753 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 19:48:10 ID:4PCaQq7U0

  .,、
 (i,)
  |_|

( ^ω^)ξ゚听)ξ好きなようですζ(゚ー゚*ζ

754 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 19:49:41 ID:4PCaQq7U0
プルルルル…

( ^ω^)「もしもしだおー」

『………』

( ^ω^)「もしもしだお。
誰なんだおー?」

ξ゚听)ξ「ブーン、早く行きましょう……って、電話中か」

『………プツッ』

755 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 19:51:26 ID:4PCaQq7U0
( ^ω^)「切れたお……」

ξ゚听)ξ「……また例の無言電話なの?」

( ^ω^)「お、そうだお。
今日で三日目だお」

ξ゚听)ξ「気味が悪いわね。
ストーカー?」

( ^ω^)「いや……ストーカーではないと思うけどお……。
ま、気にしないで出掛けるお!」

ξ゚听)ξ「? うん!」

僕は内藤ホライゾン。
この子は僕の彼女のツン。
ブーンとは僕の小さい頃からのあだ名だ。

ξ゚听)ξ「早く行かないと店混んじゃうわよ」

( ^ω^)「お!ごめんお!
今行くおー」

最近の僕の悩みは、ここ三日ほど続いている無言電話。
ツンには報告していないが、僕には大体の予想がついている。

756 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 19:54:16 ID:4PCaQq7U0
―四日前―

ζ(゚ー゚*ζ「内藤くん……ずっと、ずっと前から好きでした」

( ^ω^)「デレちゃん……ごめんお。
知ってるとは思うけど、僕はツンと付き合ってるお。
別れるつもりもないし……」

ζ(゚ー゚*ζ「……そうだよね」

( ^ω^)「ごめんお……」

彼女の告白を断り、今に至る。
僕は、彼女の告白は有難いけれども、僕にはツンがいるし、それに何より





デレはツンの実の妹だ。

僕たちは幼なじみで、小さい頃からいつも一緒だった。
だから、同い年であった僕とツンがくっつくのは必然的なことだろう。

ξ*゚听)ξ「ここのケーキ美味しいわね。
今度デレも連れてきてあげたいわ」

( ^ω^)「お。そういえばデレちゃんは甘いもの好きだったおね。
きっと喜ぶお」

ξ゚听)ξ「最近なんか落ち込んでるみたいだったから。
聞いても話してくれないし」

( ^ω^)「……デレちゃんももう中学生だお。
色々あるんじゃないかお?
そっとしておいてあげるお」

ξ゚听)ξ「……そうね」

757 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 19:57:18 ID:4PCaQq7U0
その日はツンとケーキを食べて帰宅した。
その晩、僕に起こることなど、想像もせずに。

( ^ω^)「ただいまだおー」

J(*'ー`)し「お帰りホライゾン。ご飯は?」

( ^ω^)「腹減ってないし要らないお」

J(*'ー`)し「はいはい」

僕は2階にある自室へと向かう。
そのとき、僕は見逃さなかった。



玄関から覗く、デレちゃんの瞳に。

( ;^ω^)「………」

まずいことになった。
まさか、デレちゃんが自宅まで来るとは思わなかった。
しかしここは、穏便にすませたい。
大切なツンの妹だ。

僕は自室へ向かうのを諦め、そのまま外に出た。

( ^ω^)「デレちゃん……」

ζ(゚ー゚*ζ「………」

デレちゃんは何も口にしない。
それが逆に僕には恐怖だった。

( ^ω^)「本当にすまないけど……」

ζ(゚ー゚*ζ「……わかってる」

その言葉を聞いてから、僕の意識は薄れ、次に目が覚めたのは病院のベッドの上だった。

758 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:01:32 ID:4PCaQq7U0
ζ(゚ー゚;ζ「あ……あぁ!」

