくるのだ。

(学校にも行きたい……友達と一緒に、ジャンクフードも食べてみたい……家族に会いたい……!)

( ・д・#)「離せっ、この!」

(超能力さえなけりゃ……ぼくはずっと外の世界で暮らせたのに……!色んなことができたのに……!)

( "ゞ)「…………」

.

22 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:37:19 ID:nBzeqeJI0

ジワッ…( ・д;。#)「くそ……くそっ……!」

抵抗を諦めたのか、シーンの抵抗する力が抜けていく。
がっくりと項垂れる小さな頭を、デルタはただ見ているしかできない。

シーンとは深く交友があったわけではない。
普段、彼女(シーン)が言葉を発することもなく、心を開いてくれるでもない。
だから、普段何を考えているかも知らない。

( "ゞ)「……悪いけど、これが任務だから。諦めて大人しくしてもらうよ」

だから、どんなに相手の心を読み取っても、冷たく突き放すことしかできない。
シーンへ湧き上がった同情心を抑え込み、デルタはシーンを拘束した。

「うわあああああん!助けてえええええええええ!!」

(;"ゞ)「え?っ、うわあっ!?」

とそこへ、また新たな声。
直後、ひとつの影がデルタにタックルをかます。
因みに、シーンは影とデルタに挟まれて気絶した。

(;"ゞ)「あいててて」

( ×−× )キュー
                      (;TДT)「だずげでデルダあ”あ”あ”あ”!じに”だぐな”い”い”い”!!」

.                                 トランスフォーメーション
.                             モカー:変身能力者
                               age:19 Sex:male

.

23 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:38:40 ID:nBzeqeJI0

巨体の青年はデルタにしがみつき、わあわあと泣きじゃくる。
その両腕は犬のように毛むくじゃらで、背中には鷹のような羽が生えている。
デルタは渋い顔をして、青年モカーを引き剥がした。

(;"ゞ)「ひっつかないでくれ、鬱陶しい!大体、お前の相手はどうした?」

(;TДT)σ「きっ聞いてくれよデルタ!俺殺されちゃうううううう!!」

デルタが指差した先を向く。
青空に浮かぶ黒い点が、急速に近づき、シルエットが浮かんでくる。

.                                 ゴオオオオオオオオオ以`゚益゚´以オオオオオオオオオオオオ

( "ゞ)

( "ゞ)「あれ、誰?」

(;TДT)「し、シラヒーゲ爺ちゃん」

( "ゞ)「え、( ´W`)←?」

(;TДT)「うん」

( "ゞ)

( "ゞ)bそ「モカー、任せたぞ!」

(;TДT)「薄情ものおおおおおおおおおおおお!!」

,

24 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:39:36 ID:nBzeqeJI0

デルタは敵を視認するや、気絶したシーンを乗せ、原子王でスタコラさっさ。

(;TДT)「ひいいいいいい!!」

モカーが泣き喚いている間にも、化物はモカーの半径10m以内にまで接近していた。
頭はライオン、モカーと同じく翼が生えており、どこかスフィンクスを彷彿とさせる。

                          以`゚益゚以「敵前逃亡とは、儂の孫らしくないぞ」

.                                    トランスフォーメーション
.                              シラヒーゲ:変身能力者
                               age:79 Sex:male

(;TДT)「も、もうやめようよ、シラヒーゲ爺ちゃん!俺、シラヒーゲ爺ちゃんと戦いたくないよお!」

以`゚益゚以「ならば、大人しく倒されるがいい孫よ」

(;TДT)「そっ、それも嫌だあああ!!」

シラヒーゲは両腕の鉤爪を光らせ、肉薄する。
モカーは泣き喚きながら、鷹の翼を駆使して、その魔手から逃れようとする。

以`゚益゚以「どうした?お前さんの役割は、この儂を捕まえることじゃなかったのか?」

(;TДT)「そうじゃなかったらどんなによかったかーー!!」

,

25 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:41:27 ID:nBzeqeJI0

螺旋をえがく逃走飛行。
本来はモカーが脱走者のシラヒーゲを捕まえるはずが、あべこべだ。

以`゚益゚以「ふんっ!!」

(;TДT)「きゃあああっ!!!」

モカーが咄嗟に頭を引っ込め、そのスレスレを鉤爪が空を掴む。
戦闘態勢のシラヒーゲを前に、臆病な性分のモカーはすっかり萎縮しきっていた。

以`゚益゚以「どうした、その狼の爪は飾り物か?」

(;TДT)「ううう…………!」

闘志のないモカーは、防戦一方だ。
外見も相まって、まさに獣のような争い。

(;TДT)(ダメだ……!シラヒーゲ爺ちゃんじゃ分が悪すぎる!)

シラヒーゲはVIPの古株であり、古参エスパーでもある。
何より、モカーの祖父だ。つまり、モカーとの戦い方を、一番熟知しているということだ。
まだ若いモカーの未熟な動きの裏をかき、攻撃してくる。

26 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:42:41 ID:nBzeqeJI0
以`゚益゚以「ふぉふぉ、こんな爺でもお前さんくらいの相手ならば互角に戦えるということかのう」

(;TДT)「ひっ……!」

モカーは振り返らず、脇目もふらず飛ぶ。
若干楽しんですらいるシラヒーゲの声に、モカーは戦々恐々。
逃走者のシラヒーゲは、あえて戦いを挑もうとしているようにも見えた。

(;TДT)「も、もうここまでくれば……はっ!!」

居ない。シラヒーゲの姿が忽然と視界から消えていた。   、 、 、 、 、 、、、 、、
相手の姿を視認できない、その恐怖心から、モカーはつい速度を緩めてしまった。

