- 532 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 18:54:34 ID:2Mez./Ns0
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.,、
(i,)
|_|
ー−拝啓、カーチャン。
('A`;)「あっぢぃー…」
こちらももう夏の日差しが殺すぞ!と言わんばかりに俺を攻めてきます。
('A`;)「はやく帰って現行の書き溜めしよ…」
それでも元気にやっています。
('A`;)「うおドアノブあつっ!」
………こんなこと話したら暑さに頭をやられちゃったんだと思われそうだけど、
('A`;)「うへー…外より部屋の方が暑いなこれ…窓開けよ」
俺はこの夏不思議な体験をしました。
('A`;)「PCはやくつけー!ネタ忘れちゃう!!この低スペ!」
それは、
('A`;)「………ねみぃ…」
('A`)夏の思い出のようです( ^ω^)
.
- 533 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 18:55:35 ID:2Mez./Ns0
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…なんだろうこのニオイ…
……甘いような…苦いような…
………そう、砂糖が焦げたようなニオイ。
…………懐かしいなあ、小学校の頃の理科でべっこうあめ作ったなあ。俺の班のだけすげぇ煙出てんの。臭かったなあ。
……………つーか…
('A`;)「くっせぇえええ!!!」
こんなにゆっくり昼寝出来るのも久々だというのに、最悪な目覚めだ。
つーか今何時だよ。
俺は外の明るさを知るために窓の方を見た。
まぁ、16時くらいに寝たんだから遅くても19時かな。
しかし、予想とは180度違う色が、窓全面に写されていた。
- 534 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 18:56:20 ID:2Mez./Ns0
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…緑だ。
('A`)「……」
いやいやいや、待て待て。常識的に考えて緑はねぇわ。これはまだ夢ん中だわ。覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ…
「あーっ!!もう起きちゃったのかお!!?」
( A ;)「!?」
背後から確かにマヌケな声がした。ハッキリと。
俺は一人暮らしだ。ついでにアパートだが、あんなに鮮明に隣の家の声が聞こえるわけが無い。……泥棒…?いや、幽霊かもしれない。
後ろを向くのが、怖い。
( A ;)「………ッ」
どうするどうするどうするどうするどうする
「あのさ、そんなに怯えないで欲しいんだお…」
('A`;)「…?」
俺はそこで初めて奴の姿を見た。
( ^ω^)「……どうも、妖怪ですお」
…馬みてえな顔したピザデブだった。
- 535 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 18:57:18 ID:2Mez./Ns0
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('A`;)「………幽霊じゃねえの…?」
( ^ω^)「え、えぇ、まあ…その妖怪ですお」
あっこれアカン人や。
('A`)「………幽霊じゃなくてただの変態だった…」
(; ^ω^)「えっ!?いやいや!この馬の顔被り物じゃないお!!」
('A`;)「被り物じゃなかったらなんだってんだよ。まあ、幽霊じゃなくてよかった。これなら通報だけで済む……不法侵入かな」
えーっと携帯は確か…
(; ^ω^)「ま、待って欲しいお!!馬面という妖怪を知らないのかお!?」
俺が携帯をゴソゴソ探していると、ピザデブは必死そうに身を乗り出してきた。
('A`;)「あ?知らねえよ、俺そっち系興味ないし」
( ^ω^)「ぜひぐぐって欲しいお!」
('A`;)「はぁ…」カチカチ
仕方なく俺はつけっぱなしだったPCでぐぐった。うまづら…っつったっけ?かっこわりぃ名前。
何件かヒットして、一番上のまとめをピザデブに聞こえるように読み上げてみた。
('A`)「えーっと…
『戸を開けたまま昼寝していると現れた妖怪。
昼寝をしているといつの間にか家に入り込んでいる妖怪。腹を冷やさないよう毛布をかけてやる、蚊取り線香を炊き、日光が直接あたらないように、庭に植物を植えて緑のカーテンを作る。
起きる時間が近付くと、口から美味しい晩ご飯の匂いを出して、心地よく目覚めさせる。目を覚ますと姿を消してしまうが、食卓には夕飯が用意されている。味はとても美味しく、食べると出世する。』………」
( ^ω^)「おっおっお」
('A`)「俺の知ってる妖怪と違う」
福の神か何かの間違いじゃないのか?
