ブーン系ゴールドラッシュ2013〜突発! タイトル祭り〜
星降る夜と約束のようです



2 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:19:51 ID:sfefoqEE0
2115年 地球某所


ξ゚听)ξ「お星様、今日も見えないねぇ」

( ^ω^)「おー……」

小さな家のベランダから空を眺める、二人の子供がいた。
空は灰色がかかった藍色をしており、まん丸な月がぼんやりと見える。
星は見えない。
大気汚染が進み、濁った空。ましてやここは都会。
もともと弱い星の光など、とうの昔に消されてしまった。

(*゚ー゚)「あら、ブーン君にツンちゃん。お外に出たら駄目でしょう。
    そろそろ戻らないと、病気になっちゃうわよ」

( ^ω^)「はいだお」

ξ゚听)ξ「えー」

(*゚ー゚)「お星様の話は、寝る前にまたしてあげるからね」

ξ゚听)ξ「じゃあ戻るー」

カラカラと小気味良い音を立て、窓が閉められた。
明るい家の中からは、すぐに楽しげな笑い声がした。

3 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:20:58 ID:sfefoqEE0

******


(*゚ー゚)「みんな、今日は図書館に行く日よー」

川 ゚ -゚)「行く人は、しっかりマスクを着けなくちゃ駄目だぞ」

昼になり、二人の女性に五人の子供たちが群がった。
年齢は様々、姉妹であるツンともう一人の女の子デレ以外は、顔がまったく似ていない。

ξ*゚听)ξ「あたし行きたーい!」

(*^ω^)「おっ、じゃあ僕も行くお!」

(´・ω・`)「僕はいいや」

(,,゚Д゚)「行かないやつはこっちだぞゴルァ!」

(´・ω・`)「ギコ先生怖いからやっぱ行く」

(,,´゚Д゚) ショボーン

4 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:22:34 ID:sfefoqEE0
川 ゚ -゚)「ツンとブーンとショボンが行くんだな」

(*゚ー゚)「モナー君とデレちゃんは、私とギコ先生とお留守番ね」

(´・ω・`)「……クーせんせ」

ショボンと呼ばれた垂れ眉の男の子が、クーの服を引っ張る。
他の二人にマスクを配っていたクーは、半身だけ振り返った。

(´・ω・`)「ドクオ先生は?」

川 ゚ -゚)「ん? あぁ、もう来ると思うぞ」

クーが言い終わるか終わらないかというとき、二つある扉のうちの一つが、足で乱暴に開かれた。

(;'A`)「誰か手伝え!」

入ってきたのは、長身で痩せた男。
左手にはピンクと水色の手提げに黒い大きな鞄、右手には大量のハードカバーを抱えている。

5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:24:15 ID:sfefoqEE0
(,;゚Д゚)「大丈夫かゴルァ」

ギコがハードカバーを半分ほど持ってやると、男――ドクオは手に持っていたものをすべて床に降ろした。

(*´・ω・)「ドクオ先生」

(;'A`)「あっ、ショボン! 本借りるのは良いけどもっと少なくしろよ!
    お前の荷物はいつも俺が運んでるんだからな!」

(*´・ω・)「善処するよ」

汗だくになってへたり込むドクオ。
その背中に、ショボンが張り付いた。

6 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:25:36 ID:sfefoqEE0
川 ゚ー゚)「ショボンはドクオが大好きだな。ギコ、鞄に本を詰めてやってくれ。
   ブーンとツンは――ちゃんと全部入ってるな。偉いぞ」

ξ*゚听)ξ「えへへ」

(*^ω^)「おっおっ」

クーに頭を撫でられ、二人は嬉しそうに笑う。
すでにマスクは装着してあった。

川 ゚ -゚)「ドクオ、お疲れのところ悪いがそろそろ行くぞ。マスクしろ」

ドクオはマスクを着けると、「よっこいせ」と呟いて黒い鞄を肩に担いだ。
中にはさっきのハードカバーが詰まっている。

ζ(゚ー゚*ζノシ「いってらっしゃーい」

( ´∀`)ノシ「モナー」

二人の大人と子供に手を振られ、五人は家を出た。

7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:27:13 ID:sfefoqEE0

******


図書館は、彼らが住まう家から歩いて十分ほどのところにある。
二階建ての大きなそれの入口には、「VIP国立図書館」と書かれていた。

自動ドアをくぐるとすぐに、マスクを捨てる箱と白い扉が設置されていた。
白い扉の向こうでは、服などに付着した有害物質を風で吹き飛ばすものが動いている。
微かにごうごうと鳴るのが聞こえた。