「隙だらけじゃっ!」

(; Д )そ「ぎゃあっ……!?」

背中に激痛が走る。
もろに一撃が入り、モカーは盛大によろけた。
そのお陰で、二撃目は偶然避けることができた。

(;TДT)「う、うぐうううううう……!」

以`゚益゚以「ふん、仕留め損なったか」

まるで景色から抜け出てくるように、シラヒーゲの姿が現れる。
モカーは目を見開き、その様子を穴があくほど凝視した。

(;TДT)「ぎ、擬態……?」

以`゚益゚以「左様。お前もエスパーならばこれくらいのことは出来るようになるといい」

27 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:43:25 ID:nBzeqeJI0

そう諭すシラヒーゲの両腕が、鎌のような刃へと変質していく。
モカーはいよいよ恐怖におののいた。――祖父は、間違いなく自分を殺す気だ。

(;TДT)「あ……あああああ……!」

以`゚益゚以「安心しろ。殺しはせん、ただ……」

刃の腕で金属音を鳴らし、モカーを見据えた。

以`゚益゚以「数ヵ月はベッドの上かの」

(;TДT)「う………うわああああああああああああああ!!」

シラヒーゲが刃を鈍く光らせ、高速で迫る。
逃げる選択肢すら脳内から消え失せ、モカーは絶望のあまり目を瞑った。

(;>Д<)「……」

(;TДT)「あれ?」

音はした。だが、痛みはない。
おそるおそる目をあけて、モカーの視界に映ったのは――

【モカー、耳を塞げ!】

真っ二つになった黒い巨体が、目の前で切り裂かれていた。
声がした直後、強く引っ張られる感覚がし、爆発音。
閃光がモカーを襲った。

.

28 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:44:19 ID:nBzeqeJI0

以`゚益゚以「むっ!!」

(;TДT)「わっ…………!」

爆風が頬を叩く。金属片が辺りに爆散し、衝撃波を生む。
モカーは自らの腕を引く何かを見上げて、あっ!と叫んだ。

(十)【やれやれ、こりゃ主任に怒られちまうな】

(*TДT)「デルタああああ!やっぱり助けてくれたんだね!」

デルタが囮にしたのは、落下して使い物にならなくなった歯車王のボディ。
爆発と金属片を食らい、傷を負ったシラヒーゲが二人を睨んでいた。

以`゚益゚以「ふん…………一対一の勝負に茶々をいれるとは……」

(十)【一対一ね。家庭内暴力の間違いじゃなくてか?】

原子王がサーベルを構えた。
だがモカーはデルタへ制止をかけ、少し前にでた。

(;TДT)「シラヒーゲ爺ちゃん……どうして、ここから出ようなんて思ったの?」

以`゚益゚以「………………」

(;TДT)「父さんも母さんもVIP内で暮らしてるし、お爺ちゃんだってここから出る気はないって言ってたじゃないか……」

老人は黙し、モカーをしばらく見据えた。

.

29 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:45:06 ID:nBzeqeJI0

以`゚益゚;;;...ザァ…

..;;メ´W`)スゥ

(十)(……!変身を……解いた……?)

シラヒーゲの予想外の出方に、デルタは見守るしかできない。
翼を残して元の老人に戻ったシラヒーゲは、しばしの沈黙のあとにこう切り出した。

(メ´W`)「のうモカー。一緒に外へ……行かんか?」

(;TДT)「!?」

(;"ゞ)「なっ…………!」

老人の提案に、デルタは思わず身を乗り出したかけた。
モカーも言った意味がよく分からないと言いたげの顔でシラヒーゲをみる。

(メ´W`)「モカー、儂は外の世界をよく知っておる。エスパーが差別され、生きにくい世の中を知っておる」

(メ´W`)「超能力者というだけで、あらぬ噂をたてられ、畏怖され、気の置けない友人ひとりすらできない」

(メ´W`)「挙句、化物扱いされ、理不尽な法律が作られ、このような場所に隔離される……」

(;TДT)「爺ちゃん……なら、何で……」

30 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:46:22 ID:nBzeqeJI0

老人は今一度、目を細めて我が孫を見た。

(メ´W`)「儂はのう、モカー。お前に戦って欲しくないんじゃ」

デルタは訝るように眉間にシワを寄せた。
戦って欲しくない、その言葉を反芻したモカーに、シラヒーゲは頷いた。

(メ´W`)「今日、ここを脱出する時……儂はあえてお前と戦う道を選んだ」

(;TДT)「………………?」

(メ´W`)「儂は賭けてみたかったのじゃ。お前がここにいて幸せになれるかどうか……」

( "ゞ)「……」

デルタは迷った。今、戦闘状態のシラヒーゲを倒すのは容易だ。
不意をついて、羽を切り落とすなり、原子王のタックルで倒してしまえばいい。
だが、枯れ木のような老人には、一片の隙もない。
それがデルタを、サイコメトラーの勘を迷わせる。

(メ´W`)「お前は弱虫で、貧弱で、優柔不断の上、いじめられっ子で要領も悪いからのう……」

(;TДT)「爺ちゃん、そんな風に思ってのか……事実だけどなんかショック……」

(メ´W`)「だからのう、お前が儂に負けた暁には、引きずってでも外に連れて行こうと考えたのじゃ」

(;TДT)「そっ……外に…………俺が、出る……爺ちゃんと……?」

31 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:47:02 ID:nBzeqeJI0

当然、老人の思惑を耳にし、狼狽するモカー。
デルタもいよいよ表情が強張り、老人をあらん限り睨みつける。

(メ´W`)「…………先日、自衛隊が国防軍に名を改めたのは知っておろう?」

( "ゞ)「……それが、何だって言うんです?」

イラついた声色で、デルタが口を挟んだ。
だがシラヒーゲは咎めることはせず、続けた。

(メ´W`)「簡単なことじゃ。再びこの国が、戦争する力を得たということじゃよ」

(メ´W`)「そしていずれは……エスパーも、兵器として駆り出される。お前のような弱い奴が、戦場になぞ出れるものか」

(;TДT)「!」

あまりに突飛な話なので、モカーは言葉もでない。
つまりシラヒーゲは、人間兵器として扱われたくないが故に、外に出ようと。
そう言っているのだ。

(;TДT)「せ、戦争に…………俺たちが………………?」

( "ゞ)「あくまで可能性の話だろう。いたずらにデマ紛いの情報を流すのはやめてほしいな」

(メ´W`)「いいや、近い将来そうなる。だからここを出ていくことが、この子のためじゃ」

.

