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15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 01:55:01 ID:xuMsv05k0
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16 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 01:56:44 ID:xuMsv05k0
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朝。
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( ゚∀゚)
通勤鞄を持って、スーツを着たジョルジュ長岡が
いつも通り通勤に使っている道を歩いていたとき、彼はそれを見つけた。
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( ゚∀゚)<お
なぜ、そのときそれが目に入ったのかは分からない。
とある民家の、壁の隅。
小さくそれは描かれていた。
<●>
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( ゚∀゚)(なんだこれ、『目』?)
それはマジックか何かで描かれた小さなラクガキだった。
近所の子どもが描いたものだろうか?
しかしそれにしては、そのラクガキは妙にリアルで、そして生々しかった。
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17 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 01:57:35 ID:xuMsv05k0
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<●> <●>
2本目『ラクガキ』
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18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:01:26 ID:xuMsv05k0
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<●>
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( ゚∀゚)
なぜだかジョルジュは、しばらく壁に描かれたその目を見ていた。
<●>
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( ゚∀゚)(なんか)
<●>
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( ゚∀゚)(……)
<●>
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( ゚∀゚)(……見られてる、ような)
しばらくして、ふと我に返った。
こんなことをしてる場合じゃない。
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(;゚∀゚)(会社いかねーと)
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19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:03:15 ID:xuMsv05k0
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―――
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(;゚∀゚)<あっちいな……
外回り。
蝉の声が聞こえる公園を、彼は歩いていた。
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(;-∀-)<ここらで飯にしますかーっと
その辺にあった木製のベンチに腰を下ろすと、手に持ったコンビニ袋を開いた。
数個のおにぎりと、ペットボトルの水が姿を現す。
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( ゚∀゚)<いっただきまーす……
ひらっ
_
( ゚∀゚)<ん?
ペットボトルの底に水滴でくっついていたのだろう。
レシートが一枚、ひらひらと地面に落ちていく。
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( ゚∀゚)<おっとと……
地面に落ちる前にそれをキャッチしたジョルジュは、意味もなくレシートの額面に目をやった。
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( ゚∀゚)(おーおー。こんなんでもそこそこすんだなー……)
数字を見ながら、ジョルジュがそんなことを思っていると、
_
( ゚∀゚)<ん?
白い紙に微かに透ける黒。
―――裏に、何か描かれている。
_
( ゚∀゚)
ぺらり、と、何気なく彼は紙を裏返し、そしてそれを見つけた。
<●>
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20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:04:12 ID:xuMsv05k0
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(;゚∀゚)(この目……今朝の?)
レシートの裏に描かれていたもの。
それは、ボールペンで書かれている『目』のラクガキ。
その見た目は、今朝民家の壁に描かれていたものと酷似していて……
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( ゚∀゚)(描いた奴がたまたまあのコンビニで働いてた……とか?)
あの民家からここまでは結構距離がある。
仕事できている自分ならともかく、コンビニのバイト程度でこんな遠くまで通っているやつがいるのだろうか?
そんなこと考えながら彼は首を傾げていたが、それ以上は考えてもしかたがないと、
おにぎりの包みを開き、貪りはじめた。
<●>
レシートに描かれた、目を見ながら。
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( ゚∀゚)(やっぱり、見られてる気がする……)
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21 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:05:24 ID:xuMsv05k0
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――――――
―――
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昼食を食べ終わって、ふいに尿意を催したジョルジュは、公園の隅にあるトイレへ向かった。
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(|l|゚∀゚)(うわっ、きったね)
こういった場所にあるトイレの通例通りの見た目と異臭。
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(|l|-∀-)(早く出よ)
チャックを下ろし、用を足し始めて、そして彼はそれに気づいた。
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(|l|-∀-)
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(|l|゚∀゚)
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( ゚∀゚)
視界の、隅。
暗がりの中にそれはあった。
<●>
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22 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:07:25 ID:xuMsv05k0
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( ゚∀゚)(また、あの『目』)
薄汚れたタイルに、マジックかなにかで描かれている『目』。
壁のラクガキなんて気にしていなかったか、気づかなかった。
そして、彼は気づいた。
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( ゚∀゚)
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壁に描かれている、目。
よく見ればそれは一つではなく。
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(;゚∀゚)
まさか、と辺りを見回せば
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目、目、目―――
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(;゚∀゚)
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(;゚∀゚)
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(;゚∀゚)
異様な光景に、彼は呆然と立ち尽くす。
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(;゚∀゚)ハッ
しばらくしてふと我に返った彼は、一目散にその場を逃げだした。
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23 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:08:30 ID:xuMsv05k0
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―――
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夜。
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(;゚∀゚)
自室。
ベットに横になる彼は、なんだか落ち着かなそうにごろごろとしている。
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(;゚∀゚)(なんだ、この感じ)
視線を、感じるのだ。
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(;゚∀゚)(あのラクガキのこと気にしてるからかな……)
ふぅー、と彼は両手で顔を覆い、ため息を吐いて
そして
悲鳴を上げた。
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(; ∀ )<ぁ、ぁぁ……?
震える、ジョルジュ。
彼が見ているのは、先ほどまで自分の顔を覆っていた両手。
―――その、彼の両手に"描かれて"いるもの。
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(; ∀ )<なんで……いつ……
<●> <●>
掌に、マジックかなにかで大きく描かれた、『目』。
無表情なその双眸が、ジョルジュには、なんだか笑っているように見えた。
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24 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:10:31 ID:xuMsv05k0
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ロウソクの、火が消える。
('A`)<結局、その人はどうなったの?
冷蔵庫の上の少年が聞くと、猫は淡々と答えた。
(,,゚Д゚)<別にどうにもなっていませんよ。
両手にあったらくがきは次の日には消え、あとはいつも通り。それだけです
('A`)<そんなもんか
(,,-Д-)<そんなものです、言ったでしょう。
これは『暇つぶし』。大した意味などないのです
投げやりに言った猫は、しかしどこか遠い目をして、続ける。
(,,゚Д゚)<……しかし、恐ろしい経験というのは総じてそういうものかもしれません
('A`)<ん?
(,,゚Д゚)<あとから振り返れば、そんなこともあったな、あれはなんだったのかなと思う。
その程度のこと、大したことではない。そういうものなのかもしれません
「しかし」と、彼はまだ火の消えていない蝋燭の前に歩いていく。
(,,-Д-)<"大したことではない"からこそ、これは誰にでも起こりうる。
そうとも言えるかもしれませんね
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25 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/09(日) 02:11:33 ID:xuMsv05k0
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('A`) ……
猫は三本目のロウソクの前へと進む。
(,,゚Д゚)<さて、大したことがない話にも飽きてきた頃合いでしょうし、
少し意味のある話でもしましょうか
('A`)<意味のある話?
聞き返した少年に、猫は首を横に振った。
(,,゚Д゚)<いえ、『少し意味のある話』です
猫は話し始める―――