■ブーン系ゴールドラッシュ2013〜突発! タイトル祭り〜
└('A`)は独りになれないようです
- 460 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:25:30 ID:wVHoNlHA0
- 自分は、
誰もいない所で音楽を聞くことが好きだ。
又は
誰もいない所でボーと空を見上げることも好きだ。
さらに
誰もいない所で絵を描くことだって好きだ。
つまり要するに、自分は
独りでいるのが好きなのだ。
そう、独りは素晴らしい。
面倒でつまらないことに巻き込もうとするあの人の群れの中にいなくていい。
人のために自分の時間を削らなくて良い。
他人を気にせず自分の好きなことし放題。
なんて素敵なことなんだ。
だから自分は今まで一度も友人とか、そういう人間関係を築いたことなんてない。
今までもそして、これからも自分には必要ない。
自分はこれからも独りの人生を謳歌するのだ、
ってそう思っていた。
なのに何でこんなことに。
- 463 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:28:55 ID:wVHoNlHA0
自分は美大の生徒だ。
目を覚ましてから寝るまでほとんど絵を描いている。
アパートの自分の部屋で。
だが、今回は気が向いたので道具一式持って、
外に出た。
外は青空が広がり、春らしい気温で過ごしやすい。
良い日だ。
行くところは特に決めていなかったのでとりあえず、いつもの公園へ向かった。
近所にあるすこし寂れた公園だ。
だが、小高い所に位置するためなかなか眺めがよくたまに絵を描きに行っている。
公園につくと自分のなかでベストだと思っているポジションへ向かう。
そこでリュックからスケッチブック鉛筆を取りだした。
シャッ、シャッと音を立てて紙に鉛筆を走らせる。
そうして何時間しただろう。
少しお腹が減る感じがした。
公園へ行く途中のコンビニでかった弁当を食べようとリュックの方に体を向けた。
だが、そこにあるはずのリュックが見当たらなかった。
冷や汗を流し、自分がかなり焦っているのがわかった。
なんで、リュックがないんだ?
盗まれた?いや、でも
今まで人なんていなかったはずだ。
かなり困っていると後ろから声がした。
何してるんだ、と。
自分は驚いてばっと振り返った。
そこには肩ぐらいに切り揃えられた黒髪の自分と同い年の女子が座っていた。
しかも、なんかモグモグと口を動かしている。
ふと、自分は彼女が手に持っている物を見た。
コンビニの弁当だ。
自分が買ったのと同じヤツ。
- 464 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:32:06 ID:wVHoNlHA0
- 自分がその弁当をじっと見つめているのに気づいたのか彼女はいった。
そこに捨ててあったリュックの中に入ってたんだ。
もったいないから私が食べてやっているんだ、と。
さらに彼女はその捨ててあったというリュックも見せてくれた。
自分のだ。
そのリュックは自分のもので、彼女が今食べているのは自分が買ったコンビニの弁当だ。
唖然といている自分に何を思ったのか、彼女は目の前まで寄ってきて顔をみゅーんと引っ張ってきた。
痛い。
自分は少しイラついて乱暴に彼女の手を払った。
それでもその子は表情を変えず自分の顔をじっと見つめる。
な、なんなんだ?
てか、弁当食われた。
はあーとため息をつく。
とりあえず、そのリュックとコンビニ弁当は自分の物だと彼女に告げた。
彼女はぱちくりと目を瞬きハッとした顔で自分を見た。
そして次に申し訳なさそうな様子でパーカーのポケットに手を突っ込む。
??
自分は不思議そうに彼女を見る。
彼女はポケットから何か取りだし自分に差し出してきた。
飴だ。
激辛ソーダー味とか書いてある。
複雑な表情で飴を見ているとポツリと言葉が降ってきた。
すまない、と。
自分はもう弁当のことなんてほとんど気にしていなかった。
今はとりあえず、彼女とのこのやり取りが終わってほしかった。
なので自分は、できるだけ面倒を避けるために
気にしていないと彼女に伝えた。
彼女は小さくホッとしたような顔をした。
- 465 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:32:53 ID:wVHoNlHA0
そうか、ありがとう。
ところで名前は何て言うんだ?