32 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:48:03 ID:nBzeqeJI0

のう、モカーや。

そう言い切ったシラヒーゲが、モカーの手を引いた。
その瞬間、デルタの中で、なにかが切れた。

(十)ガシャッ

(;TДT)「! デルタ、俺は!」

(十)【止めないでくれ、モカー。悪いがお前の爺さんはぶん殴る】

..::::´W`)ズッ

以`゚益゚;;;...「ほっほ。闘るか、小僧」

(十)【好き勝手言いやがって、糞爺。結局はテメーがビビリなだけで、その口上もただの我儘じゃねーか】

以`゚益゚以

(十)【図星か?もっと言ってやろうか。テメーも外に出るのが怖いんだろ。だから、孫を巻き添えにしようとしてる】

以`゚益゚以「黙れ。殺すぞ」

(十)【宣戦布告とみなしたよ。シラヒーゲ、お前を拘束させてもらう。抵抗すれば、多少の乱暴もやむなしだ】

以`゚益゚以「…………やってみろ、若造が」

そう言い、またもシラヒーゲが透けて、背景と同化していく。
原子王が初撃を出すより早く、あっという間に姿が見えなくなってしまった。

33 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:48:43 ID:nBzeqeJI0

(;TДT)「! また擬態だ!」

(十)【慌てるな。こちとら最新の原子王様だよ?】

デルタは原子王に内蔵されたサーモグラフィを起動させた。
相手がいかに背景に同化しようと、自身の持つ体温までは隠しきれない。
程なくしてレーダーが、ひとつの熱を探知した。

(十)【ッそこだァアア!】

アームを振るう。すると、振るった腕に手応え。
人間ひとりと同等の質量がぶつかり、シラヒーゲがいずこへ吹き飛ばされる感触だった。
原子王に殴られて、まず平気な人間はそうそういない。

(十)【やっ…………!】


「どこを見ている」

――直後。殴り飛ばされたシラヒーゲが、塵となって消える。
更に、ズッパリと、原子王の両腕が切断されるのを、デルタは目にした。

( "ゞ)「… … … … … … え ? 」

機体に激しい衝撃。
現状を把握するより早く、デルタは宙に投げ出されていた。
そして、バラバラになった機体と、両腕を大型の刃に変えたシラヒーゲに見下ろされ、

自身の負けを、悟った。

.

34 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:50:48 ID:nBzeqeJI0

(;TДT)「デルターーーーーーーーッ!!」

別視点から見ていたモカーは、デルタが負けたことで状況を把握した。
原子王が殴り飛ばしたのは、シラヒーゲが作った分身だったのだ。

モカーはデルタを追おうとするが、シラヒーゲの腕がそれを制した。

(;TДT)「爺ちゃん離して!デルタが死んじゃう!」

(メ´W`)「何を言うか。儂は奴に殺されそうになったんじゃぞ?」

(;TДT)「でっでも!助けなきゃ!」

モカーは腕を振り払おうとした。
だが老人の細い手は不思議なことに、まるで鋼鉄のように固くモカーを離さない。

(メ´W`)「それは、友達だからか?」

(;TДT)「そうだよ!」

こうしている間にも、デルタは真っ逆さまに落ちていく。
藻掻くモカーに、シラヒーゲはたった一言、こう言い放った。

.              、 、、 、、 、 、 、 、 、 、 、、
(メ´W`)「そんなもの、外に出てまた作ればよかろう?」

.

35 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:51:31 ID:nBzeqeJI0

(;TДT)

(;TДT)「爺、ちゃん?」
                              、 、 、、 、 、 、 、、、 、 、 、
(メ´W`)「何じゃ、モカー?友達の一人や二人、外にでれば幾らでもできるぞ?」

(; Д )
.       、 、 、  、、 、 、、、 、 、、 、
(メ´W`)「今度は、ちゃんとした友達をな」

ばしっ。

(#)´W`)

(#;TДT)

その音は。たった一発。
モカーの拳が、シラヒーゲの頬を、殴り抜いた音だった。

(#)´W`)「…………モ、カー?」

(#;TДT)「爺ちゃんの……バカァッアアーーーーーーーーーーーッ!!」

怒りの咆哮と共に、モカーの腕を始めとして、全身が輝く。
腕が、胴体が、肌が透けていく。やがてその姿は崩れ、液状とかした。

(#);´W`)「液状化能力…………!」

エスパーは、極限のストレスの下に置かれると、新たなエスパー能力に目覚めることがある。
モカーはまさに今、極限の怒りの感情で「液状化能力」に目覚めたのだ。

.

36 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:52:40 ID:nBzeqeJI0

(#;TДT)「デルタァーーーーーーーーーーーーーーーー!」

液状化によってシラヒーゲの手を逃れ、液状化したモカーは真っ逆さま。
更に、液状化によって体積が変わり、みるみるデルタに追いつく。
本人は自身の新しい能力に全く気づいた様子はない。
本能が、彼に最上の能力の使い方を示していた。

(#;TДT)「デルタッ!」

液状化した腕が固体に戻り、デルタの腕を掴む。
地面まであと数十mのところを、モカーは背中に翼を形成し、空へのUターンに成功した。

(;"ゞ)「う、うう…………も、モカー……?」

(;TДT)「よかった…………よかったよおおおーーーーー!!」

(;"ゞ)「いでででっででで!モカー、痛い痛い!」

モカーは声をあげて泣きむせぶ。
感極まって力任せに抱きつかれ、デルタは悲鳴を上げる。

(;TДT)キッ!