ξ*゚听)ξ「きゃー!」

ツンが真っ先に扉を開け、全身で風を受ける。
ツンはこれが好きだった。

他の四人も風を浴び、反対にある扉から出る。
すると、もう目の前に本棚が並んでいた。

川 ゚ -゚)「いいかみんな、走ったり騒いだりしちゃ駄目だぞ。
   あの時計の長い針が六になったら、本を借りて戻ってくるんだ。いいな?」

三人はコクリと頷き、本を返すためカウンターの方に歩いていった。

8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:28:24 ID:sfefoqEE0
ξ゚听)ξ「ブーン、またお星様の本にするの?」

ブーンとツン、そしてドクオは児童コーナーにいる。
ドクオはデレとモナーのための本を探しに来た。

(*^ω^)「おっ、そうだお。お星様はきれいだから、もっと見たいんだお」

ξ*゚听)ξ「あたしも読みたいなー」

ツンがブーンが開いた本を覗き込む。
そこには、輝く星が無数に散りばめられていた。

(*^ω^)「じゃあツンも借りるお! そしたら、僕のと合わせてお星様の本がいっぱいになるお!」

ξ*゚听)ξ「そうする!」

ツンは楽しそうに本を選び始めた。

9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:29:45 ID:sfefoqEE0
('A`)「なんだ、二人はまた星の本か?」

いくつかの絵本を持ったドクオが、二人に話しかけた。

('A`)「本当に星が好きなのな。見てみたいか?」

ξ*゚听)ξ「見たい!」

(*^ω^)「見れるのかお?」

('A`)「本物じゃないけどな。みんながいい子にしてたら、見せてやらないこともないぞ」

(*^ω^)「おっ、いい子にするお!」

ξ*゚听)ξ「する!」

('A`)「じゃあ、本借りてこい。時間ないぞ」

(;^ω^)「おっ、ほんとだお!」

ξ;゚听)ξ「ブーン、行こ!」

10 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:31:10 ID:sfefoqEE0

******


川 ゚ -゚)「ただいま」

(*゚ー゚)「みんなおかえり」

('A`)「さ、手ぇ洗って来い」

ドクオが三人を促し、それぞれの部屋に本を置きに行った。

川 ゚ -゚)「しぃ、モナーとデレの分だ。渡しておいてくれ」

(*゚ー゚)「はーい……あ、デレちゃん」

いつの間にか、しぃの後ろにはデレがいた。
しぃは絵本が入った花柄の手提げを渡し、デレと一緒に戻っていく。

川 ゚ -゚)「みんな、手は洗ったか?」

ξ゚听)ξ「洗ったよ!」

洗面所から顔と手を出し、三人の子供は証拠を見せるよう、クーに手のひらを見せた。

川 ゚ー゚)「よし、偉いな。もうおやつの時間だから、先に行っててくれ」

きゃいきゃいと楽しそうに、デレやモナーたちがいる部屋に走っていく。
クーはそれを見て優しく微笑んだ。

11 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:32:55 ID:sfefoqEE0

******


ξ*゚听)ξ「ブーン、早く!」

(;^ω^)「待ってお、走っちゃ危ないお」

おやつを食べた後。
早く本を読みたくてしかたがなかったブーンとツンは、早々に部屋を抜け出してきた。
二人の頭の中はすでに星である。

階段を駆け上がり、それぞれの部屋へ入っていく。
ツンは図書館に持っていったピンクの手提げを持つと、すぐにブーンの部屋に入った。

ξ*゚听)ξ「どれから読む?」

ブーンのベッドの上には、借りてきた本たち。
星座の本、星の描かれた絵本、エトセトラエトセトラ……。

(*^ω^)「これにするお!」

ブーンはその中の一つを手に取ると、ベッドに寄りかかり本を開いた。
ツンがブーンの隣に座り、覗き込む。

ξ*゚听)ξ「わぁ!」

ブーンが手に取ったのは写真集。
中はすべて星である。
かなり古いものらしく、ページの所々が折れ曲がり、黄ばんでいた。

12 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:34:24 ID:sfefoqEE0
ξ゚听)ξ「これは?」

