2 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:34:50 ID:xD2lHE1w0




  .,、
 (i,)
  |_|



「アタシは火が嫌いだ」



  (
   )
  i  フッ
  |_|





.

3 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:36:09 ID:xD2lHE1w0





―百物語のようです2014参加作品―




.

5 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:37:43 ID:xD2lHE1w0
目は見えない、耳も聞こえない、口から声は出ない
髪も爪も、肌も全て『燃え尽きた』
血液は枯れ、内臓は蒸され、脳は煮え尽きた


それなのに、何故、私は生きている


「こんばんわ、キティ」


聞こえない筈の耳が拾った男性の声を
機能しないはずの脳が聞き取った


「出会ってすぐになんだがね、余り時間が無い。本題に入らせてもらうよ」


『…もう、終わらせて欲しい』


『役立たずの口』から出た言葉を聞き取ったのか


「気持ちはわかるがねキティ、私にも都合と言うものがある。なにより、『クライアント』の機嫌を損ねるわけには行かない」


舌なめずりのような声で話を続けた

6 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:39:24 ID:xD2lHE1w0




―原作『A Nightmare on Elm Street』―



.

7 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:41:15 ID:xD2lHE1w0
「さて、私は君に『二つの選択肢』を与えることが出来る」


『二つ?』


「一つは、このまま『眠り』に就かせること」


『…』


「もう一つは…」


『炭』と化した肌が粟立った
寒気か、熱気か、どちらにせよ
『おぞましい』何かが語られるのは確かだった


「君に『伝説』となってもらいたい」


『伝説?』


「ま、有無を言わさず」


手拍子の音と共に私の中で再び『熱』が湧き上がった


「なってもらうんだけどね」

9 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:42:36 ID:xD2lHE1w0




それは、『悪夢』のような熱だった



.

10 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:43:47 ID:xD2lHE1w0




―Fry Ladyのようです―



.

11 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:45:22 ID:xD2lHE1w0
人は三日もあれば、見て聞いたものの殆どを忘れる
十年もあれば、思い出すなど不可能に等しい

エルム街の片隅で火事があり、女子高校生が一人焼死したことなど、誰も思い出しはしない


(,,-Д-)~゚「くあっ……」


ラジオでその情報が流れても、憂鬱な月曜日のBGMでしかないのだ


(,,゚Д゚)「だっり……」


髭面の男は荒れた路面を慎重に走りながら、砂糖をたっぷりと入れた眠気覚まし用のコーヒーを啜った
甘党ではないが、家の近くにある寂れたカフェのコーヒーはそうしないと飲めたものではないからだ
長年の習慣は、ベルトの上に乗った贅肉を培った要因の一つとなった

職場である工場へ到着した彼は、助手席に放ってあったヘルメットを被り、ランチボックスを引っ掴んで車を降りた
いつもの場所への駐車、いつものドアを乱暴に閉めた音、きっちり二十五歩先の事務所への距離


(,,゚Д゚)「早う、月曜はダリィな」


そしていつもの挨拶。彼にとっての日常
しかし、この日に限って、いつもと違うことがあった


(;´∀`)「…」


(,,゚Д゚)「…?」


青い顔をして机に寄りかかる、従業員の姿だった


(,,゚Д゚)「おい、モナーどうした?飲みすぎか?」


笑い混じりに肩に手を置くと


(;´∀`)そ「ヒッ!!」


脅えた表情と共に払いのけられた

12 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:46:41 ID:xD2lHE1w0
(;´∀`)「しゅっ…主任…」

(,;゚Д゚)「お、おい、どうした?熱でもあるのか?」


従業員、『モナー』の顔にはくっきりと隈が浮かび
頬も心なしか、痩せこけていた


(;´∀`)「いえ…失礼しました」

(,;゚Д゚)「おいおい、なんかヤバいクスリでもやってんじゃねーだろうな?」

(;´∀`)「そういうわけじゃ……少し、寝れてなくて」

(,,゚Д゚)「寝れてねえだあ?まさか、ポルノの見すぎとかじゃあねえだろうな?」


背中をバシバシ叩きながらからかうが、モナーは乾いた笑いを返すだけ


(,;゚Д゚)「…マジで大丈夫か?なんなら、工場長に掛け合って早退にしてもらうか?」

(;´∀`)「いえ、行けます。大丈夫です」

(,;゚Д゚)「そうか?なら良いんだが…無理はするんじゃねえぞ」

(;´∀`)「ありがとうございます」


主任はランチボックスをロッカーに入れると、工場へと歩いていった


(;´∀`)「…」


モナーの言葉には、嘘があった
『寝れてない』のでは無く、『眠れない』のだ

13 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:48:23 ID:xD2lHE1w0
(;´∀ ) フラッ