モカーは祖父を睨み上げた。
腹の奥底から、怒りに燃えているのが分かった。
これほどまでに燃え上がるような感情を味わうのは、初めてのことだった。

37 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:54:14 ID:nBzeqeJI0

(;TДT)「俺は!外になんか行かない!!」

ありったけの大声で、モカーは叫んだ。

(;TДT)「ここが俺の居場所で、俺の友達はデルタだ!爺ちゃんの世話になんかならない!!」

モカーは高度を上げ、シラヒーゲと同じ位置まで上昇した。
もう目に臆病者の影はなく、闘志が漲っていた。

(#;TДT)「爺ちゃんなんか、知るもんか!どこにでも行っちまえ!」

リィン…………と、モカーの大声が空中に散った。
声は反響し、どこまでも遠く響く。
目の前の老人が何も言わないことを訝り、シラヒーゲの表情を見て、ハッとした。

(#) W )「……………………」

(;TДT)「…………」

モカーは、背を向けた。
敵前逃亡などでなく、言葉なくして、老人の戦意喪失を悟ったからだった。
この老人に今背を向けても、彼がモカーを見ていないことが手に取るように分かった。

老人が先ほどまで放っていた威圧は、どこかへと消えていた。

(;TДT)(でも、どうしよう…………流石に、今の爺ちゃんに手を出すわけには……)

「モカー!!」

(;TДT)!
.

38 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:54:54 ID:nBzeqeJI0


声の方へ視線を向けると、じぃが手を振っていた。
サイコキネシスで颯爽と空を飛び、接近してくる。

三ヾ爪゚ー゚)ノシ

(*TДT)「! じぃちゃん!」

ドゴォオオ! 爪゚ー゚)三⊃))ДT)「おっふ!!?」

(#);TДT)「何で殴ったの!?ねえなんで殴ったの!?!?

爪゚ー゚)「おっそいのよマヌケ。爺一人に何手こずってんのよ」

:(#);TДT):「ごめんなさいごめんなさい痛い痛い痛いお尻つねらないでらめえええええ!」

(#) W )

爪゚ー゚)「で、なんでこの爺は空中で真っ白に燃え尽きてるの?」

(#);TДT)「え、えーと、それは…………」

(;"ゞ)「自分より僕をとったから、ショックだったんじゃない?」

爪゚ー゚)

爪゚ー゚)「え…………、ホモ?ひくわー」

(#);TДT);"ゞ)「友情って言って!!!!」

39 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:56:19 ID:nBzeqeJI0

(゚A゚* )「済んだか、あんさんら!」

( ゚∀゚ )「お前ら無事か!?」

瞬間移動で、アヒャとのーも合流する。
沈黙したままのシラヒーゲをアヒャは眉間にシワを寄せて一瞥した。
しかし敵意がないと判断し、放置を選択。

(#);TДT)「あ、主任!」

(;゚∀゚ )「ひどい怪我じゃねーか!特に背中と頬、大丈夫か!?」

(#);T3T)「頬のはじぃちゃんに……うっ!」

爪゚ー゚)「余計なことは言わなくていいの」

アヒャが腕をまくり、モカーの患部の背中に手を触れる。
すると、背中の痛みがみるみると引いていくのを、モカーは感じ取る。

( ゚∀゚ )「…………よし。残る脱走者は2人だけだ」

(゚A゚*;)「……なあ主任。その脱走者って、もしかしてアイツ等とちゃいます?」

のーが睨む矛先に、全員が注視する。
他のビルもまた、煙をあげ、怒号が飛び交っている。
そこでは無数の能力者と思われる人間たちが、破壊の限りを尽くしているではないか。

40 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:57:24 ID:nBzeqeJI0
のーの瞬間移動で、ひとまず全員が移動する。
集団の影にバレぬよう、ガレキや建物の影に隠れながら。

爪゚ー゚)「…………あれのどこが二人に見えるのかしら?」

(;"ゞ)「きっと最初の脱走者のうちの誰かが、他の能力者を逃がしたんだ!」

( ゚∀゚ )「…………いや、よく見ろ。アイツ等全員、【同じ人間】だ」

(;TДT)「……あっホントだ!全員同じ顔だ!」

目を細めて観察していたアヒャが、そう呟いた。
しかし、遠くからのために、モカーを除いた他の3人には全く分からない。

( ゚∀゚ )「恐らく、相手はづーだな。あんな芸当が出来るのは奴くらいだ」

(゚A゚* )「ああ、づーってあの」

爪゚ー゚)「しょっちゅう胸張る割にド貧乳で」

(;TДT)「腕っ節強いけど頭弱くて」

( "ゞ)「ツッコミだけどメンタルが異常に弱い子?」


                              瓜>∀<)「ぶえーっきし!」

.                                テレポート+トランスフォーメーション
.                             づー:瞬間移動+分身能力
                               age:14 Sex:female

41 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:58:09 ID:nBzeqeJI0

( ゚∀゚ )「まあ、づーの分身能力がトップランクなのは事実だ」

( ゚∀゚ )「づーの能力は、いわばアイツ自身が同時に複数存在し、テレポート出来るってことだ」

( ゚∀゚ )「だが分身は体力と精神力を大量に消費する。長い時間活動するってことは不可能なはずだ」

( ゚∀゚ )(…………それにしても、あのづーたちの動き方…………)

( ゚∀゚ )(まるで、どこか一箇所を守ってるような…………)

(゚A゚* )「なら主任、あのアホの子放っておけばええってことか?」

爪゚ー゚)「…………そうもいかないみたいよ?」

瓜゚∀゚)瓜゚∀゚)瓜゚∀゚)「「「「「「お前ら、何やってんだ?」」」」」」(゚∀゚瓜(゚∀゚瓜(゚∀゚瓜

ズラリと並ぶ、同じ顔の少女たち。
全員が手に武器を持ち、そうそうたる場面であった。

(;"ゞ)「うわ、気持ち悪っ」

(゚A゚*;)「ゲシュタルト崩壊起こしそうやな!」

(;TДT)「き、気分が…………!」

瓜;゚∀゚)瓜;゚∀゚)瓜;゚∀゚)「「「「「「いきなり失礼だな、このやろう!」」」」」」(゚∀゚:瓜(゚∀゚:瓜(゚∀゚;瓜

ツッコミを入れながら、何人ものづーが一斉に武器を構えた。
.