ツンが、ある一つの写真を指した。
長く尾を引いたものが一筋、夜空を横切っている。

(*^ω^)「これは、流れ星って言うんだお!」

(*^ω^)「流れ星が流れてるあいだ、三回お願いすると叶えてくれるって、ドクオ先生が言ってたお」

ξ*゚听)ξ「へぇー、すごい! じゃあこっちも?」

次にツンが指したのは、星の日周運動を撮影したものだった。
たしかに、星の軌跡は流れ星に見えるかもしれない。

(;^ω^)「お……なんか違うような……」

( ^ω^)「まぁいいお! あとでドクオ先生に聞くお!」

13 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:35:42 ID:sfefoqEE0

******


一階。
遊び疲れて眠っているモナーとデレのいる部屋の隣では、大人が話し合いをしていた。

('A`)「俺は、ブーンとツンに星を見せてやりたい」

最初に切り出したのはドクオ。
今はもう見ることのできなくなった星を、自分で再現してみたい、と。

(*゚ー゚)「そんなこと、本当にできるの?」

('A`)「本物じゃなくて、プラネタリウムだったら……」

川 ゚ -゚)「……あぁ、都市部の方にできたと、最近話題になっているな」

(,,゚Д゚)「でも、あれは簡単には作れなさそうだぞ?」

('A`)「うん。俺だって、あんな大掛かりなものは作れないさ」

でも、とドクオは続ける。

('A`)「この前パソコンで見つけてさ。
   家庭用のやつなら、俺にも作れそうな気がするんだ」

14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:37:06 ID:sfefoqEE0
(*゚ー゚)「私たちも、できれば見せてあげたいけど……」

川 ゚ -゚)「問題は材料だな」

(,,゚Д゚)「そのプラネタリウムの作り方って、百年ぐらい前のだぞ。
     当時あったものが、今はないかも知れないんだゴルァ」

('A`)「それはなんとかする。だから、手伝ってくれないかな」

ドクオが全員の顔をぐるりと見渡す。
その顔は、今までにないほど真剣だった。

川 ゚ -゚)「……いいだろう、手伝ってやる」

('A`)「クー……!」

川 ゚ー゚)「ブーンとツン、それに他の子たちの喜ぶ顔が見たいからな」

(,,゚Д゚)「俺も手伝うぞゴルァ!」

(*゚ー゚)「私も」

(*゚ー゚)「みんな血は繋がっていないけど、子供を喜ばせるのが親の役目ってもんでしょ?」

('A`)「……ありがとう」

15 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:38:38 ID:sfefoqEE0
川 ゚ -゚)「じゃあ、」

「モナアアアアァァァァァァァアアア!!!」

クーが何かを言おうとした瞬間。
突然、隣の部屋から泣き声が聞こえてきた。

(,;゚Д゚)「モナーか!」

いち早く反応したギコが、慌てて部屋を飛び出す。
泣き声はすぐに止んだ。
どうやら、起きたときに大人が誰もいないのが不安だったらしい。

(,;゚Д゚)「すまん、連れてきた」

(*´∀`)「モナ!」

ギコの腕の中には、さっき泣いていたことなど嘘のように無邪気に笑うモナー。

(;'A`)「おいおいまずいだろ……って、モナーにはまだ分からないか」

(*´∀`)「ギコせんせい、かたぐるまモナ!」

(,;゚Д゚)「はいはい……よっこらせ」

(*´∀`)「モナー!」

16 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:39:28 ID:sfefoqEE0
(*゚ー゚)「クー、さっき言いかけてたこと……」

