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5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:15:22 ID:aHrUfEXA0
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四十九本目、頂きます。
.,、
(i,)
|_|
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6 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:16:11 ID:aHrUfEXA0
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('、`*川「ねぇ、お兄さん。私と付き合ってくれない?」
行きつけのBARで、いつも通りカウンターの1番奥に座っているとベロンベロンに酔った若い女性に声をかけられた。
彼女は酷く泥酔しているようであった。そうでなければ、こんな冴えないサラリーマンに声をかける等あり得ないだろう。
(´・_ゝ・`)「まぁ、一杯くらいなら付き合いますよ」
('、`*川「そういうことじゃなくて」
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7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:16:54 ID:aHrUfEXA0
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('、`*川「私の恋人になってくれないかってことよ」
.
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8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:17:38 ID:aHrUfEXA0
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(´・_ゝ・`)泥酔しているようです('、`*川
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9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:18:30 ID:aHrUfEXA0
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僕が呆気にとられて、黙っていると彼女は泣き笑いしながら身の上話をし始めた。
(;、;*川「私ね、もう本当にもてない人生を歩んできたのよ。数え切れないほど失恋したわ」
(;、;*川「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって、あんなの嘘よ嘘!
この年齢で、今まで一回も付き合ったことが無いのよ?ビックリでしょ?!」
確かにビックリではあった。
彼女は地味な女性ではあるが決して不細工等ではなかったからだ。
(;、;*川「最近も酷い振られ方をしたの。でね、もう嫌んなっちゃって、
お酒を沢山飲めば楽しく死ねるかなぁと思ってこのBARにきたのよ」
なるほど、だからこんなに泥酔してしまっているのか、納得した。
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10 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:19:18 ID:aHrUfEXA0
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('、`*川「それでお兄さんに声をかけたってわけ!あはは、ごめんねー、変な話聞かせちゃってさー。
あ、マスター!これと同じのもう一杯!」
(´・_ゝ・`)「別に話を聞くのは構わないけど、君、もう今日は飲むのはやめなさい」
('、`*川「嫌だなぁ、お兄さん。話聞いてくれてなかったの?私、死ぬまで飲むって言ったじゃないの」
(´・_ゝ・`)「失恋なんかで死ぬなんて勿体無いよ。まだ若いんだから」
('、`#川「五月蝿いわねぇ、お兄さんに年齢=恋人居ない歴の私の気持ちが分かるわけないでしょ!?」
(´・_ゝ・`)「つまり、君は恋人が出来れば良いんだろ?」
('、`#川「それが出来ないから死のうとしてるんじゃない」
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11 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:20:01 ID:aHrUfEXA0
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(´・_ゝ・`)「だったら、君がいい人を見つけるまで僕が君の恋人になるから死ぬのはやめなさい」
('、`*川「へぇー、そりゃあいいわ!あははは」
('、`*;川「……って、ええぇ!?」
こうして、僕と彼女は付き合うことになった。
しかし、問題が一つだけあった。
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12 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:20:51 ID:aHrUfEXA0
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('、`;川「うーん、頭痛い…」
(´・_ゝ・`)「あんだけ飲めばそうもなるだろうね」
('、`;川「…あれ?え?ここどこ?」
(´・_ゝ・`)「ホテルだよ、君の家分からなかったし。仕方なくね」
(;、;*川「こ、これが朝チュンなのね!夢にまでみた!」
もてなすぎるとこんな事が夢になるのか、可哀想に
(´・_ゝ・`)「言っとくけど何もしてないからね。それよりも、もっとちゃんと見るべきところがあるんじゃないの?」
('、`*川「えっ、見るべきとこって…」
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13 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:21:32 ID:aHrUfEXA0
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('、`*川「…あれ、私まだ酔ってるのかな?」
(´・_ゝ・`)
('、`*川「お兄さんの体、透けて見えるんだけど」
そう、彼女と僕との間の一番の問題。
それは僕が幽霊だということなのだ。
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14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:22:13 ID:aHrUfEXA0
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(´-_ゝ-`)「やっぱり君、昨日相当泥酔してたみたいだね」
('、`*川「お兄さんは幽霊だったのね…」
(´・_ゝ・`)「うん。いやぁ、ビックリしたよ、まさか死んでから女性にナンパされるとは思わなかったからね」
('、`*川「初めての彼氏が幽霊って…」
やはり幽霊の癖に彼氏になる等、お節介だったのだろうか。
彼女はベッドの上に体育座りをしながらブツブツ何かを呟いていた。
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15 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:23:03 ID:aHrUfEXA0
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あんまりに彼女のその姿がいたたまれなかったので、僕から声をかけることにした。
(;´・_ゝ・`)「…あー、別に幽霊はノーカウントにしてもいいんじゃないかな?
それに酔ってたんだし、悪い幽霊に化かされたとでも思って…」
('、`*川「人間でも幽霊でも構わないわ。私の告白を受けてくれる人なんて、もう出会えないかもしれないし!