42 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 22:59:17 ID:nBzeqeJI0

( ゚∀゚ )「お前ら、散開しろ!」

アヒャの言葉で一斉に、全員がバラバラの方向に散る。

爪゚ー゚)「せいやあっ!」

瓜;×Д×)「ぎゃばあっ!?」

じぃは宙に飛ぶと同時に何人ものづーをサイコキノで吹き飛ばし、

瓜;Д;)瓜;Д;)瓜;Д;)「「「ぎゃーーーっ!ぬるぬるぅううーーー!!」」」

(;TДT)「デルタ、任せたッ!」

モカーが援護するように液状化能力でづーたちの足元をすくう。

( "ゞ)「さあて君たち、撃たれる準備は覚悟できた?」

瓜;Д;)瓜;Д;)瓜;Д;)「「「おたすけええええーーーーー!!」」」

取り落とした武器を、デルタが片っ端から拾ってづーたちの数を減らしていき、

(゚A゚* )「ほらほらーっ、鬼さんこちらー!」

三瓜×Д×)「「ぎゃいんっ!?!?」」(×Д×瓜三

のーはテレポートでづーたちを攪乱する。

.

43 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:00:58 ID:nBzeqeJI0

( ゚∀゚ )「そうだ、どんどん引っ掻き回せ!づーの精神力をどんどん減らすんだ!」

アヒャは指示を出しながら、づーの分身が落とした武器を手に応戦する。
やがて攪乱がきいたのか、徐々に、少女の分身がひとり、またひとりと消えていく。

(゚A゚*;)「だーー!でもまだ20人以上もおるよ!?」

爪;゚ー゚)「分身は精神力を大幅に使うんでしょ?メンタル弱いあの子が、どうやって!?」

( "ゞ)「…………誰かが催眠などの類を使って、づーのメンタルを強化してるとか?」

デルタがぽつりと呟く。
アヒャはその言葉を聞き逃さなかった。

( ゚∀゚ )「それ抜きにしたって変だ。脱走犯が、こんなに暴れまわる必要性がどこにあるんだ?」

アヒャは自問する。
あれだけの警報を鳴らされ、同じ超能力者を前に、なぜこの場にとどまり戦い続けるのか。
普通なら逃げ口をさっさと見つけて逃げるべきなのに。

( ゚∀゚ )「! となると、つまり…………!」

(;TДT)「えっえ、どういうこと!?」

( ゚∀゚ )「のー、テレポートを頼む!他の三人は引き続き攪乱を!」

爪゚ー゚) "ゞ)「ラジャー!」

(;TДT)「えっえ、何で、ちょっと!主任!?!」

.

44 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:02:16 ID:nBzeqeJI0


瓜;-皿-)「くそーっ!ちょこまかすんじゃねえッ!」

――別の場所では、一人の少女が頭をかきむしり、大量の脂汗を流していた。
少女は目を閉じ、ひたすら何か念じている様子だった。
その小さな体は半分すけて、今にも消えてしまいそうだった。

「首尾はどうだい、づー」

低く、歌うような男の声が少女にかけられる。
づーと呼ばれた少女は、男のほうを見もせずに答えた。

瓜;-皿-)「今やってますー!!あとどんだけ時間稼げばすむんですかー!?」

「じきに終わるよ」

声はどこか愉快そうにづーへ向けて言った。
男の言葉を聞いて、づーの表情にほんのりと、喜色の色がさした。

瓜;-∀-)「えへへ…………これで実験だらけの生活はおしまいってもんだ!そうでしょ?」

瓜;-∀-)「これで、兄さんと一緒に外の世界に住めるんですよね?」

「ああ。だが君は、ここでお役御免だ」

瓜;゚∀゚)「…………は?」

男の手が優しく、づーの肩に置かれた。
刹那、づーから全身の力が抜けていき、少女の体は倒れ伏した。

45 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:03:25 ID:nBzeqeJI0

( ゚∀゚ )「ついた!」

(゚A゚* )「…………! ここは……」

エスパーの痕跡をたどり、瞬間移動でたどり着いた場所。
広い空間に、様々な装置やコンピューターが置かれてある。
部屋の中心には、円環の装置がずっしりと構えている。

(゚A゚* )「ここって、確か……ESP制御装置が置かれてる、あの……?」

ESP制御装置、即ちエスパーの超能力を特殊な電波によって無効化するシステムだ。
しかしその装置が開発されたのはつい最近のこと。
それが置いてあるのは、現在一箇所のみ。この総合電気制御室のみだ。

瓜 _ _)

(;゚∀゚ )「! づー!」

床に横たわる少女を見つけ、アヒャは駆け寄る。

(;゚∀゚ )「しっかりしろ、づー!」

肩を揺さぶり、づーを起こそうとする。
だが反応はなく、体は揺さぶられるがまま。

.

46 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:04:10 ID:nBzeqeJI0

(゚A゚* )「……?」

瓜 ゚ ゚)カッ!

(゚A゚*;)「主任、危ないッ!」

(;゚∀゚ )「!」

づーが突如、アヒャの腕を掴んだ。
のーが咄嗟に腕を突き出し、光が部屋を覆う。
そして次の瞬間には、

( A *;)「ぎっ…………!」

(;゚∀゚ )「のー!」

瓜 ゚ ゚)オォォ……

アヒャがいた場所にのーが入れ替わり、づーが隠し持っていたナイフに切られていた。
のーは腕から血を流し、その場に倒れる。

(;゚∀゚ )「このっ!」

咄嗟に、分身のづーから奪った銃を構えた。
だが撃つことはしない。づーの生気のない目が、アヒャを見た。

47 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:05:03 ID:nBzeqeJI0

「さしもの君も、妹には手を出せないとみた」

(;゚∀゚ )「!」

突如、薄暗い室内に声が響く。
こつん、コツンと音がし、それが靴音だと判断するに時間はかからない。

「昔は初代Children5のレッドヴァイキングと呼ばれた男が、こうも丸くなるとは」

「いやあ、時の流れは早いもんだ」

(;゚∀゚ )「…………お前…………」



<(' _'<人ノ


「高崎!」


.

