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666 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:45:29 ID:z9RWC2DM0
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三十本目、頂きます
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(i,)
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667 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:46:26 ID:z9RWC2DM0
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( ´_ゝ`)「死にたい死にたい…」
あまりにストレート、 そして過激な台詞を吐く、 それは俺の影だ。
(´<_` )「うるさいな、黙れ」
( ´_ゝ`)「死にたい死にたい…」
悪霊か何かでもついているのかも知れない。
1ヶ月前からこんな調子だといい加減ムカついてくる。
仕方ない、明日は仕事を休んでお祓いでもしてもらおう。
( ´_ゝ`)「死にたい死にたい…」
まだいってやがる。
もうほっといて寝よう。
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668 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:47:06 ID:z9RWC2DM0
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可哀想な彼のようです
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669 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:48:17 ID:z9RWC2DM0
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有名な霊媒師なる者の所へやってきたのは良いものの、
川д川「…あなたは残念ながら『あなた』に憑かれています」
バカな事をいいだしやがった。
(´<_` ;)「はぁ?何をいっているんだ」
川;д川「嘘だと思うでしょう、私もこんなケースは初めてで す」
ダメだな、こいつ。
(´<_` )「もう良いですよ、帰ります」
川д川「…あなたは消えます、何故ならあなたは『あなた』で はないのだから」
霊媒師なんてあてにした俺が馬鹿だった。
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670 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:49:17 ID:z9RWC2DM0
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次の日、同僚に昨日の話をした。
(´<_` )「な、馬鹿げてるだろ?」
('A`)「…いや、あながち霊媒師の話は正しいかもな」
同僚は笑いながら言う。
(´<_` ;)「は!?」
こいつ、頭がどうかしてるんじゃないか?
('A`)「だって、お前変わったもん」
(´<_` )「何もかわってないだろ?」
('A`)「いやぁ、変わったよ」
意味がわからん、もういいや。話してる時間が無駄だ。
(´<_` )「…わりぃ、まだ仕事残ってたわ。 又明日な」
もういい。 話を切り上げてしまおう。
('A`)「そうか、また明日な」
ったく、どいつもこいつも…
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671 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:50:10 ID:z9RWC2DM0
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( ´_ゝ`)「死にたい死にたい…」
家に帰ると影の声がいつもより家のなかに響いた。
声が日に日に大きくなってきているようだった。
(´<_` #)「うっせぇな、死にたきゃ勝手に死ねばいいだろう!」
怒鳴る俺、なんて近所迷惑な行為だろう。
( ´_ゝ`)「…できないんだ。」
初めて影が死にたい以外でしゃべった。
(´<_` )「なんで死ねないんだよ」
( ´_ゝ`)「…キミが止めるからだ」
はぁ? ふざけるな、止めた覚えなんかない。
(´<_` )「何をバカな事を」
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672 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:52:06 ID:z9RWC2DM0
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( ´_ゝ`)「止めたんだ、キミは。 キミはボクと違ってたから」
意味がわからない、しかし話をやめることはできない。
何故なら気になるからだ。
(´<_` )「どういう意味だ?」
( ´_ゝ`)「1ヶ月前、キミはボクが死のうとしたのを止めたんだ」
1ヶ月前と言えば、ちょうど影の声が聞こえるようになったぐらいのときだ。
(´<_` )「そんな記憶はないのだが」
( ´_ゝ`)「…」
急に無言になる影。
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673 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:53:07 ID:z9RWC2DM0
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(´<_` )「…何故、死にたくても死ねないんだ?」
話を元に戻してみた。
( ´_ゝ`)「…キミが止めるからだといってるだろう」
(´<_` )「じゃあ、止めないから死ねばいいじゃないか」
次の瞬間、見えたのは下からの眺めで見る俺だった。
そう、俺は『影』になっていた。
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674 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:54:13 ID:z9RWC2DM0
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(´<_` ;)「なんだこれ!」
俺は叫んだ。
( ´_ゝ`)「今度は止めないんだろ?」
影だった俺が笑いながら続けて言う。
( ´_ゝ`)「いつからだったかな、キミが喋りかけてくるようになったのは。
キミは何時もボクが死のうとするたび止めてくれたね。ボクはキミだけは、ボクを救ってくれるんだと思ってたんだ」
笑いながら息継ぎもせず、奴は言う。
( ´_ゝ`)「1ヶ月前、遂にボクも本当に死のうとした。その時キミは言ったよね」
1ヶ月前、俺は何を…?
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675 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:54:55 ID:z9RWC2DM0
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( ´_ゝ`)「『やめろ!俺は生きたいんだ!!』って…」
奴は笑いをやめた。
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676 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:56:30 ID:z9RWC2DM0
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( ´_ゝ`)「次の瞬間、キミとボクは入れ替わってた。 ボクは今までの人生の中で一番ショックだったよ。
所詮キミも自分の欲望のためだけにボクを助けてたんだとおもうと。
ボクは裏切られたんだ」
何もかもを全て思い出した。
そうだ、本来は俺がコイツの影だったのだ。
( ´_ゝ`)「ここは二十階だね、ここから落ちたらさぞかし痛いだろうね」
…遂に俺も死ぬらしいな。
( ´_ゝ`)「裏切ったキミを道連れに、ボクは死ぬよ」
(´<_` )「…裏切ったんじゃないんだ。ただ、俺はお前の影として生きていきたかったんだ 」
( ´_ゝ`)「最後の言葉まで、嘘をつくのかい?」
嘘なんかじゃない、嘘なんかじゃないんだ。
( ´_ゝ`)「まぁいいや、どうあがいても君は道連れなんだから」
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677 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:57:19 ID:z9RWC2DM0
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二十階から飛び降りた彼、彼はもちろん死んだ。
それは彼の望み道理に終わった。
死ぬ事しか望んでいなかった可哀想な彼。
可哀想な彼のお葬式、
それはささやかなお葬式、
何故か霊媒師もきていたが…
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678 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:58:32 ID:z9RWC2DM0
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そんなささやかなお葬式に来ていた同僚は、霊媒師に声をかけた。
('A`)「あいつは…どうなったんですかね」
川д川「あの体の持ち主は勿論死にました」
('A`)「いや、そうじゃなくて」
同僚は言う。
('A`)「死ぬ前のアイツですよ」
川д川「あぁ、あの方の体を乗っ取っていたあの方の影ですね」
('A`)「そうそう! 面白い奴だった、『アイツ』自体は全くもってつまらないし変な奴だったから葬式に来るの悩んだけど…。
影の方は面白いし良い奴だったから葬式に来たんですよ」
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679 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:59:19 ID:z9RWC2DM0
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彼の同僚は、 「惜しい奴を失った」 と泣いていた。
霊媒師は死んだ彼の写真を見ながら
川;д;川(なんて可哀想な方なんだろう)
と涙した。
誰も彼の死を悼むことはなく、
誰も彼も悼むのは彼の『影』の死だったのだから
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680 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/16(土) 04:59:59 ID:z9RWC2DM0
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三十本目、お終い
(
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i フッ
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