- 536 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 18:58:05 ID:2Mez./Ns0
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('A`)「まあ、これで決してお前は妖怪なんかじゃないと分かったな。」
( ゜ω ゜)「はぁ!?いままで何聞いてたんだよてめえ
僕は馬面!てめえに親切しにきてやったんだけど!?」
(;'A`)「だってそうだろ!?テメーの言ってる馬面は、蚊取り線香炊いてくれんだろ!?
テメーが炊いてんの飴細工!!!とても美しい流曲線を描いている飴細工!!!!
くせぇんだよさっきから!つか火事にならないうちに目ぇ覚めてよかった!!!」
( ^ω^)「だって蚊取り線香って緑色しかないじゃん…もっと色違いのやつとか欲しかったんだ…」
(;'A`)「女子か。
だからってわざわざこんな業物用意するか?
あとな、庭に植物を植えて緑のカーテンを作るんだろ?
お前、窓に何を思ってほうれん草吊るしてんだよ」
( ^ω^)「植えた植物がすぐ育つわけねーだろ」
('A`)「そこは妖怪の力とかねえのかよ」
∑(; ^ω^)ハッ
('A`)「帰れ」
- 537 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 18:59:06 ID:2Mez./Ns0
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相手してるだけで疲れてくる…
もう通報すんのも面倒だし、そのまま帰すか…
('A`)「とにかく、俺は妖怪(笑)に付き合ってる暇はないんだ!」
( ^ω^)「昼寝してた癖に…」
(;'A`)「疲れてたの!ほっときやがれ!!
はぁ……通報は勘弁してやる。さっさと消えてくれよ…」
( ^ω^)「だったら帰る前に僕特製の夕飯を食べてくれお!感想を聞きたいんだお!」
(;'A`)「あぁ?」
さっさと去ってくれない馬鹿面に苛立ちながら、俺は放置してたPCをもう一度目をやる。
( ^ω^)「馬鹿面じゃないお!馬面だお!」
『食卓には夕飯が用意されている。味はとても美味しく、食べると出世する。』
('A`)「ふーん…出世ねぇ……」
( ^ω^)「君も同僚を蹴落とし、上から目線で元上司を顎で使いたくないかお!?」
('A`)「そこまでブラックに考えてなかったけどさ、やっぱ出世は夢見るよな」
怪しいけど、夕飯作ってくれたんだし食うだけ食ってみるか。
- 538 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:00:31 ID:2Mez./Ns0
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前言撤回。コイツは夕飯なんか作ってなかった。
('A`)「……これ何?」
( ^ω^)「ハムカツ」
('A`)「俺の目の前には奇声をあげる物体Xしか存在しないんだけど。」
( ^ω^)「ちょっと料理苦手なんだお。でも頑張って作ったんだお!食べると出世は間違いなし!」
そう、重要なのはそこだ。正直コイツの作る料理なんか期待してなかった。食べ物にすらならないとは思ってなかったが…
食べれば出世…食べれば出世…食べれば出世…食べれば…食べれば…
(;'A`)「……えぇぇえいっ!」パクッ
(;'A`)モグモグ
( *^ω^)「どうだお?どうだお?」
('A`)「…」
(;'A`)「おえっ…」
ただいま映像が乱れております。
しばらくお待ちください。
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- 539 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:02:04 ID:2Mez./Ns0
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(#'A`)「テメェほんとにふざけんなよ!?せめて食べ物作れよ!!!」
( ^ω^)「で、でも!これで君は出世間違いなし!」
(#'A`)「『味はとても美味しく』の部分はどこいったんだ!この腐れダメ妖怪がァ!」
(; ^ω^)「がーん……、やっぱり僕は妖怪に向いてないのかお…」
('A`)「迷惑をかける妖怪なら100点満点なんだけどな、馬面としては最低だな」
(; ^ω^)「うぅ…じゃあ僕の…僕の存在意義がなくなっちゃうお……こんなんじゃ僕…僕…死んじゃうお……」
('A`)「……し、死んじゃう?」
( ^ω^)「妖怪は、人間が信じてきた、記憶に残っているからこそ今も存在するお…妖怪の『死』とは忘れられることだお。僕も誰かに忘れられちゃったら死んじゃうんだお…………いや、死ぬとはちょっと違うのかも。誰にも見つけてもらえず、自分のする悪戯をみても人間が起こしたものだと言われ…存在意義もなく、誰とも関せず、ただ意識があるだけの存在になっちゃうんだお…」
('A`)「……何言ってるかあんまりわからなかったぞ。」
( ^ω^)「す、すまんお…」
コイツのいうことは理解できなかったし、同情ってやつもしなかったけど、本気で落ち込んでるのは分かった。
…どんな気分なんだろうな、誰にも相手してもらえずただ彷徨うってのは…
- 540 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:03:03 ID:2Mez./Ns0
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('A`)「……馬面、じゃなくなったらいいんじゃねえの?」
( ^ω^)「……えっ?」
('A`)「だからさ、馬面は向いてないんだから別の…もっとこう…妖怪らしく、人間に迷惑をかけるやつになったら?」
迷惑をかけることに関しては天才的だし。
( ^ω^)「…そういう面でも向いてなかったら…どうするお?」
('A`)「それくらい自分で考えろよ。
……それにさ、お前みたいな奴が俺の記憶から消えることねぇから。今日だけでこんなに迷惑かけられたんだ。嫌でも忘れらんねぇよ。」
('A`)「…だからお前が死ぬことは、ないよ」
( ω )「……そっか………うん、そうだおね……」
馬面は一人で何度も頷き、ボソボソと喋っている。
……泣いてんのか?