これからよろしくね、お兄さん」
(;´・_ゝ・`)「…あぁ、うん、よろしく」
昨日まで自殺しようとしていたとは思えないほど、彼女はポジティブな女性であった。
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16 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:23:55 ID:aHrUfEXA0
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彼女の名前はペニサス伊藤と言った。勿論名前は付き合ってから知った。
彼女は僕にとても献身的に愛を注いでくれた。
('、`*川「ねぇねぇ」
(´・_ゝ・`)「なんだい、ペニサス」
('、`*川「うふふ、デミタスさん、愛してるよ」
(´・_ゝ・`)「そうかい、ありがとう」
このように、ペニサスは何かにつけて愛の言葉を僕に捧げてくれた。
僕の方はというと、彼女に愛の言葉を捧げることはなかった。
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17 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:24:41 ID:aHrUfEXA0
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僕と彼女の恋人生活は、僕が予想していたよりも長く続いた。
('、`*川「ねぇ、デミタスさんはどうして私なんかと付き合ってくれてるの?」
(´・_ゝ・`)「君にいい人が見つかるまで恋人になると約束したからね」
('、`*川「じゃあ、いい人見つからないからデミタスさんは一生私の彼氏ね」
(´・_ゝ・`)「そうならないように、いい人見つける努力はしなさい」
('、`*川「はーい」
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18 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:25:42 ID:aHrUfEXA0
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彼女はとても愛嬌のある可愛い女性だった。努力なんてしなくても、彼氏の一人や二人、出来てても可笑しくない女性であった。
長く一緒に生活していても、彼女がどうしてもてないのかが全く分からなかった。
('、`*川「デミタスさん、愛してるわよー」
(´・_ゝ・`)「そうかい、ありがとう」
そして僕は相変わらず、彼女に愛の言葉を返すことだけはしなかった。
どうしてかは分からないが、愛の言葉を言うことだけは出来なかったのだ。
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19 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:26:27 ID:aHrUfEXA0
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(´・_ゝ・`)「…遅いな、いつもならとっくに帰って来てるはずの時間なのに」
時計の針は23時を指していた。彼女が連絡も無しに、こんな遅くまで帰ってこないのは初めてだった。
(´・_ゝ・`)「…何かあったんだろうか」
僕は彼女を迎えに行くことにした。
交通費がかからないのが幽霊の強みだ。
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20 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:27:14 ID:aHrUfEXA0
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彼女の会社に着くと、真っ暗なビルで一部屋だけ明かりがついている部屋があった。
その部屋に外からスッと入り込むと、
(;´・_ゝ・`)「!?」
ちょうど、ペニサスが見知らぬ男に押し倒されていた。
僕は急いでポルターガイストを起こし、ペニサスを助けようとしたが、その男の言葉によって、それは実行されなかった。
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21 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:28:30 ID:aHrUfEXA0
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(#'A`)「伊藤、いい加減、俺と付き合ってくれよ!もう何年好きだって言い続けてると思ってるんだよ!」
なんとペニサスは自分のことをもてないと言っていたが、男はペニサスに対して何年も想いを伝えてきたと言うではないか。
('、`*川「だから、何年も断わり続けてるじゃないのよ」
ペニサスは机に押し倒されているので、男の影によって私が見えていないようであった。
(#'A`)「誰かと付き合ってるなら諦められるけど、誰とも付き合ってないから諦められないんだよ!
それにお前、俺や内藤やフォックス、さらにはモララー社長からの告白も全部断わり続けてるじゃねーか!
納得行かねーよ!」
なんてことだ。
彼女は嘘をついていたのだ、もてない等と言いながら、実際はモテモテだったのだ。
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22 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:29:12 ID:aHrUfEXA0
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('、`*川「だから、付き合ってる人がいるっていってるじゃない」
(#'A`)「またその話か、お前いい加減にしろよ!」
('、`*川「ふざけてないわよ、私。本当に盛岡デミタスさんと付き合ってるの」
自分の名前を出されてドキリとした。
それにしても、彼女はそんなにもてながらどうして幽霊で、しかもさえないこんな私なんかと付き合っているのだろうか。
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23 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:29:53 ID:aHrUfEXA0
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男は盛大なため息をついてから、先程よりは幾分か優しい声でペニサスにこう言った。
('A`)「…いいか、伊藤。お前が大好きだったデミタスさんは、もう死んだんだよ」
男のその言葉は、僕を部屋から飛び出させるのには充分なものであった。
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24 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:30:47 ID:aHrUfEXA0
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僕は気付くと彼女と出会ったBARにいた。
('、`*川「やっぱりここに居たのね、デミタスさん」
(´・_ゝ・`)「…ペニサス、君は沢山嘘をついていたんだね」
('、`*川「確かにもてないってのは嘘だけど、付き合ったことが無いのは本当よ」
(´・_ゝ・`)「あの日君は泥酔したせいで、幽霊の僕を人間だと思ってナンパしたと思っていたけど、あれも嘘だったんだろ?」
('、`*川「泥酔してたのは本当だし、死のうとしていたのも本当よ。ナンパしたのは泥酔して夢をみていると思ったからだし」
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25 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:31:33 ID:aHrUfEXA0
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(;´・_ゝ・`)「ねぇ、ペニサス、君は一体…」
('、`*川「まだ思い出せないんですか?」
ペニサスが突然敬語口調になった。
それだけで、なぜか止まったはずの心臓がドキドキする。
(;´・_ゝ・`)「僕は何を忘れてるんだ、教えてくれ、ペニサス!」
('、`*川「…デミタス先輩、愛してますよ」
(;´・_ゝ・`)「ペニサス、誤魔化すんじゃ…!」
デミタス、先輩…?
