353 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:36:05 ID:JrVp3KDg0
十四本目
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  |_|

百年の孤独のようです

354 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:37:08 ID:JrVp3KDg0
私は獣として長年つまらぬ人生を送ってきた。
産まれた時は覚えておらぬし、今年で幾つになるかもわからない。
生態系というものは強弱をして生を得る時があり私もその環のなかにひっそり佇んでいる。

/ ,' 3


(*゚ー゚)「ほら、よく見なよ。可愛いだろ?」

(,,゚Д゚)「そうか?俺にはよくわからんぞゴルァ」


仲睦まじい夫婦が草原に寝ていた私をみつけて微笑んでいる。
夫の逞しい身体に寄り添う女が嬉しそうにはしゃぐ。

(*゚ー゚)「うちの娘がもうちょっと大きけりゃあねぇ」

(,,゚Д゚)「今ならこいつに食われちまうな」


どうやら夫婦の間には小さな娘がいるらしい。

355 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:38:16 ID:JrVp3KDg0
(*゚ー゚)「珍しい生き物だしなんだか高く売れそうだねぇ」

(,,゚Д゚)「そうだな…城下に珍しい物を引き取ってくれる店があったなゴルァ」


私はすこぶる嫌な予感がしたが黙っていた。
人間は昔から私を見てひとしきりはしゃいだ後に見世物にしたり食料したりしようとするのだ。

/ ,' 3

(,,゚Д゚)「よし、ちょいとその店に持って行って見るぞゴルァ」


  ズルズル…
      (,,゚Д゚)o,..,,,,_
      /  つ/ ,' 3  `ヽーっ )))
      し―-,l   ⊃ ⌒_つ )))
          `'ー---‐'''''"

356 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:41:29 ID:JrVp3KDg0
('A`)「いらっしゃいやせ」

連れて行かれたところはどこかの商店だった。
店内は薄暗く様々な商品が足の踏み場もなく並んでいた。


('A`)「……荒巻か」

店主は目の細い背丈がひょろ長い男だった。
私をじっと見て少しだけ、そう、少しだけ笑った。

('A`)「旦那この荒巻、お引取りですかい?」


(,,゚Д゚)「こいつ荒巻って言うのか? 引き取ってくれるなら頼むゴラァ」


('A`)「旦那が良いってんなら」


(,,゚Д゚)「どれ位の値打ちになるんだゴラァ?」


('A`)「こいつはちょいと餌が高くてあんまり多くは出せませんな」

357 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:42:41 ID:JrVp3KDg0
('A`)「ありがとうございやす」

客の男を見送ると店の主人は私を眺めてまた少しだけ笑った。


/ ,' 3 


('A`)「……何を食べたい?」


/ ,' 3

思えば少し腹が減っている。
私は雑食なのだが好物といえば肉だ。


('A`)「…生き物なら何でも食うのかねぇ」

358 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:44:44 ID:JrVp3KDg0
(,,゚Д゚)「…」

(*゚ー゚)「あんた、気をつけるんだよ」


('A`)「おや、旦那。お久しぶりですねぇ」

/ ,' 3

店先で店主と男と女。
男はどこかで見た顔だった。
私をこいつに売った男だ。

甲冑を着て馬に乗っている所を見ると戦に行くらしい。


(,,゚Д゚)「必ず帰ってくるぞゴルァ」


/ ,' 3

少しだけ、少しだけ、食った。

359 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:46:31 ID:JrVp3KDg0
肉というものを人間たちは形あるものと思っているようだ。

店の店主は何処からともなく肉を仕入れて来ては私によこす。

何の肉かくらいはわかるが、店主はどうも勘違いしているらしく


('A`)「今日は美府の女郎の肉だ、ほれ」


とやたら人間の身体をよこすのだ。



違う、違うのだ。

人の肉を食べる時は【外】から食べるのだ。

【外】というのを人間は運だとか幸せだとかあくまでも存在しないものとして扱っている。

私にとってそれが人の【肉】なのだ。

よくわからない、というものもいるだろう。

一つだけ言えるのは私に肉を食われた人間はあまり長生きしない、ということだ。

360 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:48:07 ID:JrVp3KDg0
('A`)「ほら、餌だ荒巻」


/ ,' 3


しばらくしてどこかで嗅いだ事のある匂いがする肉を店主が持ってきた。

肉は酷い状態で私はあまり口をつけなかった。



('A`)「旦那ぁ、どうやら嫌われてますぜ」



少しだけ、また店主が笑った。

361 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:48:59 ID:JrVp3KDg0
しばらしくして私を買いたい、という女が店へやってきた。

川 ゚ -゚)

が、それはまた別の話だ。

362 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/11(月) 04:50:01 ID:JrVp3KDg0

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十四本目、お終い
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