川;゚ -゚)「……あ、あぁ」

大したことじゃないんだが、と前置き。

川 ゚ -゚)「みんなにプラネタリウムを見せるのは、『ご褒美』という形にしたいんだ。
   より楽しみになるだろうしな」

('∀`)「……そうだな。多分、クリスマスのときみたいにいい子になるぞ」

笑いながらそう言う。
つられて、滅多に笑わないクーも、少しだけ微笑んだ。

17 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:44:13 ID:sfefoqEE0

*****


翌朝。
朝食中、ドクオがおもむろに立ち上がった。
全員が食事の手を止め、彼に注目する。

('A`)「みんな、ちょっと聞いてくれ」

( ^ω^)「お……?」

('A`)「プラネタリウム、って知ってるか?」

ζ(゚ー゚*ζ「はーい、あたし知ってる! お星様が見れる機械のことでしょ!」

デレが手を挙げ、元気良く発言。
ツンはそんな妹のことを、賞賛の眼差しで見つめた。

(*^ω^)「お星様が見れるのかお!」

('A`)「そうだ。俺はその機械を作ろうと思う」

ζ(゚、゚*ζ「でも、すっごくおっきな機械なんでしょ? テレビで見たよ」

ξ*゚听)ξ「デレ、ドクオ先生はなんでも作れるんだよ!」

自分のことのように、ツンは誇らしげだった。
実際、何でも作れるという訳ではないが。

18 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:45:00 ID:sfefoqEE0
(;'A`)「あんなに大きいのは俺でも無理だよ」

ξ゚听)ξ「なんだ」

(´・ω・`)「じゃあどうするの?」

('A`)「あれの小さいやつを作ろうと思う」

(*^ω^)「できたら見せてくれるのかお!」

ブーンが机から乗り出す。
ドクオは大きく頷いた。

('A`)「もちろんだ。ただし、みんながいい子にしてたらな」

(;^ω^)「お……」

19 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 12:46:01 ID:sfefoqEE0
ζ(゚ー゚*ζ「モナーちゃん、いい子にしてたら、お星様が見れるんだよ」

(*´∀`)「モナ! いいこにするモナ!」

モナーは幼いが故に「星」という概念が分かっていなさそうだが、どこか嬉しそうである。
何かご褒美が与えられると分かれば、モナーは子供たちの中で一番のいい子になるのだ。

ξ*゚听)ξ「あたしもいい子にする!」

(*^ω^)「おっ、僕もだお!」

(*´・ω・)「ドッくんが頑張るならいい子にするよ」

(;'A`)「誰がドッくんじゃい誰が……あっ、おい! 背中にくっつくな!」

子供たちがはしゃぐ姿を見て、クーは自然と口元が緩んだ。
隣を見ると、しぃはいつもと変わらないが、ギコも厳つい顔が若干緩んでるように感じる。

(;'A`)「もー分かったから離れろ! ……ちょ、頭はやめろって! マジで!
    誰か助けてええええぇぇぇぇぇぇえええ!!」

ドクオの、その日一番の絶叫が響き渡った。

24 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/06(月) 15:56:34 ID:pEJCeZlw0

******


夜、子供たちが寝静まった時間。
大人は、再度話し合いをしていた。

川 ゚ -゚)「……ドクオ、必要なものは何だ?」

('A`)「えー……ボール紙――工作用紙だな。それに豆電球、段ボールに白と黒の塗料といったとこかな
    あ、あと千枚通しか錐ね」

ドクオがノートパソコンを弄りながら答える。
空いた片手では、文面を書き写していた。
コピー機があれば楽なのに、と誰に言うでもなく吐き出す。

(*゚ー゚)「大きさはどれぐらい?」

('A`)「ドームは、全部で九人だから……直径が三メートルぐらいかな。天井の高さはギリギリ足りそう」

('A`)「投影機――あ、星映すやつね。そっちが大体三十センチぐらいだってさ」

(,;゚Д゚)「い、意外とでかいぞ……」

('A`)「まあ、一個使ってない部屋あったし。そこなら何もおいてなかったから大丈夫かと」

こうもすらすら言葉が出てくる様は、まるで機械のようだ。
いや、ただ単に集中しているだけかもしれない。
その証拠に、文字を書き写す手はさっきから動いたままである。

25 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/06(月) 15:57:27 ID:pEJCeZlw0
(*゚ー゚)「と……とーえーき? の形とかもあるの?」

('A`)「ああ、これだ」

ドクオがパソコンを百八十度回転させ、画面を見せる。
円筒円錐台型。
平たい円筒の上に、円錐の頂点を切り落としたものが乗っていると考えれば分かりやすいだろうか。

('A`)「本当はドーム型の方が良いらしいけどな。あと一番大事なことだけど、星の数は五百ぐらいね」

川;゚ -゚)「ごひゃっ……!?」

(,;゚Д゚)「……俺、その作業だけはやらないようにするぞ……!」

ギコは救いようがないほど不器用だった。

(;'A`)「じゃあ、ギコはドーム作ってくれ……。頭ならそこそこ良いんだろ? ちょっと計算も必要だから」

(*゚ー゚)「私もドームがいいな。とーえーき? の方は難しそう」

('A`)「頭使うしな。……さて、今日はもう寝ようぜ」

ドクオがパソコンを閉じ、立ち上がった。
それに倣って、みな次々に席を立つ。
パチン、と電気が消されたときには、その部屋には誰もいなかった。

26 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/06(月) 15:58:36 ID:pEJCeZlw0