私は素直クールだ、
クーと呼んでくれ、と彼女が言う。
じいと見つめられる。
その瞳は真っ直ぐだ。
自分は本当は嫌だったが仕方なく答えた。
教えてやらなかったら面倒になりそうだから。
そうか、良い名前だな。
うん、君とは仲良くできそうな気がする、ここで会ったのも何かの縁だ。
よろしくな。
彼女が言う。
よろしくだって?
あれ、おかしい。
自分は早くこの状況を終わらせるために最善の選択をしたはずだ。
名前を教えたのが間違いだったのか?
頭を抱える。
ふむ、君は絵を描くのが好きなのかい?
それにしてもなかなか味のある絵だ。
いつの間にかスケッチブックを手に取りパラパラと絵を見る彼女。
自分はうんざりして彼女からスケッチブックを取り返す。
そして荷物をまとめてリュックにしまい肩に背負う。
ん?場所変えるのか?
だが、さっきの絵描きかけだったぞ?
彼女は怪訝そうに自分を見る。
無視だ無視。
これ以上は付き合ってられない。
自分は歩き出す。
- 466 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:34:33 ID:wVHoNlHA0
………………
着いてくる。
どんなに走ろうが、隠れようが彼女は着いてくる。
何コイツ怖い。
そろそろ体力的にも精神的にも限界を感じ
自分はヤケになって怒鳴り散らした。
え、何故着いてくるのだと?もう、他人と関わりたくないしウザイから消えてくれと?
ふむ、君の望みなら何でも叶えてやりたいと思うが、それはきけないな
と彼女は自分の酷い言葉をものとせず特に表情を見せないで言う。
続けて彼女は言う。
私は君といたいんだ。
ホントは1ヶ月位前から君を知っていたんだ。
あの公園の近くのコンビニでね一回会ってるんだ。
君に面識はないだろうけど、でも私は君に恋したんだ。
一目惚れってヤツ。
彼女は淡々と言うが顔が赤い。
ポカンとなった。
え、1ヶ月前から、その自分を好いてくれてたっていうことか?
困惑する自分。
どう答えて良いかわからない。
すると自分が黙りを決め込んでたせいか彼女は少しうつ向いてしまった。
って突然そんなこと言われても困るよな。
すまない、
彼女はうつ向いているので表情は認識出来ないが悲しそうな顔をしているのはわかった。
自分はさらにどうしたらよいかわからなくなる。
- 467 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:35:58 ID:wVHoNlHA0
- 彼女、クーは言葉を紡ぐ。
今日偶然君があの公園に居たもんだから話しかけたくて、ずっとどう話しかけるかを考えてたんだ
で、思い付かないから君のリュックを隠して気を引こうとしたんだが空腹には勝てなかった、中にあった弁当をつい食べてしまったんだ。
なるほど、なんか可愛いなと思う、ってなに考えてんだ自分!
クーはバッと顔を上げ真っ直ぐで曇りのない瞳をこちらに向る
私は君が好きだ。
わ、私と付き合ってくれないか?
- 468 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:38:21 ID:wVHoNlHA0
大学のあるアトリエの一室で俺は今かなりうんざりしている。
早く終わらせたくて
テキトウに相づちをうち
棒読みで返事をする。
へー、それで。
その後どうなったの。
その相手は嬉しそうにまた話す。
いや、さすがに急だったからすぐには返事できなかったし、悩んだなあ
大袈裟に頷き、腕を組む相手。
- 469 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/05/07(火) 00:39:35 ID:wVHoNlHA0
- でも、不思議と一緒にいるうちに人と共に生きることの素晴らしさを知ってさ、感謝してるよ
本当にさ!
じゃなかったらお前ともこうやって話せなかったしな!
さいですか。と俺は答える。
はぁーと俺は溜め息ついく。
するとアトリエに一人の女子がはいってきた。
それに気付き相手は立ち上がって帰る準備をする。
お、クーが来たから先にあがるな!
これからクーと映画見に行くから、じゃあな!
ドクオまた明日な!
そういって手を降る相手。
ドクオも手を降り返す。
あー、じゃあな、ジョルジュ、二度と来んな。
二人はアトリエを出る。
あーリア充爆発しろ。
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