(;´∀`)「っとと…」


一瞬落ちかけた意識と膝を、机に寄りかかり支える
休みたい。だが、『休めない』
頭と体の矛盾から逃れるために、彼はふらつく足取りで工場へと向かう


(;´∀`)「?」


ふと、机に着いた掌が滑っている事に気がつき、確認する


(;´∀`)「…どこで」


縦に薄く、切り傷が出来ていた
机のささくれで切ったような、乱暴なものではない

まるで『刃物の切っ先』でなぞられたような、細く長い傷だった


(;´∀`)「…」


気味が悪くなり、血で汚れるのも構わずズボンに手を擦りつけ拭い取り、逃げるようにその場から去った




人が居なくなった事務所の机が、軋みを上げた
年季と汚れで黒ずんだ表面に、まるで爪で引っかいたかのような歪んだ線が独りでに伸びていった

14 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:49:36 ID:xD2lHE1w0
―――――
―――



『ギギギギギ』


耳障りな音が聞こえた
金属を擦り合わせた時に生じる、甲高い音だ


(;´∀`)「あ、れ?」


工場に変わりは無い
変わったのはその景色だ

朝日にしてはやけに暗く、夕日にしてはやけに紅い光が差していた
従業員は一人もいない。だが、機械だけは動いていた


(;´∀`)「しゅ、主任?みんな?」


長年通い続けた職場が、全くの別世界に見えた
まるで、性質の悪い『悪夢』を見ているかのような…


(;´∀`)「まさか…」


眠れない理由は

『覚めたら忘れてしまう悪夢』

その悪夢の世界が、『眠らずに訪れた』


「眠らずに、訪れた?」


(;´∀`)「!?」


乾いた女の声が、工場内に反響する
機械音と金属音がやかましく鳴り響く中で、イヤホンから音楽を聴くかのように声が頭に入り込む

15 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:51:43 ID:xD2lHE1w0
「寝言は寝て…ああ、もう寝てんだったか」


(;´∀`)「だ、誰モナ!?」


「忘れたのか?」


ピシリ、と
モナーの傍にあった窓ガラスに皹が走る


「まさかあれだけの事をしておいて、『忘れた』だなんて言わせねえぜ…?」


(;´∀`)「な、何のこと…モナ」


「まだしらばっくれるつもりかよ…」


機械音のスピードが、どんどん早くなっていき、蒸気が吹き上がる
彼女の苛立ちを表現するかのように


「なぁ、お兄さん?」


耳元に、生臭い熱風が吹きかけられる
瘡蓋のように乾いた物が、首筋を這って行った


(;´∀`)「ハッ…ハァッ…」


逃げ出そうにも、金縛りにあったかのように体が動かない
指先がほんの少し、痙攣のように僅かに動くだけだ

16 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:53:15 ID:xD2lHE1w0
(;´∀`)「ゆ…」


何の因果か、声と口だけは動いた
逃げ出せないなら、出来ることは一つ


(;´∀`)「許して…何でも、するから」


「そう?アタシ、気になっていることがあるんだけど、答えてくれる?」


(;´∀`)「答える…答えるから…」


「じゃあ……」






「『ボディ』から『ハート』を抜き取られた気分ってどう?」






(;´∀`)「えっ…?」

17 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:54:24 ID:xD2lHE1w0
後ろから赤い『ボール』が放られ、ぐちゃりと音を立てて潰れた
背中から熱い液体がこみ上げ、上着と、そしてズボンを塗らした


(;´∀`)「…」


鉛のように重い腕で、その液体に触れる




「ちょっぴり切ない?」




手のひらが、真っ赤に染まっていた

18 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:55:39 ID:xD2lHE1w0
モナーはその質問に答える前に、工場から、声の主の前から姿を消した
まるで砂で出来た人形が、風にかき消されるように


「んん…ちょっと、ヌルかったかな?」


彼が立っていた場所のすぐ後ろで、声の主が錆びついたナイフを眺めながら独り言ちる
もう片方の手は『ずぶ濡れ』という表現が似合うほど、血で汚れていた


「まぁ…『バージン』だったしこんなものか。次はもっと、上手くやらないとな」


「さて、次はどいつにしようかな」






(  ∀ )「」






.