******


彼らの作業は、基本夜に行われた。
昼間は子供たちの相手や必要なものを買いに行く。

そして、あの話し合いから二週間ほど経つと、ドームが完成した。
厚さが違う段ボールをわざわざ探し、それに白い塗料を塗る。
ドームの部位ごとに使う段ボールの厚さを分けると、頑丈なドームになった。

一方投影機チームは。

(; A )「終わった……」

ドクオが最後の一つを刺した。
星図通りの五百の星。
それを投影機に、錐でプスプス穴を開けた。

川;゚ -゚)「星にも大きさがあるなんて……。鬼畜過ぎるだろ」

(,,゚Д゚)「あ、お疲れ。終わったか?」

(;'A`)「おー……」

ギコが扉からひょいと顔を出す。
手にはドクオのパソコンを持っていた。

27 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/06(月) 15:59:28 ID:pEJCeZlw0
(,,゚Д゚)「あのさ、しぃと探してたんだけど」

ギコが見せたサイトには、「流星投影機」と書かれていた。

(*゚ー゚)「昼間、ブーン君とツンちゃんがね、流れ星も見てみたいねーっていうのを話してたの。
   これなら簡単そうだし、すぐ作れると思うんだけど……」

('A`)「ギコ、ちょっと貸せ」

ドクオがパソコンを引ったくり、画面を下にスクロールさせていく。
一番下まで行ったところで、よし、と一人頷いた。

('A`)「作れそうだな。これはしぃとギコで作って」

(,;゚Д゚)「なん……だと?」

冷や汗を流すギコ。
ギコは救いようがないほど不器用である。

川 ゚ -゚)「私も手伝うよ。ギコがいると不安だ」

(*゚ー゚)「ま、それは明日ってことでいいんじゃない? もう時間だよ」

しぃの言葉でそれぞれが片付けを始める。
十分後には、物音一つ聞こえることはなかった。

28 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/06(月) 16:00:12 ID:pEJCeZlw0

******


さらに二週間が経った。
プラネタリウムは、昨日完成したばかり。

試運転をした方が良いと思ったが、大人とはいえ、気持ちは子供たちと一緒なのだ。
一週間後、みんながいい子でいたら全員で見ようと決めていた。

ξ*゚听)ξ「お星様楽しみだねー!」

(*^ω^)「早く見てみたいお!」

(*´・ω・)「僕も本でしか見たことないから、興味があるな」

ζ(゚ー゚*ζ「モナーちゃん、あとちょっとでお星様が見れるよ!」

(*´∀`)「モナ!」

子供たち――特にモナー――はいい子にしている。
この調子なら、予定通りに行きそうだった。

33 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:48:39 ID:t5no7KKk0

*****


そして、ついに一週間が経過した。

(*^ω^)「今日はお星様の日だお!」

ξ*゚听)ξ「先生、いついつ?」

ドクオの足元を、ブーンとツンが動き回る。
周りよりもテンションが高い二人を宥めつつ、ドクオは全員に向けてこう言った。

('A`)「星が見れるのは夜だからな! それまでいい子にしてないと、見せてあげないぞ」

(;^ω^)そ「お!?」

途端に大人しくなるブーンとツン。
余程星が見たいらしい。

34 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:49:21 ID:t5no7KKk0
ζ(^ー^*ζ「モナーちゃんはいい子だねー」ナデナデ

(*´∀`)「モナ」

ξ;゚听)ξ「あっ、デレ! あたしもいい子だよ!」

ζ(゚ー゚*ζ「知ってるよ。お姉ちゃん、嫌いな野菜も全部食べてたもんね」

( ^ω^)「おっ、僕もだお!」

(*´・ω・)「ドッくん、僕は?」ヨジヨジ

(;'A`)「だから俺に登るな……って、髪の毛! 引っ張んないで!」

きゃあきゃあと、楽しげな声が響く。
クーはそれを見て、一人微笑んだ。

35 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:50:32 ID:t5no7KKk0

******


(*^ω^)「先生、まだかお?」

子供たちは、夕飯を食べてからそわそわしっぱなしである。
一階と二階を何度も往復したり、座ったと思ったらまた立ち上がったり、ドクオによじ登ったり。
唯一落ち着いているのが、事情をよく分かっていないモナーだった。