48 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:06:40 ID:nBzeqeJI0

<(' _'<人ノ「ふふ…………」

暗闇から現れた高崎は柔和に微笑み、爪先を揃える。

<(' _'<人ノ「まるで私がここにいるのがおかしい、そう思っているね?」
                         、 、 、 、、 、 、 、、 、、 、 、 、
(;゚∀゚ )「…………いや、ちょっと違うな。何でそんな格好をしているんだ?」

<(' _'<人ノ「おや。もう気づいたか」

クスクスと、高崎は手で口許を抑える仕草をした。
何から何まで、高崎の行動をそっくり真似たものだ。

( ゚∀゚ )「……C5は表向き4人編成だ。なのにお前は5対5だと言っていた。……あの時は気にも留めなかったがな……」

<(' _'<人ノ「ふむ」

( ゚∀゚ )「だが、どっかの誰かさんは、【C5の5人目】との戦いを予期していたんだろう?」

高崎はその言葉を聞き、唇の端を釣り上げた。

<(' _'<人ノ「…………だとしたら?」

( ゚∀゚ )「テメエはわざわざ、こんな「しょーもねーこと」のために、こんな騒ぎを起こしたんだろ?」

...:::' _'<人ノ

52 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:39:19 ID:nBzeqeJI0

「VIP内暫定最強の、複合超能力者」



                                     ( ・∀ ∀・)

.                                 
.                             奇形モララー:複合超能力者
                               age:-- Sex:male


( ゚∀゚ )「奇形モララーさんよお?」


( ・∀ ∀・)「…………くくく」

高崎を象っていた姿は消え失せ、代わりに現れたのは「本物の化物」だった。
二つの顔がくっつき合い、口が二つ、足は三本。
怪物(モンスター)と呼ぶのが一番しっくりくるだろう。

( ゚∀゚ )「高崎はどうした?」

( ・∀ ∀・)「ちょっと別の場所でおねんねしてもらったよ。何、別に危害は加えちゃいない」

奇形モララー。有する複合能力の数、詳細は不明。
アヒャも、噂こそ耳にすれど、実物を目にするのは初めてのこと。

( ゚∀゚ )「投降してもらうぞ、奇形モララー」

( ・∀ ∀・)「……へえ。僕に銃を向けるか」

,

53 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:41:38 ID:nBzeqeJI0

奇形モララーは二つの口を同時に歪ませ、指を振る。
すると銃がありえないスピードで風船のように膨らみ、軽い音を立てて弾けてしまった。

( ;゚∀゚ )「!」

( ・∀ ∀・)「ふふ、ビックリした?」

( ゚∀゚ )「……てめえ…………!」

( ・∀ ∀・)「おっと、そう怒らないでくれ」

腕を軽く振ると、づーが機械的な動きでのーを抱えた。
そしてその首筋にナイフを当てる。
少しでも動かせば頚動脈をかき切るだろう。アヒャへの脅しだ。

( ・∀ ∀・)「チームが一名減った上、妹を殺人犯にしたくはないだろう?」

アヒャは小さく舌打ちし、づーとのーに視線を向けた。
のーはまだ息をしている。今処置をすれば助かる。
だが、時間の問題だ。

( ・∀ ∀・)「あの娘たちを助けたいんだったら、取引だ」

( ;゚∀゚ )(こいつ、俺の考えを――! まさか精神感応まで!?)

( ・∀ ∀・)(顔に出やすいなー、こいつ。読みは当たってるけど、ちょっとアホなんだな)

.

55 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:43:30 ID:nBzeqeJI0

奇形モララーは指を組み、くすりと笑ってみせる。

( ・∀ ∀・)「なに、ちょいと計画に手を貸してくれるだけでいいのさ」

( ;゚∀゚ )「…………」

( ・∀ ∀・)「あ、脱出計画の、じゃなくてね。そっちはついで、本題はこっちさ」

指を鳴らすと、証明が一度に全て点灯し、部屋がライトアップされる。
部屋の中心にあるESP制御装置が照らされる。

( ・∀ ∀・)「僕の目的は、これさ」

( ゚∀゚ )「…………」

( ・∀ ∀・)「昔ね、面白い話を聞いたんだ。この装置と、とあるエスパーに関する噂さ」

トントン、とESP制御装置を叩く。

( ・∀ ∀・)「もう10年前になるかな。ひとりの少年のエスパーが、複合超能力者だった」


――その超能力者は、数々のESPを小さな体に抱えて、VIPにやってきた。
当時の研究者たちは驚いた。
通常、複合超能力は最大で3つまでしか保有できないとされていたからだ。

だが、その超能力者の少年が保有していたESP、その数なんと7つ!

58 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:45:51 ID:nBzeqeJI0

( ・∀ ∀・)「カモがネギと鍋と調味料を背負い込んできたに等しかったろうね」

研究者たちは様々な実験を少年にかした。
中には、非人道的だと叩かれ違法となった非道な実験もあった。

だが少年は、耐えた。
自分が実験に耐えることで、他の超能力者たちの役に立てるならばと、耐えた。

( ・∀ ∀・)「研究者たちの実験はエスカレートした。そして遂に、ある実験が行われたんだ」

10年前の当時、まだESP制御装置は存在していなかった。
その実現のために、実験が行われることになったのだ。

ほかならぬ、少年の超能力者を使って。

( ・∀ ∀・)「実験はどうなったか――それは僕らの知るところじゃない。だが、成功はしたんだろうね」

ESP制御装置があることが、何よりの証拠だ。

( ・∀ ∀・)「だが不思議なことに、超能力者の少年はいずこへと消えてしまった。まるで煙みたいに」

つつ、と装置を撫でる。
アヒャは口も開かず、その話を聞き続けていた。

( ・∀ ∀・)「死んでしまった?別の施設に移った?いや、そしたらなおのこと噂には残るはずだ。ならば彼は、」

どこに?