19 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:57:00 ID:xD2lHE1w0
(,,゚Д゚)「あいつなにやってんだ朝礼始まるぞ…」


いつまで経っても朝礼に顔を出さないモナーを案じ、主任が事務所へと引き返す
後から来た同僚の話によると


『疲れてたのか、机に突っ伏して寝ていたよ。いくら揺さぶっても起きなかったから放っておいた』


(,;゚Д゚)「…」


いつもなら怒鳴り散らして叱ってやりたいところだが、先ほどのやり取りもあって怒りより『心配』が勝っていた
あの酷く脅えた表情は普通じゃない。何かの病気か、さもなくばストーカー被害に悩まされてるのではないかと


(,;゚Д゚)「ったく、手間掛けさせんなよ…」


事務所前へと到着し、ドアを開けようとする
しかし、いつもなら軽く開くドアが、『砂袋』に引っかかったかのように重い


(,;゚Д゚)「ああ…?」


誰かが向こう側から抑えているのだろうか
主任はドアノブを回しながら、肩と腰で押し出すことで、ほんの少しだけ扉を開けることが出来た
途端に、その隙間から『赤い液体』が小川のように流れ出した


(,;゚Д゚)「うわっ!?」


ドアの向こう側で、『ドサリ』と何かが倒れる音がした


(,;゚Д゚)「モナー!!おいモナー!!」


『ただ事じゃない』
主任は更に力を入れ、扉を押し開けていく
そして、その僅かな隙間から

20 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:58:35 ID:xD2lHE1w0







「」








背中に大穴が開き、『中身』が覗いているモナーの姿を見てしまった




直後、いつもの気だるい月曜日に不釣合いなほど、恐怖に染まった悲鳴が工場に響き渡った

21 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 21:59:29 ID:xD2lHE1w0
―――――
―――



|(●),  、(●)、|「ふむ…こいつは酷いな…」


ダディ・キャラハン刑事はモナー・イーストウッドの痛々しい遺体の写真を眺め、簡潔な感想を呟いた
肩甲骨の間から背骨の中ほど辺りまでに渡る裂傷に加え、傷と骨の隙間から無理やり心臓が掴みだされている
彼が担当した事件の中でも凄惨極まりない殺人だった


( ・∀・)「ダディさん、こちらが被害者の資料になります」

|(●),  、(●)、|「うむ、ありがとう」


相棒の新米刑事からモナーに関する資料を受け取り、指に唾を付け捲っていく


|(●),  、(●)、|「ふむ、これといって目立った経歴は無し…
           前科も無いし借金なども無い…女性にだらしない、と言うわけでも無さそうだな」

( ・∀・)「しかしダディさん、これだけ惨い殺され方をされたのなら、被害者を相当怨む人物の犯行では?」


相棒が言いたくなるのもわかる。この殺され方は普通じゃない
しかし、ダディはそれ以上に解せないことがあった


|(●),  、(●)、|「これだけの殺しをやっておいて、何故誰も気がつかなかった…?」


経歴に関する資料を置き、事件ファイルを手に取る
死亡推定時刻は八時前。彼の職場では週に一回の朝礼があり、全員が工場に集まっていた
事件現場である事務所と工場の距離は、それほど離れていない。叫び声や断末魔を上げれば誰かが気付くはずだ


|(●),  、(●)、|「第一発見者は…『ギコ・ベドー』。被害者の上司か」


主任『ギコ・キャラハン』の証言によると、モナーは酷く脅えた表情をしていたらしい
それに加え、『寝れてない』と話していた。理由は言及しなかった為、不明との事

22 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:00:56 ID:xD2lHE1w0
|(●),  、(●)、|「『寝れてない』か…」


彼の自宅からは、大量のインスタント・コーヒーの空き瓶
それの二倍ほどの数の『レッド・ブル』の空き缶が見つかっている


|(●),  、(●)、|(矛盾しているな…)


コーヒーに、レッドブル。どちらもカフェインの含有量が多い飲料だ
モナーは『眠れない』と言っていたが、不眠症の人物が眠気を醒まさせる飲料を多量摂取するだろうか
むしろ、その逆


|(●),  、(●)、|(『寝れてない』のではなく、『眠れない理由』があったのでは…)