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26 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:32:49 ID:aHrUfEXA0
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('、`*川『デミタス先輩、デミタス先輩。私、本当に先輩のこと愛してますよ!』
(´・_ゝ・`)『そうかい、ありがとう』
('、`*川『もー、なんでいつも先輩はそんなに素っ気ないんですか?』
(´・_ゝ・`)『君が僕をからかうからだよ』
('、`*川『からかってなんか居ませんよ、私、本当に先輩のことを愛してるんです』
(´・_ゝ・`)『君みたいなモテモテの女の子が、僕みたいな冴えないサラリーマンを好きだなんて信じられないよ』
('、`*川『信じてください。先輩、私、本当に愛してるんです』
(´・_ゝ・`)『…そこまで言うなら、今日会社が終わったら僕の行きつけのBARで待ち合わせて、
その後朝チュンコースでもしてくれるってのかい?』
('、`*;川『えええ!?』
(´-_ゝ-`)『これで冗談言う気も失せただろ?さっさと仕事を…』
('、`*;川『そんなご褒美もらっていいんですか!?あああ、神様、ありがとうございます!』
(;´・_ゝ・`)『え、いや、あの』
('、`*川『男に二言は無いですからね、先輩!』
(´・_ゝ・`)『…伊藤君、君ねぇ、もてないおじさんをからかうんじゃないよ』
('、`*川『私オシャレして行くんで!先輩、先にBARで待っててくださいね!じゃあ、また仕事終わりに!』
(;´・_ゝ・`)『あ、まて!……ったく』
(´-_ゝ-`)『…本当に、大人をからかうんじゃないって言うのに』
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27 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:33:30 ID:aHrUfEXA0
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(;´・_ゝ・`)「…」
そうか。だから僕は気付いたらこのBARにいつも居たのか。
(;、`*川「酷い振られ方だとは思いませんか?
私、とびっきりのおしゃれをしてBARに行ったって言うのに、先輩は中々来なくて…」
彼女は、このBARで会った時のように泣き笑いしながら話はじめた。
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28 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:34:41 ID:aHrUfEXA0
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(;、;*川「可笑しいなと思って先輩の携帯電話にかけたらお医者さんがでて」
(;、;*川「『残念ながら、たった今事故でなくなりました』とか言うんですよ?あり得ないですよね!」
(;、;*川「それから私、有給休暇一気にとって遊びまくったんですけど、全然楽しくなくて」
(;、;*川「最後に、先輩との約束したBARで飲みまくってアルコール中毒で死んでやろうと思ったんですよ」
(;、;*川「そしたら、そこに何食わぬ顔して先輩がいるじゃないですか」
(;、;*川「泥酔してるから、夢だと思って声をかけて見たんですよ。そしたら、付き合ってくれるって言うじゃないですか」
(;、;*川「私嬉しくて嬉しくて…。先輩は記憶が無くなってるみたいだったけど、それでも嬉しかったんです、私」
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29 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:35:23 ID:aHrUfEXA0
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(;、;*川「だって、先輩。記憶が無いはずなのに、わたしが愛してるって言うと、生前と変わらない返事をしてくれたんですもん」
(;、;*川「死んでも生きてても相変わらず先輩は先輩なんだなぁと思って…」
本当、先輩って面白いですよねとペニサスは泣きながら笑った。
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30 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:36:05 ID:aHrUfEXA0
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(´・_ゝ・`)「……ペニサス」
彼女の顔をみて僕も少しだけ、泣きそうになってしまった。
ペニサス、君はどうしてこんな僕を選んでしまったんだろうか
僕のことをこんなに愛してくれる君を残して死んでしまうような、最低な男を。
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31 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:37:06 ID:aHrUfEXA0
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(;、;*川「デミタス先輩、死んでからだけど、このBARで私のこと待っててくれたんですね」
(´・_ゝ・`)「…男に二言は無いからね」
(つ、;*川「改めて言いますけど、先輩」
(´・_ゝ・`)「なんだい、ペニサス」
('、`*川「デミタス先輩、愛してますよ」
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32 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:38:03 ID:aHrUfEXA0
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ここで、本当なら断らなければならないのだ。
いつも通り、答えればいい、受け流せばいい。
それが彼女にとって一番いいはずなのだ。
あぁ、でも、僕は知らない間に泥酔してしまっていたのだ。
(´・_ゝ・`)「…僕も、愛してるよ、ペニサス」
ペニサス伊藤という、どんなお酒よりも甘美で美しい女性に。
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33 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/17(日) 20:38:45 ID:aHrUfEXA0
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四十九本目、お終い。
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