60 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:53:01 ID:nBzeqeJI0
そう締めくくり、奇形モララーはにんまりと笑った。


( ・∀ ∀・)「本題に入ろう」

すぱっと切り捨て、あるマシンの一部を指差した。

( ・∀ ∀・)「ESP制御装置がどのような効果を発揮するか、君も知っているだろう?」

( ゚∀゚ )「…………この装置を起動させると、半径100km以内の全てのエスパーのESP値をゼロにする」

正確には、ESP制御装置は範囲内全てのエスパーの「ESP」を吸収する役割がある。
吸収されたESPは機械に蓄積され、計測、再び放出し、妨害電波を発生させる。

( ・∀ ∀・)「僕はね、そのESP値がほしいのさ」

( ゚∀゚ )「…………何のために?」

今度こそ、奇形モララーは満面の笑みを浮かべた。


( ・∀ ∀・)「その力で、呼び出すのさ。10年前の、超能力者の少年を」

( ゚∀゚ )「…………!」

61 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:58:57 ID:nBzeqeJI0

( ・∀ ∀・)「僕が思うに、少年はまだここにいるんじゃないかな」

ここ、と奇形モララーが指す場所は、明らかに装置の中心部分。
しかし、勿論人はおろか、何も存在しない。

( ・∀ ∀・)「僕の第六感が感じるんだ、少年を。ここにいるよって」

( ・∀ ∀・)「虚数となったか、ESPの粒子となったか。やっぱり僕の知るところじゃない」

( ・∀ ∀・)「でも、絶対にいることは確かなんだ。会いたいんだ、その子に」


(*・∀ ∀・)「そして――――友達に、なるんだ」


さぞ幸せそうに、奇形モララーはその一言を語った。
そのためだけに、騒動を起こしたのだ。
この騒ぎに乗じて、この装置を動かそうと考えたのだ。

(*・∀ ∀・)「僕ね、友達いないんだ、知ってるでしょ?だってこんな姿なんだもん」

(*・∀ ∀・)「だからその男の子をもう一度、元の姿に戻してあげるんだ」

(*・∀ ∀・)「そしたら、その子は絶対に友達になってくれる、そうに決まってる!」

(*・∀ ∀・)「はああ、楽しみだなあ。その子に早く会いたいなあ!会ったら何をしようかな!」

.

62 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:04:18 ID:q50nviw20


恍惚とした表情で語る奇形モララー。
そのテンションはだんだんと上昇していき、まるで休日を以下に過ごすか考える子供。

( ゚∀゚ )「そのために、あんな犯行声明文まで作ったのか」

( ・∀ ∀・)「んん?あれはシーンが勝手に書いたんだよ、僕じゃない」

VIP内を撹乱するためだけに、奇形モララーは手駒を集めたらしい。
そして奇形モララーが指示するまでは、何をしてもいいと言ったそうだ。

( ゚∀゚ )「気が、狂ってるな」

( ・∀ ∀・)「あはっ、よく言われる!」

ケラケラと笑いながら、奇形モララーは満面の笑みを作った。
興味はただ、少年の超能力者のみに向けられている。

( ゚∀゚ )「そんなんじゃあ、その超能力者の少年とやらもテメーの友達になったりはしねーだろ」

( ・∀ ∀・)

( ・∀ ∀・)

( ・∀ ∀・)

63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:10:23 ID:q50nviw20

( ・∀ ∀・)「黙れよ」

( ; ∀ )「がっ…………!」

突然、アヒャの体が宙に浮く。
念動力でアヒャの体に急速に負荷が加えられていく。

( ・∀ ∀・)「勝手抜かしてると、痛い目にあわせるよ?」

づーの、ナイフを押し当てる力が強まった。
のーの首筋に切れ込みが入り、ぷつぷつと血の玉が浮かび上がる。

( ・∀ ∀・)「君はさ、この装置を起動してくれればいいわけ。わかる?僕じゃ使い方分からないもの」

( ; ∀ )「う…………ぐっ…………!」

( ・∀ ∀・)「うんって言ったね?YESだね?答えは「はい」でいいんだね?」

( ; ∀ )「はっ…………あぁ゛っ……ぃっ……!」

途端、アヒャを締め付ける力が緩んだ。
同時に、宙に浮いていた体は重力に従い倒れこむ。

( ; ∀ )「げほっ、げ、かはっ」

( ・∀ ∀・)「早くしてよ。あの子、死んじゃうよ?」

.

64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:16:01 ID:q50nviw20

奇形モララーは冷たい目でアヒャを見下ろし、促した。
マシンを起動させるには、研究員たちの認証コードが必要となる。
アヒャはよろける体に鞭打ち、起き上がる。

(*・∀ ∀・)「えへへ、まずあの子にあったら名前を聞こう。それから僕とあの子以外はみーんな殺しちゃおう」

(*・∀ ∀・)「僕とあの子以外には要らないもんねー。あ、でも友達が必要だったら用意してあげよう」

(*・∀ ∀・)「色んなことをするんだ。おままごとに鬼ごっこに、ああそれから縄跳びも!……ねえ早くしてよ、まだ動かないのかい?」

よほど待ち遠しいのか、苛立たしげに奇形モララーはアヒャを見た。
しかし、アヒャはマシンの前で立ち尽くしたまま動こうとしない。

( ・∀ ∀・)「聞いてるのかい、グズ?さっさとやれよ、ほら……」

脅しのスタンバイをかけ、アヒャの肩を掴んだ。

ぼっきん。

( ・∀ ∀・)「あ?」

( ゚∀゚ )つ√

.