- 541 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:05:18 ID:2Mez./Ns0
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( ^ω^)「決めたお。僕…僕もっと有名な妖怪になるお。」
('A`)「おう」
( *^ω^)「もっと人間に恐れられるような妖怪になるお!!」
('A`)「おう」
( *^ω^)「そうだ!最近できた妖怪なんだから近未来的な悪戯をする妖怪になるお!」
('∀`)「…おう」
( *^ω^)「それでももう少し、人のためになる妖怪がいいお」
('∀`)「…おう」
( ^ω^)「そしたら、これ以上君に迷惑かけられないから…僕、もう行くお。」
('A`)「今更だな」
( ^ω^)「そうだおね、今更…、今更だけど、ほんとにありがとうお
…………ほんとに僕のこと覚えててくれるお?」
('A`)「忘れたくても忘れられないだろうな」
( ^ω^)「ありがとう…」
- 542 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:06:06 ID:2Mez./Ns0
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気が付いたら、俺は昼寝していたときの体制になっていて、腹には毛布がかけられていた。
('A`)「……最後の仕事はしてったんだな。」
どうせなら出世の方をしてくれたらいいのにさ。
電気のついていない部屋には、PCの光だけが部屋を照らしていて少し眩しい。
('A`)「…今日はもうこのまま寝るとするか。」
俺はPCの電源を落とした。
- 543 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:08:16 ID:2Mez./Ns0
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( ´_ゝ`)「そこで弟者のやつがさー」テクテク
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( ゚∀゚)「マジかよ」テクテク
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γ ⌒ ⌒ `ヘ
イ "" ⌒ ヾ ヾ ドガァァァァァァァァン.....
/ ( ⌒ ヽ )ヽ
( 、 , ヾ )
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_ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''! i;;;〜−ヽ_ii_i=n_ [l h__
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Π=_Π「Ⅱヾ、 ⌒〜"""''''''⌒〜'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
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ロΠ=:::::.:. ノ 从 ゝ .::田:/==Д::
口=Π田:::. .::::Γ| ‡∩:::::
Γ| ‡∩Π::.... ...:::Eヨ::日lTlロ::::
Д日lTlロ_Π::::....... ...::::::::田:凵Π_=H:::
=Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl
(;´_ゝ`)そ「ナニィィイ!?」
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(; ゚∀゚)そ「アパートが爆発した!?」
- 544 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 19:10:11 ID:2Mez./Ns0
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( ^ω^)『近代的な妖怪!それは妖怪PCの電源を落としたら爆発するウイルスをまき散らす!!なんてのはどうかお?』←置き手紙的な何か
(# A )「あ……あの馬鹿面ァ…」
ー−拝啓、カーチャン。
(# A )「絶対に…絶対に、」
俺はこの夏不思議な体験をしました。
でも、
(#'A`)「忘れてやるからなああああッッ!!!!!!」
忘れることにします。
(#'A`)夏の思い出のようです(* ^ω^)
おしまい。
(
)
i フッ
|_|
余談ですが、俺は一生出世することなく平社員を続けました。