やってしまった。
小さい頃からの想い人、内藤くんを。
決して格好も成績もスポーツも良くはないが、
いつもニコニコしていて、温かみをくれた内藤くん。

そんな彼が姉であるツンと付き合い始めたと知ったのは、半年ほど前だった。

ξ゚听)ξ「あ、そういえば」

ζ(゚ー゚*ζ「うん?」

ξ゚听)ξ「私、ブーンと付き合い始めたから」

ζ(゚ー゚*ζ「……え?」

ξ*゚听)ξ「だから!
ブーンと!」

ζ(゚ー゚*ζ「……そう」

それから一週間、何も食べれない日が続いた。

何故、姉なんだろう。
何故、私じゃないんだろう。
彼は、私の全てだった。

姉は怒りっぽく、私は散々な扱いを受けてきた。
それをなだめてくれたのが、彼だった。
姉の素行の悪さを知っている筈なのに。
私が泣いてきたのを見てきた筈なのに。
どうして内藤くんは、姉を選んだのだろう。

759 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:04:14 ID:4PCaQq7U0
毎日、胸が張り裂けそうだった。
半年程たったある日、私は一つの決意をする。

ζ(゚ー゚*ζ「……伝えよう」

そうだ。伝えよう。
伝えることさえ出来れば、この胸のわだかまりも無くなる気がする。

ζ(゚ー゚*ζ「内藤くん……ずっと、ずっと前から好きでした」

( ^ω^)「デレちゃん……ごめんお。
知ってるとは思うけど、僕はツンと付き合ってるお。
別れるつもりもないし……」

ζ(゚ー゚*ζ「……そうだよね」

( ^ω^)「ごめんお……」

欲しいのは、そんな答えじゃない。
どうしてあんな姉を選んだの。
私が泣いてきたのを、あなたは見てきたんでしょう?

( ^ω^)「……ツンは」

( ^ω^)「普段はあんなに怒りっぽいけど、根は素直で優しい良い娘だお。
ブーンは、君の姉さんを、大事にしていきたいと思ってるお」

ζ(゚ー゚*ζ「………」

優しい?
あの姉が?
あの、私に対して物を投げ、私の物を自分の物のように扱い、誰からの目線も独り占めする、あの女。

ζ(゚ー゚*ζ「わかった……
じゃあせめて、今までの関係を、続けさせて。
今までの、幼なじみって、いう」

( ^ω^)「もちろんだお。
ずっと宜しく頼むお」

その時私は、私を押さえ込むのに精一杯だった。
この黒い感情を、無くさなければ。
元の、仲の良い幼なじみに、戻らなければ。

彼と、姉のために。

760 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:09:24 ID:4PCaQq7U0
──────

姉と二人で使っている、八畳の部屋。

姉の机には、彼と姉の写真が並ぶ。
私の机には……。

そこでふと、目に付いた、CD。
いつだか、彼に借りたもの。

ζ(゚ー゚*ζ「返さなきゃね……
幼なじみなんだし、別に、電話しても、良いよね?」

あぁ、でも姉と一緒にいたなら。
きっと姉は、彼の携帯を鳴らした私を攻めるだろう。
悩んだ末に、非通知に設定し、もう暗記してしまった番号へ掛ける。

『……もしもしだお?』

あぁ、彼の声。
愛しの、彼の声だ。

ζ(゚ー゚*ζ「……っ」

言葉が出ない。
そう、前日に、あんな会話をしたばかりだ。
何も今日、電話することはなかったのだ。
ただ、電話をする口実が欲しくて……

ζ(ー*ζ「……っ」

プツッ

切ってしまった。
これじゃ悪質な嫌がらせじゃないか。

761 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:14:54 ID:7djbJL.20
次の日、私は携帯を片手に昨日の件を省みていた。

ζ(゚ー゚*ζ「昨日はごめんね!実は私だったのw!
内藤くんから借りてたCDだけど……」

ζ(゚ー゚*ζ「……よし。この流れで話そう」

予行練習までして、私は掛ける。

『もしもしだおー?』

出た!さっそく練習の成果を…

ζ(゚ー゚;ζ「………ぁ」

言えない。さっきまで、スラスラ出ていた言葉が。
でも、でも!