65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:23:22 ID:q50nviw20

アヒャが振り返ったと同時に、何かが折れる音がした。
そして彼の手には、レバーが握られていた。
マシンを起動する際に必要不可欠なレバーが、しっかりと握られていた。

( ・∀ ∀・)

( ・∀ ∀・)「お、お前」

( ゚∀゚ )「――そうだ。俺もひとつ思い出した話がある」

ぽい、とレバーを投げ捨て、床に転がったレバーが固い音を立てた。

( ゚∀゚ )「一人のガキがESP実験の一環で、とんでもねー事故を起こした。10年前のことだ」

( ゚∀゚ )「そいつは機材を全てぶっ壊し、人を片っ端からなぎ倒し、根こそぎ全てを壊した」

( ゚∀゚ )「当時最強と呼ばれた5人の超能力者でも、どうにか踏ん張って押さえ込むのが精一杯だったほどのパワーだ」

(#・Д Д・)「てめえええええええ!!ぶっ殺して……!」

次の瞬間、づーが容赦なく吹き飛ばされた。
見えない力が二人を引き剥がしたように、づーとのーは正反対の方向へ投げ飛ばされる。

66 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:29:42 ID:q50nviw20

(#・Д Д・)

( ゚∀゚ )「ああ、また力加減間違えちまった。続けるぜ」

( ゚∀゚ )「残った研究者たちは、ガキを殺す覚悟でESPを全て吸収させる装置を開発した」

( ゚∀゚ )「だがよお、それでも全ての能力を封じ込めることは出来なかった」

アヒャは握りこぶしを作り、親指を突き出して軽くマシンを叩く。
それだけで、マシン全体がひしゃげ、壁にめりこんだ。

( ゚∀゚ )「ほらな?また吸収装置の作り直しだ」

( ゚∀゚ )「――この事件は公にされていない。知っているのは、5人の能力者と、一部の研究者、それと当事者のみだ」

( ゚∀゚ )「何せ、国防省のメンツに関わることだからな。ガキは一般人として、ESPを最小限に抑えて生きることとなった」

( ゚∀゚ )「もう、10年前の話になる」

(#・Д Д・)

(#・Д Д・)「お、お前は、いったい――」

アヒャはニンマリと唇の端を釣り上げた。
口許に垂れる血を親指でぬぐい、その親指を下に向けた。


.

67 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:31:01 ID:q50nviw20







( ゚∀゚ )「なーに、ただの【C5】の5人目さ」





( ゚∀゚ )p「――――能力、【解禁】」







.

68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:36:55 ID:q50nviw20

――――――数日後。


ハソ ゚−゚リ「あーあ、がれき撤去なんてつまんないよー」

爪゚ー゚)「うだうだ言ってないで働きなさい!」

ハソ;゚−゚リ「あいてっ!」

テンプルスリービル跡地。
そこでは何十人ものの人間が、がれき撤去のために行き来している。
中にはエスパーたちも混じって、それぞれ作業をになっていた。

(;TДT)「それにしても、脱出計画を食い止めた俺たちまで手伝わされるだなんて……」

( "ゞ)「仕方ないですよ。この徹底的な破壊ぶりを見る限りはねー」

デルタは、廃墟同然となったテンプルスリービルを見上げて苦笑した。
あちこちが穴ボコだらけで、とても人が住めるものじゃない。

( ・−・ )【そうそう、どっかの誰かさんたちが盛大に暴れたからね】

( "ゞ)「その中に君も入ってるでしょ」

( ・−・ )【…………てへぺろ】

ハソ ゚ヮ゚リ「でも、良かったわー。がれき作業とビルの補修に駆り出さる以外は、お咎めなしだもの」

.

69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:43:31 ID:q50nviw20

ナチはうーんと伸びをして、のんきにそんなことを言う。
それを聞いた何人かのエスパーは顔を見合わせ、苦笑する。

ハソ ゚ー゚リ「そうだ、後でづーたちの見舞いにいきましょ!」

爪゚ー゚)「多分、暇だって駄々こねてるに違いないわね」

( "ゞ)「それは賛成。モカー、お爺ちゃんはどうする?」

(;TДT)「んー、……あの日から元気ないみたいだし、今日からちょっと顔出してみる」

ナチたちは知る由もない。
アヒャが提出した報告書に、「ナチ、他3名の暴走行為は、奇形モララーからの洗脳を受けたがための犯行」
ということで片付けられ、責任の一切を不問にされたことを。

ハソ ゚−゚リ「でも、ちょっとだけ分からないことがあるのよねー」

爪゚ー゚)「? 何が?」

ハソ ゚−゚リ「ほら、あの階。なんかざわざわするんだけどさ」

ナチが指差したのは、ESP制御室があった場所。
特大の穴が開けられ、まるで怪物が争ったかのようだ。

ハソ ゚−゚リ「あそこで、何があったのかしら?ESPの名残が大量にあるんだけど、知らない奴のなのよね」

.

70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:47:31 ID:q50nviw20
爪゚ー゚)「んー…………」

デルタとモカーは顔を見合わせ、互いに遠い目をした。
ぽりぽりとじぃは頬をかき、くすりと笑った。

爪゚ー゚)「…………おおかた、どっかのおっきい子供が遊んでたんじゃない?」

ハソ ゚−゚リ「?」

(゚A゚* )「おいーっす!」

ハソ;゚−゚リそ「きゃあああっ!?いきなり出てこないでよ!」

瓜゚∀゚)「ごめんごめん、ちょっと匿ってくんない!?」

( "ゞ)「何かやらかしたの?」

(゚A゚* )「実はなー、さっきふざけて超能力で遊んでたら、主任のパンツ吹っ飛ばしてもーてな」

瓜゚∀゚)「そんでそれが、今頃高崎さんの下着と入れ替わってるはずなのよね!」

(;TДT)「あちゃー…………」

(;"ゞ)「やば、ってことは戦闘機の件で僕も説教されるじゃん!逃げよ逃げよ!」

.

71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 00:52:25 ID:q50nviw20


<待てー!

<主任ー!お願いですからパンツ返してー!

( ・−・ )【うわ、なにあの人パンツ振り回してる。変態】

爪゚ー゚)「噂をすれば、ね!ほら早く逃げるわよ!」

(゚A゚* )「きゃああー!堪忍してえー!」

瓜゚∀゚)「こわーい!あはっははは!」

(;"ゞ)「もー、怒らせるとあの人めんどうなんだよなー」

( TДT)「また建物、壊しちゃいそうだね」

ハソ ゚−゚リ「??…………?」
                                                                     
                                                              (゚ー゚爪  ハソ;゚−゚リ (;TДT)
                                             (人> ;д;)>  (#゚∀゚ )p   三瓜>∀<)*>A<) (;"ゞ)

.                                                                     糸冬


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