ダディは再びモナーの資料を捲る
『通報』や警察への来訪暦が無いかを調べたが、そのような記述は無かった


|(●),  、(●)、|「モララー、モナー氏が過去にストーカー被害に遭っていなかったかを重点に、
           もう一度データを纏めてくれないか?」

( ・∀・)「了解しました」


指示を受けたモララー刑事は、テキパキと仕事へと取り掛かった
彼が立ち去った後で、ダディは再びじっくりと資料を眺めた


|(●),  、(●)、|(これほどの殺人を短時間で、しかも静かに、誰にも悟られず行った…一体、誰が…)

|(●),  、(●)、|(それにモナー氏の精神状態…『脅えていた』。
           つまり、誰かに狙われていると自覚していた筈だ。それを何故警察に相談しなかった?)

|(●),  、(●)、|(…相談出来ない『理由』が、あったとでも言うのか?『モナー・イーストウッド』…)


(;・∀・)「ダディさん!!」


ダディの思案は、予想より遥かに早い部下の帰来によって打ち切られた
その顔には汗が浮かんでいるが、色は青ざめている

23 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:03:33 ID:xD2lHE1w0
|(●),  、(●)、|「どうした?」


モナーに対する重要な手がかりが見つかったのかと期待したが、予想を遥かに超える報告が成された


(;・∀・)「先ほど通報があり、親子二人の遺体がエルム街十三番地のゴミ捨て場で発見されたそうです!!」

|;(●),  、(●)、|「なんだと!?」


モナー死亡から、半日も経たない内に
また新たな殺人が、エルム街で発生した


|;(●),  、(●)、|「現場へ急ぐぞ!!」

(;・∀・)「はい!!」


ダディは椅子に掛けてあった上着を引っ掴み、慌てた足取りでオフィスを出た
その際に、机に乗っていたコーヒーを派手に倒してしまったが、そんな事を気にする余裕は無かった


こげ茶色の液体が、モナーの資料と今朝の新聞を汚していく
まるで、炎が紙を燃やしていくかのように、コーヒーの染みは広がっていった

24 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:07:45 ID:xD2lHE1w0
時刻は夕暮れ時
遊びつかれた子どもは家に帰り、母親は夕飯の支度を始める頃
大勢の人が住まう住宅街のゴミ捨て場に、その親子の遺体は横たわっていた


「うわあああああああああああああああああ!!!!ミセリ!!ビコーズウウウウウウウウ!!!!」


野次馬のざわめきと、夫であり父であろう男性の悲痛な叫び声が響く
ダディとその相棒は、警備にバッジを見せ、キープテープの中へと入った


(`・ω・´)「よう、今日は西へ東へ大忙しだな」


一足先に現場に到着していた同僚のシャキン刑事が疲れた声で出迎えた


|;(●),  、(●)、|「ガイシャは?」

(`・ω・´)「そこに…ああ、出来れば見ねえ方が良い…つっても、そういうわけにもいかねえか」


親指が指す先は、シートに覆われた隆起
ダディと相棒はそこへ近づき、シートの端を掴み上げ、覗き込んだ


(;・∀・)「うっ…」

|;(●),  、(●)、|「…」


ダディはすぐにシートを伏せ、胸で十字を切る
それは既に『体』の形状を保っていなかった
胸から下腹部に掛けて、まるで蛙の解剖のように掻っ捌かれ、中身はミンチのようにかき回されていた


(`・ω・´)「ひでえもんだろ。それだけじゃねえんだぜ?子どもの方は……」


シャキンは続きを言いかけ、躊躇った


|;(●),  、(●)、|「どうした、言えよ」

(;`・ω・´)「ああ、クソ。こんなこと言いたかねえが…」

25 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:09:56 ID:xD2lHE1w0
(;`-ω・´)「『犯されていた』…しかもご丁寧に、『ゴム』まで付けてな」


