280 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:02:25 ID:OxqIIUtc0
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沼の噂のようです

281 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:03:23 ID:OxqIIUtc0

( ・∀・)「1、2、3……よし、全員いるな」

( ・∀・)「みんなー、よく聞け!これから肝試しのルールを説明するからな!」


茂等モララー28歳。勤めていたブラック企業を辞めて、教師になってから早4年。
ド田舎の倉作小学校に転勤してきて最初の夏休みに、彼の受け持つ3年1組で肝試しを行うことになった。


ξ; ゚听)ξ「ドキドキするね」

( ^ω^)「だいじょうぶだお、ツンはぼくが守るお!」


場所は小学校の近くにある名も無き沼、その周りの簡素な遊歩道だ。
土むき出しの道で明らかに遊歩道と呼べるような代物ではないのだが、便宜上そうしておく。
今いるところは道の入口で、遊歩道で唯一街灯がある場所でもある。


( ・∀・)「はい、そこおしゃべりしないでー。
       ルールは2人1組になって、みんなの目の前にある沼の周りを、反対側の祠まで歩くだけ。
       先生は違う道を通って、先に祠のところに行ってます」

( ・∀・)「前の人たちが出発して3分経ったら、次の組が出発すること。素直さん、任せていいね?」

川 ゚ -゚)「はい」

( ・∀・)「じゃあ、道を外れずにちゃんと来てね。分かりましたかー!」

「「「「はーい!」」」」

282 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:04:31 ID:OxqIIUtc0

説明を終え、モララーは自転車に跨り、生徒たちのルートとは反対を走る。
実はこちらから行く方が少し距離が長いのだが、自転車だし問題はないはずだ。

遊歩道の両脇には木々が生い茂っているため、夜は真っ暗、昼間でも薄暗い。
前述の通り、街灯は入口の一ヶ所のみにしかないので、自転車のライトだけでは心許ない。
自分も懐中電灯を持ってきた方がよかったかな、と少し後悔した。

モララーは、ふと木々の間から見える沼に目をやった。


( ;・∀・)「……」


月明かりに照らされ黒くぬらぬらと光る沼が、彼の恐怖を増幅させた。
元より、モララーはホラーだとか霊の類が苦手である。それも原因だろう。

沼から目を逸らし、時計を見た。
そろそろ祠に着くだろう。


( ・∀・)「……ん?」


違和感を感じ、自転車を停める。
よくよく目を凝らして見ると、前方に黒い人影が見えた。

283 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:06:21 ID:OxqIIUtc0


( ・∀・)(おかしいな、こんな時間にここにいるなんて)


ここは昼間でもほとんど人が訪れない場所だ。
可能性があるとすれば、我が子が心配で様子を見に来た親、もしくは妖怪の類だろう。


( ・∀・)「すみませーん、どちら様ですかー」


後者でないことを願いながら声をかけるも、返事はない。
聞こえなかったのだろうか。
自転車を押して近づいてみる。
ここで気付いたのだが、相手はかなりの背丈であった。
モララーだって決して低くはないが、向こうは頭ひとつ分ほど大きい。2メートル近くあるんじゃないだろうか。


( ・∀・)「あのー」


2メートルの巨体が振り向く。


( ;・∀・)「ーーっ!?」


モララーは気付いた。これは人ではない。
全身は濡れているのか、黒くてらてらと光っている。
黒い寸胴型の体を横に太らせて、そこに短いずんぐりした足がちょんとついている。

そして、顔には凹凸が一切なく、闇に潰されたかのように真っ黒だった。

284 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:07:12 ID:OxqIIUtc0

べしゃり。そいつが一歩踏み出す。
まるで、ついさっきまで水の中にいたような、湿った足音だ。



( ;・∀・)「ぁ……あ、」


モララーは思わず自転車から手を離してしまった。
大きな音を立てて倒れる。

膝はガクガクと震えて、歩くことさえままならない。
そのまま腰が抜け、尻餅をついてしまった。

べしゃ、べしゃり。
差は随分と縮まった。もうすぐそこである。

そして、ぬぅっと、頭上に大きな影。


( ; ∀ )「ぁ、うわああああああああああああああああ!!」


そいつがニィと笑った気がした。

285 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:09:34 ID:OxqIIUtc0

八月×日、倉作小学校の教師である茂等モララー(28)が行方不明になった。
その日は彼が担任を受け持つ三年一組の生徒と沼で肝試しをしており、
目的地の祠に生徒全員が到着したにもかかわらず、茂等先生がいないことを不審に思い
生徒達が探しに行ったところ、道の途中に彼の自転車だけが倒れていたという。
第一発見者の内藤ホライゾン君は、「沼から自転車の近くまでがびしょびしょに濡れていた」と発言している。

素直クールさんの通報により事件翌日の早朝から捜索が始まったが、一週間経った今も見つかっていない。
警察はこれを誘拐事件、もしくは殺人事件とみて捜査を進めている。
なお、事件が起こった沼では昔から黒い怪物を見たという話が絶えず、今回もその仕業ではないかと噂されている。


――オカルト系雑誌『MYSTERY』より抜粋

286 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/10(日) 01:10:19 ID:OxqIIUtc0

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