『?間違いかお? 切るおー』

……切られてしまった。
これで、また掛けるハードルが高くなってしまった……

762 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:16:20 ID:7djbJL.20
─────

ζ(゚ー゚*ζ「昨日一昨日とごめんね!
話そうと思ったんだけど…緊張しちゃってw
それでね、借りてたCDなんだけど……」

ζ(゚ー゚*ζ「…よし!
今日こそは!」

プルルルル…

『もしもしだお。誰なんだおー?』

ζ(゚ー゚*ζ「あっ……」

『ブーン、早く行きましょう…って、電話中か』

!?
姉の声!?
まずいまずいまずい。
こんなことをを姉に知られたら───。

ζ(ー*ζ「───」

黙って電話を切る。
本当に、タイミングの悪いあの女。


ξ゚听)ξ「ただいまー」

玄関から帰宅した姉の声が聞こえる。
隣家である彼もまた、帰宅しただろう。

ζ(゚ー゚*ζ

もう電話は出来ない。
いっそ、直接返しに行ってしまおうか。
そうだ。
いつか彼としたソフトボール。
もうボールもバットも、何かも、返してしまおう。
思い出も、記憶も、ここにあるものも全て。

私は、玄関を開け、外に出る。

763 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:17:28 ID:7djbJL.20
ピロリン♪

ζ(゚ー゚*ζ「……?
メール?」

ξ゚听)ξ『あんた、最近元気ないわよね。
美味しいケーキの店見つけたから、今度行きましょ。ブーンと三人で』

ζ(ー*ζ

この姉は。
ほんとうに。
私の邪魔ばかりする。

( ^ω^)「デレちゃん……」

ζ(ー*ζ

どうしてこの人は、姉を選んだのだろう。
私じゃなく、あんな女を。

こいつさえ、わかってくれれば。
こいつさえ、私の側にいてくれたら、それだけで良かったのに。
こいつさえ……

許せない。

764 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:18:47 ID:7djbJL.20
『キャ────!!!!』

ξ;゚听)ξ「なっ、なに!?」

外に出てみると、道路に倒れているブーンと、デレ。
周りには野次馬の集まり。

ξ;゚听)ξ「通してください!通して!」

『女の子がバットで男の子を……』
『あれ、内藤さんちのブーンくんでしょう?』
『確か仲が良かったはずなのに……』

野次馬、野次馬、野次馬。

ξ;゚听)ξ「ブッ…ブーン!!」

ξ;;)ξ「ブーン!!起きて!!起きなさいよ!!」

ξ;;)ξ「救急車!誰か救急車!!」

あぁ、愛しの、愛しのブーン。
どうして、どうして。
どうしてブーンが殴られなきゃいけないの。

ζ(ー*ζ

立ち尽くす、妹のデレ。
そう、あんたが、ブーンをやったのね。

765 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:19:48 ID:7djbJL.20
──────

(´・ω・`)「とりあえず、気絶しただけのようなので、意識が戻り次第、目覚めると思いますよ」

J('ー`)し「先生…ありがとうございました」

(´・ω・`)「いえいえ。それでは」

ξ゚听)ξ「……」

デレはあの後、駆けつけた警察官によって連行された。
未成年といえども、何かしらの処罰はあるだろう。

ごめんなさい。
私があなたを愛してしまったばっかりに。

ごめんなさい。
私があなたを思ってしまったばっかりに。

あなたを、傷つけてしまった。

ξ゚听)ξ「ブーン……」

ξ゚∀゚)ξ「ありがとう」

演技はよく出来ていたかしら?
彼氏の側で泣きわめく彼女の様子。

デレがブーンを好きなのは、幼い頃から気付いていた。
姉だもの、当然でしょう?
でも、ブーンにあなたは渡さない。
あなたは、一生わたしのものなのよ。
離さないわ、死ぬまでね。

766 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 20:21:26 ID:7djbJL.20
──────

ξ゚听)ξ「デレ……お帰りなさい」

ζ(ー*ζ「………ぅっ」

ζ(;ー;*ζ「お姉ちゃん……ごめんね、ブーンくん……」

ξ゚听)ξ「いいのよ、デレ」

ξ゚听)ξ「あなたには、私がついてるわ」

ξ゚听)ξ「私と、あなたと二人。
支えあって生きていきましょう」

ξ゚∀゚)ξ「永遠に」



  (
   )
  i  フッ
  |_|
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