シャキンは現場に落ちていた『コンドームの空き袋』を入れたビニールパックをヒラヒラと見せ付けた


(;・∀・)「クソッ、ゲス野郎が!!」


最悪の犯行に、相棒は怒りを隠しきれず地面を蹴った


|;(●),  、(●)、|「用意周到だな…DNA鑑定対策ってワケか」

(;`・ω・´)「デカやって長いが、こんなに胸糞が悪い事件は初めてだ。彼になんて言えば良いんだよ…」


シャキンは警官に抑えられている夫を見る
彼の精神安定上、死体を見せるわけには行かなかった


(;`・ω・´)「簡単な調査結果だ、目を通せ」


ダディはノートを受け取り、中を確認する
殺されたのは『ミセリ・イェニー』と『ビコーズ・イェニー』
死因は腹部を刃物で切り裂かれた事によるショック死
貴重品の類は盗まれておらず、殺人目的の犯行であると思われる
息子であるビコーズに関しては性的暴力の痕跡が見つかった
両者共々、口をガムテープで塞がれており、腕には抵抗の痕であろう切傷が無数に刻みつけられている
凶器は見つかっておらず、目下捜索中
近隣住人の事情聴取も進めている


(;・∀・)「モナー・イーストウッド殺害と同一犯でしょうか?」

|;(●),  、(●)、|「…」


今日起こった二つの事件、『残虐な殺人』と言う点に関しては一致している
しかしダディは、犯人が『同一人物』だとは思えなかった


|;(●),  、(●)、|「いや……別人、じゃないだろうか…」

(;・∀・)「そ、それでは、この街に凶悪殺人犯が二人いると!?」

(;`・ω・´)「おいおい、冗談だろ?『フレディVSジェイソン』じゃああるまいし、そんなヘビーな状況あってたまるかよ」

26 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:10:54 ID:xD2lHE1w0
|;(●),  、(●)、|「まだ憶測の粋を出ていない事を前提に聞け。
           いいか、モナー・イーストウッド氏の殺害現場には、『一切の証拠』が出てこなかった」

|;(●),  、(●)、|「また、犯行は静かに、かつ『無抵抗』の状態で行われた。『背中から心臓を抉り出されているにも関わらず』」

(;`・ω・´)「おいそりゃマジかよ…俺ァそのヤマにあたってねえから良く知らねえが…」

(;・∀・)「検死の結果、薬物反応無しに加え致命傷以外の外傷無しですよ?信じられますか?」

(;`・ω・´)「ちょっと待て…麻酔も頭へのショックも無しに、背中から内臓抉り出したってのか?」

|;(●),  、(●)、|「目下調査中だ…続けるぞ」


ダディは一呼吸の休息を入れ、親子の死体へ目を向けた


|;(●),  、(●)、|「対し、こちらの事件はあまりにも『粗が多い』。
           口封じのガムテープに抵抗の痕。極めつけは『ゴム』の空き袋だ」

|;(●),  、(●)、|「製造番号で購入日時を、製造メーカーで取扱店を調べることが出来る。
           店の購入履歴片っ端から当たれば容疑者を絞り込める」

(;`・ω・´)「確かに…」

|;(●),  、(●)、|「『抵抗の痕』と『口封じ』に関してもだ。さっき言ったよな?モナー氏の殺害方法は『静かに』かつ『無抵抗』」

|;(●),  、(●)、|「それなら何故、今回もその手腕を活かさなかった?」

(;・∀・)「…」


次々と明らかになる二つの事件の相違点
ダディは最後に、こう結論を出した

27 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:12:49 ID:xD2lHE1w0
|;(●),  、(●)、|「モナー・イーストウッド氏の殺害は『怨恨』、イェニー親子殺害は『快楽』目的では無いだろうか?」

(;`-ω-´)「…」




(;`・ω・´)「念の為、根拠を聞こうか」

|;(●),  、(●)、|「モナーに関しては『勘』、イェニー親子は…」

|;(●),  、(●)、|「…みりゃあ分かるだろ」

(;・∀・)「…最悪、ですね」

|;(●),  、(●)、|「全くだ…」

(;`・ω・´)「…朝の段階で街の封鎖は済ませてある。『怨恨犯』『愉快犯』その両方を一刻も早く捕まえよう」



未曾有の猟奇的殺人事件
『二人』の怪物を孕み、エルム街の不安な日々が始まった―――――
28 名前:>>1[sage] 投稿日:2014/08/17(日) 22:16:42 ID:xD2lHE1w0
ごめんなさいここまでしか書けてないですコミケっぽくいうと新刊落としました
ほんと色々忙しくて全部書けないうちに百物語期間が来てしまいました
イベント海域と有明の戦場に出向いていた所為です。『僕は悪くない』
続きは出来るだけ早く書き上げてうpしますのでどうか、どうか堪忍してください
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