('A`)「……うし、そろそろ行くか」

ドクオが立ち上がると、みんなは一斉にそちらを向いた。

ξ*゚听)ξ「行く? 見る?」

('A`)「行く! 見る! よし、ついてこい!」

川 ゚ー゚)「やっとだな」

(*゚ー゚)「楽しみだねー」

(,*゚Д゚)「早く見たいぞゴルァ!」

大人も子供も、どこか楽しそうな顔で。
これから見る星空に、期待を寄せる。

36 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:51:22 ID:t5no7KKk0
一階の奥の、普段は鍵がかかっている部屋。
ドクオが鍵を取り出し、穴に差し入れる。
カチャリと音がし、ドアが開いた。

ζ(゚ー゚*ζ「おー」

(*´・ω・)「大きいね」

入ってすぐに現れたのは、暗い部屋に浮かび上がる真っ白なドーム。
ちょうど正面には、子供の身長ぐらいある白い布が垂らしてあった。

それを捲ってまずドクオが入り、それに子供たちが続く。

37 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:52:18 ID:t5no7KKk0
ξ*゚听)ξ「広ーい!」

(*´∀`)「モナ!」

('A`)「あんまり暴れんな……よし、全員入った」

誰かがスタンドライトを点けた。
ドーム内がぼぅっと照らされる。

('A`)「投影機が真ん中だから、俺はここ、っと。あとは適当に並んで、寝っ転がってくれ」

(*^ω^)「お!」

各々が適当にに分かれ、川の字とも言えない川の字を作る。
入口から、クー、デレ、ショボン、ドクオ。
投影機を挟んでブーン、ツン、モナー、しぃ、ギコの順で並んだ。

('A`)「ギコ、明かり消して」

(,,゚Д゚)「おう」

真っ暗になり、何も見えなくなる。
そして、闇に目が慣れた頃だった。

('A`)「いくぞ」

38 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:52:58 ID:t5no7KKk0
パチン。
何かを押す音がしたかと思うと、目の前には満天の星空が。

ξ*゚听)ξ「わ」

(*^ω^)「お……」

ζ(゚ー゚*ζ「きれーい……」

(*´・ω・)「これが星……」

(*´∀`)「モナー」

(,*゚Д゚)「すげえぞー」

(*゚ー゚)「感慨深いねー……」

川*゚ -゚)「予想以上だ」

(*'A`)「これを、俺たちが作ったのか……」

39 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:54:24 ID:t5no7KKk0
自然と漏れる、感嘆の声。
それもそのはず、ドーム内いっぱいに、写真でしか見たことがないが、本物そっくりの星が散りばめられているのだから。

ブーンは手を伸ばし、星を掴む真似をする。
実際に掴めたわけではないが、その手の中には、星が宿っているような気がした。



('A`)「……みんな、流れ星って知ってるか?」

数分間の沈黙のあと。
それを破ったドクオの言葉に、ブーンとツンは聞き覚えがあった。

ξ゚听)ξ「お願いを叶えてくれるやつ?」

('A`)「そうだ。流れている間に、願い事を三回言えば叶えてくれる星。今からそれを流すぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「お願い、考えなくちゃ!」

(´・ω・`)「僕はもう決まってるよ」

(,,゚Д゚)「ここまで来たら、みんな一緒にしようや」

ああでもない、こうでもないと議論が飛び交う。
やがて、その声は止まった。

40 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:55:11 ID:t5no7KKk0
('A`)「いくぞ」

再び、パチン、と。
途端に降ってくる、大量の星々。

ξ*゚听)ξ「すごい! 落ちてきそう!」

(*゚ー゚)「みんな、お願い事……いや、約束しちゃおう」

(,*゚Д゚)「せーの、でな!」

(*^ω^)「せぇーの!」

満天の星空の下、彼らは誓い合う。

41 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/07(火) 16:55:55 ID:t5no7KKk0






(*^ω^)ξ*゚听)ξ川*゚ -゚)(,*゚Д゚)(*'A`)「「「「「ずっとみんなで一緒にいよう!!」」」」(゚ー゚*)(・ω・`*)ζ(゚ー゚*ζ(´∀`*)





終わり


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